【2026年最新】介護保険2割負担者の拡大を検討|年収基準引き下げで最大35万人が対象に
公開日: 2025.12.01
最終更新日: 2025.12.01

結論:2025年12月1日、厚生労働省は介護保険サービスの2割負担対象者を大幅拡大する見直し案を発表しました。2026年度以降の施行が見込まれます。年収基準を現在の280万円から最大230万円まで引き下げることで、最大35万人が新たに2割負担の対象になる可能性があります。
この記事を読むことで以下のことがわかります:
- 自分が新たに2割負担の対象になるかどうかの判断基準
- 月7,000円上限や預貯金による軽減措置などの配慮措置の詳細
- 年内に決定される制度改正の今後のスケジュール
- 家計への影響と対策の具体的な方法

目次
1. 厚労省発表の概要
厚生労働省は2025年12月1日、社会保障審議会の介護保険部会において、介護保険サービス利用時の2割負担対象者を拡大する見直し案を提示しました。2026年度以降の制度改正を目指す動きです。この発表は、急速な高齢化と介護費用の増大により、介護保険制度の持続可能性確保が急務となっている現状を受けたものです。
今回の見直しの最大のポイントは、現在年収280万円以上の方が対象となっている2割負担を、最大で年収230万円以上まで拡大する可能性があることです。しかし、急激な負担増を避けるため、複数の配慮措置も同時に検討されています。
2. 現在の介護保険制度と負担割合
まず、現在の介護保険制度における負担割合について確認しましょう。介護保険サービスを利用する際の自己負担は、所得に応じて1割、2割、3割の3段階に設定されています。
| 負担割合 | 年収基準(単身世帯) | 年収基準(夫婦世帯) | 対象者の割合 |
|---|---|---|---|
| 1割負担 | 280万円未満 | 346万円未満 | 約80% |
| 2割負担 | 280万円以上340万円未満 | 346万円以上463万円未満 | 約8%(上位20%内) |
| 3割負担 | 340万円以上 | 463万円以上 | 約4%(最上位層) |
現行制度では、第1号被保険者(65歳以上)の上位20%が2割負担の対象となっています。この基準は、厚生労働省の介護保険制度の概要で詳細が確認できます。
3. 見直し案の具体的内容
今回厚労省が提示した見直し案では、2割負担の対象者を現行の「上位20%」から「上位30%」まで拡大することが検討されています。具体的には、以下の4つの年収基準案が示されました。
| 年収基準案 | 単身世帯 | 夫婦世帯 | 新たな対象者数 |
|---|---|---|---|
| 案1 | 260万円以上 | 326万円以上 | 約13万人 |
| 案2 | 250万円以上 | 316万円以上 | 約21万人 |
| 案3 | 240万円以上 | 306万円以上 | 約28万人 |
| 案4 | 230万円以上 | 296万円以上 | 約35万人 |
最も影響範囲が大きい「230万円案」では、約35万人が新たに2割負担の対象になると試算されています。これは、現在1割負担でサービスを利用されている方の中で、年収230万円~280万円未満の方が該当します。
4. 利用者への配慮措置
厚労省は、2割負担対象者の拡大に伴う利用者への急激な負担増を避けるため、2つの重要な配慮措置を提案しています。
配慮措置① 負担増上限の設定
当面の間、新たに2割負担の対象となる方の負担増を月7,000円までとする上限を設けます。これにより、本来であれば最大月22,200円の負担増となるケースでも、実際の増額は7,000円に抑えられます。
配慮措置② 預貯金等による軽減措置
収入は基準を超えているものの、預貯金などが一定額以下の方については、利用者の申請により1割負担に戻すことも検討されています。これは、同じ年収でも実際の経済状況は人それぞれ異なることを考慮した措置です。
預貯金の確認方法については、現行の補足給付制度と同様に、自己申告を基本としつつ、必要に応じて金融機関への照会も行われる予定です。
5. 財政効果と対象者への影響
厚労省の試算によると、今回の見直しにより以下の財政効果が期待されています。
| 配慮措置の内容 | 新たな2割負担対象者 | 保険料削減効果(年間) |
|---|---|---|
| 上限額設定(月7,000円まで)のみ | 約13万~35万人 | 約40億~100億円 |
| 預貯金軽減措置も併用 | 約7万~22万人 | 約40億~110億円 |
介護保険料を年間約40億~110億円削減する効果が見込まれており、これは現役世代も含めた介護保険料の上昇抑制につながります。
