税理士が解説!出張旅費で節税する方法:インボイス制度と出張旅費等特例の活用術

2024.02.21

はじめに

出張旅費等特例を活用した節税

 効率的な会計処理と節税は、会社経営において重要なポイントです。特に、従業員の出張に関わる経費は、適切な管理と節税対策を活用することで、企業のおカネを守る重要な要素となります。今回の記事では、インボイス制度下で創設された「出張旅費等特例」の適用条件とその活用方法について、詳しく解説します。

1. 出張旅費等特例とは

 出張旅費等特例は、企業が従業員に支給する出張旅費、宿泊費、日当などの経費について、その旅行に通常必要と認められる範囲の金額であれば、インボイス(領収書や請求書などの証拠書類)の保存なしに仕入税額控除を受けられるというものです。これにより、経理処理の負担が大幅に軽減されると共に、節税にも寄与します。

2. 特例の対象となる条件

通常必要と認められる範囲

 出張に伴う経費が、所得税基本通達に基づき非課税とされる旅費の範囲内である場合、その金額は特例の適用を受けられます。この「通常必要であると認められる部分」の判断基準は、具体的には所得税基本通達9-3による非課税旅費の範囲の例に従います。

「通常必要であると認められる部分の金額」は、所得税基本通達9-3《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定する(=所得税が非課税の範囲で特例の対象となる)。なお、「通常必要であると認められる部分の金額」を超える部分は使用人等に対する「給与」として、仕入税額控除の対象外となる。

経費の種類にかかわらず適用可能

 この特例は、社内規程や基準の有無、概算払いか実費精算かといった経費の支給形式に関わらず適用されます。つまり、企業が設定する基準に基づいて支給された旅費であれば、形式を問わず特例の対象となり得ます。

超過部分の取り扱い

 通常必要であると認められる金額を超える部分は、従業員に対する給与として扱われ、仕入税額控除の対象外となります。この点は、経費の精算時に特に注意が必要です。

3. 実際のケースでの適用例

ケース①

 社内規程に「1回の旅行当たり3,000円」と定められているが、所得税での非課税範囲が10,000円である場合、8,000円を支給した状況では、この8,000円が特例の対象になります。

ケース②

 社内規程が特にない状況で、社員が出張にかかった交通費として10,000円を実費で請求し、支払った場合、この金額が通常必要と認められれば特例の対象になります。

4. 特例を受けるための帳簿記載要件

 特例の対象となる取引については、インボイスの保存が不要ですが、以下の情報を帳簿に記載する必要があります。

1.課税仕入れの相手方の氏名や名称
2.取引年月日
3.取引内容(軽減税率対象の場合はその旨も)
4.対価の額
5.課税仕入れの相手方の住所または所在地(特定の事業者に限り記載不要)
6.特例の対象である旨

特に、公共交通機関特例の対象事業者については、国税庁長官が指定する者であるため、住所または所在地の記載は不要となります。

参考:国税庁【No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い】
参考:国税庁【宿泊費、日当等) 【答】 社員に支給する出張旅費】

まとめ

インボイス制度で節税と出張費管理をマスターしましょう

  いかがでしたか?インボイス制度の下で出張旅費等の特例を上手に使うことで、会社は税金を少しでも減らせる上、出張にかかる費用もしっかり管理できるようになります。この特例は使い方がとても柔軟で、必要な情報を帳簿にきちんと書き込むだけで、余計な税金を払わずに済みます。したがって、会社としては、この制度をしっかり理解して、賢く使うことが大切です。

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