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事業継承税制のメリットとデメリットを簡単に解説!!

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事業継承税制

【平成30年12月29日更新】

事業継承税制のメリットとデメリット

平成30年に改正された新たな事業継承税制は「事業を後継者に引き継ぐときにかかる贈与税や相続税などの税金を大幅に安くしてもらえる制度」です

事業承継税制とは、ごく簡単にいうと「事業を後継者に引き継ぐときの株式の贈与や相続については、贈与税や相続税を大幅に安くしてもらえる」という仕組みのことをいいます。

事業承継税制は平成30年度の税制改正によって大幅にルールが緩和されましたので、今後この制度を使って事業承継を行うケースは多くなるものと思われます。

この記事では、事業承継税制の改正点についてわかりやすく解説するとともに、利用にあたっての注意点などについて説明させていただきます。

今回は、事業継承税制の改正内容とメリットとデメリットを分かりやすく解説します

事業承継税制の基本的な仕組み

中小企業経営者がオーナーとして所有している株式も、相続や贈与の際には税金の課税対象となるのが原則ですから、この株式の評価額が一定額を超える場合には、贈与税や相続税が課税されてしまうのが本来の原則です。

しかし、贈与税や相続税は現金で期限までに必ず納めなくてはなりませんから、事業承継が行われた直後の時期に大きな金額の支出を新経営者個人が負担することになってしまいます。

また、相続人が複数人いる場合には事業を引き継ぐ相続人に株式をすべて相続させると、別の相続人との不平等が生じるため、株式を相続しない相続人に対して新経営者が金銭を譲渡するという形になる可能性もあります。

このような事業承継にともなう税金の負担を減らし、経営者の代替わりを促進するために政府が用意した仕組みが事業承継税制なのです。

事業承継税制を使うと、この原則の例外として贈与税や相続税の課税を免除してもらうことができるというわけです。

この記事では、事業承継税制の仕組みや利用のメリットデメリット、具体的な手続き方法などについて解説します。

まずは、事業継承税制のメリットについて、今回の改正の内容と手続きの紹介をしながら説明したいと思います。

ここから事業継承税制の改正内容とメリットを分かりやすく解説していきます

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平成30年度改正で事業承継税制の何が変わったのか?

事業承継税制は、平成30年度の税制改正において大きくルールが変更されました。
このルール変更により、従来よりもさらに利用がしやすい制度になったということができるでしょう。

具体的には、事業承継税制は次のような項目で改正が行われました。

①発行株式のすべてが事業承継税制の対象に
②5年以内の雇用維持に関する条件が撤廃
③相続税・贈与税の全額が猶予対象に
④株式を”譲渡する人”と”譲渡される人”の要件緩和
⑤事業譲渡や合併・解散を行った場合の扱い

以下、それぞれの項目について具体的に説明します。

①発行株式のすべてが事業承継税制の対象に

・対象株式数の上限を撤廃し、すべての株式を事業継承税制の適用可能に。
・親族外を含む複数の株主から、代表者である後継者(最大3人)への承継も対象に。中小企業経営の実状に合わせた、多様な事業承継を支援。

従来の事業承継税制では、元経営者から新経営者に対して承継される株式のうち、議決権総数の3分の2以内の部分についてのみ税金の減免が認められていました。

事業承継税制

例えば、会社が300株の株式を発行していて、そのすべてを元経営者から新経営者に対して贈与した場合には、200株の部分までには事業承継税制による税金減免が適用されていましたが、残りの100株については通常通り贈与税が課税されていたのです。

新制度においては、このような株式数についての制限がなくなり、元経営者から新経営者に対して引き継がれるすべての株式について、事業承継税制による贈与税や相続税の減免措置が認められるようになりました。

事業承継にかかわらない相続人の遺留分への配慮がより必要になった

事業承継税制の適用範囲が広がったことは、相続税や贈与税の負担軽減につながると考えられますが、一方で事業を引き継いだ相続人以外の相続人の遺留分を害しないための配慮がより必要になったといえます。

遺留分とは、ごく簡単にいうと亡くなった人とごく近い関係にあった遺族(配偶者や子供、父母など)に認められるもので、「最低限これだけの割合は遺産を相続させてもらえる」という権利のことです。

例えば、亡くなった人(会社の先代経営者)が遺産として残した財産は経営する会社の株式だけであったような場合に、その株式を事業を引き継ぐ新傾斜がすべて相続するとした場合、事業承継税制によって相続税の負担はゼロにしてもらうことが可能です。

一方で、新経営者となる相続人以外の相続人は相続で何も得ることができないことになりますから、「自分には遺留分の権利があるから、最低限これだけの財産を分けてほしい」という主張を、新経営者となる相続人に対して行うことが考えられるのです。

