【東京・飲食業100人超】多店舗展開の労務管理術|離職率を改善した人材育成戦略

公開日: 2026.02.05

【東京・飲食業100人超】多店舗展開の労務管理術|離職率50%を20%に改善した人材育成戦略

東京渋谷の飲食チェーン本部オフィスで離職率とシフト管理に悩む40代男性経営者 - デスクに広げられた各店舗の勤怠データと退職届

「10店舗まで拡大したが、人が辞めすぎて現場が回らない」
多店舗展開を進める飲食企業にとって、高離職率は最大の経営リスクです。離職率40〜50%、店長不足、シフト管理の混乱、未払残業代リスク──こうした労務問題は、売上拡大の足かせとなります。

本記事では、東京の飲食業(100人超・多店舗展開)が直面する労務課題、離職率を改善するための具体的な労務管理手法、変形労働時間制とシフト管理の最適化、実際の改善事例から学ぶ人材定着戦略を、社労士の視点から徹底解説します。持続可能な多店舗展開の実現を目指しましょう。

寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)東京日本橋オフィスで飲食業の労務改善プランを説明する寺田慎也税理士と社労士スタッフ

この記事では、私たち寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)が、
飲食業の離職率改善、多店舗展開の労務体制構築、シフト管理の最適化について解説します。

重要なのは、離職の根本原因を特定し、労務体制を整備することで、人材定着と売上拡大を両立させることです。

当事務所は、飲食業の労務支援実績があり、変形労働時間制の導入からシフト管理システム導入まで、ワンストップでサポートします。

この記事の重要ポイント

飲食業の労務改善で押さえるべき3つのポイント

  1. 離職の根本原因を特定する: 「給与が低い」だけではなく、シフトの不公平感、評価の不透明さ、長時間労働など、複合的な要因を分析する必要があります。
  2. 変形労働時間制を正しく運用する: 飲食業に適した1ヶ月単位の変形労働時間制を導入することで、繁忙期・閑散期に柔軟に対応し、残業代コストを適正化できる可能性があります。
  3. 多店舗でも統一された労務体制: 店舗ごとにバラバラな運用ではなく、本部主導で統一されたシフト管理・勤怠管理・評価制度を構築することが、離職率改善の鍵となります。

目次

東京の飲食業(100人超)が抱える3つの構造的問題

東京で多店舗展開を進める飲食企業(従業員100人超)は、以下の3つの構造的問題に直面しています。これらの問題は、離職率の高さと密接に関係しており、放置すれば事業継続のリスクとなります。

問題1. 離職率40〜50%超の実態

飲食業界の平均離職率は、厚生労働省「雇用動向調査」によると約30%ですが、多店舗展開企業では40〜50%を超えるケースも少なくありません。特に、以下の職種で離職率が高い傾向があります。

職種 離職率の目安 主な離職理由
アルバイト・パート 50〜60% 学業・家庭との両立困難、シフトの不満、時給の低さ
ホール・キッチンスタッフ(正社員) 30〜40% 長時間労働、休日出勤の多さ、キャリアパスの不明確さ
店長・副店長 20〜30% 責任の重さ、長時間労働、本部サポート不足、評価の不透明さ
離職率の計算方法

離職率(%)= 年間離職者数 ÷ 年初の在籍人数 × 100
例:年初100人、年間離職40人の場合 → 離職率40%

問題2. 多店舗展開で労務管理が追いつかない

飲食企業が10店舗を超えると、以下のような労務管理の課題が顕在化します。

  • シフト管理の属人化: 各店舗の店長が独自にシフトを組むため、本部が実態を把握できない
  • 勤怠管理の不統一: 店舗ごとにタイムカード、手書き、LINEなどバラバラな方法で勤怠管理
  • 残業時間の把握漏れ: 閉店後の片付けや仕込み時間が労働時間としてカウントされていない
  • 36協定の未整備: 残業させているのに36協定を締結していない、または特別条項がない
  • 店舗間の情報共有不足: 優秀なスタッフの育成ノウハウが共有されず、離職防止策が属人的

