【2025年版】年収別手取り早見表|配偶者控除123万円・所得税160万円の新制度完全ガイド

公開日: 2025.11.27

2025年の税制改正で、配偶者控除の上限が103万円から123万円に、配偶者特別控除の満額ラインが150万円から160万円に引き上げられました。しかし「実際に手取りはいくらになるのか?」「130万円の壁を超えるべきか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、以下の内容が分かります。

  • 年収100万円~200万円の手取り額シミュレーション(主婦・パート編)
  • 学生アルバイトの手取り額と親への影響(学生編)
  • 130万円の壁を超えると損?損益分岐点155万円の根拠
  • 配偶者控除・配偶者特別控除の世帯への影響
  • ケース別:あなたに最適な年収ラインは?

目次

2025年改正のポイント|何が変わった?

2025年の税制改正により、「年収の壁」が大きく変わりました。

主な変更点

項目 2024年まで 2025年から 変更額
配偶者控除の上限 年収103万円以下 年収123万円以下 +20万円
配偶者特別控除(満額) 年収150万円以下 年収160万円以下 +10万円
本人の所得税非課税ライン 年収103万円以下 年収160万円以下 +57万円
勤労学生控除 年収130万円以下 年収150万円以下 +20万円
社会保険の壁(一般) 年収130万円 年収130万円 変更なし
社会保険の壁(学生19~23歳) 年収130万円 年収150万円(2025年10月~) +20万円

重要ポイント:

  • 配偶者控除は123万円まで満額適用(2024年までは103万円)
  • 配偶者特別控除は160万円まで満額38万円(2024年までは150万円)
  • 本人の所得税は160万円まで非課税(基礎控除48万円+給与所得控除65万円)
  • 社会保険の壁(130万円)は変更なし ⚠️

年収別手取り早見表【一般(主婦・パート)編】

2025年の税制改正を踏まえた、年収100万円~200万円の手取り額シミュレーションです。130万円の壁を超えると社会保険料負担で手取りが逆転することに注意が必要です。

計算の前提条件

  • 所得税:基礎控除48万円+給与所得控除65万円=合計113万円控除
  • 住民税:基礎控除43万円+給与所得控除65万円=合計108万円控除
  • 社会保険料:健康保険約10%(都道府県により異なる)+厚生年金18.3%=合計約28%
  • ※本記事では東京都の健康保険料率9.98%(2025年度)を使用
  • 106万円の壁の条件(従業員51人以上、週20時間以上など)は満たさないと仮定

年収別手取り額一覧表

年収 所得税 住民税 社会保険料 手取り額 備考
100万円 0円 0円 0円 100万円 住民税なし
110万円 0円 約1万円 0円 約109万円 住民税のみ発生
120万円 0円 約2万円 0円 約118万円 配偶者控除OK
123万円 0円 約2.5万円 0円 約120.5万円 配偶者控除の上限
130万円 0円 約3万円 0円 約127万円 社会保険扶養ギリギリ
140万円 0円 約4万円 約21万円 約115万円 ⚠️逆転 社会保険加入で手取り減
150万円 0円 約5万円 約23万円 約122万円 まだ130万円時より少ない
155万円 0円 約5.5万円 約24万円 約125.5万円 ✅ 損益分岐点
160万円 0円 約6万円 約25万円 約129万円 所得税非課税の上限
170万円 約5,000円 約7万円 約26万円 約136.5万円 所得税発生
180万円 約1.5万円 約8万円 約27.5万円 約143万円
190万円 約2.5万円 約9万円 約29万円 約149.5万円
200万円 約3.5万円 約10万円 約30.5万円 約156万円

重要ポイント:130万円の壁を超えると手取りが減る

年収130万円を超えて社会保険に加入すると、年収140万円でも手取りは約115万円に減少します。これは社会保険料(健康保険+厚生年金)が約21万円かかるためです。

手取りが年収130万円時(約127万円)を超えるのは、年収155万円程度からです。これが「損益分岐点」となります。

⚠️ 注意:130万円の壁の逆転現象

年収が10万円増えたのに、手取りは12万円減少してしまいます。年収140万円~154万円で働くのは避けましょう。

関連記事:130万円の壁を超えたらどうなる?社会保険と扶養の関係

年収別手取り早見表【学生編】

学生のアルバイト収入について、勤労学生控除を使った場合2025年10月以降の学生特例(19歳~23歳)を考慮したシミュレーションです。

勤労学生控除とは?

