【2026年10月】パート106万円の壁が消滅|社会保険加入拡大の全スケジュールと企業が今すぐすべき対策
公開日: 2026.02.02
最終更新日: 2026.01.31



「パートの社会保険加入義務が拡大されると聞いたが、うちはいつから対象なのか?」
「年収106万円の壁や130万円の壁はどう変わるのか?」
中小企業の経営者様や、パート・アルバイトとして働く方々から、このようなご相談を毎日のようにいただきます。
結論から申し上げますと、これまでの「年収の壁」対策は、今後数年で通用しなくなります。
令和7年の法改正により、企業規模要件の段階的な撤廃と、賃金要件(月額8.8万円)の実質的な撤廃が決まりました。これにより、将来的に「週20時間以上働く人は、会社の規模に関わらず原則全員加入」という時代が到来します。

この記事では、私たち寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)が、
厚生労働省の最新資料に基づき、複雑なスケジュールを整理し、経営者と労働者が今すぐ準備すべきことを徹底解説します。
重要なのは、段階的な適用拡大スケジュールを見据え、早期の経営対策と従業員へのライフプラン見直し支援です。
当事務所は、創業75年、450社以上の実績で、貴社の従業員数や賃金体系に基づいたシミュレーションや、最適な導入時期のアドバイスを行います。
目次
- 最大の変更点:「賃金要件」の撤廃と「自動加入」の衝撃
- 企業規模要件は「10年かけて完全撤廃」へ
- 強制適用を待たずに「任意加入」するメリットと支援策
- 短時間労働者が知っておくべき「4つの加入要件」
- よくある質問(Q&A)
- まとめ:変化を恐れず、ライフプランを見直しましょう
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1. 最大の変更点:「賃金要件」の撤廃と「自動加入」の衝撃
これまでの社会保険加入要件の一つに、「所定内賃金が月額8.8万円以上(年収約106万円)」という基準がありました。しかし、この基準は令和8年(2026年)10月を目途に撤廃されます。
1-1. 最低賃金1,016円超で「年収の壁」は消滅する
なぜ賃金要件が撤廃されるのでしょうか。それは、最低賃金の上昇が理由です。
現在、すべての都道府県で地域別最低賃金が時給1,016円を超えた場合、週20時間以上働くと、計算上自動的に月額賃金は8.8万円を超えます。
計算例:
- 時給1,016円×週20時間×4.3週(1ヶ月の平均週数)≒8.7万円強
- 実働日数により8.8万円を超える
厚生労働省の資料によれば、最低賃金の上昇により、週20時間以上働く方は、自動的に社会保険の加入要件を満たすため、賃金要件を意識する必要がなくなります。
つまり、これまでは「時給が高いから労働時間を調整して扶養内に収める」という選択が可能でしたが、今後は「週20時間以上契約=社会保険加入」というシンプルな図式になります。
1-2. 令和8年(2026年)10月の法改正
上記の経済状況を踏まえ、法律上も令和8年(2026年)10月に賃金要件そのものが撤廃される予定です。
「まだ先の話だ」と油断してはいけません。実務上は、お住まいの地域の最低賃金が上がった時点で、すでに「自動加入」の状態になっている可能性が高いからです。ご自身の時給と労働契約時間を、今すぐ確認してください。
専門家のアドバイス
例外として、最低賃金法に基づく「減額特例」の許可を受けている方などで、月額8.8万円未満となる場合は、原則として加入対象外となります。障害者就労支援の現場などではこの特例が該当するケースがありますので、事業所への確認が必要です。
最低賃金上昇による「年収の壁」消滅を検討するイメージ
2. 企業規模要件は「10年かけて完全撤廃」へ
現在、社会保険の強制適用となるのは「従業員数51人以上」の企業です。しかし、この「企業規模要件」も段階的に引き下げられ、最終的には撤廃されます。小規模事業者の皆様は、以下のスケジュールを必ず把握し、資金繰りや労務管理の準備を進めてください。
2-1. 適用拡大の確定スケジュール
厚生労働省が公表したスケジュールは以下の通りです。10年かけて、従業員数10人以下の企業まで対象が広がります。
| 施行時期 | 対象となる企業規模(厚生年金被保険者数) |
|---|---|
| 現在 | 51人以上 |
| 令和9年(2027年)10月〜 | 36人以上 |
| 令和11年(2029年)10月〜 | 21人以上 |
