【社労士が解説】会社が自力でできる労務トラブル予防策|解決事例7選|税理士・社労士が徹底ガイド

公開日: 2025.07.12

最終更新日: 2026.01.12

会社の成長を支えるのは「人」です。しかし、その「人」に関する問題は、時に経営の根幹を揺るがしかねません。

「また従業員が辞めてしまった…」

残業代の計算、本当にこれで合っているだろうか?」

「最近、職場の雰囲気が悪い気がする…」

経営者や人事担当者のみなさま、こうした悩みを抱えながらも、日々の業務に追われ、根本的な対策を後回しにしていませんか?

本記事では、社会保険労務士(社労士)が実際に解決してきた豊富な事例を基に、企業が直面しがちな労務トラブルの具体的な解決策と、問題が起こる前に自社で実践できる「予防策」を徹底解説します。

どこまで自社で対応でき、どこから専門家の力が必要なのか、その境界線を明確にすることで、あなたの会社をより強く、しなやかな組織へと導く羅針盤となることを目指します。

目次

なぜ今、社労士が「経営のパートナー」なのか?

社労士が経営のパートナーである理由

かつて社労士は、社会保険の手続きや給与計算を代行する「事務の専門家」というイメージが強かったかもしれません。

しかし、働き方の多様化や労働者の権利意識の高まりを受け、現代の社労士の役割は大きく変化しています

社労士の業務は「予防」へシフト

現在、社労士の業務は、手続き代行(1号業務)や帳簿作成(2号業務)といった独占業務に加え、人事労務管理に関するコンサルティング(3号業務)の重要性が飛躍的に高まっています。

トラブルが起きてから対応する「治療」ではなく、トラブルが起きない仕組みを作る「予防」こそが、社労士の真価であり、企業の持続的成長に不可欠な要素となっているのです。

社労士が企業の「健康診断」でチェックする主な項目

社労士が企業の「労務に関する会社健康診断」でチェックする主な項目は、多くの中小企業が抱える悩みと共通しています。

診断項目 チェック内容
労働時間と賃金 長時間労働、未払い残業代などの問題がないか
職場の規律と安全 就業規則、ハラスメント対策などが確保されているか
人事制度 評価制度、育成などの設計と効果的な運用がされているか
紛争解決 労使トラブル、解雇問題などへの対策とリスク管理
公的制度活用 助成金・奨励金の受給などが活用されているか

次からは、これらの具体的な問題に対し、社労士がどのように介入し、解決に導くのかを、詳細なケーススタディで見ていきましょう。

労務トラブルの自己診断チェックリスト

本格的な事例解説の前に、貴社の労務管理の現状を自己診断してみましょう。以下の項目に一つでも当てはまる場合、早めの対策が必要です。

No. チェック項目 該当
1 従業員の残業時間が月45時間を超えることが多い
2 固定残業代の運用が曖昧で、契約書に明記されていない
3 ハラスメント相談窓口が設置されていない
4 問題社員への指導記録を残していない
5 就業規則がインターネットのテンプレートのまま
6 人事評価制度が曖昧で、従業員から不満が出ている
7 助成金を一度も申請したことがない
8 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿が整備されていない
9 若手社員の離職率が高い
10 法改正の情報が追いつかず、対応が後手に回っている

診断結果:

  • 5個以上該当: 重大な労務リスクを抱えています。早急に社労士への相談をお勧めします
  • 3〜4個該当: 潜在的なリスクがあります。予防的な対策を検討しましょう
  • 1〜2個該当: 特定の課題についてスポット相談を活用できます

自社でできる解決法+社労士はこう解決する!リアル事例7選

労務トラブル解決事例

ケース1. 「仕方ない」では済まされない!慢性的な長時間労働

トラブルの概要

ある建設会社では、工期の遅れを取り戻すため、連日深夜までの残業が常態化。経営陣も黙認していましたが、ついに従業員の一人が過労が原因とみられる心筋梗塞で急逝してしまいました。

問題点:

  • 月80時間を超える残業が常態化
  • 36協定の上限を超えている
  • 管理職が労働時間を把握していない
  • 業務効率化の検討がなされていない

■ 社労士の解決策

問題の本質が非効率な業務構造にあると見抜いた社労士は、業務プロセスの見直しを提案。

  • 基幹システムを刷新して生産計画を自動化
  • 繁忙期と閑散期で労働時間を調整できる「変形労働時間制」を導入
  • 残業を承認制にし、上限時間を設ける
  • 管理職の意識改革を促す研修を実施

改善後の成果:

  • 平均残業時間が月80時間→30時間に削減
  • 従業員の健康状態が改善
  • 生産性が向上し、業績も改善

□ 自社でできる: 労働時間の正しい管理

  • 「労働時間」を正しく理解する: 朝礼や着替え、指示待ち時間も労働時間に含まれることを認識しましょう
  • 客観的に記録する: タイムカードやPCログなど、自己申告以外の客観的な方法で始業・終業時刻を記録します
  • 1分単位で計算する: 「15分未満切り捨て」は違法です。労働時間は1分単位で計算するのが原則です
  • 割増賃金のルールを確認する: 時間外(25%~)、休日(35%~)、深夜(25%~)の割増率、特に月60時間超の時間外労働(50%~)が正しく計算されているか確認しましょう

▲ 危険の信号: 社労士への相談を検討すべき時

  • 日常的に月45時間を超える残業が発生している
  • 自己申告による労働時間であり実態との乖離がある
  • 休日出勤を黙認している
  • 従業員から健康問題の訴えがあった
  • 労働基準監督署から調査の通知や是正勧告を受けた

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制わかりやすい解説(PDF版)

参考:厚生労働省(徳島労働局)「変形労働時間制

ケース2. 「固定残業代」の有効要件は意外に厳しい…高額な未払賃金請求リスク

トラブルの概要

あるIT企業では「給与には残業代が含まれている」というあいまいな認識で固定残業代を運用。しかし、契約書にはそのような名目はなく、何時間分でいくらなのか明記もしていませんでした。

退職した従業員から「未払い残業代300万円を支払え」という内容証明郵便が届き、社長は青ざめました。

問題点:

  • 「基本給」と「固定残業手当」が区別されていない
  • 固定残業代が何時間分か明記されていない
  • 雇用契約書に記載がない
  • 実際の残業時間が固定残業代の想定時間を超えている

■ 社労士の解決策

  • 通常の賃金部分と固定残業手当部分を明確に区別する
  • 固定残業手当が何時間分かを明示し雇用契約書で労働者と個別に締結
  • 固定残業代の金額がしっかり法定の割増賃金を上回る制度へ再設計
  • 超過分の残業代を別途支払う仕組みを構築

改善後の成果:

  • 未払い残業代リスクを完全に解消
  • 従業員との信頼関係が回復
  • 労基署からの是正勧告を回避

□ 自社でできる: 固定残業代の有効要件セルフチェック

  • 「基本給」と「固定残業手当」が明確に分かれていますか?
  • 就業規則でルールを定めていますか?
  • 何時間分か明記されていますか?
  • 雇用契約書に明記し労働者と個別に合意していますか?
  • 法定計算額を下回っていませんか?
  • 超過した分の残業代は別途支払われていますか?

▲ 危険の信号: 社労士への相談を検討すべき時

  • チェックで一つでも「いいえ」があった(その時点で固定残業代の効力は失われています)
  • 従業員が固定残業代に不満を示している
  • 既に退職者から未払い請求通知が届いた

参考:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします

ケース3. 「無意識で悪気のないハラスメント」が、組織を蝕む

トラブルの概要

ある製造業では、ベテラン社員が若手に対して「これだからゆとり世代は」「使えないな」といった発言を繰り返していました。本人に悪気はなく、「昔からこういう職場だった」という認識でしたが、若手社員が次々と退職。

ついに1人の若手社員が「パワハラで精神疾患になった」として労災申請し、会社への損害賠償請求を検討していることが判明しました。

問題点:

  • ハラスメント防止規程がない
  • 相談窓口が設置されていない
  • 管理職がハラスメントの定義を理解していない
  • 「昔からこうだった」という風土が残っている

■ 社労士の解決策

  • 就業規則にハラスメント禁止行為と懲戒処分を明記する
  • 相談窓口の設置とプライバシー配慮ルールを定める
  • 全社的な研修・管理職向けの研修を実施する
  • ハラスメント防止のポスターやマニュアルを配布

改善後の成果:

  • ハラスメント相談窓口に年間10件の相談があり、早期解決
  • 若手社員の離職率が半減
  • 職場の雰囲気が改善

□ 自社でできる: ハラスメント防止の対策

  • 就業規則にハラスメント禁止事項を明記
  • 相談窓口を設置し周知する
  • 定期的な研修を実施する
  • ハラスメントの定義を全従業員に周知

▲ 危険の信号: 社労士への相談を検討すべき時

  • 退職者や休職者が発生している
  • 加害者が役員である(自力解決が困難)
  • 既に金銭的要求が発生
  • 社内での解決が困難な対立が発生している

ケース4. 「不当解雇だ!」元社員からの突然の要求

トラブルの概要

ある小売業では、遅刻や無断欠勤を繰り返す従業員を「もう我慢できない」として即日解雇しました。しかし、後日その従業員から「不当解雇だ。慰謝料500万円を支払え」という内容証明郵便が届きました。

問題点:

  • 事前の警告や指導記録がない
  • 解雇予告手当を支払っていない
  • 解雇理由が明確でない
  • 就業規則に解雇事由が明記されていない

■ 社労士の解決策

  • 特定社労士が「あっせん」手続きを活用し、解決金で合意退職に導く
  • 今後の解雇トラブルを防ぐため、就業規則に解雇事由を明記
  • 指導記録の書式を整備し、問題社員への対応を標準化

改善後の成果:

  • 訴訟を回避し、解決金100万円で合意
  • 問題社員への対応マニュアルを整備
  • 以降、同様のトラブルが発生していない

□ 自社でできる: 解雇トラブルの「予防対策」

  • 問題社員への指導・教育の記録・始末書を常に残す(始末書サンプル:WORD版ダウンロード
  • 退職勧奨は慎重に、強要しない
  • 解雇する場合は30日前に予告するか、予告手当を支払う
  • 就業規則に解雇事由を明記する

参考:特定社労士とは?「紛争解決手続代理業務」

▲ 危険の信号: 社労士への相談を検討すべき時

  • 解雇しようと考えている社員がいる
  • すでに退職に不満を持っている元社員がいる
  • 労働局、弁護士、組合、ユニオンなどから連絡が入った

ケース5. インターネットでダウンロードした「名ばかり就業規則」の悲劇

トラブルの概要

ある飲食チェーンでは、インターネットで無料ダウンロードした就業規則をそのまま使用していました。しかし、労基署の調査で「育児介護休業法に対応していない」「ハラスメント防止規程がない」など、複数の法令違反が指摘され、是正勧告を受けました。

問題点:

  • 最新の法改正に対応していない
  • 自社の実態と合っていない
  • 従業員への周知がされていない
  • 労基署への届出がされていない

■ 社労士の解決策

  • 自社の実態に即した法改正対応のカスタム就業規則を構築する
  • 正社員・パート・嘱託社員など雇用形態ごとの規程を整備
  • 助成金の活用も視野に入れた規則を定める
  • 従業員への説明会を実施し、理解を促進

改善後の成果:

  • 法令遵守を徹底し、是正勧告を解除
  • 就業規則を活用した助成金を受給
  • 従業員が会社のルールを理解し、トラブルが減少

□ 自社でできる: 正しい就業規則の作成

  • 厚生労働省の「モデル就業規則」をベースにカスタマイズする
  • 必要記載事項を理解し反映する
  • 労基署への届出と従業員への周知を徹底
  • 法改正があるたびに見直す