一方で、新たに2割負担の対象となる方にとっては、月額数千円から最大7,000円の負担増となる可能性があります。社労士として実務を行っている経験から申し上げると、年金収入が主体の高齢者世帯にとって、月7,000円の負担増は決して軽い負担ではありません。
6. 各方面からの反応
12月1日の介護保険部会では、委員からさまざまな意見が出されました。
慎重論の声
「物価高騰が続く中、対象拡大は利用者に大きな影響がある」との懸念が示されました。特に、年金収入のみで生活している高齢者にとって、介護サービスの利用料増加は生活設計に大きな影響を与える可能性があります。
推進論の声
「保険料水準の上昇を抑えることが必要。低所得者に配慮した上で踏み込んだ見直しが必要」との意見も出されました。介護保険制度の持続可能性を重視する立場からの発言で、世代間の公平な負担を求める声として注目されます。
7. 今後のスケジュールと注意点
厚労省は年末までに議論を取りまとめる方針を示しており、最終的な決定には以下のプロセスが予想されます。
- 12月中:社会保障審議会での議論継続
- 年内:基本方針の取りまとめ
- 2026年度以降:制度改正の施行(最有力)
社労士の実務経験から申し上げると、このような大規模な制度改正は、決定から施行まで一定の準備期間が必要です。利用者への周知、システム改修、事務手続きの整備などを考慮すると、実際の施行は2026年度中の開始が最有力と考えられます。
ただし、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会の議論次第では、スケジュールが変更される可能性もありますので、今後の動向を注視する必要があります。
8. よくある質問(Q&A)
Q1: 私は年収250万円ですが、2割負担になりますか?
A: 現時点では確定していませんが、厚労省の見直し案では年収250万円以上が2割負担の対象となる案も検討されています。ただし、月7,000円の上限設定や預貯金による軽減措置により、実際の負担増は軽減される可能性があります。年内の取りまとめを待って、最終的な基準を確認することが重要です。
Q2: 預貯金が少ない場合、1割負担に戻せますか?
A: はい、厚労省の配慮措置案では、預貯金が一定額以下の方は申請により1割負担に戻すことが検討されています。具体的な基準額は今後決定されますが、現行の補足給付制度と同様の仕組みになると予想されます。該当する可能性がある場合は、お住まいの市町村に相談されることをお勧めします。
Q3: いつから新しい制度が始まりますか?
A: 厚労省は年内に方向性を取りまとめる予定ですが、実際の施行時期は明確になっていません。過去の制度改正を参考にすると、2026年度中の施行になる可能性が高いと考えられます。決定後は十分な準備期間を設けて実施されるのが通例です。
Q4: 配偶者がいる場合の基準はどうなりますか?
A: 夫婦世帯の場合は、単身世帯よりも高い基準が設定されています。例えば、単身世帯で230万円の場合、夫婦世帯では296万円が基準となります。これは、世帯の生活費が異なることを考慮した設定です。ただし、判定は高齢者本人の所得で行われ、配偶者の所得は基本的に含まれません。
Q5: 月7,000円の上限はどのように適用されますか?
A: 新たに2割負担の対象となった方が、従来の1割負担と比較して負担が増える分について、月7,000円を超えない範囲で抑える仕組みです。例えば、本来なら月15,000円の負担増となるケースでも、実際の増額は7,000円に留められます。これは「当面の間」の措置とされており、将来的には見直される可能性もあります。
9. まとめ
2025年12月1日に厚労省が発表した介護保険2割負担拡大案は、2026年度施行を目指し、最大35万人の方に影響する可能性がある重要な制度改正です。年収基準の引き下げにより多くの方が対象となる一方で、配慮措置により急激な負担増は抑制される見込みです。
今、皆様にしていただきたいこと:
- ご自身の年収と預貯金額を確認し、対象になる可能性があるかチェックする
- 介護保険負担割合証で現在の負担割合を確認する
- 年末の取りまとめ結果を注視し、最新情報を収集する
- 不明な点は、お住まいの市町村に相談する
この制度改正は、介護保険制度の持続可能性確保と利用者負担のバランスを図る重要な政策判断です。社労士として、皆様の老後資金計画に与える影響を最小限に抑え、適切な対策を講じるお手伝いをさせていただければと思います。
※本記事は2025年12月1日時点の厚生労働省発表内容に基づき作成しております。今後、内容が変更される可能性があります。記事の内容に関するお問い合わせや、内容の正確性・完全性についての責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。具体的なご相談は今後の政府の発表までお待ちください。