学生には「勤労学生控除」という特別な控除があります。

  • 控除額:27万円(所得税)、26万円(住民税)
  • 適用条件:所得85万円以下(給与収入で150万円以下)※2025年改正
  • 学校教育法に定める学校の学生・生徒であること
  • 勤労による所得があること

年収別手取り額一覧表(学生・勤労学生控除あり)

年収 所得税 住民税 社会保険料 手取り額 親の扶養控除
100万円 0円 0円 0円 100万円 ⭕ 受けられる(38万~63万円)
110万円 0円 約1万円 0円 約109万円 ❌ 受けられない(勤労学生控除適用時)
120万円 0円 約1.5万円 0円 約118.5万円 ❌ 受けられない(勤労学生控除適用時)
130万円 0円 約2.5万円 0円 約127.5万円 ❌ 受けられない(勤労学生控除適用時)
140万円 0円 約3.5万円 0円 約136.5万円 ❌ 受けられない(勤労学生控除適用時)
150万円 0円 約4.5万円 0円(学生特例) 約145.5万円 ❌ 受けられない(勤労学生控除適用時)

学生特例とは?(2025年10月以降)

2025年10月以降、19歳~23歳の学生は年収150万円まで親の社会保険扶養に入れます。従来は130万円が上限でしたが、20万円引き上げられました。

  • 対象:19歳以上23歳未満の学生
  • 扶養上限:年収150万円(月12.5万円)
  • 施行日:2025年10月1日から
  • メリット:国民健康保険料・国民年金保険料の負担なし

関連記事:2025年10月扶養要件が拡大!19歳~23歳の年収150万円の壁

親の扶養控除への影響(重要)

⚠️ 親の税負担が増加

子どもが年収103万円を超えると、親の扶養控除(38万円~63万円)が受けられなくなります。

家族全体で考えた場合:

  • 子ども:年収150万円で勤労学生控除 → 所得税0円
  • :扶養控除が使えない → 所得税・住民税が年間約8万~15万円増加

家族トータルで計算してから勤労学生控除を使うか判断しましょう。

130万円の壁を超えるべきか?損益分岐点分析

130万円の壁を超えると、社会保険料負担で一時的に手取りが減少します。この「逆転現象」を理解して、損益分岐点を把握しましょう。

手取り額の推移

年収 手取り額 130万円時との差額 評価
130万円 約127万円 基準
140万円 約115万円 ▼12万円減 ❌ 損
150万円 約122万円 ▼5万円減 ❌ まだ損
155万円 約125.5万円 ▼1.5万円減 ✅ ほぼトントン(損益分岐点)
160万円 約129万円 △2万円増 ✅ 得
180万円 約143万円 △16万円増 ✅ 得
200万円 約156万円 △29万円増 ✅ 得

結論:損益分岐点は年収155万円

年収155万円を超えると、手取りが年収130万円時を上回ります。これが損益分岐点です。

つまり:

  • 年収140万円~154万円:130万円以下で働くより手取りが減る → おすすめしない
  • 年収155万円以上:130万円以下で働くより手取りが増える → おすすめ

社会保険に加入するメリット

手取りは一時的に減りますが、社会保険に加入すると以下のメリットがあります。

  • 将来の年金受給額が増える:厚生年金加入で、老後の年金が月1万円以上増加
  • 傷病手当金:病気やケガで働けなくなった場合、給与の約3分の2が支給される
  • 出産手当金:出産で休業する場合、給与の約3分の2が支給される
  • 障害厚生年金:障害を負った場合、障害厚生年金が支給される