参考:厚生労働省「モデル就業規則

▲ 危険の信号: 社労士への相談を検討すべき時

  • 10人以上いるが就業規則がない(従業員を常時10人以上雇用している事業場では、就業規則の作成と労働基準監督署への届け出が義務付けられています)
  • 就業規則を5年以上見直していない
  • 不利益変更を行いたい

参考:厚生労働省「就業規則作成・届出に関するFAQ

ケース6. 「人事評価制度がない…」不公平な評価が、若手の離職を招く

トラブルの概要

ある製造業では、明確な人事評価制度がなく、昇給や賞与は「社長の気分次第」という状態でした。若手社員から「何を頑張れば評価されるのか分からない」という不満が噴出し、優秀な人材が次々と退職していきました。

問題点:

  • 評価基準が曖昧
  • 昇給・昇格のルールが不明確
  • フィードバックがない
  • キャリアパスが見えない

■ 社労士の解決策

  • 自社が必要とする人材の明確化
  • 自社に合った等級制度と評価基準の設計
  • 賃金制度の構築
  • 評価者に対する研修と育成方針の明確化
  • 1on1面談の仕組み化

改善後の成果:

  • 若手社員の離職率が半減
  • 従業員満足度が向上
  • 評価への納得感が高まり、モチベーションが向上

□ 自社でできる: シンプル人事評価の原則

  • 必要な人材を明確化する
  • 育成方針を設定する
  • 評価軸は「成果・能力・行動」の3つとする
  • ほったらかしにせず定期的な面談の機会を設ける

▲ 危険の信号: 社労士への相談を検討すべき時

  • 降格や賃下げのための手段として制度設計している
  • 作成したものの形骸化している
  • 従業員から評価への不満が噴出している

参考:厚生労働省「職業能力評価基準導入 マニュアル

ケース7. 知らなかったでは済まされない「隠れ財源=助成金」の活用

トラブルの概要

ある建設業では、「助成金は手続きが面倒で、うちには関係ない」と考え、一度も申請したことがありませんでした。しかし、社労士に相談したところ、過去3年間で受給できたはずの助成金が総額800万円以上あったことが判明し、社長は愕然としました。

問題点:

  • 助成金制度を知らない
  • 申請要件が複雑で諦めている
  • 就業規則が整備されていない(多くの助成金の受給要件)
  • 労働保険料を滞納している

■ 社労士の解決策

  • 助成金を受給するための就業規則の整備と申請
  • 雇い入れ・設備投資・定年引上げ等のタイミングで助成金を受給
  • 助成金診断で、受給可能な制度を洗い出し
  • 申請書類の作成・提出代行

改善後の成果:

  • 5件の助成金で総額1,000万円超を受給
  • 資金繰りが改善し、設備投資に回せた
  • 就業規則も整備され、労務管理も改善

□ 自社でできる: 助成金活用のための「準備運動」

  • 安易に解雇しないこと(解雇すると助成金は一定期間申請できません)
  • 労働保険料の滞納はしないこと
  • 三帳簿=「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の整備
  • 10人以上なら就業規則の作成・届出

参考:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金

▲ 法的境界線: これは専門家の領域です

助成金の申請代行は社労士の独占業務です。社労士以外が報酬を得て申請代行を行うことは法律で禁止されています。

参考:全国社会保険労務士会連合会

社労士に依頼するタイミングの判断基準

「自社でどこまで対応すべきか」「いつ社労士に相談すべきか」は、多くの経営者が悩むポイントです。以下の基準を参考に、適切なタイミングで専門家の力を借りましょう。

すぐに社労士に相談すべき状況

状況 理由
労基署から是正勧告を受けた 専門家の対応がないと、罰則や企業名公表のリスクがある
従業員から未払い残業代の請求があった 対応を誤ると、高額な支払いや訴訟に発展する
ハラスメントで訴えられた 法的な対応と予防策の両方が必要
解雇や退職勧奨を検討している 不当解雇とされると、復職命令や慰謝料請求のリスクがある
従業員10人を超えた 就業規則の作成・届出が法律で義務付けられる

