税理士が徹底解説!定額減税と減税しきれなかった人への調整給付の仕組み

2024.05.24

はじめに

2024年6月から実施される定額減税と調整給付の内容を解説

 2024年に施行される新しい税制改革の一環として、所得税30,000円と住民税10,000円の定額減税が導入され、多くの納税者がその恩恵を受けることが期待されています。しかし、すべての納税者がこの減税の恩恵を十分に受けられるわけではありません。特に、減税額が実際に納めている税額を超える場合などです。こうした場合に対応するため、政府は「調整給付」という仕組みを導入し、減税しきれなかった分の差額を給付することを決定しました。本記事では、この調整給付の仕組みと申請手続きについて詳しく解説します。

そもそも定額減税とは?

 定額減税とは、2024年に決定された新しい減税制度で、令和6年分の所得税および住民税に対して減税を実施するものです。この制度は、2024年6月1日以降の給与支払(賞与が先にある場合は賞与)から実施されます。具体的には、所得税30,000円、住民税10,000円の減税が行われ、給与所得者をはじめとする納税者の経済的負担を軽減することを目的としています。
 さらに、定額減税がいくらもらえるかをケース別にわかりやすく説明するため、フローチャートを作成し、紹介します。このフローチャートを参考にして、自分がどれだけの減税を受けられるか確認してみてください。

参考:国税庁 定額減税特設サイトはコチラ↓↓↓

 この定額減税は、納税者本人およびその扶養親族(配偶者を含む)の数に基づいて計算され、総所得額に対する減税額が決定されます。しかし、定額減税の額が実際に納めている税額を上回る場合、減税しきれませんのでその差額は調整給付金として支給されます
以下からは、この調整給付金の解説をします。

定額減税で減税しきれなかった人への調整給付とは?

調整給付で安心!定額減税で減税しきれなかった分は給付金として支給されます

 定額減税の対象の方のうち満額(1人あたり所得税3万、住民税1万)まで減税しきれなかった方にはその分は別途給付(これを調整給付という)されます。調整給付制度は、令和6年度の定額減税によって減税しきれなかった場合に給付金を支給する制度です。対象者は、定額減税しきれないと見込まれる方(定額減税可能額が減税前税額を上回ると見込まれる方)が、調整給付の対象となり、令和6年夏以降に支給開始される予定です。詳しくはお住いの市区町村に問合せください。

 調整給付は、定額減税の対象となるものの、その減税額が実際の納税額を超える場合に支給されるものです。例えば、所得税や住民税の納税額が少なく、定額減税の30,000円(所得税)や10,000円(住民税)を全額控除しきれない場合、その差額が調整給付金として支給されます。

調整給付の支給対象者とは?

 調整給付の対象者は、令和6年度の市民税・県民税の納税者で、定額減税可能額が減税前税額を上回ると見込まれる方です。ただし、以下の条件に該当する場合は対象外となります。

  • 前年の合計所得金額が1,805万円を超える方
  • 前年の合計所得金額が所得割非課税限度額以下の方
  • 所得控除により課税総所得金額等がゼロとなる方
  • 税額控除により定額減税前に所得割額がゼロとなる方

調整給付額と計算方法

 調整給付の給付額は、定額減税しきれなかった額を基に算出されます。具体的な給付額の計算方法については以下の通りです。

調整給付の計算事例:納税義務者本人が妻と子ども2人を扶養している場合

 【 納税者本人の状況 】
▶ 令和6年分推計所得税額(減税前)は73,000円
▶ 令和6年度分市民税・道府県民税所得税額(減税前)は25,000円
▶ 所得税の定額減税可能額:30,000円×(本人+扶養親族数3人)=120,000円
▶ 市民税・道府県民税の定額減税可能額:10,000円×(本人+扶養親族数3人)=40,000円

 ❶所得税分控除不足額
  所得税分定額減税可能額:120,000円-令和6年分推計所得税額(減税前):73,000円=47,000円
 ❷個人住民税分控除不足額
  個人住民税分定額減税可能額:40,000円-令和6年度分個人住民税額(減税前)25,000円=15,000円
 調整給付額
  ❶所得税分控除不足額:47,000円+❷個人住民税分控除不足額:15,000円=62,000円

 → 支給額は70,000万円(1万円単位で切り上げ)となります。

給付の手続き

 給付金の申請および支給は、お住まいの各市区町村が担当します。各市区町村は、給付対象者に対して案内を送付し、申請手続きについての詳細を提供します。通常の場合、以下の手続きが必要です。

  1. 案内の確認: お住いの市区町村から送付される案内を確認し、記載されている申請方法に従って手続きを行うことになります。
  2. オンライン申請: 多くの市区町村では、オンライン申請に対応しています。案内に記載されたQRコードなどを使用して申請サイトにアクセスし、必要な情報を入力するようなシステムを採用する市区町村が多くなりそうです。
  3. 紙による申請: オンライン申請が困難な場合、紙の申請書を使用して郵送で申請を行うことも可能となりそうです。必要な書類を確認し添付が必要な書類があれば添付して返送します。

各市区町村の役割

 調整給付に関する具体的な手続きや給付の方法は、市区町村ごとに異なります。詳細な情報は、お住まいの市区町村のホームページで順次公開されますので、そちらを参照し、不明点があれば市区町村に直接お問い合わせください。給付に関する問い合わせは、お住まいの市区町村が窓口となります。

おわりに

調整給付は定額減税しきれない方への支援

 2024年の税制改正による定額減税は、多くの人々にとって経済的な支援となる重要な措置です。しかし、減税の恩恵を十分に受けられない方々に対しては、調整給付金という補完的な支援が実施されます。この調整給付金を通じて、より多くの人々が公平に経済的な支援を受けられるようになります。手続きに関する詳細な情報は、お住まいの市区町村のホームページや案内書をよく確認し、必要な手続きを忘れずに行ってください。調整給付金が、皆さまの生活に少しでも役立つことを願っています。

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 税理士が解説する2024年の定額減税と調整給付の全貌をお届けします!
2024年に施行される新しい税制改革で、多くの納税者が恩恵を受ける定額減税がスタート。しかし、全ての納税者がこの減税をフルに活用できるわけではありません。そんな時に役立つのが「調整給付」です。
 この記事では、定額減税の基本から、減税しきれなかった場合の調整給付の仕組みまでをわかりやすく解説。さらに、具体的な申請手順や計算方法も詳しく説明しています。
2024年の税制改正で得するための情報を見逃さないように、ぜひご一読ください。
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 2024年10月より児童手当最大3万円へ拡充!所得制限なしへ支給時期は12月から
 政府は少子高齢化対策として、2024年10月から児童手当の制度が拡充します。
これまでの所得制限も撤廃され、第3子以降の子供は2倍となる月3万円の手当が支給されます。
子育て世代にとってより手厚いサポートが実施されることとなりました。
今回の記事ではこの児童手当2024年拡充の概要をまとめました。
 2024年12月からの支給開始に向け、詳細については市区町村窓口や厚生労働省のホームページで随時ご確認ください。
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