税理士を経営に活かす7つの方法|申告だけじゃもったいない!活用法まとめ

公開日: 2025.05.30

最終更新日: 2026.02.23

最終更新日:2026年2月22日


――「申告はしっかりしてくれる。でも…それ以外はずっと自分で考えている気がする」。こうした”物足りなさ”を感じながらも、税理士にどこまで頼めるかが分からずにいる経営者は少なくありません。税理士を経営の”参謀”として活かす7つの方法を、約450社の中小企業をサポートしてきた税理士・社労士が解説します。

あなたの税理士、”半分”しか活かせていないかも【自己診断】

税理士を経営に活かせているか確認する経営者のイメージ

まず、以下のチェックリストで「現在の活用度」を確認してみてください。

あなたの税理士は…
毎月の試算表とあわせて「来期の見通し」を話してくれる
使える補助金・助成金を定期的に提案してくれる
融資・資金調達の相談に数字で根拠を作って一緒に動いてくれる
給与・社会保険の相談もワンストップで対応してくれる
事業承継・M&Aの相談を早い段階からしてくれる
税務調査のとき会社の立場でしっかり交渉してくれる
💡 診断結果の目安
チェックが0〜2個:税理士を「申告代行者」としてしか使えていない状態。大きな機会損失が生まれている可能性があります。
チェックが3〜4個:一定の活用はできているが、まだ伸びしろがあります。
チェックが5〜6個:税理士を「経営パートナー」として十分に活かせている状態です。

うちの税理士、申告はきっちりしてくれる。でも、それ以外はずっと自分で考えてる気がする…」そんな感覚をお持ちなら、税理士の”使い方”がもったいないのかもしれません。税理士は、単なる「税金の専門家」ではなく、経営者に伴走して経営全体をサポートしてくれる”参謀”にもなり得る存在です。

税理士を経営に活かす7つの方法

税理士と経営者が経営戦略を話し合うイメージ

税理士に「申告書を作ってもらう」だけでは、その価値の半分以下しか引き出せていません。以下の7つの活用シーンを確認してみてください。

① 節税提案:「知らなかった」を「もったいない」にしない

節税は「やれば得する」のではなく、「知らないと損する」分野です。役員報酬の適切な設定、中小企業経営強化税制の活用、経営セーフティ共済・小規模企業共済の活用など、会社の状況に応じた節税プランを年間を通じて提案してもらいましょう。決算直前の「駆け込み節税」ではなく、1年を通じた計画的な節税こそが効果的です。

② 経営計画・予実管理:「今月の数字」で終わらせない

試算表は「過去の記録」です。税理士をうまく活かすには、月次の数字を使って「来月・来期の見通し」を議論する場を作ることが重要です。具体的には、月次報告会での予実対比・着地予測、3〜5年の中期経営計画の数値設計、経営合宿型の事業計画策定などを依頼することで、税理士は「記録係」から「戦略パートナー」に変わります。

経営会議で税理士に依頼できること
・月次試算表の解説と着地予測の共有
・売上・粗利・人件費などのKPI設定と進捗管理
・幹部向けの「数字の読み方」セミナー(インハウス研修)
・同業他社との財務比較(人件費率・粗利率など)

③ 補助金・助成金の申請支援:制度を”成長投資”に変える

補助金・助成金の申請には、経営計画書の作成が必須です。認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に登録している税理士であれば、補助金申請に必要な経営計画の策定を公式にサポートできます。また、労務系の助成金(雇用調整助成金・キャリアアップ助成金など)は社労士の専門領域のため、税理士と社労士が連携している事務所であれば両方をまとめて活用できます。

④ 資金調達・融資支援:「数字の説得力」で融資を有利に

金融機関が融資審査で最も重視するのは「この会社の財務は信頼できるか」という点です。書面添付制度や会計参与制度を活用することで、税理士が財務の信頼性を第三者として保証し、金融機関からの評価を高めることができます。詳しくは次のセクションで解説します。