早めに社労士に相談すべき状況

  • 月45時間を超える残業が常態化している
  • 固定残業代の運用が曖昧
  • ハラスメント相談窓口がない
  • 就業規則を5年以上見直していない
  • 人事評価制度が形骸化している
  • 助成金を一度も申請したことがない

スポット相談でも対応可能な状況

  • 特定の法改正への対応方法を知りたい
  • 就業規則の一部見直しが必要
  • 特定の助成金について知りたい
  • 労働時間の計算方法を確認したい

自力解決の落とし穴と、賢い社労士の使い方

労務管理を自力解決しようとした場合の4つの落とし穴

落とし穴1. 就業規則や雇用契約書がネットテンプレートの罠

インターネットで無料ダウンロードできるテンプレートは、最新の法改正に対応していないことが多く、そのまま使うと最新労働法違反のリスクが大きくなります。

落とし穴2. 暗黙のルールがある

「うちの会社では昔からこうだった」という暗黙のルールは、法的には無効です。書面化することが必須です。

落とし穴3. ハラスメントや解雇に対する対応の失敗

「このくらい大丈夫だろう」と軽視すると、大きな金銭的問題に発展します。初動対応が極めて重要です。

落とし穴4. 見過ごされているコスト

対応時間の浪費、弁護士費用、助成金申請漏れなどが発生し、結果的に社労士に依頼するより高くつくことが多いです。

賢い社労士の使い方

  • 予防的に活用: トラブルが起きてから相談するのではなく、定期的な労務診断で予防する
  • スポットと顧問を使い分ける: 特定の業務はスポット、継続的なサポートは顧問契約
  • 税理士とのダブルライセンス事務所を活用: 給与計算や年末調整など、税務と労務が関わる業務をワンストップで依頼
  • 助成金診断を依頼: 受給可能な助成金を洗い出し、資金繰りを改善

よくある質問(Q&A)

Q1. 社労士への相談は、どのタイミングがベストですか?

A1. 問題が起きる前の「予防的な相談」が最もベストです。トラブルが起きてからの対応は、時間もコストもかかります。定期的な労務診断や、法改正への対応、就業規則の見直しなど、予防的に社労士を活用することで、大きなトラブルを未然に防げます。特に、従業員10人を超えたタイミング、月45時間を超える残業が常態化したタイミング、ハラスメント相談があったタイミングは、早めに相談すべきです。

Q2. 自社で労務管理をしていますが、どこまで自力で対応できますか?

A2. 日常的な労働時間管理、勤怠記録、三帳簿の整備などは自社で対応可能です。しかし、就業規則の作成・変更、固定残業代の制度設計、解雇や退職勧奨、ハラスメント対応、助成金申請などは、専門知識が必要です。特に、労基署からの是正勧告、従業員からの未払い残業代請求、ハラスメント訴訟などは、すぐに社労士に相談すべき状況です。

Q3. 固定残業代を導入していますが、適法かどうか不安です。

A3. 固定残業代の有効要件は非常に厳しく、一つでも満たさないと無効になります。「基本給」と「固定残業手当」が明確に分かれているか、何時間分か明記されているか、雇用契約書に明記されているか、法定計算額を下回っていないか、超過分の残業代は別途支払われているか、これら全てを満たす必要があります。一つでも「いいえ」があれば、すぐに社労士に相談し、制度を再設計すべきです。

Q4. 就業規則はインターネットのテンプレートで大丈夫ですか?

A4. いいえ、インターネットのテンプレートをそのまま使うのは危険です。テンプレートは最新の法改正に対応していないことが多く、自社の実態と合っていないため、トラブルの原因になります。厚生労働省の「モデル就業規則」をベースに、自社の実態に合わせてカスタマイズするか、社労士に依頼して自社専用の就業規則を作成することをお勧めします。特に、従業員10人以上の事業所は、就業規則の作成・届出が法律で義務付けられています。

Q5. ハラスメント対策は、どこから始めればよいですか?

