事業継承、M&A対策|寺田税理士・社会保険労務士事務所
事業継承対策 その1
オーナー企業や後継予定者の課題や悩み
・自社株式の評価額や相続税額を事前に計算しておきたい・・・。
・既に自社株式の評価が高く、後継者へ引き継ぐための資金(相続税・贈与税)が心配・・・。
・後継者が会社の経営をできるか心配、経営力をつけてもらいたい・・・。
・息子に会社を継がせたいが、自社株について遺言書を作っておいた方がいいか教えてほしい・・・。
・今の社長に何かあった時の相続税の計算をしたいが、財産額が分からない・・・。
・株主が多数おり株が分散しており、買い戻して集約したい・・・。
・先妻の子がいる。後妻の子がいる。自社株式について遺産相続争いが生じそう・・・。
オーナー企業の経営者や後継予定者にとって、事業承継は重要な経営課題の一つです。帝国データバンク「2017年全国社長分析」によると、旧社長(前経営者)の平均年齢は67歳、新代表(後継者)の平均年齢は51歳だった。社長の平均年齢は一貫して上昇し続けており、2016年1月時点では過去最高の59.3歳となっている。いっぽうで、経営者の交代率はいくらか上昇したものの、いまだ4%未満ととても低い水準で推移しており、このままのペースでは経営者の超高齢化がさらに進んで、多くの企業が存続の危機にさらされると言われている。
寺田税理士・社会保険労務士事務所では、経営者、後継予定者と徹底したヒアリングを通じて会社の理念から将来のビジョンや目標を共有し、事業承継に最適な解決策(ソリューション)を提案します。
事業継承対策 その2
計画的な事業継承の必要性
日本の中小企業経営者の高齢化が進んでいます。その結果、後継者の確保がますます困難になってきています。また社会変化のスピードが今まで以上に早くなってきており、自分の事業を後継者に引き継ぐべきか決断に悩む経営者もいます。いっぽうで事前に十分な事業承継対策をしていなかったために、その後の相続問題で会社の業績が悪化してしまったケースも存在します。中小企業経営者にとって、事業承継は非常に重要な経営課題です。したがってこれらの課題を克服し、無事に後継者に事業をバトンタッチするには事前の準備対策が必要です。
事業継承対策をして得られること | 事業継承対策をしないと起こること |
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取引先から信頼される | 取引先が経営継続を不安視 |
事業が発展する | 事業が不安定になる |
社員が前向きに仕事する、若手を確保できる | 社員が不安になり離職する、若手が採用できない |
家族関係は円満 | お家騒動(相続問題)が起こる |
経営が円滑に継承できる | 株式が分散する、経営権が第3者のものになる |
事業継承対策 その3
3.継承するものは経営権やオカネだけではない
事業承継は経営権や相続税(オカネ)と見られがちですが、それらは事業承継対策の一部に過ぎません。事業承継とは、”現経営者から後継者へ事業のバトンタッチ”を行うことですが、企業がこれまで培ってきたさまざまな財産(人・物・金・知的資産)を上手に引き継ぐことが、承継後の経営を安定させるために重要です。
事業継承対策 その4
4.事業継承の前に取り掛かるべき5つのステップ
- 会社の現状把握
- ・事業の現状と将来の見込み
・キャッシュフロー(資金状態)の調査
・知的財産の抽出 - 株主・親族関係の把握
- ・株主構成の確認
・各株主の親族関係の確認 - 個人財産の把握
- ・保有自社株式の現状
・個人名義の土地、建物の現状
・個人の負債、個人保証の現状 - 事業継承後継者の確定
- ・親族内に後継者候補がいるか
・社内に後継者候補がいるか
・後継者候補の能力・適正は? - 事業継承計画の作成
- 中長期の経営計画に、事業継承の時期、具体的な対策を盛り込んだ「事業継承計画表」の作成
・法定相続人及び相互の人間関係、株式保有状況の確認
・相続財産の特定・相続税額の試算・納税方法の検討
【中小企業事業承継ハンドブック 29問29答 平成23年度税制改正対応版はこちら】
事業継承対策 その5
5.後継者選びのポイント
後継者を決める際には、経営者として資質のある人を後継者に選ぶことが重要です。業務多忙な企業が、他の経営課題に優先して、将来の世代交代を見据えた事業承継の準備に取り組むことは、容易ではないでしょう。事業承継の準備の大部分は、経営者自身が取り組まねばならないことであり、特に、中小企業・小規模事業者に多いオーナー経営者の負担は、非常に大きいと考えられます。
しかし、準備の不足するままに、突然の事業承継を迎えれば、新たな経営者が多難な事業運営を迫られることはもちろん、廃業に追い込まれることもあり得ます。経営者は、事業承継の準備を先送りせずに、社内外の関係者や専門家、公的機関等の助力も得ながら、取り組んでいくことが求められます。
では、中小企業・小規模事業者のみなさまは後継者選びについて、どのような課題をお持ちなのでしょうか。ここでは、「2013年版 中小企業白書」のデータから、後継者選びに重要なポイントを見ていきます。
後継者候補は、親族に限らず、従業員や第三者など広く検討
中規模企業と小規模事業者ごとに、後継者決定の際に重視するポイントを見ると、小規模事業者では、「親族であること」が高いのに対し、中規模企業では「リーダーシップが優れていること」が高くなっています。
信頼できる親族に事業を託すという事業承継に加え、従業員や第三者といった親族外の優れた人物に事業承継をするのも、一つの選択肢と言えるでしょう。
後継者に必要な能力は、実務に加え、会社全体を統率する経営能力も