問題3. 人材不足と売上拡大のジレンマ

多店舗展開を進める経営者は、「売上を伸ばしたいが、人が足りない」というジレンマに直面します。

状況 問題
新店舗を出店したい 店長候補が不足しており、既存店舗から引き抜くと既存店が回らなくなる
既存店舗の売上を伸ばしたい 人手不足で営業時間を延長できない、ランチ営業を諦めているケースも
サービス品質を向上させたい 新人の定着率が低く、ベテランスタッフが疲弊。教育する余裕がない
東京渋谷の飲食店厨房で人手不足に疲弊する30代男性店長とアルバイトスタッフ - 繁忙時間帯のキッチン風景

多店舗展開飲食企業の現場で顕在化する人手不足(イメージ)

飲食業の離職を生む5つの労務リスク

飲食業の高離職率には、明確な原因があります。以下の5つの労務リスクが、従業員の不満を蓄積させ、離職を促進しています。

リスク1. シフト管理の混乱(変形労働時間制の誤用・未導入)

問題の実態

飲食業では、平日と週末、ランチとディナーで忙しさが大きく異なります。しかし、多くの企業では以下のような問題が発生しています。

  • 週40時間を超える週が常態化: 変形労働時間制を導入していないため、週40時間を1時間でも超えると残業代が発生
  • シフトの不公平感: 特定のスタッフに負担が偏り、「自分だけ土日ばかり」という不満が蓄積
  • 希望シフトが通らない: 学生アルバイトの試験期間、主婦パートの学校行事などに配慮できず、離職につながる
  • 直前のシフト変更: 急な欠勤対応で、休日予定を変更させられることへの不満

変形労働時間制の活用

飲食業では、1ヶ月単位の変形労働時間制が有効です。これにより、以下のメリットが期待できます。

  • 閑散期(平日、月初など)は1日6時間、週30時間勤務で、月平均で週40時間以内に調整
  • 残業代コストの適正化と、スタッフの働きやすさを両立
重要な注意

変形労働時間制を導入するには、就業規則への記載と労使協定の締結が必要です。また、シフトを1ヶ月前に確定して従業員に周知する必要があります。「なんとなく週40時間を超えても大丈夫」という運用は違法です。

リスク2. 未払残業代(固定残業代の落とし穴)

問題の実態

飲食業では、以下のような理由で未払残業代が発生しがちです。

  • 開店前・閉店後の労働時間: 仕込み、片付け、レジ締めなどが労働時間としてカウントされていない
  • 休憩時間の未取得: 「休憩1時間」と就業規則に書いてあるが、実際は30分しか取れていない
  • 固定残業代の誤用: 「基本給に残業代が含まれる」と主張しているが、雇用契約書に明記されていない
  • 管理監督者の誤認: 「店長だから残業代は不要」という誤解

未払残業代リスクの試算例

未払残業代リスク試算(概算)

前提条件

  • 従業員100人(正社員50人、アルバイト・パート50人)
  • 正社員の平均月給30万円(基本給25万円)
  • 未払残業時間:月平均10時間/人(閉店後作業など)
  • 過去2年分を試算

計算(正社員のみ):

  • 時給換算:25万円÷173時間≒1,445円
  • 残業代単価:1,445円×1.25=1,806円
  • 月額未払残業代:1,806円×10時間=18,060円
  • 1人あたり2年分:18,060円×24ヶ月=433,440円
  • 50人分:約2,167万円

※この試算はあくまで一例です。実際の未払残業代リスクは、企業の状況、固定残業代の有効性、労働時間の把握状況などにより大きく異なります。さらに、付加金(裁判所の裁量により最大同額)、遅延損害金が加算される可能性もあります。