長期的に見れば、社会保険加入のメリットは大きいです。

関連記事:130万円の壁を超えても2年までOK?社会保険扶養を維持する特例を解説

配偶者控除・配偶者特別控除の世帯への影響

妻の年収が増えると、夫の配偶者控除・配偶者特別控除に影響します。世帯全体での手取りを考慮して判断しましょう。

配偶者控除・配偶者特別控除一覧表

妻の年収 控除の種類 控除額 夫の減税額(目安)
103万円以下 配偶者控除 38万円 約7.6万円
103万円超~123万円 配偶者控除 38万円 約7.6万円
123万円超~160万円 配偶者特別控除 38万円 約7.6万円
160万円超~166万円 配偶者特別控除 36万円 約7.2万円
166万円超~175万円 配偶者特別控除 31万円 約6.2万円
175万円超~183万円 配偶者特別控除 26万円 約5.2万円
183万円超~190万円 配偶者特別控除 21万円 約4.2万円
190万円超~197万円 配偶者特別控除 16万円 約3.2万円
197万円超~201万円 配偶者特別控除 11万円 約2.2万円
201万円超 なし 0円 0円

※夫の年収が900万円以下の場合。900万円超の場合は控除額が段階的に減少します。

世帯全体での手取りシミュレーション

例:夫の年収600万円、妻の年収を変動させた場合の世帯手取り

妻の年収 妻の手取り 夫の減税効果 世帯手取り(妻分)
103万円 約102万円 +7.6万円 約109.6万円
123万円 約120.5万円 +7.6万円 約128.1万円
130万円 約127万円 +7.6万円 約134.6万円
140万円 約115万円 +7.6万円 約122.6万円 ⚠️
160万円 約129万円 +7.6万円 約136.6万円
180万円 約143万円 +5.2万円 約148.2万円
200万円 約156万円 +2.2万円 約158.2万円

160万円ギリギリで働くべきか?

配偶者特別控除の満額(38万円)を受けられる上限が160万円です。160万円を超えると段階的に控除額が減少しますが、妻の手取りが増える方が世帯全体ではプラスになります。

結論:160万円にこだわらず、働ける範囲で働く方が世帯手取りは増えます。

ケース別シミュレーション

具体的なケースで手取り額の変化を見てみましょう。

ケース1:年収103万円→160万円に増やした場合

状況:扶養内パート勤務の主婦が、勤務時間を増やして年収160万円に

項目 103万円 160万円 差額
年収 103万円 160万円 +57万円
所得税 0円 0円 0円
住民税 0円 約6万円 -6万円
社会保険料 0円 約25万円 -25万円
妻の手取り 約102万円 約129万円 +27万円
夫の減税効果 +7.6万円 +7.6万円 0円
世帯全体(妻分) 約109.6万円 約136.6万円 +27万円

結論:年収を160万円に増やすと、世帯全体で年27万円のプラスになります。

ケース2:年収130万円→150万円に増やした場合

状況:扶養内ギリギリで働いていた主婦が、勤務時間を増やして年収150万円に

項目 130万円 150万円 差額
年収 130万円 150万円 +20万円
所得税 0円 0円 0円
住民税 約3万円 約5万円 -2万円
社会保険料 0円 約23万円 -23万円
妻の手取り 約127万円 約122万円 -5万円 ⚠️

結論:年収130万円→150万円では、手取りが5万円減ります。年収155万円以上を目指しましょう。

ケース3:学生が年収150万円稼ぐ場合(学生特例適用)

状況:19歳~23歳の大学生がアルバイトで年収150万円稼ぐ(2025年10月以降)

項目 金額
年収 150万円
所得税 0円(勤労学生控除適用)
住民税 約4.5万円
社会保険料 0円(学生特例適用)
学生の手取り 約145.5万円
親の扶養控除への影響 ❌ 受けられない(約8万~15万円の増税)

結論:学生特例により、社会保険料負担なしで年150万円まで稼げます。ただし親の扶養控除が使えなくなるため、家族全体で判断が必要です。

よくある質問(Q&A)

Q1: 交通費は年収に含まれますか?

