財務・税務・労務・人事DD(デューデリジェンス)

企業の価値を判定するデューデリジェンス(DD)サービスとは

デューデリジェンス(略して”DD”という)とは
買収の対象である企業の価値やリスクについて、専門的知見により調査をおこない評価すること

デューデリジェンス(Due Diligence)とは、M&Aなどの買収対象企業(ターゲット企業という)やその事業自体の価値やリスクについて、外部からの専門的知見により、財務・税務・労務・人事・法務・ビジネス・IT・環境といったさまざまな観点から調査をおこない評価することをいいます。
デューデリジェンスは略語としてDDと呼ばれることもあります。

弊社のデューデリジェンスサービスでは、M&Aや投資の契約締結前にデューデリジェンスを行い、ターゲット企業の価値をあらゆる視点から測定し、その結果を契約内容に反映させ、発見した問題点を相手に表明したうえで買収・投資価格を決めるためのサポートをおこなっております。
これにより、買収対象企業の価値をしっかりと調査測定し、合理的なM&Aを実行することができます。

デューデリジェンスの種類

デューデリジェンス(DD)の範囲は多岐にわたり

  • 財務デューデリジェンス(財務DD)
  • 税務デューデリジェンス(税務DD)
  • 労務デューデリジェンス(労務DD)
  • 人事デューデリジェンス(人事DD)
  • 法務デューデリジェンス(法務DD)
  • ビジネスデューデリジェンス(ビジネスDD)
  • ITシステムデューデリジェンス(ITDD)
  • 環境デューデリジェンス(環境DD)

などの種類がありますが、一般的には財務DD、税務DD、法務DD、労務DDの4セットで実施されることが多いです。

弊社のデューデリジェンスサービス

弊社では、上記でご紹介したデューデリジェンスのうち

    1 財務デューデリジェンス(財務DD)
    2 税務デューデリジェンス(税務DD)
    3 労務デューデリジェンス(労務DD)
    4 人事デューデリジェンス(人事DD)

をメインに扱っております。
以下では、これらのデューデリジェンスについてご紹介させていただきます。

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンス(財務DD)は、M&A等の対象となるターゲット企業の財務情報を調査し企業価値を測定します。
ポイントは以下になります。

・資産が正しく計上され適正に評価されているかどうか
・債務や負債が正しく計上され適正に評価されているかどうか
・収益性(=稼ぐ力)に関する過去の実績と将来の見込み
・キャッシュ・フロー分析(現金や預金の流れ)
・グループ会社やオーナーに関連する取引内容
・不正な経理処理の存在があるか否か

財務DDはほかのデューデリジェンスと比べもっとも重要な役割を有します。調査結果によっては、企業価格が大きく変動し、M&A等をおこなうか否かの判断に大きく影響を与えるためです。

財務DDは、主に下記の情報をもとに実施します。
①財政状態(貸借対照表)
②損益状況(損益計算書)
③資金繰りの状況(キャッシュフロー計算書)
④内部統制・管理体制(各種規定書類)

①財政状態(貸借対照表)の調査

任意の基準日(一般的には調査日の直近の月末日)時点でのターゲット企業の実質的な純資産を調査測定し、M&A等による買収価値を把握します。

財務DDの主要な調査項目として「実態純資産」の算定があります。主には下記調整を反映した、実態ベースの純資産を算定することを目的としています。
貸借対照表に反映されていない簿外債務(引当金や未払費用の計上不足)
資産の含み損益(棚卸資産、不動産、有価証券など)
M&A実行により発生する債務 (退任役員の退職金、不要となる資産の処分等)
会計基準や会計処理の差異による調整 (上場企業が未上場企業を買収する時に発生)
簿外債務の典型例としては、下記が挙げられます。
各種引当金の不足または未計上
未払残業代、未払役員退職金
契約から生じる偶発債務・潜在債務
※偶発債務とは、現実にはまだ発生していないが将来に一定条件のもと発生する債務の総称です
調査の過程で発見されたリスク要因は、下記の対応を行うのが一般的です。
定量化が可能なものについては買収価格に反映させる
定量化がむずかしいものは買収の契約内で担保する(表明保証への追記など)

②損益状態(損益計算書)の調査

もうひとつ財務DDでの主要な調査項目として「正常収益力」の把握があります。過去3期~5期程度の業績推移に基づき、収益構造やコスト構造を分析した上で、その変化や傾向の原因を調査し、買収対象の会社が今後生み出すと期待される収益力を把握します。
正常収益力とは、財務会計上のPLに対して下記調整を反映した収益力を指します。
一時的・突発的な収益・費用の除外
営業外損益の中で経常的に発生するものは営業利益としてに反映
DDの対象期間中に終了する事業、M&A後に終了が予定されている事業に係る損益の除外
M&A後に不要となる費用、必要となる費用を反映
粉飾決算などによる影響額を調整