リスク3. 長時間労働の常態化

問題の実態

  • 店長の労働時間: 月間残業時間100時間超のケースも。過労死ラインを超えている
  • 人手不足による長時間労働: 欠勤者が出ると、残ったスタッフでカバーせざるを得ない
  • 36協定の上限違反: 年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満などの上限規制を守れていない

長時間労働がもたらす悪循環

長時間労働 → 疲労蓄積 → サービス品質低下 → 顧客満足度低下 → 売上減少 → さらなる人件費削減 → 人手不足悪化 → 離職率上昇

リスク4. 評価制度の不透明さ

問題の実態

  • 昇給・昇格基準が不明確: 「頑張れば昇給する」という口約束だけで、具体的な基準がない
  • 店長の裁量に依存: 評価が店長の主観に左右され、公平性に欠ける
  • フィードバック不足: 評価結果を伝えるだけで、改善点や次のステップを示さない

不透明な評価がもたらす問題

  • 「どれだけ頑張っても評価されない」という諦め
  • 優秀なスタッフから先に離職(他社でキャリアアップを目指す)
  • モチベーション低下によるサービス品質の低下

リスク5. ハラスメントの放置

問題の実態

  • パワハラの常態化: 厨房での罵倒、皿を投げつけるなどの行為が「当たり前」になっている
  • セクハラの見過ごし: 容姿に関する発言、不必要な身体接触などが放置されている
  • 相談窓口の不在: ハラスメントを相談できる窓口がなく、泣き寝入りするしかない

ハラスメント放置のリスク

  • 若手・女性スタッフの離職率が特に高くなる
  • SNSでの悪評拡散により、採用困難に
  • 労働基準監督署への通報、訴訟リスク
寺田税理士・社会保険労務士事務所東京日本橋オフィスで飲食業の未払残業代リスクを試算する20代女性社労士 - ノートPCに表示される勤怠データ分析

飲食業の労務リスク診断イメージ

多店舗展開で使える労働時間制度設計|変形労働時間制とシフト管理

飲食業の労務管理で最も重要なのが、変形労働時間制とシフト管理の最適化です。ここでは、多店舗展開企業に適した制度設計を解説します。

1ヶ月単位の変形労働時間制とは

変形労働時間制は、1ヶ月以内の一定期間を平均して週40時間以内であれば、特定の日・週に法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させることができる制度です。

飲食業での活用例

労働時間設定 考え方
第1週(月初) 35時間/週 閑散期。早めに退勤し、休日も確保
第2週 40時間/週 通常営業
第3週 48時間/週 週末が繁忙期。週48時間でも残業代発生せず
第4週(月末) 37時間/週 月末調整で平均週40時間以内に
月平均 40時間/週 1ヶ月平均で週40時間以内であればOK

変形労働時間制導入の5つの要件

No. 要件 内容
1 就業規則への記載 変形労働時間制を採用する旨、対象期間、起算日などを就業規則に明記し、労働基準監督署に届け出る
2 労使協定の締結(一部) 就業規則または労使協定等により定める必要がある
3 シフトの事前確定・周知 1ヶ月前までに各日・各週の労働時間を確定し、従業員に周知する。「後から調整」は不可
4 平均週40時間以内 対象期間(1ヶ月)を平均して週40時間以内(特例措置対象事業場は週44時間)
5 労働時間の上限 1日の労働時間は原則10時間以内、1週間の労働時間は52時間以内が目安
シフトの事前確定が最大の課題

変形労働時間制の導入で最も難しいのが、「1ヶ月前にシフトを確定する」ことです。飲食業では、直前の予約状況や欠勤に応じてシフトを調整したいニーズがありますが、変形労働時間制ではそれが認められません。現実的な運用方法としては、「基本シフトは1ヶ月前に確定し、微調整は残業扱いにする」「変形労働時間制と通常の労働時間制を職種・店舗で使い分ける」などの工夫が考えられます。

