役員報酬変更の基本:定期同額給与の議事録の記載例とひな形の無料ダウンロード

2024.05.06

役員報酬変更ガイド:役員報酬(定期同額給与)の変更のための議事録を紹介

 役員報酬はいつでも変えれると思ったら大間違いです。法人税法上、役員報酬のことを「定期同額給与」といいますが、毎月の役員報酬を変更するとき、ちょっとしたミスが税務調査で役員報酬が経費と認められないという大問題に発展しかねません。法人税法で定められたルールについて、しっかりと理解し、正確に実行することで、このような問題を避けることができます。
 役員報酬の変更には適切なステップを踏むことが必要です。重要なのは、役員報酬の変更を正式に記録する議事録の作成です。この記事で安心して役員報酬を変更するためのポイントをしっかり押さえてください。今回は、法人税法における「定期同額給与」とは何か、そして変更時に必要な3つの重要ステップをわかりやすく解説します

1.役員報酬(定期同額給与)の変更で必要な議事録の雛形(ひな形・雛型)とは?

役員報酬変更で必須の条件: 議事録の作成と保管の重要性

 具体的には以下の3つがポイントとなります
1.国税庁で定めている要件をクリアし、役員報酬(定期同額給与)の変更を行うこと
2.株主総会などを開催し、正しい手順で変更額を設定すること
3.株主総会などにおける役員報酬(定期同額給与)変更の議事内容を「議事録」として作成し保管すること。
 この3つのポイントを押さえておかないと、税務調査が入ったときに役員報酬が経費として認められない場合がありますの注意を怠らないようにしましょう。
また加えて4つ目のポイントとして、役員報酬の変更額が大きい場合は、社会保険料の変更に関する手続をすることも忘れてはならない手続きです。

 そして、今回は上記のうち3つ目のポイントである役員報酬(定期同額給与)変更で必要な「議事録」に内容を絞り、役員報酬変更に必要な「議事録」の雛形(ひな形・雛型)を紹介し解説したいと思います。またこの雛形(ひな形・雛型)については無料フォーマット(WORD形式)をダウンロードできるようにしました。
 ぜひ、ご活用ください。

役員報酬変更の全てのポイントを確認したい方は記事の最後にリンクを用意

 なお今回のテーマのほか「役員報酬の変更」に関して全てのポイントを確認したいという方は、この記事の最後にリンクを用意していますのでそちらで確認してください。

2.そもそも「議事録」とは?

基本を知る: 議事録とは何か?その役割と法的重要性

 「議事録」とはそもそも「会議や打ち合わせの内容、経過や結論などを記録し、それを伝えるための文書」です。
会社法361条では「取締役の報酬等については定款に定めていないときは、株主総会の決議による」と規定し、取締役の報酬等を定款又は株主総会の決議で決定することを求めています。これは、経営任務を任された取締役が会社の所有者である株主の知らないところで勝手に役員報酬を決定できてしまうことを防止するためです。また実際にはこの権限を定款に定めているケースはほとんどなく、ほとんどが株主総会の決議によっています。
 では以下に、役員報酬(定期同額給与)変更時に必要となる議事録の雛形(ひな形・雛型)を紹介し解説します。

3.役員報酬(定期同額給与)変更で必要な「議事録」とは?

タイミングがカギ: 役員報酬変更と議事録の作成時期

 役員報酬(定期同額給与)の変更は、原則として、事業年度開始日から3か月以内までにする必要があります。たとえば、事業開始が4月1日の会社の場合、3か月経過の6月30日までに役員報酬の変更をしなければなりません。役員報酬の変更は前述のとおり株主総会の決議が必要のため、株主総会ももちろんそれまでに開催する必要があります。したがって必然的にその内容を記す「議事録」の日付も株主総会の日となります。ちなみに、この場合7月以降に役員報酬(定期同額給与)を変更した場合は会社の経費(損金)として認められません。たとえばもし10月などに役員報酬(定期同額給与)を減額すると、減額後の金額と減額前の金額との差額部分は損金として認められず、そこに法人税が課せられます。
 そしてもう一点注意すべき点は、役員個人の収入はあくまで実際に受け取った役員報酬の額で計算されるため、役員個人は受け取った全額に個人所得税が課税されてしまうのです。
 要するに、会社経費として認められなかった差額部分には法人税も個人所得税もかかってしまうということです。

役員報酬(定期同額給与)変更の「議事録」の記載例

 以下が株主総会における役員報酬(定期同額給与)変更の「議事録」です。

役員報酬(定期同額給与)変更の「議事録」の記載例

役員報酬変更の議事録記載例と保管の重要性

 ・発行済株式総数は会社の定款に合わせます(通常は、発行済株式総数と議決権の数、議決権の個数は同じです)。
・株主総会の開催における、議長を記載します。
・今回変更を決定した役員報酬(定期同額給与)の金額を記載し、株主総会の出席者が署名・捺印します(代表者の押印部分は会社の印鑑、その他の出席者は個人の認印でかまいません)。
ちなみにこの役員報酬変更については、税務署への届出は特に不要です。後日、税務調査で調査官から閲覧を求められたときには必要となりますのでしっかり作成し会社に保管しておきましょう。

役員報酬(定期同額給与)変更の「議事録」ダウンロード

 役員報酬(定期同額給与)変更時の議事録はこちらからダウンロードしてください。
(ひな形)株主総会議事録(事前確定届出給与)

まとめ

役員報酬変更ガイド:まとめ

 役員報酬(定期同額給与)の変更については、必ず「議事録」を作成し会社で保管しましょう。
 最後にもう一度おさらいのためにまとめました。
役員報酬(定期同額給与)の変更以下の3つがポイントとなります。
1.国税庁で定められている要件をクリアして役員報酬(定期同額給与)の変更を行うこと
2.株主総会などを開催し正しい手順で変更額を設定すること
3.株主総会などにおける役員報酬(定期同額給与)変更の議事内容を「議事録」として作成し保管すること
 この3つのポイントは必ず押さえておきましょう。
今回は3つめのポイント「議事録」に焦点を絞って解説しました。役員報酬(定期同額給与)を変更したときは、必ず今回解説した「議事録」を作成保管し、いつでも提出出来るようにしましょう。そうしておけば「役員報酬を経費として認めない」と税務署から指摘されることはありません。また更に4つ目のポイントとして
・変更額が大きい場合は、社会保険料の変更に関する手続をすることも忘れてはならない手続きです。
漏れないようにしましょう。

役員報酬に関するすべてのことを知りたい方へ

 役員報酬に関するすべてのポイントを確認したい方はこちらの記事に分かりやすくまとめていますのでチェックしてください。

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