【知らないと損】特定(産業別)最低賃金とは?地域別との違い・対象業種を完全解説

公開日: 2025.09.30

最終更新日: 2026.02.11

実は、最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があることをご存知ですか?特定の産業で働く方は、地域別最低賃金よりも高い金額が適用される可能性があります。

最低賃金には2種類ある!多くの人が知らない「特定(産業別)最低賃金」

特定(産業別)最低賃金とは

最低賃金制度について、多くの方は「都道府県ごとに決まっている時給」というイメージをお持ちかもしれません。しかし実は、最低賃金には以下の2種類が存在します。

① 地域別最低賃金

原則として、すべての労働者に適用される最低賃金です。都道府県ごとに金額が定められており、一般的に「最低賃金」と呼ばれるのはこちらです。

【2025年度の地域別最低賃金】

  • 全国平均:1,121円(2024年度:1,055円)
  • 最高額:東京都 1,226円
  • 最低額:高知県・宮崎県・沖縄県 1,023円
  • 施行期間:2025年10月〜2026年3月(都道府県により異なる)

② 特定(産業別)最低賃金 ← 今回の記事の主役!

特定の産業について、地域別最低賃金よりも高い水準が設定される最低賃金です。労使の話し合い(労働協約)によって、各産業の実態に合った金額が定められています。

【特定最低賃金の特徴】

  • 特定の産業にのみ適用される
  • 地域別最低賃金より高額に設定される
  • 都道府県ごとに対象業種と金額が異なる
  • 対象業種でも一部労働者は除外される場合がある

【超重要】両方適用される場合は「高い方」が優先!

「地域別」と「特定」の両方が適用される労働者には、高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

【具体例:東京都の電子部品製造業で働く場合】

種類 金額(例) 適用
地域別最低賃金(東京都) 1,226円 全労働者に適用
特定(産業別)最低賃金
(電子部品製造業の場合)
1,310円(仮) 対象業種のみ
実際に適用される最低賃金 1,310円 高い方を適用

※上記の特定最低賃金額は説明用の仮の金額です。実際の金額は都道府県・業種により異なります。

特定(産業別)最低賃金の対象となる主な業種

特定最低賃金は、以下のような産業で設定されていることが多いです。ただし、都道府県によって対象業種と金額が異なります。

【製造業】

  • 鉄鋼業(製鉄、製鋼、圧延など)
  • 電子部品・デバイス製造業(半導体、集積回路、液晶パネルなど)
  • 自動車部品製造業(エンジン部品、ブレーキ部品、電装品など)
  • 一般機械器具製造業(工作機械、産業機械など)
  • 電気機械器具製造業(家電、通信機器など)
  • 輸送用機械器具製造業(自動車、航空機、船舶など)
  • 精密機械器具製造業(時計、カメラ、医療機器など)
  • 食料品製造業(製パン、製菓、水産加工など)
  • 繊維工業(紡績、織物、ニットなど)

【小売業】

  • 百貨店・総合スーパー
  • 各種商品小売業

【サービス業】

  • 自動車整備業
  • クリーニング業

※上記はあくまで一例です。都道府県によって対象業種が大きく異なります。

あなたの業種は対象?特定最低賃金を確認する方法

ご自身が働く業種が特定最低賃金の対象かどうかは、厚生労働省の公式サイトで確認できます。

【確認手順】

  1. 厚生労働省「特定(産業別)最低賃金全国一覧」にアクセス
  2. あなたが働く都道府県を選択
  3. 対象業種と金額を確認

📋 厚生労働省 特定最低賃金全国一覧

【都道府県別の特定最低賃金設定例】

都道府県 対象業種例 特定最低賃金額(参考) 地域別最低賃金との差
東京都 鉄鋼業 1,282円 +56円
大阪府 電子部品製造業 1,243円 +66円
愛知県 自動車部品製造業 1,208円 +68円
神奈川県 輸送用機械器具製造業 1,250円 +88円

