【2026年度税制改正】高校生の扶養控除削減|いつから・いくら増税?児童手当拡充との差し引きシミュレーション

公開日: 2025.12.06

【2026年度税制改正】
高校生の扶養控除削減|いつから・いくら増税?児童手当拡充との差し引きシミュレーション

政府・与党が2026年度税制改正で高校生の扶養控除を削減する方向で検討中。所得税13万円・住民税21万円の控除縮小で、年収600万円世帯は約3.4万円増税に。ただし児童手当(月1万円)と差し引きすると全世帯でプラスに。税理士・社労士からの視点で、実施時期・増税額・家計シミュレーションを徹底解説します。

この記事の情報について(2025年12月5日時点)

本記事は2025年12月4-5日に報道された「高校生の扶養控除削減案」をもとに作成しています。まだ正式決定ではなく、2025年12月中旬に発表予定の「税制改正大綱」で正式決定されます。最新情報は随時更新いたします。
<報道記事はこちら↓↓>
yahoo!ニュース「裏切られた」高市政権、高校生の”扶養控除”縮小報道に…子育て世帯から嘆き「差し引きゼロの世界」

【速報】高校生の扶養控除削減が検討中

2025年12月4日、政府・与党が2026年度税制改正で高校生(16歳〜18歳)の扶養控除を削減する方向で検討に入ったことが報じられました。

削減案の概要(検討中)

税目 現行の控除額 改正後(案) 削減額
所得税 38万円 25万円 ▲13万円
住民税 33万円 12万円 ▲21万円

この削減案は、2024年10月から始まった児童手当の高校生への拡充(月1万円支給)、および2026年度から実施予定の高校授業料の実質無償化を受けたものです。

税理士・社労士からの視点
扶養控除の削減は「増税」と捉えられがちですが、児童手当(年12万円)と差し引きすると、ほとんどの世帯で実質プラスになります。ただし、所得が高い世帯ほど増税の影響が大きくなる設計です。

いつから実施?2026年分所得税・2027年度住民税から

高校生の扶養控除削減は、所得税と住民税で実施時期が異なります

実施スケジュール(案)

税目 実施時期(案) 実際に影響が出る時期
所得税 2026年分(令和8年分) 2026年1月〜の給与から源泉徴収額が変わる
2027年2-3月の確定申告で反映
住民税 2027年度分(令和9年度) 2027年6月〜の給与から住民税額が増加

実際に家計への影響が出るのは、所得税は2026年1月から、住民税は2027年6月からとなります。

注意事項
2025年12月中旬に発表される「税制改正大綱」で正式決定されます。現時点では「検討中の案」であり、内容が変更される可能性があります。

いくら増税になる?年収別シミュレーション

扶養控除が削減されると、所得税と住民税の負担が増加します。年収別の増税額を試算しました。

年収別の増税額シミュレーション(高校生1人の場合)

年収 所得税率 所得税増税額 住民税増税額 合計増税額(年間)
400万円 5% +6,500円 +21,000円 +27,500円
600万円 10% +13,000円 +21,000円 +34,000円
800万円 20% +26,000円 +21,000円 +47,000円
1,000万円 20%〜23% +26,000円〜29,900円 +21,000円 +47,000円〜50,900円
1,200万円 33% +42,900円 +21,000円 +63,900円

※試算は概算です。所得税率は課税所得によって決まるため、年収が同じでも控除額により異なる場合があります。
※住民税増税額は一律で21,000円(33万円-12万円)×10%です。

所得が高い世帯ほど増税額が大きくなるのは、所得税が累進課税(所得が多いほど税率が高い)だからです。

計算式
所得税の増税額 = 13万円(削減額)× 所得税率
住民税の増税額 = 21万円(削減額)× 10%(住民税率)= 21,000円

なぜ削減?背景と理由を解説

高校生の扶養控除削減が検討される背景には、3つの大きな理由があります。

理由① 児童手当の高校生への拡充

2024年10月から、児童手当の支給対象が高校生まで拡大されました。これにより、高校生1人あたり月1万円(年12万円)が支給されます。

扶養控除と児童手当の「二重支援」を見直し、財源を確保しながら支援を最適化する狙いがあります。

理由② 高校授業料の実質無償化(2026年度〜)

