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2023年10月からの「年収の壁」対策!50万円の助成金とその他の変更点

解説!年収の壁・支援強化パッケージと50万円の助成金について

はじめに

「こども未来戦略方針」のもと、令和5年9月に厚生労働省が発表した「年収の壁・支援強化パッケージ」は、日本の経済構造を改善し、成長と分配の好循環を実現するための取り組みの一環です。令和5年は30年ぶりの高水準の賃上げと、全国平均で政府目標の1,000円を達成したことは大きな話題となっています。しかし、一方で中小企業や小規模事業者を含めた幅広い賃上げ波及を促進し、短時間労働者も含めた労働環境の改善が必要です。さらに、2040年までに労働人口が急減する中、人手不足への対応も急務とされています。このパッケージは、これらの課題に対処し、労働環境の改善を進めることを目的として創設されました。

現状と課題解決の方向性

 現在、社会保険料の負担がない配偶者のうち約4割が就労しています。しかし、一定以上の収入(106万円または130万円)に達すると、社会保険料の負担が発生し、一方で企業の配偶者手当などが受けられなくなるため、収入が減少することがあります。この問題に対処するため、「106万円・130万円の壁」を意識せずに働くことができる環境を整備し、人手不足への対策を進めていく必要があります。

具体策

1. 106万円の壁への対応

 キャリアアップ助成金のコースの新設:短時間労働者が被用者保険に加入して働き続けることは、労働者の処遇改善やキャリアアップにつながります。企業が年収の壁を超える際の労働者負担分の保険料を助成するため、キャリアアップ助成金を拡充されます。社会保険の適用となった場合、最大3年にわたり、一定期間の助成を行います。この助成対象となる労働者の収入増加には、賃上げや所定労働時間の延長、社会保険適用促進手当の支給も含まれます。さらに、支給申請の手続きを簡素化し、事務負担を軽減します。

 社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外: 被用者保険の適用を促進するため、適用されていなかった労働者が新たに適用となった場合、事業主は給与・賞与とは別に「社会保険適用促進手当」を支給できるようにします。同手当により、標準報酬月額・標準賞与額の一定割合が追加支給される場合、キャリアアップ助成金の対象となります。また、被用者保険の適用に伴う労働者負担分の保険料相当額を上限とし、最大2年間にわたり、労働者の標準報酬月額・標準賞与額の算定から除外します。同条件で働く他の労働者にも同水準の手当を支給する場合、同様の取扱いとなります。

2. 130万円の壁への対応

 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化: 被用者保険の被扶養者の認定において、収入が一時的に増加し、年収の見込みが130万円以上となる場合、被扶養者認定を取り消すのではなく、将来の収入見込みを総合的に判断するよう改善します。労働者の一時的な収入変動に伴う証明を提出し、迅速な認定を可能とします。

3. 配偶者手当への対応

 企業の配偶者手当の見直し促進: 配偶者手当の収入要件が就業調整の要因となっているため、労働契約法や判例に留意しながら、企業が見直しを進めるための手順を明示します。労使の話合いを通じて、令和6年春の賃金見直しに向けて、中小企業においても配偶者手当の見直しが進むよう、支援と情報提供を行います。また、各地域でセミナを開催し、中小企業団体を通じて情報普及を図ります。

キャリアアップ助成金について

 キャリアアップ助成金は、短時間労働者が年収の壁を超えるための支援策の一環です。この助成金は、短時間労働者が新たに被用者保険の適用となる際、その収入を増加させるための取り組みを行った事業主に対して、最大で50万円の助成金を提供します。助成対象となる取り組みには、賃上げや所定労働時間の延長のほか、社会保険適用促進手当の支給も含まれます。また、支給申請の手続きは簡素化され、事務負担を軽減します。この助成金は、労働者にとって有益な支援策の一環として提供され、より多くの労働者が年収の壁を感じずに働ける環境を整備する手助けとなることを期待します。

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shinya