事業承継税制の拡充によって、減免措置の対象となる株式の範囲が広がったことが、遺留分をめぐる相続トラブルの原因とならないように配慮する必要があるでしょう。

②5年以内の雇用維持に関する条件が撤廃

雇用維持要件が撤廃され、5年間の雇用平均が80%未満になっても猶予は継続されます
※ただし5年平均80%を満たせなかった場合は”理由報告”が必要。経営悪化が原因である場合等には、認定支援機関による指導助言が必要

事業承継税制

事業承継税制を適用してもらうためには、会社で雇用している従業員について、従来の雇用の8割以上を5年間にわたって維持し続けることが必要でした。
簡単にいえば、先代経営者が会社で25人の従業員を雇用していたとすると、そのうち80%の20人は新しい体制の下でも雇用し続けなければならないということですね。

しかし今回の改正で5年平均で20人未満となっても猶予が継続されることになりました。

先代からの代替わりにともなって、大規模な人員削減や組織改編を行うケースもあるでしょうから、この点は事業承継税制の利用を促進を妨げていた側面があったといえます。

新制度では、事業承継後に8割以上の雇用を5年間維持することがかなわなかったとしても、一定の必要書類(実績報告書という書類です)を都道府県に対して提出することによって、事業承継税制の適用を受けることが可能になりました。

③相続税・贈与税の全額が猶予対象に

改正前のルールでは、事業承継税制によって減免される税金の割合は、贈与税で100%まで、相続税では80%までとされていました。
つまり、先代経営者から相続した株式に課税される相続税が1000万円だったとすると、事業承継税を利用することによって税額を800万円だけ免除してもらうことができましたが、残りの200万円については負担しなくてはならなかったということですね。

今回の改正によって、このような相続税の税額に関する制限は撤廃され、事業承継税制によって取得した株式に課税される相続税はすべて(100%)税額を免除してもらうことが可能となりました。

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④株式を”譲渡する人”と”譲渡される人”の要件緩和

1人の先代経営者から1人の後継者への贈与のみが対象

事業承継税制

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・贈与者は先代経営者に限定せず、複数でも可能とする。
・複数の後継者(最大三人)を対象とする
・贈与者は先代経営者に限定せず、複数でも可能とする
※代表権を有しているものに限る
※複数人で承継する場合、議決権割合の10%以上を有し、かつ、議決権保有割合上位3位までの同族関係者に限る。

事業承継税制

株式を譲渡する人の要件緩和

上記の図のとおり、従来の事業承継税制では、「1人の先代経営者から、1人の後継者への事業承継」のみが対象とされていました。

しかし、オーナー会社の場合、先代経営者1人だけでなく、その近親者や配偶者などがその会社の株式を所有していることも珍しくありません。

例えば、先代経営者である父親が株式の7割、その妻である母親が3割の株式を持っていたような場合には、先代経営者である父親から贈与される株式については事業承継税制による贈与税減免の対象となりますが、母親から贈与される3割については通常通りに贈与税が課税されていたのです。

新制度においては、このような制限がなくなり、事業承継を目的として株式の贈与を行う場合には、元経営者以外の人からの贈与であっても事業承継税制による税減免の対象となりました。
また、先代経営者と後継者との間に親族関係がなくても、事業承継税制の対象としてもらうことが可能です。

株式を譲渡される人の要件緩和

株式を譲渡される側の人(新経営者となる人)についても要件が緩和されました。

上でも見たように、従来は「1人の先代経営者から、1人の後継者への事業承継」のみが事業承継税制の対象となっていましたから、例えば兄弟が共同経営者として父親から事業を引き継ぐような場合には、事業承継税制によるメリットを生かすことができなかったのです。

新制度の下では、最大で3名の後継者の贈与税や相続税についても、事業承継税制による税軽減を受けることが可能になりました。

新制度下での新経営者の要件

なお、新経営者となる人の要件として、議決権を持つ株式の所有割合が全体の10%以上であり、かつ、議決権保有の割合が上から数えて3位以内までの同族関係者であることが必要です。

例えば、新経営者として長男、次男、三男の3人が事業を引き継ぐという場合に、議決権のある株式の保有割合が長男80%、次男15%、三男5%となっていた場合には、10%を超える議決権を持つ長男と次男のみが事業承継税制の対象となり、三男は通常通りに贈与税や相続税を負担する必要があるのです。

また、新経営者として長男、次男、三男、四男の4人がおり、それぞれ長男40%、次男30%、三男20%、四男10%の議決権を持つ形で相続が行われたとすると、議決権の上位3位に該当する長男、次男、三男のみが事業承継税制による税減免の対象となるため、四男は通常通りに相続税を負担しなくてはなりません。

