税理士変更の良いタイミングとは?おすすめ手続きとメリットデメリット

公開日: 2025.05.05

最終更新日: 2025.05.05

はじめに

うちの税理士先生、悪い人じゃないんだけど…最近ちょっと不安なんだよな…

税理士に対して、こんな風に感じたことはありませんか?

  • 試算表はもらえるけど、数字を一緒に見ながら“これから”のことを話す時間がない
  • 経営のアドバイスがもらえない、会計以外の話ができない
  • 節税や補助金など、新しい情報がもらえない
  • クラウド会計ソフトなど、IT化を進めてくれない
  • 担当者がよく変わって、毎回“イチから説明”しなければならない
  • 先生や担当者が高齢で、あと何年お願いできるか分からない

この記事では、そんな
“税理士の変更で迷っているけど、前に進みたい”経営者の方に向けて、
税理士の変更に良いタイミングとは何か?を出発点に、
手順・費用・メリット・デメリット・丁寧な断り方まで解説します。

~後悔しないための流れ・注意点・資料一覧まで完全ガイド~

 税理士との関係は、企業の成長に大きな影響を与える「経営のパートナー」です。税理士は、外部の専門家の中でも最も身近な経営者の相談相手といえます。だからこそ、税理士変更を検討する際には、「適切なタイミング」と「スムーズな流れ」を理解しておくことが重要です。

 この記事では、税理士を変更すべき理由、タイミング、具体的な手続きの流れと注意点、変更に伴うリスクの抑え方、預かるべき資料リストまで、経営者視点で完全網羅します。

税理士を変更したくなる主な理由とは?

 「税理士を変更したくなる主な理由」としてよく言われるのは

  • 試算表はもらえるが経営の視点やアドバイスがない
  • 新しい情報がもらえない(節税や融資、補助金など)
  • 税理士や担当者が高齢で将来性に不安
  • スタッフの入れ替わりが多く、情報伝達に間違いが多い
  • クラウド会計の導入やDX化など、最新のIT活用が苦手

 中には「知人に紹介された税理士なので不満が言えない」「先代社長がお世話になったので気を使ってしまう」など、第3者との関係性を考慮すると変更できないということもあります。

 しかし──
そんな理由で、この先も“モヤモヤ”を抱え続けますか?
経営は“これから”に集中すべきです。

税理士を変更すべきタイミングは?

法人税申告直後(例:3月決算の場合)

 例えば3月決算の会社であれば、5月末に法人税の申告を完了させることになります。この申告までは現在の税理士に責任を持って対応してもらい、同時に新しい期(4月からの分)については、新しい税理士に進めてもらうのが理想的です。
 こうすることで、決算・申告という一つの区切りをつけた上で、次の年度から新体制でスタートでき、引き継ぎのトラブルや業務の重複を最小限に抑えることができます。

決算3ヶ月前は避ける(例:3月決算の場合は1月~3月)

 決算3ヶ月前以降のタイミングで税理士を変更するのは避けるべきです。特に3月決算の会社なら、1月〜3月の変更はリスクが高まります。
 この時期は、決算に向けた集計・確認作業が本格化するため、新しい税理士が十分に内容を把握できず、決算申告に支障をきたす可能性があるからです。

税務調査が入ったとき

 税務調査が入った場合、修正申告など調査結果が終わったあとに税理士を変更するのがおすすめです。調査対応中に変更すると、引継ぎや情報の伝達などでトラブルを招くリスクがあります。
 ただし、調査の対応や調査内容に納得できない場合は、調査の途中で新しい税理士に変更することもあります。その際は、その後の業務に支障をきたさないよう、丁寧かつ低調に引き継ぎのための対応を行うことが重要です。

会計期間途中の変更リスクとコスト対策

 年度の途中で税理士を変えると、期首からの会計処理を新旧の税理士それぞれが処理する必要があり、二重にコストがかかる可能性があります。

二重コストを抑えるには?

  • 現在の税理士から処理が終わっている仕訳データ(Excel・CSV形式)などで受領する
  • 受領したデータを新しい税理士の会計ソフトにスムーズに取り込み移行する
  • 現在の税理士に電子申告情報(e-tax及びel-tax)を確認し、新税理士に伝える


電子申告(e-Tax)とは?|国税庁の公式解説ページを見る

給与計算も依頼している場合の注意点

  • 会計とは別の引き継ぎ期間(数か月)を設ける
  • 過去月の個人別給与情報や前年以前の年末調整書類、源泉徴収票などを預かり新しい税理士にデータ共有する
  • 翌月以降の個人住民税の納付書や源泉所得税の納付書を回収する(預けている場合のみ)
  • 現在の税理士の最終月の給与処理が完了してから、翌月以降を新しい税理士が担当

税理士を変更するメリットとデメリット

メリット

  • 自分に合った提案やアドバイスがもらえる(新しい税理士にニーズを伝えること)
  • これまでのやり方の見直しができる(経理の効率化)
  • クラウドやDXソフトへの対応が進む
  • 試算表の早期作成や未来予測ができる(対応している税理士を選ぶこと)
  • 経営の判断が早くできる

