国保保険料(国民健康保険料)の軽減措置が高校生まで拡大!2027年4月実施予定
公開日: 2025.11.26

Yahoo!ニュース掲載記事:
国保保険料の軽減措置「高校生年代まで」に拡大、厚労省検討…子育て世帯の負担軽減狙う
厚生労働省は2025年11月、国民健康保険(国保)の保険料について、現在未就学児を対象に実施している軽減措置を「高校生年代(18歳年度末)まで」拡大する方向で検討を開始しました。2027年4月の実施を目指しており、子ども1人あたり年間1.5万円~2.6万円の負担軽減が見込まれます。
この記事で分かること:
- 2027年4月から実施予定の国保保険料軽減措置の詳細
- 対象者と具体的な軽減額(自治体別の試算例)
- 現行制度との違いと実施までのスケジュール
- 申請手続きの有無と注意点
- 会社員との違いと、なぜ国保だけ軽減されるのか
目次
- 国保保険料の軽減措置とは?現行制度の概要
- 2027年4月改正のポイント|高校生年代まで拡大
- 対象者は誰?約130万人が新たに恩恵を受ける
- 具体的にいくら軽減される?自治体別の試算例
- 実施までのスケジュール|2026年通常国会で法案提出
- 会社員との違い|なぜ国保だけ軽減されるのか
- 申請は必要?手続きの有無
- よくある質問(Q&A)
- まとめ|子育て世帯は今後の動向を注視しよう
国保保険料の軽減措置とは?現行制度の概要
国民健康保険の保険料は、主に以下の2つの要素で構成されています。
- 均等割(きんとうわり):世帯の加入者数に応じて課される保険料
- 所得割:加入者の所得に応じて支払う保険料
このうち「均等割」は、子どもの数が多いほど世帯の負担が重くなる仕組みです。例えば、子どもが3人いる自営業世帯の場合、子ども全員分の均等割が加算されるため、年間で数万円~十数万円の負担増となっていました。
この問題を解消するため、政府は2022年4月から、未就学児(6歳以下)の均等割保険料の5割を公費で負担する制度を導入しました。これにより、約50万人の未就学児がいる世帯の保険料負担が軽減されています。
参考リンク:厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
2027年4月改正のポイント|高校生年代まで拡大
今回、厚生労働省が検討している改正の最大のポイントは、軽減措置の対象年齢を「未就学児」から「高校生年代(18歳年度末)まで」に拡大することです。
現行制度と改正後の比較表
| 項目 | 現行制度(2022年4月~) | 改正後(2027年4月~予定) |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 未就学児(6歳以下) | 高校生年代(18歳年度末まで) |
| 対象者数 | 約50万人 | 約180万人 |
| 軽減割合 | 均等割の5割 | 均等割の5割 |
| 所得制限 | なし | なし |
| 公費負担額 | 約80億円 | 約250億円 |
軽減割合は現行の「5割」のまま据え置かれる見込みですが、対象者数は約3.6倍に増加します。
対象者は誰?約130万人が新たに恩恵を受ける
今回の改正により、新たに軽減措置の対象となるのは7歳~18歳(小学1年生~高校3年生の年度末まで)の子どもがいる国民健康保険加入世帯です。
対象者の具体例
- 自営業を営む家庭で、小学生・中学生・高校生の子どもがいる世帯
- フリーランスで働く親と、中学生の子どもがいる世帯
- 個人事業主で、高校生の子どもがいる世帯
※会社員(健康保険や共済組合に加入している方)は対象外です。この軽減措置は国民健康保険加入者のみが対象となります。
厚生労働省の調査によると、2023年9月末時点で7歳~18歳の国保加入者は約130万人います。これらの子どもがいる世帯すべてが、所得制限なく軽減措置の恩恵を受けられます。
具体的にいくら軽減される?自治体別の試算例
国民健康保険料は自治体によって金額が異なります。厚生労働省が公表した試算によると、低所得ではない子育て世帯の場合、以下のような軽減額が見込まれます。
| 自治体 | 子ども1人あたりの年間軽減額 |
|---|---|
| さいたま市 | 約26,000円 |
| 鳥取市 | 約15,000円 |
実際の家計への影響(試算例)
【ケース1】さいたま市在住・自営業・子ども2人(小学生・中学生)の世帯
- 年間軽減額:約26,000円 × 2人 = 約52,000円
- 月額換算:約4,300円の負担軽減
【ケース2】鳥取市在住・個人事業主・子ども3人(小学生・中学生・高校生)の世帯
- 年間軽減額:約15,000円 × 3人 = 約45,000円
- 月額換算:約3,750円の負担軽減
自治体によって保険料率が異なるため、お住まいの市区町村のホームページで保険料額を確認されることをおすすめします。
実施までのスケジュール|2026年通常国会で法案提出