| 令和14年(2032年)10月〜 | 11人以上 |
| 令和17年(2035年)10月〜 | 10人以下(全規模へ拡大) |
2-2. 従業員数のカウント方法に注意
ここでいう「従業員数」とは、現在の厚生年金の被保険者数のことを指します。パート・アルバイトを含めた総人数ではありませんが、適用拡大によって新たに加入対象者が増えれば、その分「従業員数」も増え、基準に到達する時期が早まる可能性があります。
ギリギリの人数で運営している事業所は注意が必要です。「うちはまだ20人だから大丈夫」と思っていても、正社員の採用などで21人になった瞬間から、パート社員も含めた加入義務が発生する可能性があります。毎月の被保険者数チェックをルーティン化しましょう。
社会保険適用拡大への対策を寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)と検討する経営者(イメージ)
3. 強制適用を待たずに「任意加入」するメリットと支援策
「法改正を待つべきか、早めに加入させるべきか」と悩む経営者様も多いでしょう。実は、国は早期の加入を推奨しており、手厚い支援策を用意しています。
3-1. 労使合意による任意加入制度
企業規模要件を満たさない企業であっても、従業員の2分の1以上の同意があれば、任意で社会保険に加入(適用事業所化)することができます。
人材確保の観点から、「社会保険完備」を求人票に記載するために、あえて早期に適用事業所となるケースも増えています。
3-2. 「年収の壁・支援強化パッケージ」等の活用
新たに社会保険に加入する短時間労働者の手取り減少を防ぐため、事業主が保険料の一部を肩代わりしたり、手当を支給したりするケースがあります。
これに対し、令和8年(2026年)10月以降に任意加入する場合などにおいて、事業主が負担した分を国が制度的に支援する(保険料調整制度)措置が実施されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支援期間 | 3年間 |
| 支援内容 | 事業主負担分に対する公的な支援 |
経営者としては、コスト増は避けられませんが、支援策を活用することで衝撃を和らげつつ、従業員の定着率向上を図ることが可能です。
社会保険加入適用拡大|寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)にて支援策を活用した任意加入を検討するイメージ
4. 短時間労働者が知っておくべき「4つの加入要件
今後の社会保険加入の基準を整理します。短時間労働者が社会保険に加入する場合、次の4つの要件を全て満たす必要があります。
| No. | 加入要件 |
|---|---|
| 1 | 週の所定労働時間が20時間以上であること |
| 2 | 所定内賃金が月額8.8万円以上であること ※令和8年10月に撤廃予定だが、最低賃金増で実質無効化 |
| 3 | 勤め先が適用対象の企業規模であること ※段階的に拡大中 |
| 4 | 学生ではないこと |
4-1. 「20時間」が最大の分かれ目になる
賃金要件が撤廃され、企業規模要件もなくなっていく未来において、唯一残る大きな基準が「週20時間以上」という労働時間です。
| 労働時間 | 社会保険の扱い |
|---|---|
| 週20時間以上働く | 社会保険(厚生年金・健康保険)に加入。将来の年金が増え、保障が手厚くなる。 |
| 週20時間未満で働く | 原則加入対象外。配偶者の扶養(第3号被保険者)や、国民年金・国民健康保険の対象となる。 |
これまでは「年収を調整する」ことが一般的でしたが、これからは「週の労働時間を20時間未満にするか、20時間以上にして社会保険に入るか」という「時間の選択」が重要になります。
5. よくある質問(Q&A)
実務現場で頻繁に受ける質問について、正確な知識を回答します。
Q1. 週20時間未満なら、いくら稼いでも扶養のままですか?
A1. いいえ、年収130万円の壁は残ります。
週20時間未満で働き、会社の社会保険に入らない場合でも、年収が130万円以上になると、配偶者の扶養(第3号被保険者・健康保険の被扶養者)から外れることになります。この場合、自分で国民年金と国民健康保険に加入し、保険料を全額負担しなければなりません。
「週20時間未満かつ年収130万円未満」が、扶養に留まるための条件となります。
Q2. 繁忙期だけ週20時間を超えてしまった場合はどうなりますか?
