「こども支援NISA」と「親の新NISA」徹底比較!結局どっちが得?子どもの教育資金づくりで悩む親へ
公開日: 2025.11.08
最終更新日: 2025.11.08

結論:現時点では「親の新NISA枠」での運用が有利。2026年度開始予定の「こども支援NISA」はつみたて投資枠のみで詳細未確定、親が新NISAの成長投資枠も活用する方が投資の選択肢が広がり、贈与税リスクを避けながら効率的に教育資金を準備できます。
この記事を読むことで、以下のメリットを得られます
- 「こども支援NISA」と「親の新NISA」の具体的な違いが分かる
- 贈与税や引き出し制限などの実務的なポイントを理解できる
- あなたの家庭に最適な教育資金準備戦略を判断できる
- 2026年度の制度改正に向けた準備ができる
目次
- こども支援NISAとは?2026年度開始予定の新制度
- 親の新NISA口座で教育資金を準備する方法
- 3つのポイントで徹底比較
- 実際のケーススタディ:どちらを選ぶべき?
- よくある質問(Q&A)
- まとめ:あなたの家庭に最適な選択を
こども支援NISAとは?2026年度開始予定の新制度
「こども支援NISA」は、金融庁が2025年8月に公表した令和8年度税制改正要望に含まれている構想です。こども家庭庁との共同要望として「つみたて投資枠における対象年齢等の見直し」が提出され、現在は検討段階にあります。
こども支援NISAの主な特徴(案)
| 項目 | こども支援NISA(案) |
|---|---|
| 対象年齢 | 18歳未満(0歳から) |
| 利用可能枠 | つみたて投資枠のみ |
| 年間投資上限 | 金額は未確定(現行つみたて投資枠と同程度の可能性) |
| 投資対象商品 | 長期・積立・分散投資に適した投資信託等 |
| 口座管理者 | 親権者(未成年後見人) |
重要な注意点として、この制度はまだ「要望段階」です。実際の制度設計(投資上限額、引き出し制限、開始時期など)は、今後の税制改正プロセスで決定されるため、2026年度に必ず開始されるとは限りません。
【動画解説】岸田文雄元首相が語る「こども支援NISA」とは?
第100・101代内閣総理大臣の岸田文雄氏が、「こども支援NISA」構想について直接解説しています。制度の背景や目的を理解するために、ぜひご覧ください。
親の新NISA口座で教育資金を準備する方法
現在利用可能な新NISA制度を活用して、教育資金を準備する方法を詳しく解説します。
新NISA制度の概要(2024年開始)
| 投資枠 | 年間上限 | 投資対象 | 生涯非課税限度額 |
|---|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 120万円 | 長期・積立・分散投資に適した投資信託 | 1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円まで) |
| 成長投資枠 | 240万円 | 上場株式・ETF・REIT・株式投資信託等 |
親名義での教育資金運用メリット
1. 贈与税の心配が不要
親が自分の資金を自分名義で運用するため、贈与税は一切発生しません。国税庁のQ&Aでも明確に、扶養義務者が教育費として「必要な都度直接これらの用に充てるため」に支出する場合は贈与税非課税とされています。
2. 投資選択肢が豊富
つみたて投資枠(120万円)に加え、成長投資枠(240万円)も利用可能。年間最大360万円まで非課税投資ができます。
3. 引き出しの自由度が高い
いつでも必要な分だけ引き出し可能。大学入学時、留学費用、習い事費用など、教育資金のタイミングに柔軟に対応できます。
3つのポイントで徹底比較
1. 管理のしやすさ
| 比較項目 | こども支援NISA | 親の新NISA |
|---|---|---|
| 口座開設 | 子ども名義で開設(親が管理) | 親名義で開設 |
| 手続きの複雑さ | 未成年口座のため手続きが多い | 通常の成人口座として簡単 |
| 運用管理 | 子どもごとに個別管理が必要 | 家族全体の資産として一括管理可能 |
| 制度の確実性 | 詳細未確定・開始時期未定 | 制度確立済み・即座に開始可能 |
管理のしやすさでは親の新NISAが有利。特に複数のお子様がいる家庭では、個別口座管理の手間が大きく軽減されます。
2. 贈与の問題(暦年贈与との兼ね合い)
こども支援NISAの注意点
- 親が資金を拠出する場合、贈与税の対象となる可能性
- 年間110万円の贈与税基礎控除との関係で、投資額が制限される場合がある
- 贈与契約書の作成など、適切な手続きが必要
親の新NISAの利点
- 贈与税の心配が一切不要
- 親の資産として自由に運用・活用可能
- 教育費支出時も贈与にはならない(親が子の教育費を負担するのは扶養義務の範囲内)
3. 引き出し制限(自由度)
引き出しタイミングの比較
| 制度 | 引き出し制限 | 使途制限 |
|---|---|---|
| こども支援NISA | 詳細は未定(ジュニアNISAのような制限の可能性) | 教育資金用途が前提 |
| 親の新NISA | いつでも自由に引き出し可能 | 使途に制限なし |
引き出しの自由度では親の新NISAが圧倒的に有利。予期せぬ教育費の増加や、進路変更にも柔軟に対応できます。
実際のケーススタディ:どちらを選ぶべき?