⑤事業譲渡や合併・解散を行った場合の扱い

事業承継時に事業承継税制によって贈与税や相続税の減免を受けた後、事業の廃業などを行った場合には、事業承継税制による税の減免はさかのぼってなかったことになりますから、改めて贈与税や相続税の負担額を計算しなおさなくてはなりません。
その際、税金の計算は事業承継が行われた際のタイミングでの株式の時価によって計算を行う必要がありました。

通常は事業承継が行われた時点での経済状況より、会社の解散や廃業などを行うタイミングの経済状況の方が悪化しているのが普通でしょうから、廃業にともなってさらに事業承継によって猶予されていた贈与税や相続税の負担が新たに生じる可能性があることは、新経営者候補にとって事業承継を躊躇(ちゅうちょ)させる大きなリスクとなっていました。

新制度においては、事業の廃業や譲渡、合併などを行う際の対価の額をもとに贈与税や相続税の計算を行うことが可能となり、本来の納税猶予額との差額については免除されることとなっています。

経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、事業承継時の価額と差額が生じているときは、売却・廃業時の株価を基に納税額を再計算し、減免可能とすることで将来不安を軽減

例えば、事業承継を行ったタイミングは株価総額が2億円で猶予された税額が1億円だった場合、もし25年後に会社を売却(=譲渡)しその売却価格が1.2億円なら、実際に納付する税金は当初猶予された1億円ではなく実際の売却額に基づいた0.6億円だけで良いということです。

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相続時精算課税制度の適用範囲が拡大

現行制度に加えて、事業承継税制の適用を受ける場合には、60歳以上の贈与者から、20歳以上の後継者への贈与を相続時精算課税制度の対象とする。(贈与者の子や孫でない場合でも適用可能。)

贈与した財産に関する税金計算方法には、大きく分けて暦年課税と相続時精算課税制度の2つの方法があります。

暦年課税は、贈与を行ったその年ごとに贈与税の計算を行う方法で、相続時精算課税制度は贈与を行った時点では贈与税は納めず、将来的に相続が発生したときに、過去の贈与分も相続財産に含めて相続税を計算する方法です。

従来の事業承継税制では、事業承継が行われた後に、猶予されていた税納付が打ち切られる要因が発生した場合(例えば事業承継後に事業を廃業せざるを得ない状況になったなど)に、先代経営者と新経営者の間に親族関係がない場合には、暦年課税の方式によって税金の負担額を計算しなくてはなりませんでした。

新制度においては、このような場合(事業承継税制による税猶予の打ち切りがあった場合)に、一定の条件のもとに相続時精算課税制度の方式で税計算のやり直しを行うことが可能になっています。

このことによって、親族以外の人を新経営者として迎える場合にも、事業承継後に生じる税負担のリスクを軽くすることが可能になったといえるでしょう。

事業承継税制のデメリット

当然まずは事業の継続が大前提

事業承継税制を利用するためには、新経営者による事業の継続が大前提となります。

新経営者は事業承継時に税金の減免を受けたとしても、引き継いだ事業の経営がうまくいかなくなってしまったときには、事業承継時に免除してもらった税金をあらためて負担しなくてはなりません。

ただし、このような場合の税金負担についても、先に解説したとおり、改正後の事業承継税制においては一定の条件のもとに会社の廃業や譲渡の時点での株式時価で税金計算を行うことが可能になりましたから、税負担のリスクは従来よりも少なくなったといえます。

事業承継にくわしい税理士に相談する

また、事業承継税制を利用するためには、特例承継計画という計画書を都道府県に対して提出したり、事業承継後に従来の雇用条件を維持できないケースでは認定支援機関の意見を付記してもらわなければならないなどの条件があります。
こうした複雑な手続きを実際に進めていくためには、多くの場合は顧問税理士などのアドバイスを受けることが必須になりますが、事業承継税制そのものについてくわしい知識を持っている税理士はそれほど多くないのが実際のところです。

事業承継税制を利用するにあたっては、会社の代替わりに関する税実務にくわしく、事業を引き継ぐ新経営者のパートナーとして経営助言を行うことができる顧問税理士を選択することが重要になります。

まとめ

今回は、事業承継税制を利用するメリットやデメリットについて、平成30年度の税改正の内容を含めて解説しました。
新しい事業承継税制はまだ施行されて間もない制度ですから、今後実務における具体的な手続き方法が確立されていくものと思われます。
実際にこの制度の利用を検討している経営者の方は、経営の代替わりに関する実務にくわしい税理士などの専門家にアドバイスを受けることも検討してみてください。

事業承継税制の改正の詳細については、中小企業庁サイトでも確認することができます。
詳しくはコチラ↓↓↓
中小企業庁:平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わります
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/180402shoukeizeisei.htm

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