A5. まず、就業規則にハラスメント禁止事項を明記し、相談窓口を設置することから始めましょう。相談窓口は、社内外問わず、従業員が安心して相談できる体制を整えます。次に、全従業員向けの研修を実施し、ハラスメントの定義や禁止行為を周知します。特に管理職向けの研修は必須です。これらの対策を講じても、ハラスメント事案が発生した場合は、すぐに社労士に相談し、適切な対応を取りましょう。

Q6. 助成金は、どれくらい受給できますか?

A6. 企業の状況によって大きく異なりますが、数十万円〜1,000万円超の受給も可能です。例えば、キャリアアップ助成金(正社員化コース)なら1人あたり最大80万円、両立支援助成金(育休復帰支援)なら最大30万円など、複数の助成金を組み合わせることで、まとまった金額を受給できます。ただし、助成金には厳しい要件があり、就業規則の整備、労働保険料の滞納がないこと、三帳簿の整備などが必要です。社労士による助成金診断で、受給可能な制度を確認することをお勧めします。

Q7. 社労士への依頼費用はどれくらいですか?

A7. 従業員数や依頼内容によって異なりますが、中小企業の場合、月額2万円〜8万円程度が相場です。従業員10名以下なら月額2万円〜、10〜19名なら月額4万円〜、20〜29名なら月額5万円〜が目安です。スポット契約(就業規則作成5〜20万円、助成金申請は成功報酬15〜25%など)も可能です。一見高く感じるかもしれませんが、労務トラブルによる損失(未払い残業代、慰謝料、弁護士費用など)や、助成金の受給機会を考えると、十分に価値があります。

まとめ:トラブルを未然に防ぎ、強い組織を育むために

まとめ

労務トラブルの根源は、突き詰めれば「情報の不足」と「ルールの不備」です。問題が起きてから対処するより、問題が起きない「予防」こそが最強のリスク管理と言えます。

まずは今回の記事をよく読んで『セルフチェック』をし、自社の現状を把握し、できることから始めてみてください。

しかし、もし一つでも『危険の信号』に当てはまったら、決して放置は禁物です。初期対応の遅れが、解決を何倍も難しくします。

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※本記事は作成日時点の法令に基づき作成しております。記事の内容に関するお問い合わせや、内容の正確性・完全性についての責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。具体的なご相談はお住まいの行政機関や専門家までお問い合わせください。

記事監修

【記事監修】
寺田慎也(てらだ しんや)
税理士・特定社会保険労務士
寺田税理士事務所 / 社労士法人フォーグッド / 株式会社フォーグッドコンサルティング 代表

【専門分野】
税務顧問、確定申告、税務調査対応、社会保険手続き、給与計算、労務相談、補助金・助成金申請支援

【保有資格】
税理士、特定社会保険労務士

【組織体制】
創業75年(1950年創業)の実績を持つ専門家集団。スタッフ20名、税理士4名・社労士6名(うち特定社労士2名)が在籍し、大阪・東京の2拠点で全国450社以上の企業をサポート。

【代表者の実績・メディア掲載】

  • テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」専門家として複数回出演(2024年5月・6月、2025年8月)
  • アイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門 3年連続全国1位
  • 中央経済社『税務弘報』にて連載執筆中「新・労務知識アップデート講座」
  • 著書:『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』(幻冬舎、2018年)
  • 著書:『雇用関係助成金申請・手続マニュアル』(日本法令、2020年)

参考資料(一次情報)

寺田税理士・社会保険労務士事務所

労務トラブル、自力で解決できますか?長時間労働、固定残業代、ハラスメント、不当解雇、就業規則、人事評価、助成金…7つの事例から学ぶ予防策と解決法。当事務所は税理士・社労士のダブルライセンスで、労務と税務をワンストップでサポート。創業75年、450社以上の実績で、貴社の労務リスクを予防します。まずは無料相談へ。

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