シフト管理の最適化5つのポイント

No. ポイント 内容
1 クラウドシフト管理システム導入 紙やExcelから脱却し、クラウドシステム(Airシフト、シフオプなど)で本部が全店舗のシフトを一元管理。希望シフト提出→自動調整→承認のフローを構築
2 希望シフトの尊重 「月○日以上の希望は必ず通す」などのルールを明確化。学生の試験期間、主婦の学校行事などに配慮することで、定着率が向上する傾向
3 シフトの公平性確保 「土日出勤は持ち回り」「早番・遅番のバランス」など、公平性のルールを設定。データで可視化し、偏りを防ぐ
4 急な欠勤への対応フロー 「代わりに出勤した人には手当支給」「店舗間ヘルプの仕組み」など、欠勤時の対応ルールを整備。特定の人に負担が集中しないようにする
5 シフト調整の透明性 シフトが決まった理由を説明できるようにする。「なぜ自分の希望が通らなかったのか」が分かれば、納得感が生まれやすい
東京渋谷の飲食チェーン本部オフィスでクラウドシフト管理システムを操作する30代女性人事担当者 - 大型モニターに全店舗のシフト表を表示

多店舗シフト管理の最適化イメージ

離職率改善に向けた5つの具体的施策

離職率を改善するには、複数の施策を組み合わせて、従業員満足度を総合的に高める必要があります。ここでは、実際に効果が期待できる5つの施策を紹介します。

施策1. 透明性の高いシフト管理

前述のクラウドシフト管理システムの導入に加え、以下の取り組みが有効です。

  • シフト希望の締切を明確化: 「毎月20日までに翌月のシフト希望を提出」などのルールを徹底
  • シフト確定の早期化: 「毎月25日にはシフト確定」など、早めに通知することでプライベートの予定が立てやすくなる
  • シフト変更のルール化: 「確定後の変更は原則不可。やむを得ない場合は代わりを自分で探す」などのルールを設定

施策2. 公平な評価制度の構築

飲食業では、評価制度が曖昧なケースが多いですが、以下のような仕組みを導入することで、離職率改善が期待できます。

評価項目 評価基準の例
スキル 調理技術、接客スキル、レジ操作など、習得したスキルを段階別に評価
勤怠 遅刻・欠勤の回数、シフト遵守率など
貢献度 新人教育、クレーム対応、売上貢献など
チームワーク 同僚との協力、コミュニケーション

評価制度導入のポイント

  • スキルマップの作成: 「ホール初級→中級→上級」「キッチン見習い→一人前→チーフ」など、段階を明確化
  • 昇給・昇格基準の明示: 「中級スキル習得で時給+50円」など、数値で示す
  • 半年ごとの評価面談: 店長が1対1で面談し、フィードバックと次の目標を設定

施策3. 店長育成プログラムの整備

多店舗展開では、店長の質が離職率を大きく左右します。店長育成プログラムの整備が重要です。

店長育成プログラムの例

段階 内容
副店長候補 店舗運営の基礎、シフト管理、在庫管理、クレーム対応などを学ぶ。OJT中心
副店長 店長不在時の代行、スタッフ育成、売上分析などを実践。月1回の本部研修
店長候補 他店舗での研修、模擬店長業務、労務管理・衛生管理の集中研修
店長 独立店舗の運営責任者。定期的なマネジメント研修、他店長との情報共有会

店長のマネジメント力向上施策

  • 月1回の店長会議: 成功事例の共有、課題の相談、本部からの情報提供
  • 外部研修の活用: リーダーシップ、ハラスメント防止、労務管理などの研修受講
  • 店長のメンター制度: ベテラン店長が新任店長をサポート

施策4. キャリアパスの明示

「この会社で働き続けると、どんなキャリアが描けるのか」が見えないと、若手は離職してしまいます。

キャリアパスの例

現在の職位 キャリアパスの選択肢
アルバイト・パート → 正社員登用 → 副店長 → 店長
または
→ 専門職(料理長、ソムリエなど)
店長 → エリアマネージャー(複数店舗統括)
→ 本部スタッフ(人事、商品開発など)
→ 新業態の店舗開発責任者