2026年度から、私立高校を含めた高校授業料の実質無償化が実施されます。所得制限もなくなるため、高所得世帯でも恩恵を受けられます。

この無償化により、私立高校で年間約46万円(全国平均授業料相当)の負担が軽減されるため、扶養控除削減とセットで家計全体では大幅なプラスになります。

理由③ 「高所得者優遇」批判への対応

扶養控除は所得が高い人ほど減税額が大きくなる仕組みです(累進課税)。

例えば、年収400万円の世帯は所得税率5%で扶養控除による減税は年1.9万円ですが、年収1,200万円の世帯は所得税率33%で年12.5万円も減税されます。

このような「逆進性」を解消し、低所得世帯により手厚い支援(児童手当は定額給付)を届けるため、扶養控除の削減が検討されています。

税理士・社労士からの視点
扶養控除削減は単体では「増税」ですが、児童手当拡充・高校無償化とセットで考えると、低〜中所得世帯には大きなメリットがあります。ただし、高所得世帯は増税の影響が相対的に大きくなります。

児童手当拡充との差し引き計算|実質プラス?マイナス?

扶養控除削減による増税と、児童手当(年12万円)を差し引きすると、実際の家計への影響はどうなるのか?年収別にシミュレーションしました。

差し引き後の実質手取り変化(高校生1人の場合)

年収 増税額(年間) 児童手当(年間) 差し引き後の実質変化 結論
400万円 +27,500円 +120,000円 +92,500円 大幅プラス
600万円 +34,000円 +120,000円 +86,000円 大幅プラス
800万円 +47,000円 +120,000円 +73,000円 プラス
1,000万円 +47,000円〜50,900円 +120,000円 +69,100円〜73,000円 プラス
1,200万円 +63,900円 +120,000円 +56,100円 プラス

※児童手当は月1万円×12カ月=年12万円で計算。
※高校無償化(私立高校で年約46万円の負担軽減)は含まれていません。

結論

  • 全ての年収帯で、扶養控除削減後も実質プラスになります。
  • 低〜中所得世帯ほど、プラス幅が大きい(年収400万円で+9.3万円)。
  • 高所得世帯でも、児童手当により年+5.6万円〜7.3万円のプラスになります。
  • さらに高校無償化(私立高校で年約46万円)を加えると、家計への恩恵は非常に大きいです。

高所得世帯(年収1,500万円以上)の場合
所得税率が40%以上になると、増税額が児童手当(12万円)を上回る可能性があります。ただし、高校無償化(私立高校で約46万円)を含めれば依然として大幅なプラスです。

ネット上の反応「子育て罰金」批判

⚠️ ネット上での「差し引きゼロ」報道にご注意

一部の報道やSNSで「扶養控除削減と児童手当2万円で差し引きゼロ」という情報が拡散されていますが、これは大きな誤解です。

誤解の原因:2つの給付を混同している

給付名 金額 性質 正しい位置づけ
①児童手当(高校生) 月1万円
(年12万円)
恒久的
(毎年)
扶養控除削減と
相殺すべき給付✅
②物価高対応
子育て応援手当
2万円 一時金
(1回限り)
別枠のボーナス
(扶養控除削減とは無関係)

正しい計算(年収600万円の場合)

扶養控除削減による増税: 年▲3.4万円
児童手当(高校生): 年+12万円
→ 差し引き:年+8.6万円のプラス✅

さらに…
一時金2万円: +2万円(別枠)
高校無償化(私立): 年+46万円
→ トータル:年+56.6万円の大幅プラス✨

「差し引きゼロ」という報道は、②の一時金2万円だけと比較した誤った計算です。正しくは、①の児童手当(年12万円)と比較すべきであり、実際にはすべての世帯で家計はプラスになります。