A2. 一時的な超過であれば加入不要な場合がありますが、注意が必要です。
契約上の所定労働時間が20時間未満であれば、残業等で一時的に超えたとしても直ちに加入とはなりません。しかし、「週20時間以上で働く状況が2ヶ月を超えて続くようであれば」、実態として常態化しているとみなされ、加入対象となることがあります(※取扱いの詳細については年金事務所等の判断によりますが、実務上はこの「2ヶ月ルール」が目安とされています)。
Q3. 個人事業主の事務所で働いています。今回の改正は関係ありますか?
A3. はい、関係あります。適用業種が大幅に拡大されます。
現在、個人事業所の場合は「法定17業種」かつ「常時5人以上使用」の場合のみ強制適用です。しかし、今回の改正により、業種に関わらず常時5人以上の従業員を使用する個人事業所へと適用範囲が拡大されます。
※ただし、2029年10月の施行時点で既に存在している事業所については、当分の間対象外とする経過措置があります。新規開業や、今後採用を増やす個人事業主の方は要注意です。
Q4. 社会保険に加入すると、手取りはどのくらい減りますか?
A4. 月給10万円の場合、約1.5万円程度の社会保険料負担が発生します。
ただし、厚生年金に加入することで、将来受け取る年金額は増加します。また、傷病手当金・出産手当金などのセーフティネットも利用できるようになります。目先の手取り減少だけでなく、将来の安心も含めて総合的に判断することが重要です。
Q5. 扶養から外れると、配偶者の税金はどうなりますか?
A5. 配偶者控除・配偶者特別控除が受けられなくなる可能性があります。
配偶者の年収が103万円を超えると配偶者控除が、201万円を超えると配偶者特別控除が受けられなくなります。社会保険の扶養(130万円の壁)とは別の基準ですので、税金と社会保険の両方を考慮したライフプラン設計が必要です。
6. まとめ:変化を恐れず、ライフプランを見直しましょう
今回の法改正は、単なる「負担増」ではありません。厚生年金への加入は、将来受け取る年金額の増加や、傷病手当金・出産手当金といったセーフティネットの強化につながります。
労働者の方へ
「手取りが減るから損」と決めつけず、将来の安心と天秤にかけて働き方を検討してください。週20時間を超えてしっかり働き、キャリアアップを目指すのも一つの選択です。
経営者の方へ
人件費の増加は避けられない課題ですが、避けて通ることはできません。段階的な適用拡大スケジュールを見据え、生産性の向上や価格転嫁、助成金の活用など、早期の経営対策が求められます。
当事務所では、貴社の従業員数や賃金体系に基づいたシミュレーションや、最適な導入時期のアドバイスを行っております。不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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記事監修
【記事監修】
寺田慎也(てらだ しんや)
税理士・特定社会保険労務士
寺田税理士事務所 / 社労士法人フォーグッド / 株式会社フォーグッドコンサルティング 代表
【専門分野】
税務顧問、確定申告、税務調査対応、社会保険手続き、給与計算、労務相談、補助金・助成金申請支援
【保有資格】
税理士、特定社会保険労務士
【組織体制】
創業75年の実績を持つ専門家集団。スタッフ20名、税理士4名・社労士6名(うち特定社労士2名)が在籍し、大阪・東京の2拠点で全国450社以上の企業をサポート。
【代表者の実績・メディア掲載】
- テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」専門家として複数回出演(2024年5月・6月、2025年8月)
- アイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門 4年連続全国1位
- 中央経済社『税務弘報』にて連載執筆中「新・労務知識アップデート講座」
- 著書:『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』(幻冬舎、2018年)
- 著書:『雇用関係助成金申請・手続マニュアル』(日本法令、2020年)

4年連続:おすすめ事務所 実績部門『全国1位』
私たち 寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)は、2023年、2024年、2025年に続き、2026年も「実績部門 全国1位」に選出されました。
この結果に甘んじることなく、税務と労務のワンストップ支援で、日本中のお客様に貢献できるよう努めてまいります。