中規模企業と小規模事業者ごとに、後継者に不足している能力等を見ると、「財務・会計の知識」、「自社の事業・業界への精通」の回答割合がいずれも高くなっています。これらの知識・能力は、経営者にとって必須となるため、後継者選び・育成には欠かせないポイントと言えるでしょう。
また、小規模事業者では、経営者自身の実務能力が期待されているのに対し、中規模企業では、役員・従業員を統率して経営を方向付ける能力が、より重視されていることが分かります。規模によって、適切な後継者の特性もやや異なる点を考慮することも大切なポイントと言えるでしょう。
税理士やコンサルタントなど、プロの力を活用してスムーズな事業承継を
事業承継に関する知識を備えるために、経営者が何らかの手段を活用したことがあるかを見ると、中規模企業の約3分の2、小規模事業者の5割強で、活用した手段があることが見て取れます。
具体的な手段としては、「顧問税理士等への照会」を挙げる企業が最も多く、「本・書籍」が続きます。
さらに、中規模企業では、小規模事業者よりも、「経営コンサルタント・金融機関のセミナー」と回答する割合が高くなっています。規模による差はありますが、経営者が積極的に、事業承継に関する知識の習得に努めていくことが、後継者選びにとって大切なポイントといえるでしょう。
社内外の関係者に理解を得ることで、後継者へのバトンタッチも円滑に
円滑な事業承継のためには、社内外の関係者から事業承継に対する理解を得ることも重要です。周囲に認められないまま、後継者に事業を引き継げば、後継者の経営主導に支障を来すことにもなりかねません。
社内外の関係者から承継への理解を得るために効果的な取組を見ると、小規模事業者では、「後継者が自社で活躍すること」が、中規模企業では、「後継者を支える組織体制を構築すること」が、最も高い割合になっています。
事業規模が大きくなるほど、経営者が独力で企業を運営することは難しくなるため、特に、中規模企業においては、後継者を支える経営幹部の養成や組織体制づくりによって、社内外の関係者から承継への理解を得ていくことが重要なポイントといえるでしょう。
各承継方法のメリット・デメリット
後継者選びにあたっては、関係者との意思疎通を図ることや、各承継方法のメリット・デメリットを把握することが重要です。誰に会社(経営)を承継させるかで、以下のようなメリット・デメリットがあります。
1 親族内継承
・内外の関係者から心情的に受け入れられやすい
・後継者を早期に決定し、長期の準備期間を確保できる
・他の方法と比べて、所有と経営の分離を回避できる可能性が高い
・親族内に、経営能力と意欲がある者がいるとは限らない
・相続人が複数居る場合、後継者の決定・経営権の集中が困難
2 親族外承継(従業員等)
・親族内に後継者として適任者がいない場合でも、候補者を確保しやすい
・親族内承継と比べて、関係者から心情的に受け入れられにくい場合がある
・後継者候補に株式取得等の資金力がない場合が多い
・個人債務保証の引き継ぎ等の問題
3 親族外承継(第三者)
・身近に後継者として適任者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができる
・現オーナー経営者が会社売却の利益を獲得できる
・希望の条件(従業員の雇用、価格等)を満たす買い手を見つけるのが困難
事業継承対策 その6
6.計画的な事業承継の重要性
事業承継を円滑に進めるためには計画的に準備をすることが重要です。現状把握をしっかり行い、具体的な対策を実行しながら、後継者へのスムーズな承継を目指しましょう。
計画表の作成
現状の把握、及び将来の見通しをもとに、事業承継の計画を立ててみましょう。中長期の経営計画に事業承継の時期、具体的な対策を盛り込むことが大切です。
事業承継計画表
事業承継の計画に当っては、自社の状況にあてはめて具体的に作成することが大切です。ここでは、事業承継計画表の一般的な必要事項や年表の作り方をご紹介します。
親族内承継を例に、作成してみましょう
まずは、下記を参考にして、親族内承継を例に、自社の状況やご親族の状況を踏まえて、現状を整理してみましょう。
親族内承継の年表作成方法
現状の整理と、引き継ぐものの整理ができたら、実際に年表として計画表を作成してみましょう。会社の中長期計画にもかかわりますので、できるだけ具体的に作成してみましょう。
事業継承対策 その7
7.具体的対策の実行
親族内承継の場合
- 関係者の理解
- ① 事業承継計画の公表
② 社内への下請法遵守の周知徹底 - 後継者教育
- ① 社内での教育
② 社外教育・セミナー - 株式・財産の分配
- ① 株式保有状況の把握
② 財産分配方針の決定
③ 生前贈与の検討
④ 遺言の活用
⑤ 会社法の活用
⑥ その他手法の検討
従業員等への承継(外部から雇い入れ)
- 関係者の理解
- ① 事業承継計画の公表
② 現経営者の親族の理解
③ 経営体制の整備 - 後継者教育
- ① 社内での教育
② 社外教育・セミナー - 株式・財産の分配
- ① 後継者への経営権集中
② 種類株式の活用
③ MBOの検討 - 個人保証・担保の処理
M&A
- M&Aに対する理解
- 仲介機関への相談
- 会社売却価格の算定と会社の実力の磨き上げ
- M&Aの実行
- ポストM&A
当事務所においては、事業承継計画を策定して経営者の方の事業承継に対する意思を具体化したのち、後継者の選定・育成についてアドバイスを行います。また、事業承継の計画過程においては、自社株の移転スキームの検討及び株価評価の実施、種類株式・属人的株式を活用した財産権と経営権を分断した承継対策の実施などにより、円滑な事業の承継をサポートします。