1問1答式で税務調査で押さえるべきポイントを解説
1 税務調査の基礎知識
2 税務調査官への対応
3 税務調査でよく指摘される項目
について押さえるべきポイントを1問1答式で解説していきたいと思います。
税務調査シリーズ目次
- 【Vol.01】税務調査対策の基本 国税通則法とは?
- 【Vol.02】税務調査の「強制調査」と「任意調査」とは?
- 【Vol.03】税務調査は「事前通知」から始まるって本当?
- 【Vol.04】決定している税務調査の日時は変更できるの?
- 【Vol.05】税務調査の通知を顧問税理士宛にする「税務代理権限証書」とは?
- 【Vol.06】税務調査は「行政指導」か「税務調査」か確認すべき?
- 【Vol.07】税務調査官がチェックしたがる領収書とは?
- 【Vol.08】税務調査ではどこまで書類を見せるべき?
- 【Vol.09】税務調査で疑われない書類作成法は?
- 【Vol.10】税務署員が書類を持ち帰ろうとした場合の対処法は?
- 【Vol.11】税務調査官の役職などで調査対応が変わってくる?
- 【Vol.12】税務調査官に「自宅を見せてほしい」と言われたら?
- 【Vol.13】税務調査で調査官との交渉が進まなくなった時は?
- 【Vol.14】会社の税務調査が社長個人の調査にまで及ぶことはあるの?
- 【Vol.15】税務調査を受ける前に自主的な修正申告を出すメリットは?
- 【Vol.16】税務調査での更正の請求とは?
- 【Vol.17】税務調査での「修正申告」と「更正」の違いは?
- 【Vol.18】税務調査での「反面調査」とは?
- 【Vol.19】「租税回避」や「節税」「脱税」「無申告」の違いとは?
- 【Vol.20】税金のペナルティー「加算税」とは?
- 【Vol.21】「重加算税」が発生する要件と仮装・隠ぺいの関係は?
- 【Vol.22】税務職員が好む「認定賞与」と重加算税の取扱いとは?
- 【Vol.23】「重加算税」を課された場合のデメリットとは?
- 【Vol.24】税務調査がよく確認する売掛金と貸付金のポイントは?
- 【Vol.25】税務調査官がチェックする「貸倒引当金」のポイントは?
- 【Vol.26】税務調査官が必ずチェックする「棚卸資産」とは?
- 【Vol.27】税務調査対策!「棚卸資産」として計上すべきものとは?
- 【Vol.28】税務調査で指摘される「棚卸資産の取得価額」とは?
- 【Vol.29】税務調査の終了から最後までの一連の手続きは?
- 【Vol.30】税務調査での「質問応答記録書」とは?
- 【Vol.31】税務調査での「質問応答記録書」の作成目的・効果とは?
- 【Vol.32】税務調査で「再調査」が行われるケースとは?
税務調査での「質問応答記録書」の作成目的・効果とは?
税務調査では「質問応答記録書」というものが作成されて手渡されると聞きました。「質問応答記録書」には、どのような意味があるのでしょうか?
ごく簡単にいうと、質問応答記録書とは「税務調査がどのような形で行われたか、後からみてもきちんとわかるように記録をとっておくために調査官側が作成する資料」です。税務調査の結果として重加算税が課されてしまうようなケースでは、事実認定の経過を明らかにするためにほとんどのケースで作成されます。
以下では、この「質問応答記録書」の法律上の位置づけや、実務上どのような意味があるのかについて説明させていただきます。
「質問応答記録書」の法律上の位置づけ
「質問応答記録書」を作成することには、法律上は以下のような意味があります。
- 「質問応答記録書」に対する納税者側の回答内容そのものが証拠となる場合
- 直接的に非違を根拠づける証拠はないが、納税者側の「質問応答記録書」への回答が非違立証の重要なファクターとなる場合
調査官側の立場で見れば、言い方は悪いですが納税者側の言質を取るために作成する書類と考えることも可能です。
具体的にどのような場合に「質問応答記録書」が作られるかというと、例えば、会社の役員や外部の外注先に対して、実際には何ら役務の提供を受けていないのに、会社からお金の支払いをしているような場合に、役員報酬や外注費の損金算入を否認するようなケースです。
ある事実(この場合は役務の提供)が「なかった」ということを客観的に証明するのは非常に困難なので、「質問応答記録書」を納税者側に提示して、その事実がなかったことを認めてもらうことで税務調査を前に進めていくということが行われるのです。
「質問応答記録書」への同意は納税者にどんな得があるのか?
納税者側として、そのような事実を認めて何の得があるの?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、税務調査はこのように「交渉」のような形で進む側面が実は少なくありません。
例えば、外部の職人への外注費支払いとして処理している項目について、実質的には従業員と変わりがないので本来は源泉所得税の納付をしないといけなかったとします。このような場合に、税務署側の申し出として、「この源泉所得税については目をつぶるので、役員への報酬支払に関しては会社の経費として認めないことに同意してほしい」といったような形で「質問応答記録書」を作成するということが行われます。
結果として納税者側にとってもメリットがある措置となるケースもあるので、税務調査対策に詳しい税理士などにアドバイスをもらいながら、応じるか応じないかを判断するべき項目といえます。
ただし、「質問応答記録書」への同意を求められた場合にも、納税者側は任意の行政文書であることを理由に署名押印を拒否することは法律上問題ありません。
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