キャリアパス明示の方法

  • 入社時のオリエンテーション: キャリアパス資料を配布し、説明
  • 年1回のキャリア面談: 「将来どうなりたいか」を聞き、必要なスキル・経験を提示
  • 社内公募制度: 本部スタッフやエリアマネージャーのポジションを社内公募

施策5. ハラスメント防止体制の構築

2020年6月施行のパワハラ防止法により、企業にはハラスメント防止措置義務があります。

ハラスメント防止の3ステップ

No. ステップ 内容
1 就業規則への明記 ハラスメント禁止規定、懲戒処分を就業規則に明記
2 相談窓口の設置 本部人事部または外部の専門機関に相談窓口を設置。全従業員に周知
3 研修の実施 店長・副店長向けのハラスメント防止研修を年1回以上実施
東京渋谷の飲食店オフィスで店長育成研修を受ける30代男性店長候補たち - ホワイトボードに評価制度とキャリアパスを記載

店長育成プログラムのイメージ

【事例】渋谷イタリアン10店舗(従業員120人)の労務改善ケーススタディ

※本事例は、当事務所の支援実績を基にした仮想事例です。実際の企業名・数値は変更しています。また、記載されている改善効果は、この事例における結果であり、すべての企業で同様の効果を保証するものではありません。企業の状況、業種、規模、取り組み内容などにより結果は異なります。

ここでは、実際に当事務所がサポートした渋谷のイタリアンレストランチェーン(仮称:G社、従業員120人)の労務改善事例を紹介します。

G社の基本情報

項目 内容
業種 イタリアンレストラン(カジュアルダイニング)
店舗数 10店舗(東京都内)
従業員数 120人(正社員40人、アルバイト・パート80人)
所在地 東京都渋谷区(本部)
年商 約12億円

BEFORE:労務体制の問題点

問題点 内容
離職率52%(年間) 正社員30%、アルバイト・パート65%。特に入社3ヶ月以内の離職が多い
店長不足で新規出店できず 店長候補が育たず、2年間新規出店なし。既存店も店長不在の店舗あり
シフト管理が店長任せ Excelと紙で管理。本部が実態を把握できず、シフトの不公平感が蔓延
未払残業代リスク約2,500万円 閉店後作業、休憩未取得が常態化。固定残業代も雇用契約書に不明確
変形労働時間制未導入 週末の長時間労働で残業代が膨らむ。残業代コスト:年間約5,000万円
評価制度なし 昇給・昇格基準が曖昧。「頑張っても評価されない」という不満

支援内容:6ヶ月で労務体制を構築

月次 支援内容
1ヶ月目 労務監査・離職原因分析:全従業員アンケート(匿名)、退職者ヒアリング、勤怠記録精査。離職原因の特定と優先課題の洗い出し
2ヶ月目 変形労働時間制の導入準備:就業規則改定、労使協定締結(過半数代表者選出)、労働基準監督署への届出。シフトパターン設計
3ヶ月目 クラウドシフト管理システム導入:全店舗で「Airシフト」導入。店長・スタッフ向け操作研修。1ヶ月前のシフト確定フロー構築
4ヶ月目 評価制度・キャリアパス構築:スキルマップ作成、昇給・昇格基準の明確化、半年ごとの評価面談制度導入。店長向け評価者研修
5ヶ月目 店長育成プログラム開始:副店長候補10名選抜。月1回の本部研修、他店舗研修、OJT。店長会議を月1回定例化
6ヶ月目 ハラスメント防止体制整備:就業規則にハラスメント禁止規定追加、外部相談窓口契約、店長向けハラスメント防止研修実施

AFTER:労務体制構築後の変化(1年後)

