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【仮想通貨の税金早見表付き】仮想通貨の確定申告を税理士がわかりやすく解説

ビットコインなどに代表される仮想通貨は取引所で簡単に購入することができることもあり、人気の投資対象になっています。会社員をしながら仮想通貨の投資を行う人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

一般的に会社員の方は所得税の確定申告は必要ありませんが、仮想通貨で一定額以上の利益が出た場合は確定申告が必要になります。この記事では、仮想通貨の確定申告を紹介します。仮想通貨の利益により増加する税金の早見表を用意していますので、ぜひご活用ください。

 

仮想通貨の確定申告

 

 

利益確定のタイミングは4つ

仮想通貨は利益を確定させなければ確定申告を行う必要はありません。つまり、保有している仮想通貨の価格が上昇しても利益を確定させなければ仮想通貨の確定申告は不要です。仮想通貨の利益が確定するタイミングは次の4つになります。

 

利益確定のタイミングは4つ

 

①仮想通貨を売却して現金化した時

仮想通貨を売却して日本円やドルなどの法定通貨を得た時が利益確定のタイミングになります。売却した価格が購入した時の価格よりも一定額以上高い場合は確定申告が必要です。口座から現金を引き出したタイミングではなく、売却したタイミングになりますので注意しましょう。

 

②仮想通貨を使用して買い物をした時

一部の仮想通貨は電子マネーと同じように買い物の決済手段として使用することが可能です。この場合は、仮想通貨を売却して日本円を得て、その日本円を支払いに充てるという考え方になります。そのため、仮想通貨を使用して買い物をした場合で、仮想通貨の価格が購入した時よりも上がっている場合については確定申告が必要になる場合があります。

 

③仮想通貨で他の仮想通貨を購入した時

イーサリアムでビットコインを購入するなど、仮想通貨で他の仮想通貨を購入した時は利益確定のタイミングです。この場合は「②仮想通貨を使用して買い物をした時」と同様の考え方で、法定通貨に換金した後に他の仮想通貨を購入したものとして取り扱われます。

 

④マイニングやステーキング、レンディングにより仮想通貨を取得した時

マイニングやステーキング、レンディングを行うことで、その報酬や利息として仮想通貨を取得することができます。この場合、仮想通貨を取得した時の時価が収入となり、そこから取得に要した費用を差し引いた利益に対して確定申告が必要です。

 

 

利益が20万円を超える場合は確定申告が必要

仮想通貨で得た利益は雑所得という所得区分に該当します。確定申告が必要ない会社員などの給与所得者の場合、雑所得の利益が20万円を超えると確定申告が必要です。

つまり、仮想通貨の売却額から購入した時の価格を差引き、さらに手数料を差し引いた金額が20万円を超えた場合に確定申告が必要になります。利益が20万円以下であれば、所得税の確定申告は必要ありません。ただし、住民税については利益が20万円以下であっても申告が必要になりますので注意しましょう。

 

 

【仮想通貨の税金早見表】仮想通貨で税金はどれくらいかかる?

仮想通貨の税金

年末調整を行っている会社員の方が仮想通貨の利益を申告した場合、どのぐらいの税金が追加で発生するのでしょうか?年収と仮想通貨の利益別で税金早見表を作成しましたので、納税資金の準備の参考にしてください。

※下の画像をクリックすると拡大して見ることができます。

 

仮想通貨税金早見表①

仮想通貨税金早見表②

仮想通貨税金早見表③

 

 

仮想通貨で損失が出た場合は?

