税務調査とは?流れ・当日の対応・事前準備を税理士が完全解説【2026年版】

公開日: 2026.03.11

最終更新日: 2026.03.08

左:税務調査通知を受けて一人で不安そうに書類を見る中小企業経営者(モノクロ)、右:税理士と並んで落ち着いた表情で書類を確認している経営者(カラー)のビフォーアフターイメージ|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)


――「税務調査が来たらどうすればいいのか」「いきなり来られたらどう対応するのか」。初めて税務調査の通知を受けた経営者の多くは、マルサのような強制捜査を想像して青ざめます。しかし実際の税務調査は、そのほとんどが事前通知のある任意調査です。本記事では、税務調査の全体像・当日の流れ・事前準備まで、23年以上の立会い経験を持つ税理士が完全解説します。

税務調査とは何か|強制調査と任意調査の違い

税務調査の通知を受けて顧問税理士と対応を確認している中小企業経営者のイメージ|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)

税務調査とは、国税庁・税務署が納税者の申告内容が正しいかを確認するために行う調査です。会社が保管している帳簿・請求書・領収書・預金通帳などをチェックし、申告に誤りがあれば是正を求めます。

税務調査には「強制調査」と「任意調査」の2種類があります。多くの経営者が混同していますが、この2つはまったく別物です。

  強制調査(査察) 任意調査
実施機関 国税局査察部(マルサ) 所轄税務署の調査官
対象 大口・悪質な脱税が疑われる納税者 一般の法人・個人事業主
令状 裁判所の令状あり・拒否不可 納税者の同意が前提
事前通知 なし(突然来る) 原則あり(1週間以上前)
件数(参考) 年間100件前後 年間約10万件前後

中小企業に来るのは99%以上が任意調査です。法人全体でも実際に税務調査を受けるのは年間3〜4%程度(約10万社)にすぎません。まず「マルサが来る」という心配は不要です。

💡 任意調査でも「任意」とは調査への同意であり、拒否はできない

「任意調査だから断れる」という誤解があります。税務調査官は質問検査権を持っており、これへの黙秘・虚偽回答には罰則があります。「任意」とは強制捜査(令状調査)ではないという意味で、事実上は応じる義務があります。

税務調査が来やすい会社の9つの特徴

税務署は「KSKシステム(国税総合管理システム)」で全法人の申告データを蓄積・管理し、5段階の評価ランク(優良申告法人〜継続管理法人)で調査頻度を決めています。以下の特徴に当てはまる会社は調査対象になりやすい傾向があります。

⚠ 税務調査が来やすい会社の特徴

① 設立3年以内の新設法人(比較的利益が出ている場合)
② 前回の調査から5年以上経過している黒字会社
③ 売上・利益が前期比で急激に増加している
④ 消費税の還付申告をした会社
⑤ 多額の非経常的な経費(退職金・貸倒損失など)が発生している
⑥ 売上が伸びているのに利益が増えていない(粗利の変動が大きい)
⑦ 交際費・福利厚生費が業種・規模に対して過大
⑧ 現金商売(飲食・小売・美容業など)
⑨ 前回調査で不正(重加算税対象)が見つかった

調査頻度は評価ランクによって異なります。問題のない「優良申告法人」は10年近く調査が来ないこともありますが、「継続管理法人」に分類されると3〜4年周期で繰り返し調査されます。日頃の申告の精度が調査頻度を直接左右します。

事前通知から当日までの流れ

税務調査の事前通知を受けて税理士と書類を準備している中小企業経営者のイメージ|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)

任意調査は原則として1週間以上前に事前通知があります。顧問税理士がいる場合は税理士に通知が入ります。通知の内容には調査日程・対象税目・調査対象期間などが含まれます。

STEP 1:事前通知(税務署から税理士or本人へ)

電話または文書で通知されます。顧問税理士がいれば税理士が窓口になり、日程調整を行います。調査日程はできるだけ遅い日に設定してもらうことが鉄則です。その間に書類の整理・事前確認ができるからです。通知された日程が業務上支障がある場合は変更可能です。

STEP 2:税理士との事前準備(調査前ミーティング)