※以下の数値は、この事例企業における結果です。すべての企業で同様の効果を保証するものではなく、企業の状況により結果は異なります。

成果指標 BEFORE→AFTER
離職率 年52%→年24%(▲54%改善)
入社3ヶ月以内離職率 40%→12%(▲70%改善)
店長候補育成 0人→5人(副店長昇格)
残業代コスト 年間5,000万円→年間3,200万円(▲36%、年間1,800万円削減相当)
平均残業時間 月35時間→月22時間(▲37%)
従業員満足度(5点満点) 2.3点→3.8点(+1.5点)
売上 年12億円→年13.8億円(+15%)
新規出店 2年間なし→1年で2店舗出店

投資対効果(ROI)の試算例

※以下はこの事例における試算です。実際の費用対効果は企業により異なります。

項目 金額
社労士顧問料(年間) 240万円
システム導入費 60万円(初期)+ 年間120万円(運用)
投資合計(年間) 420万円
残業代コスト削減 1,800万円相当
採用コスト削減(離職率低下) 300万円相当
売上増加による粗利増 540万円相当(粗利率30%想定)
効果合計(年間) 2,640万円相当
ROI(投資対効果) 約6.3倍

※効果は企業規模・業種・状況により異なります。この試算は当該事例における結果であり、すべての企業で同様の効果を保証するものではありません。

東京渋谷のイタリアンレストラン店舗で離職率改善後に笑顔で働く20代女性ホールスタッフと30代男性店長 - 明るい店内でチームワーク良く接客

労務改善後の職場環境イメージ

飲食業が活用できる助成金3選

飲食業の労務改善には、国の助成金を活用することで、費用負担を軽減できる可能性があります。ここでは、活用しやすい3つの助成金を紹介します。

1. 働き方改革推進支援助成金(例:労働時間短縮・年休促進支援コース等)

項目 内容
目的 時間外労働の削減、年次有給休暇の取得促進など、働き方改革に資する取組を支援
対象 中小企業事業主など(コースごとに要件あり)
助成額 取組に要した経費の一部を助成(補助率:原則3/4。条件により4/5の場合あり)。支給上限額は、設定する成果目標等により異なります。
飲食業での活用例 労務管理の見直し、就業規則・運用整備、外部専門家の活用、制度導入・運用改善など
※支給要件・対象経費・上限額はコースや年度で変わるため、最新要件は厚労省の案内で確認してください。

2. キャリアアップ助成金

項目 内容
目的 非正規雇用労働者のキャリアアップを支援
対象 アルバイト・パートを正社員に転換、賃金引き上げなど
助成額 正社員化コース:1人あたり57万円〜80万円
賃金規定等改定コース:1人あたり数万円〜
飲食業での活用例 優秀なアルバイトを正社員登用し、助成金を受給

3. 両立支援等助成金

項目 内容
目的 仕事と家庭の両立支援に取り組む企業を支援
対象 育児休業取得促進、介護休業取得促進など
助成額 育児休業等支援コース:28.5万円〜(中小企業)
※取組内容により異なる
飲食業での活用例 主婦パートの育児休業取得促進、復帰支援制度構築
助成金申請の注意点

助成金は後払いが原則です。先に施策を実施し、効果が出た後に申請・受給となります。また、申請には詳細な計画書や実績報告が必要で、社労士のサポートが推奨されます。助成金の要件は頻繁に変更されるため、最新情報は厚生労働省ホームページまたは社労士にご確認ください。

飲食業が社労士を選ぶ5つの基準

飲食業の労務改善には、業界に精通した社労士の選定が重要です。以下の5つの基準を参考にしてください。

基準1. 飲食業の労務支援実績がある

飲食業特有の課題(シフト管理、変形労働時間制、高離職率など)に精通している社労士を選びましょう。「飲食業の支援実績〇〇社」など、具体的な実績を確認することが重要です。

基準2. 多店舗展開企業のサポート経験

1店舗と10店舗では、労務管理の複雑さが全く異なります。多店舗展開企業の労務体制構築経験がある社労士を選びましょう。

基準3. システム導入支援ができる

クラウドシフト管理システム、勤怠管理システムなど、ITツールの導入支援ができる社労士であれば、労務改善がスムーズに進みます。

基準4. 助成金申請サポートができる

人材確保等支援助成金、キャリアアップ助成金など、飲食業で活用できる助成金に詳しい社労士を選びましょう。

基準5. 透明性の高い料金体系

飲食業の社労士顧問料は、月額5万円〜15万円程度が相場です(従業員100人規模の場合)。当事務所は、初回相談無料、見積もり提示後の追加料金なしで対応します。

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飲食業に強い専門家との相談イメージ

よくある質問(Q&A)

Q1. 飲食業の平均離職率はどのくらいですか?

