税理士と社労士が解説!定額減税を実施しない企業は罰則や罰金があるの?

2024.05.29

はじめに

政府が「6月以降の給与で定額減税を実施しない企業は罰則の可能性がある」とコメント

 2024年6月から始まる定額減税に関して、多くの企業や個人が関心を寄せています。しかし、定額減税を適切に反映しない企業には罰金が科される可能性があるとの報道があり、疑問や不安を抱える方も多いでしょう。本記事では、定額減税の背景やその具体的な内容、罰則の可能性について解説します。

定額減税とは?

定額減税の概要

 定額減税とは令和6年分の所得税と住民税に定額減税(特別控除)を適用するもので、令和6年6月1日以降の給与支払(賞与が先にある場合は賞与)から実施されるものです(図の緑で囲った部分です)。

定額減税の額

 定額減税は、一人当たり30,000円(住民税10,000円も加えると合計40,000円)です。
 したがって、例えば配偶者と子供2人の4人の世帯の場合は計120,000円(更に別で住民税は40,000円)となります。
自分の定額減税額はいくらになるか、以下のフローチャートで確認してださい。

企業が減税を反映しない場合の罰則

 政府は、定額減税を実施しない企業に関する立憲民主党の桜井周氏からの質問について
「6月以降の給与等で定額減税を反映せず、年末調整で一度に減税額を差し引くことは法律違反になる可能性がある」と回答しました。
参考:産経新聞【所得税減税、6月給与から反映しない企業には罰金も。年末調整のみ対応は違反に

具体的には、以下のようなケースが罰則の対象となります。

2024年6月以降の給与や賞与の支払い時において、定額減税を反映しない場合

 定額減税を給与に反映しないと、税引き後の給与が本来支払われる額より少なくなるため、労働基準法に違反する可能性があります。労働基準法第24条(以下の引用を参考にしてください)では、賃金は全額を直接労働者に支払わなければならないと規定されています。

(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。※労働基準法|e-Gov法令検索より

 厚生労働省の見解によると、「6月から減税を反映しない場合、労基法違反となる可能性がある」ということです。労働基準法第24条の違反行為が発覚した場合、労働基準監督署による監査や指導が実施されます。最悪の場合は経営者が罪に問われ、30万円以下の罰金刑に処されることもあります。

定額減税の実施方法

 定額減税は、扶養控除等申告書を提出している勤務先で実施されます。6月以降の給与から順次、定額減税が適用されるため、企業は適切に対応する必要があります。以下の記事を参考にしてください。

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おわりに

 定額減税を適切に反映しない企業には罰金が科される可能性があります。企業としては、従業員の利益を守るためにも、6月からの給与に減税を確実に反映させる必要があります。具体的な対策や手続きについては、税理士や社会保険労務士に相談することをお勧めします。

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