調査日までに税理士と必要書類の確認・整理を行います。定款・株主総会議事録・取締役会議事録の内容と実際の経理処理が一致しているか確認することが特に重要です。帳簿・請求書・領収書・預金通帳などはすぐ提示できるよう整理しておきます。

⚠ 注意:調査前の帳簿提出要請には慎重に対応を

近年、調査日前に「帳簿やデータを事前に提出してほしい」と要請されるケースが増えています。これはあくまで「要請(お願い)」であり、応じる義務はありません。しかし注意すべき重要なリスクがあります。

帳簿等を提出した日が「調査開始日」とみなされる可能性があります。本来、事前通知後〜調査初日までに修正申告すれば加算税は5%で済みますが、帳簿提出後に修正申告すると調査開始後の扱いとなり10%になります。事前提出に応じる前に必ず税理士に相談してください。

→ 詳しくは税務調査前の帳簿提出要請|応じるリスクと正しい対応で解説しています。

STEP 3:調査当日(通常1〜2日)

税務調査官(通常1〜2名)が会社を訪問します。午前中は雑談と会社概要の聴き取り、午後から帳簿・資料の実査が始まります。次のセクションで当日の流れを詳しく解説します。

税務調査当日の流れ|午前・昼・午後のリアル

実際の調査当日はどのような流れで進むのか。23年以上の立会い経験をもとに解説します。

午前10時〜:身分証明書の確認と雑談・聴き取り

調査官はまず身分証明書を提示します。必ず確認し、所属税務署・部署・氏名を控えてください。その後、雑談を交えながら会社概要・業務内容・主要取引先・入出金の流れなどを聴き取ります。

💡 雑談は「情報収集」だと理解しておく

調査官は雑談の中から「どこに重点を置いて調査するか」を絞っています。社長の趣味・家族・週末の過ごし方など、お金の使い道をそれとなくイメージしながら聴いています。緊張が解けてしゃべりすぎないよう注意が必要です。

昼食:調査官は必ず外食・一緒に食べない

調査官は国家公務員倫理法により、調査先での飲食の提供を受けることが禁止されています。昼食は必ず社外に食事に行きます。この間に調査官は午前中の聴き取りをもとに午後の重点調査方針を固めます。

午後〜:帳簿・資料の実査(調査本番)

午後から調査の本番です。調査官は以下の書類を中心に確認します。

書類の種類 確認内容
帳簿関係 元帳・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・資産台帳
売上関係 見積書・納品書・請求書・領収書(期末月と翌期首月を重点確認)
経費関係 請求書・領収書・交際費明細・棚卸表
預貯金関係 法人名義・個人名義ともに通帳をチェック
人件費関係 源泉徴収台帳・タイムカード・社会保険書類・役員報酬議事録

社長はずっと同席する必要はありません。午前中の聴き取りへの対応が終われば、帳簿の細かい確認は税理士が対応します。社長への確認が必要な事項は「後日回答」で問題ありません。

調査は通常1〜2日で終わります。書類整理が行き届いており調査官が「問題なし」と判断すれば1日で終わることもあります。普段の帳簿管理の質が調査期間に直結します。

調査官が具体的な指摘をする場合・修正申告・更正処分・異議申し立てなど調査後の対応については→税務調査後の修正申告vs更正処分|交渉術と異議申し立てまで解説で詳しく解説しています。

調査対象は何年分?期間と対象書類

税務調査の対象期間は原則として過去3年分です。ただし不正行為が認められた場合は最大7年前までさかのぼることができます。

状況 対象期間
通常の調査 過去3年分
申告漏れ・過少申告が見つかった場合 過去5年分
重大な不正(仮装・隠ぺい)が認められた場合 最大過去7年分

「もう昔のことだから」と安心していると、7年前まで掘り起こされる可能性があります。書類・帳簿は最低7年間は保管することが重要です。電子帳簿保存法の完全施行(2024年1月〜)により、電子データの適切な保存も調査対象になっています。

税務調査を有利に終わらせる事前準備

税務調査に備えて書類を整理している中小企業経営者と顧問税理士のイメージ|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)

税務調査を有利に・短く終わらせるための事前準備は5つです。通知が来た後ではなく、日頃からの積み重ねが最大の対策になります。

準備①:証拠書類を必ず保存する

調査官から指摘を受けても、正しい処理を証明できる証拠書類(請求書・領収書・契約書など)があれば対抗できます。証拠を提示されると調査官はそれ以上追及できません。書類の保存は最低7年が原則です。