税制上の年収には含まれません。通勤手当は非課税(月15万円まで)のため、所得税・住民税の計算には含まれません。

ただし、社会保険の年収には含まれます。130万円の壁を判定する際は、交通費を含めた総額で計算します。

Q2: 賞与も年収に含まれますか?

はい、賞与も年収に含まれます。給与明細に記載される「給与」「賞与」すべてが年収として計算されます。

Q3: アルバイト掛け持ちの場合の計算方法は?

すべての勤務先の収入を合算して年収を計算します。

例:

  • A社:月10万円(年120万円)
  • B社:月3万円(年36万円)
  • 合計年収:156万円

また、2箇所以上から給与をもらっている場合、確定申告が必要です(メインでない勤務先の年収が20万円超の場合)。

Q4: 学生は勤労学生控除を使うべき?

家族全体で判断してください。

2025年改正後、勤労学生控除は年収150万円以下まで使えますが、使うと親の扶養控除が受けられなくなります。

  • 年収103万円以下:勤労学生控除を使わなくても所得税0円 → 親の扶養控除を優先する方が得
  • 年収103万円超~150万円:勤労学生控除で所得税0円だが、親の扶養控除が使えなくなる → 家族全体で計算して判断

Q5: 年の途中で年収が変わったらどうなる?

年収は1月~12月の合計で判定します。年の途中で転職・退職した場合も、すべての収入を合算して計算します。

例:

  • 1月~6月:正社員(年収換算240万円)→ 実際の収入120万円
  • 7月~12月:パート(年収換算120万円)→ 実際の収入60万円
  • 年収合計:180万円

この場合、年収180万円として税金・社会保険料が計算されます。

Q6: 106万円の壁の条件に該当しない場合はどうなる?

106万円の壁の条件に該当しなければ、130万円まで社会保険扶養に入れます。

106万円の壁の条件:

  • 従業員51人以上の企業
  • 週20時間以上勤務
  • 月額賃金8.8万円以上
  • 雇用期間2ヶ月以上見込み
  • 学生でない

これらの条件を満たさなければ、年収130万円まで社会保険扶養に入れます。

関連記事:106万円の壁とは?社会保険加入の条件と2026年改正

まとめ

2025年の税制改正を踏まえた年収別手取り早見表をご紹介しました。

重要なポイント:

  • 配偶者控除は123万円まで満額(2024年までは103万円)
  • 配偶者特別控除は160万円まで満額(2024年までは150万円)
  • 本人の所得税は160万円まで非課税(2024年までは103万円)
  • 年収130万円の壁を超えると、手取りが一時的に減少(逆転現象)
  • 損益分岐点は年収155万円(130万円時の手取りを超えるライン)
  • 学生特例:19歳~23歳は年収150万円まで親の社会保険扶養に入れる(2025年10月以降)
  • 勤労学生控除:年収150万円まで適用(2025年改正)

いくら稼ぐのが一番得か?

働き方 おすすめ年収ライン 理由
扶養内でゆったり働く 年収130万円 社会保険扶養に入れる上限。手取り約127万円
もう少し働きたい 年収155万円以上 損益分岐点を超え、手取りが増える
しっかり働く 年収180万円以上 社会保険加入のメリット(将来の年金増)を享受
学生アルバイト(19歳~23歳) 年収150万円 学生特例で社会保険料負担なし(2025年10月以降)
おすすめしない 年収140万円~154万円 社会保険料負担で手取りが130万円時より減る

自分に最適な年収ラインを見つける方法

年収の壁は複雑で、家族構成や配偶者の年収によっても最適なラインが変わります。税理士・社労士に相談することで、あなたに最適な働き方が見つかります。

次の行動:

  • この早見表を参考に、目標年収を設定する
  • 勤務先に労働時間の調整を相談する
  • 不明点があれば税理士・社労士に相談する

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※本記事は2025年11月27日時点の法令に基づき作成しております。記事の内容に関するお問い合わせや、内容の正確性・完全性についての責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。

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