国税庁から平成27年事務年度所得税調査等の状況が発表されましたが、その特徴をまとめてみた。
税務調査の全体の傾向
調査件数は、前年度比12.1%減少の65万件強で、そのうちの非違件数も同様15.1%減少の40万件弱であったものの申告漏れ所得金額や追徴税額は各々1.5%と6.5%増加となりました。
この原因は、高額と思われる事案や悪質と見込まれる事案等を優先的に調査した結果とされています。不動産等の大口所有者や経常的な所得が高額な者などのいわゆる富裕層に対する調査や、海外投資等を行っている富裕層等に集中的な調査が実施されています。
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税務調査の種類
税務調査は次の3つの累計に分類されています。
特別調査、一般調査
これらの調査は、高額や悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を実施するもので、特別調査は多額な脱漏が見込まれる者等を対象に10日以上の日数を確保して実施されています。
着眼調査
資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れが見込まれる事案を対象に実施臨場により短期間で行うものとされています。
簡易な接触
原則実施臨場は行わず、文書や電話連絡または来所依頼による面接を通して申告内容を是正するものとされています。
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調査1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種
ちなみに、1件あたりの申告漏れ所得金額の高額ベスト10は、
1位「キャバレー」、2位「風俗」、3位「畜産農業」という順位以下の表のとおりとなっています。
(単位:万円)
順位 | 業種目 | 1件当たりの 申告漏れ所得金額 |
1件当たりの 追徴税額(含加算税) |
直近の年分に係る 申告漏れ割合 |
---|---|---|---|---|
1位 | キャバレー | 2,628 | 700 | 89.1 |
2位 | 風俗業 | 2,326 | 646 | 92.4 |
3位 | 畜産農業(肉用牛) | 1,471 | 271 | 94.3 |
4位 | ダンプ運送 | 1,144 | 182 | 59.0 |
5位 | 特定貨物自動車運送 | 1,118 | 146 | 55.5 |
6位 | 解体工事 | 1,006 | 178 | 52.1 |
7位 | 型枠工事 | 983 | 157 | 51.0 |
8位 | バー | 970 | 143 | 67.8 |
9位 | 鉄骨鉄筋工事 | 970 | 144 | 54.2 |
10位 | タイル工事 | 966 | 136 | 48.8 |
主な税務調査の事例
- 海外未公開株式の譲渡所得の申告漏れ
- 消費税課税事業者とならないように意図的に収入金額を過少申告
- 金地金等の譲渡所得の無申告
- 実態の取引金額と異なる契約を作成
等々。
法人税の実地調査について
なお参考までに、ほぼ同時に発表された法人税の実施調査割合という考え方をすれば、実調率は3.1%となり、前年度比1.6%減となっています。
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