準備②:原始資料に書き込みをしない

請求書・領収書などの原始資料に「支払日」「振込先」などをメモ書きすると、調査官がそれをきっかけに追加の質問をしてくることがあります。メモが必要な場合は付箋に書いて貼り付けるだけにしてください。

準備③:定款・議事録と経理処理の整合確認

定款・株主総会議事録・取締役会議事録に記載された役員報酬の支給限度額・変更時期と、実際の給与台帳が一致しているかを事前に確認します。不一致があると役員報酬が損金不算入とされるリスクがあります。

準備④:必要書類をすぐ提示できる状態にしておく

「通帳を見せてください」と言われてすぐ出せない場合、調査官が一緒に金庫まで同行することになります。ついでに他の書類を確認されることも多く、余計な指摘を受けるリスクが生まれます。調査当日に提示が必要なものは事前にまとめて置いておくことが鉄則です。

準備⑤:調査官には対等な姿勢で対応する

必要以上にビクビクすることも、高圧的に出ることも逆効果です。調査官も人間であり、卑屈な態度は「何か隠しているのか」という印象を与えかねません。対等な姿勢で、確認が必要な事項は「後日回答」で毅然と対応することが調査を短く終わらせるコツです。

💡 調査官が必ず見る7つの指摘ポイントを事前に把握しておく

売上計上時期のずれ・交際費の適否・在庫の計上漏れ・売上除外・架空人件費・外注費の適正処理・源泉漏れ——調査官が必ず確認する項目は決まっています。
→ 詳しくは税務調査で必ず指摘される7つのポイントと事前対策で解説しています。

寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)の税務調査対応

税務調査への対応は、顧問税理士の経験と交渉力で結果が大きく変わります。弊所は代表税理士が27歳で登録後、23年以上にわたって数多くの税務調査に立ち会ってきました。

サービス 内容
税務調査事前対策 通知前から書類整備・弱点洗い出し・事前ミーティング
調査当日の立会い 調査官との交渉・質疑対応・経営者のサポート
修正申告vs更正処分の判断 指摘事項への反論・交渉・最適な対応策の提案
調査後のフォロー 再発防止策の整備・帳簿管理体制の構築
「税務調査の通知が来た」「来るかもしれない」——今すぐご相談ください

通知を受けてからでも、調査前の事前準備が結果を大きく変えます。弊所は大阪・東京の2拠点で対応しており、オンライン相談も可能です。PRONIアイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門にて4年連続全国第1位

▶ 60分無料相談のお申し込みはこちら

よくある質問(FAQ)

Q1. 税務調査は突然来るものですか?

一般の法人・個人事業主への任意調査は原則として1週間以上前に事前通知があります。突然来る「抜き打ち調査(現況調査)」は、飲食店・小売業・美容業などの現金商売をしている事業者が主な対象です。製造業・IT業など書類が残りやすい業種への抜き打ち調査はほぼありません。

Q2. 税務調査はどれくらいの頻度で来ますか?

法人全体での実地調査率は年間3〜4%程度です。平均的な頻度は4〜5年に一度といわれますが、申告に問題がなく優良申告法人に評価されれば10年近く来ないこともあります。逆に不正が見つかった会社は3〜4年周期で繰り返し選ばれます。

Q3. 税務調査に顧問税理士がいないと不利ですか?

不利になります。税務調査官も交渉のプロです。調査官が指摘した内容がグレーゾーンである場合、税理士がいるかどうかで交渉力と結果が大きく変わります。また調査前の書類整理・事前通知への対応・調査日の延期交渉なども、税理士がいると有利に進めることができます。

Q4. 税務調査中に顧問税理士を変えることはできますか?

調査中でも税理士を変えることはできます。ただし引継ぎに時間がかかるため、通知が来た時点で「今の税理士で大丈夫か」と感じたら早めにご相談ください。弊所では調査対応のみを依頼されるケースも対応しています。

Q5. 税務調査で追徴税が発生した場合、どのくらいかかりますか?