今回の軽減措置拡大は、以下のスケジュールで進められる予定です。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年11月27日 | 社会保障審議会の医療保険部会に拡大案を提示 |
| 2026年(来年) | 通常国会で関連法案を提出 |
| 2027年4月 | 軽減措置の実施開始(予定) |
※法案の審議状況や国会の状況により、実施時期が変更される可能性があります。
参考リンク:読売新聞「国保保険料の軽減措置『高校生年代まで』に拡大」
会社員との違い|なぜ国保だけ軽減されるのか
「なぜ国民健康保険だけが軽減されるのか?」という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
国保と社会保険(健康保険)の保険料の仕組みの違い
| 項目 | 国民健康保険 | 社会保険(健康保険) |
|---|---|---|
| 加入者 | 自営業者、フリーランス、個人事業主など | 会社員、公務員など |
| 保険料の決まり方 | 所得割 + 均等割(世帯の人数に応じて増える) | 給与額に応じた定率(扶養家族の人数は無関係) |
| 子どもの人数による影響 | 子どもが多いほど保険料が増える | 子どもが何人いても保険料は変わらない |
会社員が加入する健康保険は、扶養家族が何人いても保険料は変わりません。一方、国民健康保険は「均等割」という仕組みで、子どもの人数が多いほど保険料が高くなる構造になっています。
この不公平感を解消するため、政府は国保加入世帯の子育て支援として軽減措置を導入・拡大しているのです。
申請は必要?手続きの有無
申請手続きは不要です。
2027年4月の制度開始後、市区町村が自動的に軽減措置を適用する見込みです。現行の未就学児向け軽減措置も、申請不要で自動適用されています。
ただし、以下の点にご注意ください。
- 国民健康保険に加入していることが前提(社会保険加入者は対象外)
- 保険料の納付状況に問題がある場合、軽減が適用されない可能性がある
- 詳細は2027年の実施時に、各市区町村から案内がある見込み
よくある質問(Q&A)
Q1: 申請手続きは必要ですか?
A: 申請は不要です。2027年4月の制度開始後、自動的に適用される見込みです。
Q2: 所得制限はありますか?
A: 所得制限はありません。全ての国民健康保険加入世帯が対象となります。
Q3: すでに低所得世帯の軽減を受けている場合はどうなりますか?
A: 低所得世帯向けの軽減措置(7割・5割・2割軽減)と、今回の子育て世帯向けの軽減措置は併用可能です。両方の軽減が適用されます。
Q4: 会社員(社会保険加入者)も対象ですか?
A: いいえ、対象外です。この軽減措置は国民健康保険加入者のみが対象となります。会社員の方は健康保険組合や協会けんぽに加入しているため、対象になりません。
Q5: 子どもが高校を卒業したらどうなりますか?
A: 18歳年度末(高校3年生の3月31日)までが対象です。それ以降は通常の保険料となります。
Q6: いつから実際に保険料が安くなりますか?
A: 2027年4月からの実施を目指しています。2026年の通常国会で関連法案が成立すれば、2027年4月分の保険料(2027年6月納付分)から軽減が適用される見込みです。
まとめ|子育て世帯は今後の動向を注視しよう
今回の国民健康保険料の軽減措置拡大は、自営業やフリーランスの子育て世帯にとって大きな朗報です。
記事のポイントまとめ:
- 2027年4月から、高校生年代(18歳年度末)までの国保保険料が軽減される
- 子ども1人あたり年間1.5万円~2.6万円の負担軽減(自治体により異なる)
- 約130万人の子どもが新たに対象となる
- 所得制限なし、申請不要で自動適用の見込み
- 2026年の通常国会で法案提出予定
子育て世帯の皆様へ:
- 2026年の国会審議の状況を注視しましょう
- お住まいの市区町村の国保窓口で、現在の保険料額を確認しておきましょう
- 法案が成立したら、2027年4月以降の保険料通知書で軽減が適用されているか確認しましょう
- 家計の見直しや将来設計の際に、この軽減額を考慮に入れましょう
国民健康保険料の軽減措置拡大は、子育て世帯の家計負担を軽減する重要な施策です。2027年4月の実施に向けて、今後の動向に注目していきましょう。
※本記事は2025年11月26日時点の情報に基づき作成しております。法改正や制度変更により内容が変更される可能性があります。記事の内容に関するお問い合わせや、内容の正確性・完全性についての責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。最新の情報については、お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口にお問い合わせください。

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