③資金繰りの状況(キャッシュフロー計算書)

次に財務DDでは、買収対象会社のお金の流れ(資金収支の状況や運転資本の状況)を調査します。買収対象会社がキャッシュフロー計算書を作成しておれば、過去3期程度のキャッシュフロー推移から季節性や最低限必要な運転資金額を把握することで、M&A後(投資後)に追加でキャッシュの投下が必要か分析します。
買収対象会社がキャッシュフロー計算書を作成していない場合は、資金繰り表や関連資料を用いてキャッシュフロー計算書を作成し調査します。
具体的には、営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローが月次ベースでどのような動きをしているか明らかにすることで、経常的なフリーキャッシュフローの水準を把握します。

④内部統制・管理体制(各種規定書類)の調査

最後に財務DDでは、買収対象会社の内部体制(人員数・業務の分掌状況、使用会計ソフト等)や業務フロー、権限・承認体制などを確認します。
十分な管理体制がない買収対象会社の場合、月次・年次決算の実行状況、内部統制の状況、IPOへの状況などを把握し、M&A後のPMIプロセスでの改善ポイントを確認します。
※IPOとは、新規上場株式や新規公開株のことを表します
※PMIとは、M&A後の統合プロセスのことで、経営・業務・文化の3つの統合が必要です
また、カーブアウトにより一部の事業のみを買収する場合は、本社機能として提供されていたバックオフィス業務などを抽出し、M&A後の一定期間は、売り手のサービスを継続的に享受することを規定したTSA(Transition Service Agreement)を必要に応じて締結することもあります。
※カーブアウトとは、売り手の企業のうち特定の事業のみを切り出しで買収すること

税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンス(税務DD)は、M&A等の対象となるターゲット企業が①過去に法人税を適正に申告納税しているかどうかや②税務における管理体制を調査します。
さらに③M&Aするにあたり繰越欠損金の特例が考慮できるかどうかも判定し評価します。
繰越欠損金とは、企業が保有する法人税法上の赤字のことで、将来発生する利益と相殺でき納める法人税を抑えることができます。
※繰越欠損金の特例とは、特定資本関係成立時に被合併法人に含み益がある場合、みなし共同事業要件を満たしていなくても、その含み益に対応する欠損金額について引継ぎが認められること
したがってM&Aの目的が、合併そのものではなく繰越欠損金を利用することにならないよう、繰越欠損金制度を利用するには厳しい要件をクリアする必要があります。

ポイントは以下になります。

・過去に適正な申告と納税ができているか(顕在化している税務リスクの把握)
・将来に起こりうる税務上の問題(潜在化にある税務リスクの把握)
・税務管理体制の不十分による改善コストの発生有無

税務DDは、主に下記の情報をもとに実施します。
①過去の法人税等の申告状況の調査
②税務面の管理体制の調査
③繰越欠損金の特例が考慮されるかの判定と評価

①過去の法人税等の申告状況の調査

目的は、ターゲット企業が有する税務リスクを調査することです。主に過去の税務申告書類とヒアリングをもとに、税務上の加算減算の項目などの調整内容は正しいかを確認し、計算処理の誤りや申告漏れが発見された場合はM&A後の課税リスクと影響額を算出します。

②税務面の管理体制の調査

目的は、ターゲット企業の管理体制を調査し、M&A後に改善費用が発生するか推測します。社内における税務体制(給与計算、納付方法、決算の流れ)、顧問税理士の業務範囲、過去の税務調査の状況等を把握し、M&A後における改善すべきポイントを提示します。

③繰越欠損金の特例が考慮されるかの判定と評価

目的は、繰越欠損金の特例を活用し欠損金を引き継ぐことができるか、またその範囲を調査します。繰越欠損金制度を利用するには厳しい要件をクリアする必要があるためM&A後のリスクも考慮し判定評価します。

財務デューデリジェンスに比べると税務デューデリジェンスは重要度が低くなりがちですが、税務リスクを見落とした結果、重加算税のペナルティといった思わぬ損失を被ることも考えられるため慎重に調査を進める必要があります。

労務デューデリジェンス

労務デューデリジェンス(労務DD)は、M&A等の対象となるターゲット企業の労務分野におけるコンプライアンス上の問題点、顕在化・潜在化しているリスクや債務など調査し企業価値を測定します。
ポイントは以下になります。