高校生の扶養控除削減案が報じられると、SNSやネット上では「子育てしたら罰金ですか?」「増税ばかり」といった批判が相次ぎました。

主な批判の声

  • 「児童手当をもらっても扶養控除が減ったら増税じゃないか」
  • 「高所得者ばかり狙い撃ちされている」
  • 「少子化対策と言いながら、子育て世帯に負担を強いるのは矛盾」
  • 「物価高で生活が苦しいのに、さらに増税とは…」

税理士・社労士からの視点での考察

確かに「扶養控除削減」だけを見れば増税ですが、以下の点を総合的に考慮する必要があります。

児童手当(年12万円)との差し引きで、ほぼ全世帯がプラス
上記のシミュレーションで示したとおり、年収400万円〜1,200万円の世帯では、年+5.6万円〜9.3万円のプラスになります。

高校無償化(私立高校で年約46万円)の恩恵も含めると大幅プラス
2026年度からの高校授業料実質無償化(所得制限なし)により、私立高校でも年46万円程度の負担軽減があります。

低所得世帯ほど恩恵が大きい設計
扶養控除は高所得者ほど減税額が大きかったのに対し、児童手当は所得に関係なく定額給付されるため、低〜中所得世帯により手厚い支援が届きます。

ただし、「扶養控除削減」という言葉だけが独り歩きし、誤解を招いているのも事実です。政府には、制度全体のメリットを丁寧に説明する責任があります。

今後の見通しと家計対策

今後のスケジュール

  • 2025年12月中旬: 税制改正大綱の発表(正式決定)
  • 2026年1月〜: 所得税の源泉徴収額が変わる(扶養控除削減が実施された場合)
  • 2027年6月〜: 住民税額が増加

家計への影響を最小限にする対策

扶養控除削減による増税は避けられませんが、以下の対策で家計への影響を軽減できます。

対策① 児童手当を積極的に貯蓄・運用

月1万円(年12万円)の児童手当を教育資金や将来の備えとして積立てましょう。NISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、非課税で資産形成できます。

対策② 高校無償化の恩恵を最大限活用

2026年度からの高校授業料実質無償化(私立高校で年約46万円)により浮いたお金を、塾代や大学進学資金に充てることができます。

対策③ 他の控除・制度を活用

医療費控除: 年間10万円超の医療費は確定申告で控除
ふるさと納税: 実質2,000円で返礼品を受け取れる
iDeCo(個人型確定拠出年金): 掛金全額が所得控除の対象

関連する制度との関係

高校生の扶養控除削減は、2025年経済対策の一環として検討されています。他の子育て支援制度との関係を整理しましょう。

関連制度① 児童手当の拡充

2024年10月〜: 高校生まで対象拡大(月1万円)
所得制限の撤廃: 全ての世帯が受給可能
第3子以降は月3万円に増額

詳しくは → 【2025年12月】児童手当2万円給付が閣議決定

関連制度② 物価高対応子育て応援手当

2026年春ごろ支給予定
1人あたり2万円の一時金(0〜18歳対象)
・所得制限なし、申請不要

詳しくは → 【2026年春】物価高対応子育て応援手当

関連制度③ 子ども・子育て支援金制度

2026年4月〜: 全世代・全経済主体で子育て世帯を支援
・医療保険料に上乗せして徴収(月数百円程度)
・児童手当などの財源に充てる

税理士・社労士からの視点
これらの制度は相互に連動しています。扶養控除削減は単独で考えるのではなく、子育て支援制度全体のパッケージとして理解することが重要です。

総合経済対策の全体像はこちら → 【2025年総合経済対策】2026年に向けた児童手当・電気ガス・おこめ券を完全ガイド

よくある質問(FAQ)

Q1. 高校生の扶養控除削減はいつから実施されますか?

A. 現時点では検討中の案であり、正式決定は2025年12月中旬の税制改正大綱で発表されます。実施される場合、所得税は2026年分(令和8年分)、住民税は2027年度分(令和9年度)からとなる見込みです。

Q2. 扶養控除が削減されると、いくら増税になりますか?