⑤ 税務調査対応:「調査官に押し切られない」ために

税務調査は、経営者と税理士が一体となって臨む場面です。書面添付制度を活用している場合、調査前に税理士が税務署に事前説明を行う「意見聴取」の機会が生まれ、実地調査を省略できるケースもあります。顧問税理士が調査の事前準備から立会い・指摘への反論まで一括して対応できる体制を確認しておきましょう。

⑥ クラウド会計・IT化推進:試算表を「最速」で届ける

月末締め後2〜3週間以内に試算表が届かない場合、それは経営判断のタイムラグを生んでいます。freee・マネーフォワード・弥生クラウドなどに対応した税理士であれば、リアルタイムの数字を経営判断に活かせる体制が整います。クラウド化によって経理業務の効率化・ペーパーレス化も加速します。

⑦ 事業承継・相続対策:「早すぎる」くらいが正解

事業承継・自社株評価・相続対策は、「そろそろかな」と思ってから始めても遅いケースがほとんどです。特に事業承継税制の特例措置(自社株の相続税・贈与税100%猶予)は特例承継計画の提出が必要で、認定支援機関(税理士)のサポートが不可欠です。経営者が50代になったら早めに相談を始めることを推奨します。

補助金・優遇税制を最大活用する:認定支援機関としての活用

近年、中小企業向けの大型補助金が相次いでスタートしています。これらの申請には「経営計画の提出」が必須であり、認定支援機関である税理士のサポートが鍵を握ります。

注目の大型補助金(申請には経営計画の提出が必須)

補助金名 概要
大規模成長投資補助金(最大50億円) 工場建設や大規模設備投資など、成長分野への大胆な投資を支援
省力化投資補助金 人手不足対策として、自動化・省人化ツールの導入を支援
成長加速化補助金 売上100億円規模を目指す中堅企業の研究開発・事業転換を支援
新事業進出補助金 異業種・新分野へのチャレンジを後押しする新規参入支援

認定支援機関の関与が必要な補助金・税制優遇

制度名 内容
経営改善計画策定支援 返済条件の緩和・資金繰り改善に向けた計画策定に最大200万円を補助
早期経営改善計画 簡易な経営プラン策定に最大15万円を補助
事業承継税制(特例) 特例承継計画の策定で自社株の相続税・贈与税が100%猶予の対象に
経営力向上計画 機械設備の固定資産税軽減や金融機関からの融資優遇が受けられる
💡 認定支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある機関として国が認定した支援機関です。税理士・税理士法人・公認会計士・中小企業診断士・金融機関などが認定を受けており、顧問税理士が認定支援機関かどうかを確認しておくことが補助金活用の第一歩です。

資金調達を有利にする:書面添付制度・会計参与の活用

税理士の関与が「財務の信頼性の証明」になることを知っている経営者は、まだ多くありません。これを活用するだけで、融資条件が大きく変わることがあります。

書面添付制度とは

税理士が申告書に「この決算書・申告書の内容は正確です」という意見書(添付書面)を付けて提出する制度です。書面添付がある申告書は税務署からの信頼度が高く、税務調査の前に税理士への意見聴取が行われるため、実地調査が省略・短縮されるケースがあります。また金融機関も「税理士が責任をもって関与している会社」として評価します。

会計参与制度とは

会社法に基づき、税理士が役員として会社の計算書類の作成に共同で関与する制度です。会計参与が設置されている会社は金融機関からの信頼性が高く、無担保融資や金利優遇を受けやすくなることが知られています。

制度 資金調達への効果
書面添付制度 財務の信頼性向上/税務調査リスクの低減を金融機関にアピール
会計参与 日本政策金融公庫の金利優遇(▲0.4%)/無担保融資・手数料減免
月次巡回監査 決算書の信頼性確保→取引先・金融機関との関係強化