A1. 厚生労働省「雇用動向調査」によると、宿泊業・飲食サービス業は他産業と比べて入職率・離職率が高い傾向が示されている。ただし、これは業界平均であり、多店舗展開企業では40〜50%を超えるケースもあります。特にアルバイト・パートの離職率が高く、60%を超える企業も珍しくありません。

Q2. 変形労働時間制を導入すれば、必ず残業代が減りますか?

A2. 必ずしもそうとは限りません。変形労働時間制は、繁閑の差が明確な企業において、適切に運用すれば残業代コストの適正化が期待できる制度です。ただし、①シフトを1ヶ月前に確定する、②月平均で週40時間以内に収める、などの要件を満たす必要があります。また、導入後も実際の労働時間が想定を超えれば、残業代は発生します。制度導入の効果は、企業の状況により異なります。

Q3. 離職率を改善するには、どのくらいの期間が必要ですか?

A3. 一般的に6ヶ月〜1年程度が目安です。シフト管理システム導入や評価制度構築などの「仕組み」は数ヶ月で整備できますが、従業員の満足度向上や定着率改善は、施策の継続と定着が必要です。本記事で紹介した事例では、6ヶ月の支援期間を経て、1年後に離職率が大幅に改善しましたが、これはあくまで一例であり、企業の状況により期間は異なります。

Q4. アルバイト・パートにも評価制度は必要ですか?

A4. はい、必要です。飲食業では、アルバイト・パートが労働力の大半を占めるため、彼らのモチベーション向上が重要です。「スキルに応じて時給アップ」「優秀なアルバイトは正社員登用」など、明確なキャリアパスを示すことで、定着率向上が期待できます。評価制度がないと、「どれだけ頑張っても同じ」という不満が蓄積し、離職につながります。

Q5. 店長の長時間労働を減らすには、どうすればいいですか?

A5. ①副店長・店長候補の育成、②本部サポートの強化、③業務の標準化・効率化の3つが有効です。店長一人に全責任を押し付けるのではなく、副店長に権限委譲し、本部が店舗運営をサポートする体制を構築することが重要です。また、発注・在庫管理・シフト作成などをシステム化し、店長の業務負担を軽減することも効果的です。

Q6. 飲食業で助成金を受給するのは難しいですか?

A6. 社労士のサポートがあれば、受給できる可能性があります。助成金は、要件が複雑で、計画書や実績報告の作成が必要です。また、施策を実施した後に申請するため、事前に計画を立てる必要があります。飲食業に精通した社労士であれば、適切な助成金の選定から申請までサポートできます。当事務所でも、飲食業の助成金申請支援実績があります。

Q7. 社労士の費用はどのくらいですか?

A7. 飲食業(従業員100人規模)の場合、月額5万円〜15万円程度が相場です。店舗数、従業員数、サポート内容(給与計算、助成金申請など)により変動します。当事務所では、初回相談無料、見積もり提示後の追加料金なしで対応します。まずはお気軽にご相談ください。

まとめ:持続可能な多店舗展開を実現するために

東京の飲食業(100人超・多店舗展開)にとって、離職率改善は最重要課題です。シフト管理の最適化、変形労働時間制の導入、評価制度の構築、店長育成プログラムなど、複数の施策を組み合わせることで、人材定着と売上拡大の両立が期待できます。