・就業規則や協定など各種規定の整備や運用の状況が適切か
・未払賃金、未払残業代や未払残業代が発生していないか
・M&A時点における賞与引当金や退職引当金の額
・年次有給休暇の取得状況や運用は適切か
・社会保険の加入は適切か
・労使間でトラブルは発生していないか、今後発生する可能性はあるか
・労働災害の発生状況
・労働安全衛生管理体制は適切か
・過去における労働基準監督署からの是正勧告や指導の内容と対応状況

労務DDは近年の労働に対する社会的な目が厳しくなるなか重要度が増している傾向にあります。労務リスクは簿外債務となって決算書には表示されていない場合が多く、それゆえ企業価格を判定するうえで重要な分野になります。またM&A後に大量離職が発生しないか、将来さらに企業を成長させるうえで優秀な人材が定着しうる環境にあるかを把握することは重要なポイントとなってきます。

労務DDは、主に下記の情報をもとに実施します。
①労務体制の調査
②雇用状況の調査
③就業規則などの整備状況

①労務体制の調査

経営理念、管理権限システム、組織図、労働組合や労働者代表の確認、給与体系、給与計算・社会保険手続の体制、社会保険労務士に依頼する業務範囲などを調査確認し、M&A後もスムーズに運営することができるか、将来発生するリスクや業務改善コストが想定されるかを判定します。
・経営理念の確認(大切にしている価値観、社員アンケート実施による浸透度)
・登記簿謄本の確認(常勤役員、非常勤役員の状況)
・組織体制と管理権限システムは合致しているか(名ばかり管理職の有無など)
・労働組合や労働者代表の確認とこれまでの企業側との交渉履歴
・給与体系(雇用形態の種類、各種手当、賞与、退職金、定年、休暇、昇給の仕組み)
・給与計算や社会保険手続きの体制
・社会保険労務士に依頼する業務範囲

②雇用状況の調査

次に、雇用契約の内容、雇用形態別の労働者数、高齢者・障碍者等の雇用状況、最低賃金、労働時間・労働日の実態と集計方法、年始有給休暇などの取得状況、産休や労災による休職者の有無、などを調査し、未払賃金・残業代や未払退職金の発生状況、賞与引当金や退職引当金の適正度、未払社会保険料、労務トラブルなどのリスクを把握します。
・労働者別の雇用契約の内容
・雇用形態別の労働者数(正社員、契約社員、パートタイマー)
・外部出向者の有無
・外注者のうち実質労働者とみなされるものはいるか
・採用している労働時間制度(変形労働時間制や裁量労働時間制など)
・年間カレンダーの確認と実働日との乖離の有無(法定休日の状況)
・休日の取り方は適切か(振替休日や実施状況)
・集計された労働時間と実際の労働時間との乖離はないか(未払賃金・残業代の確認)
・時間外労働の実態
・割増賃金の単価計算に誤りはないか(未払残業代の確認)
・年次有給休暇の取得状況、その他休暇の取得状況
・産休、育児・介護休業制度の整備と休職者の状況
・最低賃金との照合
・昇給ルールと実施状況
・賞与ルールと運用状況
・退職金制度の有無と運用状況
・社会保険や労働保険の加入状況(未払社会保険料等の有無)
・助成金の受給実績や申請中の助成金
・健康診断の実施状況
・労働災害の発生状況や休職者の有無
・解雇者の発生状況
・労使トラブルや労働紛争の発生有無や対応履歴、将来の発生可能性

③就業規則などの整備状況

次に就業規則や諸規定の整備について、実態に即した内容になっているか、法律を遵守しているかを中心に調査します。整備が不十分な場合、M&A後に改善コストが発生するため企業価格にも反映する必要があります。
・雇用契約書、労働者名簿の有無
・就業規則の作成・届出状況と内容の整合性
・36協定や労使協定の整備状況(労働組合がある場合は労働協約)
・就業規則等の周知実態
・労働者代表の選出方法
・社会保険、労働保険の手続きにおける算定方法の正確性
・安全衛生管理者等の選任状況
・産業医の選任状況
・安全衛生委員会等の実施状況
・安全衛生教育の実施状況

以上の調査により、ターゲット企業に存在する潜在債務や偶発債務などの労務リスクを測定します。

財務・税務・労務DDを依頼する上でのポイント

財務・税務・労務デューデリジェンスをアドバイザーへ依頼する際には、デューデリジェンスを実施する目的とデューデリジェンスで明らかにしたい事項を明確化することがポイントとなります。
デューデリジェンスは通常2週間から1ヶ月程度と短期間で実施されることが一般的です。
したがって限られた時間内では調査の深度も内容により異なってくるため、あらかじめ優先順位を決めておくことが重要です。