A. 年収や所得税率によって異なりますが、年収600万円の場合は年間約3.4万円、年収1,000万円の場合は約4.7万円の増税となります(高校生1人の場合)。ただし、児童手当(年12万円)と差し引きすると、全世帯でプラスになります。

Q3. 児童手当と差し引きすると、結局プラスになるのですか?

A. はい、ほぼ全ての年収帯でプラスになります。例えば、年収600万円の世帯では年+8.6万円、年収1,200万円の世帯でも年+5.6万円のプラスです。さらに高校無償化(私立高校で年約46万円)を含めると、家計への恩恵は非常に大きくなります。

Q4. なぜ扶養控除を削減するのですか?

A. 主な理由は以下の3つです。
児童手当の高校生への拡充(月1万円支給)により、扶養控除との「二重支援」を見直す
高校無償化(2026年度〜)により高校生世帯の負担が大幅に軽減される
③ 扶養控除は高所得者ほど減税額が大きいため、低所得世帯により手厚い支援(児童手当は定額給付)を届けるため

Q5. 高所得世帯は損をするのですか?

A. 高所得世帯でも児童手当により年+5.6万円〜7.3万円のプラスになります。さらに高校無償化(私立高校で年約46万円)の恩恵も受けられるため、家計全体では大幅なプラスです。ただし、年収1,500万円以上の世帯では、増税額が児童手当を上回る可能性があります。

Q6. 大学生(19歳〜22歳)の扶養控除はどうなりますか?

A. 今回の削減案は高校生(16歳〜18歳)の扶養控除のみが対象です。大学生などの特定扶養親族(19歳〜22歳)の扶養控除(所得税63万円・住民税45万円)は変更されません

Q7. 扶養控除削減を回避する方法はありますか?

A. 税制改正が正式決定されれば、回避することはできません。ただし、児童手当を積極的に貯蓄・運用する、他の控除(医療費控除、iDeCoなど)を活用することで、家計への影響を最小限に抑えることができます。

まとめ

高校生の扶養控除削減案は、単体では増税ですが、児童手当拡充(年12万円)・高校無償化(私立高校で年約46万円)とセットで考えると、ほぼ全ての世帯でプラスになります。

押さえておきたいポイント

  • 正式決定は2025年12月中旬の税制改正大綱
  • 実施時期: 所得税2026年分、住民税2027年度分
  • 削減額: 所得税13万円、住民税21万円
  • 児童手当(年12万円)と差し引きで全世帯プラス
  • 高校無償化(私立高校で年約46万円)も含めると大幅プラス
  • 低〜中所得世帯ほど、恩恵が大きい設計

税理士・社労士からの視点では、制度全体を俯瞰して理解し、児童手当を有効活用することをおすすめします。最新情報は随時更新いたします。

あわせて読みたい関連記事

【2025年総合経済対策】2026年に向けた児童手当・電気ガス・おこめ券を完全ガイド

2025年11月21日に閣議決定された総合経済対策の全容を解説。児童手当拡充、高校無償化、電気ガス補助、おこめ券など、家計を支援する施策をまとめて紹介します。

【2026年春】物価高対応子育て応援手当|2万円いつ・誰が・申請方法は?

0〜18歳の全ての子どもを対象に1人あたり2万円が2026年春ごろ支給されます。所得制限なし、申請不要で児童手当の受取口座に自動振込。支給時期や対象者を詳しく解説します。

【2025年12月】児童手当2万円給付が閣議決定|いつ・誰が・申請方法は?

2026年春ごろ、全ての子どもに2万円給付が実施されます。2025年11月21日に閣議決定された児童手当の上乗せ給付について、支給時期・対象者・申請方法を最新情報でお届けします。

※本記事の情報は2025年12月5日時点のものです。税制改正の正式決定は2025年12月中旬の税制改正大綱をご確認ください。

br>

3年連続 実績部門 全国1位選出
3年連続:おすすめ事務所 実績部門『全国1位』
私たち 寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)は、2023年、2024年に続き、2025年も「実績部門 全国1位」に選出されました。
この結果に甘んじることなく、税務と労務のワンストップ支援で、日本中のお客様に貢献できるよう努めてまいります。

▶ 公式サイトを確認する ▶

LINE友達に追加