ただし、これらの施策は「導入すれば必ず成功する」というものではありません。企業の状況、業種、規模、取り組み内容などにより、効果は異なります。重要なのは、自社の離職原因を正確に把握し、優先課題から着実に改善していくことです。

私たち寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)は、飲食業の労務支援実績があり、多店舗展開企業の労務体制構築から助成金申請まで、ワンストップでサポートします。税理士と社労士のダブルライセンスで、税務と労務を一括で対応可能です。離職率改善にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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※本記事は作成日時点の情報に基づき作成しております。法改正等により内容が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。具体的なご相談は専門家までお問い合わせください。また、本記事で紹介した事例は、当該企業における結果であり、すべての企業で同様の効果を保証するものではありません。

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未払残業代の請求や解雇など金銭トラブルに発展してしまうケースは後を絶ちません。
100名以上の企業で”本当に役立つ社労士の選び方”を、専門家が解説しています。

▶ 100人超え企業に潜む!人事担当者が抱える誰にも言えないリスクの正体 ▶

大規模企業の労務体制
「100名を超えたら、労務体制の”見直しどき”かもしれません」

ここ数年で従業員が増えた、拠点が増えた、制度が複雑化してきた。
それでも、以前と同じ社労士体制のまま──
そんな企業に、“人事トラブルの連鎖”“労基署是正”が起きている現実があります。
企業規模に合った労務体制を整えることが、次の成長の土台に。
貴社は、本当に”今のままで大丈夫”ですか?

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給与計算締め日見直し
「給与計算、なんで毎月こんなにしんどいんだろう?」

勤怠の集計に追われ、締切に怯え、月末は休む暇もない。


それ、もしかすると「締め日と支払い日」が原因かもしれません。

100人以上の企業の人事担当者が実践した、
「締め支払日の見直し」成功事例と落とし穴を徹底解説しました。
▶ 給与計算のストレス、構造から見直しませんか? ▶

中小企業の労務の困りごと
「その困りごと、どこに相談していますか?」

社会保険手続き、給与計算、労使トラブル、離職率、法改正対応…
日々の労務業務に追われている——でも、相談先がない。
そんな中小企業の経営者・人事担当者の皆様へ。
手続き・給与計算・トラブル予防・人材定着・助成金活用まで、
“よくある困りごと”を、社労士がどう解決してきたか、
リアルな解決事例とともにご紹介します。

▶ 中小企業の”労務の悩み”、解決事例を見てみる ▶

人事リスク相談
「このままでは、取り返しがつかないかも…」

未払残業代や若手社員の離職、ハラスメントの蔓延、制度形骸化…
それは、“一担当者の悩み”ではなく、企業の根幹を揺るがす問題です。

でも大丈夫。今この瞬間から、立て直すことはできます。
寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)は、
100人超企業の人事リスクに特化したプロフェッショナルチーム
実態調査、制度設計、法対応、人材定着策までワンストップで支援します。

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記事監修

【記事監修】
寺田慎也(てらだ しんや)
税理士・特定社会保険労務士
寺田税理士事務所 / 社労士法人フォーグッド / 株式会社フォーグッドコンサルティング 代表

【専門分野】
税務顧問、確定申告、税務調査対応、社会保険手続き、給与計算、労務相談、飲食業労務支援、助成金申請支援

【保有資格】
税理士、特定社会保険労務士

【組織体制】
創業75年の実績を持つ専門家集団。スタッフ20名、税理士4名・社労士6名(うち特定社労士2名)が在籍し、大阪・東京の2拠点で全国450社以上の企業をサポート。

【代表者の実績・メディア掲載】

  • テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」専門家として複数回出演(2024年5月・6月、2025年8月)
  • アイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門 4年連続全国1位
  • 中央経済社『税務弘報』にて連載執筆中「新・労務知識アップデート講座」
  • 著書:『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』(幻冬舎、2018年)
  • 著書:『雇用関係助成金申請・手続マニュアル』(日本法令、2020年)

参考資料(一次情報)

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