本税(追加で払う税金)に加えて、加算税と延滞税が発生します。修正申告に応じた場合の過少申告加算税は原則10%(調査前の自主修正なら5%)です。隠ぺい・仮装が認められると重加算税35〜40%が課されます。調査前の自主的な修正が最も負担を抑える方法です。

Q6. 調査前に帳簿の提出を求められました。応じなければなりませんか?

これはあくまで「要請(お願い)」であり、応じる義務はありません。ただし応じた場合、帳簿を渡した日が「調査開始日」とみなされ、加算税の優遇(5%)が使えなくなるリスクがあります。必ず事前に税理士に相談してください。詳しくは事前帳簿提出の解説記事をご参照ください。

税務調査で必ず指摘される7つのポイントと事前対策のイメージ|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)
税務調査で必ず指摘される7つのポイントと事前対策【現役税理士が解説】

売上計上時期のずれ・交際費の適否・架空人件費・外注費の扱い——調査官が必ず確認する7項目を完全公開。
税理士歴23年をもとに、各項目で調査官に疑われないための具体的な準備方法を解説。

▶ 税務調査の指摘ポイントと対策を見る ▶

税務調査前の帳簿・データ提出要請記事のアイキャッチ画像|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)
税務調査前の帳簿・データ提出要請|断れる?応じた場合の加算税リスクを税理士が解説

コロナ禍以降に急増している「調査前の帳簿提出要請」。応じると加算税が5%から10%に跳ね上がるリスクを税理士が解説。
断る場合の伝え方・応じる場合の4つの注意点まで完全網羅。

▶ 帳簿事前提出のリスクと対応を見る ▶

税務調査の抜き打ち調査(現況調査)対応マニュアル記事のアイキャッチ画像|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)
税務調査の抜き打ち調査とは|現況調査の流れ・断れる理由・当日の対応マニュアル

事前通知なしに調査官が突然来た——現況調査の定義・対象になりやすい業種・断れる理由を完全解説。
当日の対応5ステップ・言ってはいけない発言・やってはいけないこと一覧付き。

▶ 抜き打ち調査の対応マニュアルを見る ▶

修正申告と更正処分の違い・税務調査後の交渉術と異議申し立て記事のアイキャッチ画像|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)
修正申告と更正処分の違い|税務調査後に知っておくべき交渉術と異議申し立て

「修正申告をお願いしたい」——その場でサインする前に知っておくべき修正申告と更正処分の決定的な違いを解説。
調査官との交渉術・再調査請求から審査請求・訴訟まで不服申し立ての全手順と加算税まとめ表付き。

▶ 修正申告と更正処分の違いを確認する ▶

寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)がPRONIアイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所:実績部門」で4年連続全国第1位に選出されたスタッフ集合写真
「税務調査の通知が来た」「来るかもしれない」——まずは無料相談を

税理士歴23年の現役税理士が対応。事前準備から当日立会い・調査後交渉まで一貫サポート。
PRONIアイミツ4年連続全国第1位。大阪・東京2拠点・オンライン全国対応。

▶ 60分無料相談を申し込む ▶

記事監修

寺田 慎也(てらだ しんや)
寺田税理士事務所 代表 / 社労士法人フォーグッド 代表社員 / 株式会社フォーグッドコンサルティング 代表

【保有資格】税理士、特定社会保険労務士
【専門分野】税務顧問、確定申告、税務調査対応、社会保険手続き、給与計算、労務相談、助成金申請支援
【組織体制】創業75年の実績を持つ専門家集団。スタッフ20名、税理士2名・社労士6名(うち特定社労士2名)が在籍し、大阪・東京の2拠点で全国450社以上の企業をサポート。

【代表者の実績・メディア掲載】
・テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」専門家として複数回出演(2024年5月・6月、2025年8月)
・PRONIアイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門 4年連続全国1位
・中央経済社『税務弘報』にて連載執筆中
・著書:『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』(幻冬舎、2018年)
・著書:『雇用関係助成金申請・手続マニュアル』(日本法令、2020年)

事務所公式サイト:https://taxlabor.com/

本記事に掲載している内容は、2026年3月時点の情報をもとにしています。法令・制度に関する情報は執筆時点のものであり、その後の改正により変更される場合があります。最新情報は各省庁の公式サイトまたは専門家にご確認ください。

LINE友達に追加