ケース1:子ども1人、教育資金500万円を準備したい場合
親の新NISA活用パターン
- つみたて投資枠:月10万円 × 12ヶ月 = 120万円/年
- 成長投資枠も併用可能:年間最大360万円まで投資
- 運用益は全て非課税
- 贈与税リスクゼロ
- 制度確立済みで今すぐ開始可能
こども支援NISA活用パターン(仮定)
- 投資上限額が未確定
- 制度開始時期が未確定
- 贈与税の申告や管理が必要
- 引き出し制限の詳細が未確定
ケース2:子ども2人、それぞれ400万円ずつ準備したい場合
親の新NISA活用パターン
- 夫婦それぞれが新NISA口座開設
- 合計年間投資枠:720万円(360万円 × 2人)
- 短期間で必要資金の投資完了
- 家族全体の資産として柔軟な運用が可能
- 制度が確立されており確実
こども支援NISA活用パターン(仮定)
- 制度の詳細が未確定のため、具体的な計画が立てにくい
- 子ども2人分の口座管理が必要
- 贈与税の管理が2人分発生
- 2026年度に開始される保証がない
結論:現時点では親の新NISA活用が実用的
よくある質問(Q&A)
Q1: こども支援NISAはいつから始まりますか?
A: 2025年8月時点では金融庁の「要望」段階です。2026年度の税制改正で正式決定される予定ですが、開始時期や詳細な制度内容(投資上限額、引き出し制限など)は未確定です。税制改正プロセスでは要望が却下される場合もあるため、確実ではありません。
Q2: 親の新NISAで運用したお金を子どもに渡すときに贈与税はかかりますか?
A: 教育費として直接支払う場合は贈与税はかかりません。国税庁の公式見解では、扶養義務者が「必要な都度直接これらの用に充てるために」行う教育費の支払いは贈与税非課税とされています。ただし、現金で子どもに渡すと贈与税の対象となる可能性があるため、教育機関への直接支払いが安全です。
Q3: 夫婦それぞれが新NISA口座を持つメリットはありますか?
A: 年間投資枠が2倍(720万円)になり、教育資金準備のスピードが上がります。また、万一の場合のリスク分散効果もあります。ただし、それぞれの名義人が投資判断を行う必要があります。
Q4: こども支援NISAができたら、既存の新NISA口座はどうなりますか?
A: 既存の新NISA口座には影響ありません。こども支援NISAと親の新NISAは併用可能と予想されます。ただし、具体的な制度設計は今後の税制改正で決まります。
Q5: ジュニアNISAを利用していた場合の移行はどうなりますか?
A: ジュニアNISA口座の資産は2024年以降も18歳まで非課税で保有可能です。非課税期間(5年)終了後は、自動的に継続管理勘定に移管され、18歳になるまで非課税で運用を続けられます。こども支援NISAが開始されても、既存のジュニアNISA資産には影響しません。
まとめ:あなたの家庭に最適な選択を
現時点では「親の新NISA」での教育資金準備が現実的で有効です。理由は以下の通りです。
- 制度が確立済みで、すぐに始められる
- 贈与税の心配が不要で、管理がシンプル
- 投資選択肢が豊富(つみたて投資枠+成長投資枠)
- 引き出しの自由度が高い
- 年間720万円(夫婦合計)の大きな投資枠
一方、こども支援NISAについては制度の詳細が未確定であり、投資上限額、引き出し制限、開始時期がすべて未定です。2026年度の税制改正結果を注視しつつ、確実な制度で資産形成をスタートすることが賢明です。
<今すぐ行動すべきこと>
- 夫婦それぞれの新NISA口座開設を検討
- 教育資金の必要額とタイミングを明確化
- つみたて投資枠から投資を開始
- 2026年度税制改正の情報収集を継続
教育資金準備は時間が味方になります。制度の詳細待ちで投資開始を遅らせるより、現在利用可能な新NISA制度で今すぐ資産形成をスタートすることをおすすめします。
参考情報:金融庁公式サイトで最新の制度情報を確認し、国税庁公式サイトで贈与税等の税務情報もあわせてご確認ください。
※本記事は作成日時点の法令に基づき作成しております。記事の内容に関するお問い合わせや、内容の正確性・完全性についての責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。具体的なご相談は専門家までお問い合わせください。
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