【衝撃事例】年収500万円のフリーランスでも税務調査が来る!節税対策で経費を使い過ぎた結末

2024.03.06

「私みたいな小さなビジネスに税務調査が来るわけがない」と安心していませんか?

 フリーランスや個人事業主が直面する一大イベント、それは「税務調査」です。 多くのフリーランスが確定申告をするうえで税務調査のことにも関心があるかと思いますが、「私みたいな小さなビジネスに税務調査が来るわけがない」と安心し他人事だと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし実際には年収が500万円程度のフリーランス(ウェブデザイナー)Aさんでも、節税対策の方法によっては税務調査の対象になり得ます。この記事では、フリーランスが経費を使い過ぎた結果、税務調査を受けることになった事例と、経費の適切な管理方法について解説します。

経費の適切な管理とは?

フリーランスとして活動する上で、経費の適切な扱いは非常に重要です。所得税法第37条には、

「その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。」

と規定されています。つまり、経費は業務に直接必要な費用に限定されるということです。

年収500万円のウェブデザイナーに税務調査が来たケース

 ウェブデザイナーAさんは、デザイン感性を磨くためのフランス旅行、作業効率を上げるための35万円の高性能パソコン、さらには自宅とは別にオフィススペースのための2重家賃、自己の能力を高める高額セミナー代経費として計上しました。これらの経費計上は、節税を目的として行われましたが、税務調査の結果、追徴税を支払うことになりました

デザイン性を磨くためのフランス旅行を経費にしていた

 Aさんは、デザインの感性を磨くためフランス旅行を全額経費として計上していました。Aさんの考えでは、フランスはアートとデザインの中心地として知られており、この旅行から得られるインスピレーションを仕事に活かすことができると考えていました。しかし、税務上の経費として認められるためには、旅行が直接業務に必要であること、業務の収入に寄与することが求められ税務調査官から指摘されました。

画像編集用の高性能パソコン(35万)を経費にしていた

 さらにAさんは、ほかにも経費処理の誤りがあると税務調査官から指摘されました。Aさんはウェブデザインの画像編集のために購入した高性能パソコン(35万円)を消耗品費として一括で経費処理していました。しかし、調査官からは、このパソコンは減価償却資産としての処理が必要であり、数年に渡って減価償却費として按分処理する必要があるとの指摘を受けました。

自宅家賃と別オフィスの家賃を経費にしていた

 またAさんは、自宅とは別にオフィスを構え、その家賃を全額を経費として計上していましたが、同時に自宅の家賃も仕事用として60%を経費処理していました。税務調査官からこの処理も否認され、オフィスとは別に自宅に関する業務の使用比率を明確に証明する必要があると指摘され結果的にせいぜい30%相当が経費ではないかと示唆されました。

高額なセミナー代(50万)を経費にしていた

 さらにはAさんは、自身のスキル向上と事業の成長を目指し、50万円もの高額なセミナーへの参加費を経費として計上していました。このセミナーは、事業の目標の立て方や人脈構築法ついて学ぶためのものであり、Aさんの将来にとっては必要不可欠な投資と思われました。しかし、税務調査官より、このセミナーは直接業務に関連しない自己啓発系のものであると指摘されました。税務署は、セミナーの内容がAさんの日常の業務や直接的な収益向上に直結するものではないと判断されてしまいました。

追徴税の発生

 これらの経費処理の誤りにより、Aさんには追徴税が発生しました。フランス旅行代の否認、高性能パソコンの消耗品費としての一括処理の訂正、オフィスの家賃全額と自宅の家賃60%の経費処理の否認、高額なセミナー代の否認により、課税所得が増加し、その結果、所得税および住民税の追加納税が必要となりました。またこれにより消費税や国民健康保険料も増加してしまいました。

正しい経費処理の重要性

 フリーランスや個人事業主にとって、経費処理の正確性は税務調査を無事に乗り越えるための鍵となります。資産の減価償却や業務用資産の使用比率に関しては、税法に則った適切な処理が求められます。特に、資産の購入やオフィス・自宅の使用に関しては、業務用の使用比率を明確に示すこと、そしてそれを支持する証拠を保持しておくことが非常に重要です。

経費計上のポイント

直接性: 経費は業務遂行に直接必要なものでなければなりません。仕事の成果に直結しない支出は経費として認められません。
収益性: 経費が将来的に収益を増やす可能性があることを示す必要があります。その支出が収益増にどのように貢献するかを証明できるかが鍵です。
客観性: 経費の必要性を客観的な証拠(領収書や契約書など)で裏付けることが求められます。文書化された証拠が税務調査での有力な防御材料となります。

まとめ

あとで痛い目に合わないために正しい経費の理解が必要

 税務調査を受けることなく、また受けた場合でも問題なく対応するためには、経費の適切な管理と正確な申告が必須です。消耗品費としての処理か減価償却か、業務用と私用の区分けや使用比率の証明など、細部にわたって税法に則った対応が必要です。正しい経費処理の理解と適切な記録の保持が、税務調査のリスクを最小限に抑え、効果的な節税対策を実現します。

参考記事『最新!税務調査が多い業種ランキングトップ10!狙われやすい会社と対策は?』

 税務調査の不安を解消!幅広い業種が対象になる最新の税務調査ランキングと、税務調査官が企業を選定する基準を徹底解析。また、様々な対策として、利益の変動が大きい企業の注意点、新型コロナウイルスやリモートワークの影響、IT系企業への対応、税務調査当日にできる良好な関係構築の方法まで、具体的なケーススタディを交えながら解説します。税務調査が入る前に知っておきたいポイントを解説します。詳しくはコチラ↓↓
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参考記事『経営者必見!税務調査を完全攻略する事前準備と対策ガイド』

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参考記事『税務調査の知られざる真実!調査官が雑談をしたがる理由はこれ!』

 税務調査官は、あなたの会社の書類だけを調査しているのではありません。
 実は「あなた自身」を調査しています。さりげない『雑談』の中で、「あなた自身」を調べているのです。
今回はそのことについて記事にしました。
約3分で読める内容です。
 是非、今後の税務調査の対策として参考にしてください。詳しくはコチラ↓↓
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