デメリット

  • 税理士を探す時間と労力がかかる
  • 顧問料が上がる場合がある
  • 正常に稼働するまで数か月の「慣らし期間」が必要となる

顧問税理士を変更する流れと注意点

  1. 現在の税理士との契約内容の確認
     ・事前解約の通知期限(例:○ヶ月前まで)
     ・違約金や精算条件の有無(顧問料の按分・返金等)
  2. 新しい税理士の選定と、変更時期(タイミング)の確認
     ・期の途中か、申告後かなど適切な時期をすり合わせる
     ・給与や年末調整も依頼するなら、引き継ぎ期間を考慮
  3. 現在の税理士に解約の伝達(お礼と感謝を忘れずに)
     ・円満に終えるため、できれば口頭+書面で通知
     ・文書でのやり取りがあると後のトラブル予防になる
  4. 書類やデータの回収・引継ぎ
     ・申告書、決算書、仕訳帳、元帳、給与データなど
     ・可能であれば、会計データはCSVやエクセル形式でもらう
     ・e-Tax・eL-Taxのログイン情報も共有してもらうとスムーズ
  5. 新しい税理士との業務スタート
     ・前任との違いや改善点をすり合わせ、スタートを明確に
     ・必要に応じて業務分担(経理・給与・労務など)も整理

 このような流れで進めれば、引き継ぎの混乱やトラブルを防ぎながら、スムーズに新しい税理士との体制を整えることができます。
 大切なことは、「現在の税理士に感謝の気持ちをもって契約を終えること」です。経営に合った新たなパートナーと一歩を踏み出すためにも、丁寧な対応を心がけましょう。

預かるべき資料一覧(詳細)

「税理士変更時に預かるべき資料一覧」をご確認ください。

税理士変更で失敗しない4つのポイント

1.まず、自社の課題と“今後の期待”を整理する

 「いま自社と税理士との間で何が問題なのか」「これから税理士にどんな支援やサービスを受けたいのか」――これを言語化するだけで、選ぶべき税理士像が見えてきます。たとえば、「試算表は出てくるけど、未来の話ができない」なら、経営計画や資金繰りサポートに強い税理士が必要かもしれません。

2.税務だけでなく、経理・給与・労務の全体像で考える

 「会計だけの依頼」にとどまらず、社労士業務である労務相談とのワンストップ対応まで視野に入れることで、企業の成長に応じた体制づくりが可能となり、結果として長く頼れる税理士との関係を築きやすくなります。
 とくに、社員を雇用し成長を目指す企業では、「税務」と「労務」を一体で支援できる事務所が選ばれる傾向にあります。税理士と社労士が連携することで、業務の分断を防ぎ、よりスムーズな経営体制が築けるからです。

3.初回面談で“話しやすさ”と“視点の違い”を確かめる

 会社の経営にも関心を持ってくれる税理士を選ぶことが大切です。どれだけ実績のある税理士でも、「こちらの話に耳を傾けない」「経営者の視点に立ったアドバイスがない」と感じるなら、相性は良くないと言えるでしょう。数字の説明にとどまらず、「次に何をすべきか」「どんな備えが必要か」といった“これから”の話ができるかどうかも、重要な判断基準です。

4.気になることがあれば、まずは私たちにご相談ください

 「今のままでいいのかな?」「変えたほうがいいのかな?」と感じたら、一度ご相談いただければと思います。税務・会計はもちろん、労務や助成金まで一体で支援する体制があるからこそ、企業ごとの状況に応じたご提案が可能です。

税理士変更で「これから」を一緒に考えませんか?

 その税理士、会社の“これから”に対応できていますか?



「税理士変更」で“これから”を変えたい経営者の方へ

 ここまでお読みいただいたということは、「今の税理士のままでいいのか」と感じたことがあるのではないでしょうか。
私たち寺田税理士・社労士事務所(社労士法人フォーグッド)は、税務と労務の両面から経営を支える体制づくりをお手伝いしています。今の税理士に迷いがあるなら、変更することで経営に安心と前進の一歩をもたらす可能性があります。まずは現状の確認だけでも、気軽にご相談ください。
60分無料相談で現状を整理(来所面談 or オンライン面談)

変更前の税理士から預かるべき資料リスト(詳細版)

 税理士変更時には、以下の書類を①紙、②データ(PDF、Excel、CSVなど)の両方で預かっておくのが理想です.

会計関係の預かるべき資料リスト

  • 過去3年分の決算申告書(①決算書及び内訳書、①法人税・消費税・都道府県民税・市民税の申告書)
  • 過去3年分の総勘定元帳(可能ならCSV形式)
  • 今期途中までの会計ソフトの仕訳データ(ExcelやCSVなど)
  • 電子申告情報(e-tax及びel-taxの利用者番号IDと暗証番号)
  • 減価償却資産の明細
  • 償却資産申告書
  • 過去3年の会計ソフトの仕訳データ(ExcelやCSVなど)
  • 今期途中までの会計ソフトの仕訳データ(ExcelやCSVなど)

給与・労務関連の預かるべき資料リスト

  • 本年の進行月までの給与情報(月別・個人別)
  • 過去3年の年末調整書類(源泉徴収簿・控除申告書)
  • 源泉所得税納付書の控え
  • 住民税の納付書や決定通知書
  • 社会保険に関する控え書類一式
  • 労働保険・雇用保険に関する控え書類一式
  • 助成金に関する控え書類一式
  • 就業規則や雇用契約書
  • 36協定などの控え

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