※上記は2024年度の参考例です。2025年度の最新金額は公式サイトでご確認ください。

特定最低賃金が適用されない場合もある

特定最低賃金は、対象業種で働いていても一部の労働者には適用されない場合があります。

【特定最低賃金が適用されない労働者】

  • 18歳未満または65歳以上の方
  • 雇入れ後6か月未満の方で、技能習得中の方
  • 清掃・片付け業務に主として従事する方

これらに該当する場合は、特定最低賃金ではなく地域別最低賃金が適用されます。

【参考】2025年度 地域別最低賃金 全国一覧

特定最低賃金と比較するために、地域別最低賃金の全国一覧もご確認ください。2026年3月31日には、全47都道府県で新賃金が適用されることになります。

【2026年2月11日現在】2025年10月〜2026年3月施行 都道府県別最低賃金一覧(全都道府県適用中)
都道府県名 2024年
最低賃金額
引上額 全国引上げ
平均額との差額
【現在適用中】
2025年
最低賃金額
施行年月日
北海道 1,010 65 -1 1,075 2025年10月4日
青森 953 76 +10 1,029 2025年11月21日
岩手 952 79 +13 1,031 2025年12月1日
宮城 973 65 -1 1,038 2025年10月4日
秋田 951 80 +14 1,031 2026年3月31日
山形 955 77 +11 1,032 2025年12月23日
福島 955 78 +12 1,033 2026年1月1日
茨城 1,005 69 +3 1,074 2025年10月12日
栃木 1,004 64 -2 1,068 2025年10月1日
群馬 985 78 +12 1,063 2026年3月1日
埼玉 1,078 63 -3 1,141 2025年11月1日
千葉 1,076 64 -2 1,140 2025年10月3日
東京 1,163 63 -3 1,226 2025年10月3日
神奈川 1,162 63 -3 1,225 2025年10月4日
新潟 985 65 -1 1,050 2025年10月2日
富山 998 64 -2 1,062 2025年10月12日
石川 984 70 +4 1,054 2025年10月8日
福井 984 69 +3 1,053 2025年10月8日
山梨 988 64 -2 1,052 2025年12月1日
長野 998 63 -3 1,061 2025年10月3日
岐阜 1,001 64 -2 1,065 2025年10月18日
静岡 1,034 63 -3 1,097 2025年11月1日
愛知 1,077 63 -3 1,140 2025年10月18日
三重 1,023 64 -2 1,087 2025年11月21日
滋賀 1,017 63 -3 1,080 2025年10月5日
京都 1,058 64 -2 1,122 2025年11月21日
大阪 1,114 63 -3 1,177 2025年10月16日
兵庫 1,052 64 -2 1,116 2025年10月4日
奈良 986 65 -1 1,051 2025年11月16日
和歌山 980 65 -1 1,045 2025年11月1日
鳥取 957 73 +7 1,030 2025年10月4日
島根 962 71 +5 1,033 2025年11月17日
岡山 982 65 -1 1,047 2025年12月1日
広島 1,020 65 -1 1,085 2025年11月1日
山口 979 64 -2 1,043 2025年10月16日
徳島 980 66 ±0 1,046 2026年1月1日
香川 970 66 ±0 1,036 2025年10月18日
愛媛 956 77 +11 1,033 2025年12月1日
高知 952 71 +5 1,023 2025年12月1日
福岡 992 65 -1 1,057 2025年11月16日
佐賀 956 74 +8 1,030 2025年11月21日
長崎 953 78 +12 1,031 2025年12月1日
熊本 952 82 +16 1,034 2026年1月1日
大分 954 81 +15 1,035 2026年1月1日
宮崎 952 71 +5 1,023 2025年11月16日
鹿児島 953 73 +7 1,026 2025年11月1日
沖縄 952 71 +5 1,023 2025年12月1日
全国平均 1,055 66 1,121

※2026年3月31日には全47都道府県で新最低賃金が適用完了

最低賃金の確認方法(月給制・日給制の場合)

「最低賃金はパートやアルバイトだけ」と思っていませんか?実は月給制の正社員も対象です。

日給制の確認方法

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

【計算例:東京都で日給10,000円、1日8時間勤務の場合】
10,000円÷8時間=時給1,250円
→東京都の地域別最低賃金1,226円を上回っているため適法

月給制の確認方法

月給÷1か月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

※通勤手当、精皆勤手当、家族手当、住宅手当、時間外手当は計算から除外

【計算例:東京都で月給18万円、年間所定労働日数240日、1日8時間勤務の場合】
(18万円×12か月)÷(240日×8時間)=時給1,125円
→東京都の地域別最低賃金1,226円を下回っているため違法

よくある質問(FAQ)

Q1.特定最低賃金と地域別最低賃金の両方が適用される場合はどうなりますか?

A1.高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。例えば、地域別が1,200円で特定が1,280円の場合、1,280円以上の支払いが必要です。

Q2.自分の業種が特定最低賃金の対象かどうか確認する方法は?

A2.厚生労働省の「特定(産業別)最低賃金全国一覧」でご確認ください。都道府県を選択すると、対象業種と金額が表示されます。

Q3.18歳未満でも特定最低賃金は適用されますか?

A3.いいえ。18歳未満の方には特定最低賃金は適用されず、地域別最低賃金が適用されます。

Q4.パート・アルバイトでも特定最低賃金は適用されますか?

A4.はい。雇用形態に関係なく、対象業種で働く労働者(一部除外者を除く)には特定最低賃金が適用されます。

Q5.特定最低賃金を下回る賃金で働かせた場合の罰則は?

A5.使用者と労働者の間で合意があっても、最低賃金以下の賃金は法律上無効です。最低賃金法40条により50万円以下の罰金が科せられます。

Q6.試用期間中でも特定最低賃金は適用されますか?

A6.はい、原則として適用されます。ただし「最低賃金の減額の特例許可制度」により、使用者が労働局長の許可を受けた場合のみ例外となります。

Q7.出来高払いの場合でも特定最低賃金は適用されますか?

A7.はい、適用されます。出来高払いの賃金総額をその月の労働時間数で割って時給を算出し、最低賃金と比較します。

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詳細な最低賃金に関する情報

最低賃金に関する詳細な情報は、以下の連絡先にお問い合わせください。

【最低賃金についてのお問合せ先】
厚生労働省 最低賃金制度
電話番号:03-5253-1111

参考:厚生労働省「最低賃金制度の概要

参考:厚生労働省「最低賃金制度

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