仮想通貨の所得区分は「雑所得」になります。雑所得は他の事業所得や不動産所得などとは異なるため、損失が出た場合は次の点に注意が必要です。

仮想通貨の損益通算と損失繰越

 

仮想通貨は損益通算ができない

仮想通貨が区分される雑所得は損益通算が認められておらず、仮想通貨で損失が出ても他の所得と相殺することができません。つまり、仮想通貨取引で発生した損失を給与所得と通算して所得税の還付を受けることはできませんので注意しましょう。

ただし、同じ雑所得に分類される所得との損益通算は可能です。例えば、イーサリアムの取引で損失が出ており、ビットコインの取引で利益が出ている場合は合算して相殺することができます。相殺できるのはあくまでも雑所得(総合課税)になりますので、FX(先物取引に係る雑所得等として分離課税)とは相殺することができません。

 

損失の繰り越しができない

確定申告(青色申告)では事業所得や不動産所得で損失が出た場合は、その損失を3年間繰り越すことができ、利益が出た時にその利益と通算することが可能です。しかし、雑所得には損失を繰り越す制度がないため、仮想通貨で損失が出ても来年に繰り越すことができません。

 

 

仮想通貨の評価方法は2つある

仮想通貨の評価方法

仮想通貨を一度だけ購入し、すべて売却した場合は問題ありませんが、複数回買い増しを行っているケースでは購入した仮想通貨の評価方法について考えなければなりません。仮想通貨の評価方法は「移動平均法」「総平均法」があり、それぞれ計算方法が異なります。

 

移動平均法の特徴

移動平均法は、仮想通貨を買い増しするたびに取得価額の計算を行う方です。具体的な計算方法を見ていきましょう。

 

<具体例>
4/10 〇〇コインを2単位、200万円で購入
6/15 〇〇コインを3単位、450万円で購入
8/19 〇〇コインを2単位、400万円で売却
12/1 〇〇コインを2単位 610万円で購入

 

上記の取引を移動平均法で計算すると次のようになります。

 

1単位当たりの取得価額 (200万円+450万円)÷5単位=130万円
仮想通貨売却による利益 収入400万円-(取得価額130万円×2単位)=140万円

 

移動平均法による計算は仮想通貨を購入する毎に取得価額の計算を行わなければならず、手間がかかってしまいます。しかし、売却する度に利益がいくら出たのか把握することができ、実態と整合性が取れている計算方法です。

 

総平均法の特徴

総平均法は1年間の1単位当たりの平均取得価額を算出する方法です。上記の具体例を総平均法で計算すると次のようになります。

 

1単位当たりの取得価額 (200万円+450万円+610万円)÷7単位=180万円
仮想通貨売却による利益 収入400万円-(取得価額180万円×2単位)=40万円

 

総平均法の利益は40万円となり、移動平均法の利益である140万円と比べて利益が少なくなっていることがわかります。これは時価が上がっている仮想通貨を買い増したために起こった現象です。反対に時価が下がっている仮想通貨を買い増しすると所得が増えてしまいます。

総平均法では、売却後の仮想通貨の相場が取得価額に反映してしまうため、実態とは異なった結果になります。実態に沿った所得を計算するためには移動平均法が適していると言えるでしょう。

 

移動平均法と総平均法の計算については、国税庁に計算シートが用意されていますので、ダウンロードして入力すると簡単に取得価額を求めることができます。

国税庁の計算シート

 

なお、新たに取得した仮想通貨の評価方法を選択するには税務署に届け出が必要です。届出書の提出は確定申告書の提出期限までになっていますので、忘れないように注意しましょう。

届け出をしていない場合は「総平均法を選択した」とみなされることになります。また、一度評価方法の選択を行うと原則的に3年間は継続して同じ評価方法により計算しなければなりませんので、こちらも注意が必要です。

 

まとめ

仮想通貨は人気の投資対象になっていますが、仮想通貨の利益にかかる税金についてはあまり知られていません。「仮想通貨の利益に確定申告が必要なのかどうか」「必要であればどの評価方法を採用するのか」「どれくらいの税額が発生するのか」をきちんと把握し、確定申告に挑みましょう。

寺田税理士・社会保険労務士事務所では、仮想通貨の確定申告のご依頼も承っております。仮想通貨の確定申告でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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