税理士の専門家ネットワークを事業拡大に活かす

税理士は「税務の専門家」であると同時に、多くの専門家ネットワークの窓口でもあります。「誰に相談すればいいか分からない」という経営者の悩みを一元解決できるのが、税理士をハブにしたワンストップ体制です。

税理士事務所が連携していることが多い専門家・機関として、中小企業診断士(事業計画立案支援)、IT導入補助金・設備投資支援に強いコンサルタント、司法書士・弁護士(法務・契約)、社会保険労務士(給与・助成金・労務)、ファイナンシャルプランナー(福利厚生・資産形成)、弁理士(知的財産)、建設・製造業向けの設備設計・工事会社などが挙げられます。

こうした専門家ネットワークを活かす3つのメリット
・「誰に相談すればいいか分からない」という二度手間がなくなる
・税理士が内容を把握した上で紹介してくれるので、一から説明する必要がない
・税務・法務・労務が連動した一体的な提案が受けられる

税理士+社労士で実現する「ワンストップ経営支援」

競合との最大の差別化ポイントがここです。税務(税理士)と労務(社労士)を同じ事務所で対応できる体制は、経営者にとって「相談窓口がひとつになる」という大きなメリットをもたらします。

⚠ 税理士と社労士が別々だと起きやすい問題
・年末調整の時期に「給与データを税理士に渡したか、社労士に渡したか」で混乱
・助成金(労務)と節税(税務)を組み合わせた提案が受けられない
・「この件は税理士に」「その件は社労士に」とたらい回しが生じる
・トラブル発生時に税務・労務の両面から即対応できない

弊所(寺田税理士・社会保険労務士事務所)では、税理士2名・社労士6名が在籍するダブルライセンス体制で、以下のような一体型支援を提供しています。

支援領域 具体的なサービス内容
経営・意思決定支援 幹部コーチング・経営合宿型事業計画策定・月次財務会議のファシリテーション
数字・組織マネジメント KPI教育・利益構造の可視化・人件費設計・同業他社比較
補助金×助成金の連動 補助金(税務)と助成金(労務)を組み合わせた事業投資設計
福利厚生の再設計 採用・定着・節税効果を両立する制度導入
インシデント対応 税務調査・労務トラブルなど突発案件に税務・労務の両面から即時対応
次世代育成支援 若手幹部候補向け研修・業務の属人化解消・仕組み化サポート

「税務のことは税理士」「労務のことは社労士」と切り分けていては見えなかった経営課題が、一本の軸で整理・解決できるのがダブルライセンス体制の最大の強みです。

今の税理士をもっと活かすための3つの行動

「税理士を変えるかどうか」より前に、まず「今の税理士をどう使うか」を変えることで解決するケースも少なくありません。以下の3つを試してみてください。

① 「相談したいこと」を事前にリスト化して持ち込む

税理士との面談が「試算表を受け取るだけ」になっている場合、それは経営者側から議題を持ち込んでいないことが原因のことも多いです。「今期の着地はどうなりそうか」「来年の設備投資は節税の観点からいつ実行すべきか」などの具体的な質問を事前に用意するだけで、面談の質は大きく変わります。

② 「申告以外に何ができるか」を一度ヒアリングする

多くの経営者は、税理士が対応できるサービスの全容を把握していません。「補助金申請は支援してもらえますか?」「書面添付制度は対応していますか?」と一度ストレートに聞いてみることで、思いがけないサービスが使えることに気づくケースがあります。

③ それでも「物足りない」なら、変更を前向きに検討する

上の2つを試しても状況が変わらない場合、それは税理士の側のキャパシティや方針の問題かもしれません。税理士の変更は「裏切り」ではなく、会社の成長に合わせた合理的な判断です。変更を検討する際のポイントは関連記事でまとめています。

💡 「変更しないコスト」も考えてみてください
合わない税理士との付き合いを続けることで生まれる「機会損失」——補助金を逃した、融資条件が悪かった、節税できなかった——は、顧問料よりもはるかに大きなコストになっていることがあります。

まとめ|税理士の真価は”経営支援”にあり

税理士は、記帳や申告だけの存在ではありません。節税・経営計画・補助金・資金調達・税務調査・IT化・事業承継——企業の未来を共に設計する”知恵と仕組み”の専門家です。

もし現在の税理士との関係が、単なる書類業務にとどまっているなら、ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、“経営の武器”としての税理士活用を検討してみてください。そして「今の税理士では物足りない」という場合は、税理士変更も含めた見直しを前向きに考える時期かもしれません。

よくある質問(Q&A)

Q1. 税理士に経営の相談をしてもいいのですか?

A. はい、むしろ積極的に活用すべきです。税理士は税務・会計の専門家であると同時に、経営計画の策定・補助金申請・資金調達支援など、幅広い経営支援が可能です。ただし事務所によって対応範囲が異なるため、「何を依頼できるか」を一度確認することをおすすめします。

Q2. 認定支援機関とは何ですか?すべての税理士が対応していますか?

A. 認定支援機関とは、中小企業支援に関する専門的知識・実務経験を持つとして国が認定した機関です。税理士・税理士法人・公認会計士・金融機関などが対象です。補助金申請や経営改善計画策定の支援を依頼する場合は、顧問税理士が認定支援機関かどうかを事前に確認してください。

Q3. 書面添付制度は誰でも使えますか?

A. 税理士が申告書に添付書面を付けることで利用できます。ただし、税理士が正確な帳簿・申告内容の確認を行った上でなければ添付できません。月次巡回監査など丁寧な関与を行っている事務所に依頼することが前提となります。

Q4. 税理士と社労士を別々に契約するのと、一本化するのはどちらがいいですか?

A. 規模・業種・相談内容によりますが、一般的には一本化の方がメリットが大きいです。税務と労務が連携することで、年末調整・給与計算・助成金申請などの連携がスムーズになり、「どちらに聞くべきか」という迷いがなくなります。

Q5. 補助金の申請を税理士に任せられますか?

A. 認定支援機関に登録している税理士であれば、経営改善計画・事業承継計画など補助金申請に必要な書類の策定を正式にサポートできます。ものづくり補助金・事業再構築補助金なども、認定支援機関の確認書が申請要件になっています。

Q6. 今の税理士をうまく活かせていない気がします。まず何をすればいいですか?

A. まずは「相談したいことリスト」を作って、次回の面談に持ち込むことをおすすめします。それでも改善しない場合は、税理士の変更を視野に入れた無料相談をご活用ください。弊所では60分の無料相談を随時受け付けています。

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記事監修

寺田 慎也(てらだ しんや)
寺田税理士事務所 代表 / 社労士法人フォーグッド 代表社員 / 株式会社フォーグッドコンサルティング 代表

【保有資格】税理士、特定社会保険労務士
【専門分野】税務顧問、確定申告、税務調査対応、社会保険手続き、給与計算、労務相談、助成金申請支援
【組織体制】創業75年の実績を持つ専門家集団。スタッフ20名、税理士2名・社労士6名(うち特定社労士2名)が在籍し、大阪・東京の2拠点で全国450社以上の企業をサポート。

【代表者の実績・メディア掲載】
・テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」専門家として複数回出演(2024年5月・6月、2025年8月)
・PRONIアイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門 4年連続全国1位
・中央経済社『税務弘報』にて連載執筆中「新・労務知識アップデート講座」
・著書:『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』(幻冬舎、2018年)
・著書:『雇用関係助成金申請・手続マニュアル』(日本法令、2020年)

事務所公式サイト:https://taxlabor.com/

参考リンク

中小企業庁|認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の概要と検索
日本税理士会連合会|中小企業支援(財務・経営・金融・税制支援)
国税庁|書面添付制度の概要

※本記事は2026年2月22日時点の情報に基づいています。法令や制度の最新情報は関係省庁の発表をご確認ください。

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