【2025年最新】ガソリン暫定税率廃止はいつ?25.1円減税の影響と今後の見通し
公開日: 2025.10.24

最終更新日: 2025年10月23日
長年議論されてきたガソリン税の暫定税率廃止が、2025年10月に入り、実現に向けて大きく動き出しています。与野党間での協議が急ピッチで進む中、年間7,000円~9,670円の家計負担軽減が期待される一方で、年間1兆円を超える税収減による財政への影響や代替財源の確保など、解決すべき課題も山積しています。
1. ガソリン暫定税率とは何か
暫定税率の仕組み
ガソリン税は、国税である「揮発油税」と地方税である「地方揮発油税」の2つから構成されています。本則税率は合計で1リットルあたり28.7円(揮発油税24.3円、地方揮発油税4.4円)ですが、これに暫定税率25.1円が上乗せされ、実際には合計53.8円がガソリン価格に含まれています。
ガソリン税の内訳
- 揮発油税(国税): 本則24.3円 + 暫定24.3円 = 48.6円/L
- 地方揮発油税(地方税): 本則4.4円 + 暫定0.8円 = 5.2円/L
- 合計: 53.8円/L(本則28.7円 + 暫定25.1円)
さらに、このガソリン税を含んだ価格に消費税もかかるため、「税金に税金がかかる」いわゆる二重課税の問題も指摘されています。
導入の背景と経緯
暫定税率は、1974年のオイルショック後に道路整備の財源を確保するため「一時的に」導入された増税措置でした。当初は時限措置として設けられましたが、その後50年以上にわたって継続されてきました。
暫定税率の歴史
- 1974年: 暫定税率導入(オイルショック後の道路整備財源確保のため)
- 1979年: 現在の水準(25.1円)まで引き上げ
- 2009年: 一般財源化(道路特定財源から変更)
- 2010年: 「当分の間税率」に名称変更し存続
- 2011年: トリガー条項が凍結(東日本大震災後)
この間、何度も廃止の議論がなされてきましたが、道路財源の確保や財政赤字の抑制などを理由に先送りされ続けてきました。
2. 最新の政治動向(2025年10月)
野党による法案提出
2025年8月1日、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、参政党、日本保守党、社民党の野党7党が共同で、ガソリン暫定税率廃止法案を衆議院に提出しました。この法案では、2025年11月1日からの廃止が明記されています。
与野党協議の進展
高市早苗首相の誕生により、ガソリン暫定税率廃止に向けた機運が一気に高まりました。
主要な協議の経緯
2025年10月15日
自民党、公明党、立憲民主党の与野党3党が実務者協議を開き、暫定税率廃止へ向けた「原案作成」で一致。これは野党案の可決も視野に入る政治情勢の中で、早期廃止に向けて与野党が具体的な協議を進めるという点で大きな進展となりました。
2025年10月22日
自民党、日本維新の会、公明党の3党の税制調査会長が会談し、補助金の段階的引き上げで合意しました。現在ガソリン1リットルあたり10円を支給している補助金を年内に暫定税率の上乗せ分に当たる25.1円まで段階的に増額することで合意しました。
2025年10月23日
野党6党(立憲民主党、国民民主党、参政党、共産党、日本保守党、社民党)が会談し、2025年中の廃止を与党に求めることで一致しました。自民党が提起した2026年2月の廃止に反対すると確認しました。
廃止時期をめぐる攻防
現在、廃止時期をめぐって与野党間で調整が続いています:
| 提案者 | 廃止時期 | 状況 |
|---|---|---|
| 野党案(法案) | 2025年11月1日 | 8月1日に法案提出済み |
| 自民党案(検討中) | 2025年12月 | 準備期間を考慮 |
| 自民党案(代替案) | 2026年2月 | 野党が反対 |
| 野党の要求 | 2025年内 | 施行日調整も視野 |
立憲民主党の重徳和彦税調会長は「施行日をずらしてでも年内の施行を確実にしたい」と述べており、12月半ば以降の廃止を念頭に置いているとみられます。
補助金の段階的引き上げ
暫定税率廃止までの措置として、現在のガソリン補助金(1リットルあたり10円)を段階的に引き上げることで合意しています。
補助金引き上げの具体的な内容
- 現在: 1リットルあたり10円
- 目標: 年内に25.1円(暫定税率分と同額)まで段階的に増額
- 対象: ガソリンだけでなく、軽油引取税(17.1円)にも同様の措置
- 財源: ガソリン補助用の基金を充当
この措置により、暫定税率廃止に伴う価格の急激な変動を防ぎつつ、段階的に補助金から減税の恩恵へと移行させる狙いがあります。
3. 暫定税率廃止による影響
ガソリン価格への影響
暫定税率が廃止されると、ガソリン価格は1リットルあたり約25円程度値下がりすると予想されています。これは、暫定税率の25.1円に加えて、消費税の課税対象も減るため、二重の軽減効果が得られるためです。
価格変動の試算
| 項目 | 価格 | 備考 |
|---|---|---|
| 現行価格(例) | 170円/L | 暫定税率あり、補助金10円あり |
| 廃止後の価格 | 約154.9円/L | 暫定税率なし、補助金10円なし |
| 実質的な値下げ幅 | 約15.1円 | 補助金終了を考慮 |
注意点: 最新の協議では、補助金を段階的に引き上げていく方針が示されており、廃止直前の価格や最終的な値下げ幅は、補助金の引き上げ幅と終了時期によって変動する可能性があります。
家計への影響
暫定税率の廃止によって、平均的なガソリン消費量の家庭では、年間7,000円~9,670円の家計負担が軽減されると予測されています。
家計への恩恵
- 平均的な家庭: 年間7,000円~9,670円の軽減
- 通勤で車を使用する世帯: より大きな恩恵
- 地方在住者: 車への依存度が高く、効果が顕著
- ガソリン消費量の多い世帯: 数万円規模の削減も
特に、通勤や通学で車を日常的に使用する地方在住者や、ガソリン消費量の多い世帯にとっては、大きな恩恵となるでしょう。
物流・公共交通への影響
物流業界では、コストの約2割を燃料費が占めるとされています。ガソリン価格の低下は以下のような効果をもたらします:
- 運送業者の経費削減: 燃料費の大幅な削減により経営改善
- 公共交通機関のコスト削減: バス・タクシーなどの運営費圧縮
- 運賃の引き下げ効果: コスト削減分が消費者に還元される可能性
- 消費者物価全体への波及: 物流コスト低下により商品価格にも好影響
トラックやバスなど、燃料を大量に消費する業界にとって、暫定税率廃止は大きなコスト削減要因となります。
税収減と財政への影響
一方で、暫定税率廃止に伴う懸念もあります。
国と地方を総合して年間1兆円~最大1.5兆円規模の減収が予想されています。
主な論点
- 代替財源の確保: 不足分をどう補うか
- 道路整備財源: インフラ整備への影響懸念
- 地方財政: 地方自治体の税収減への対応
- 補正予算の編成: 財政運営への影響
現在、与野党協議で最大の論点となっているのが、この「恒久的な代替財源」の確保です。自民党は以下を提起していますが、野党側との調整は続いています:
- 租税特別措置(租特)の改廃
- 金融所得課税の強化
- その他の税制改正
4. 軽油引取税の扱い
軽油引取税の仕組み
ガソリン税の暫定税率廃止が議論される中、軽油引取税は廃止対象から外れています。
軽油引取税は、ディーゼル車などが燃料として使用する「軽油」に課される地方税です:
| 項目 | 税額 |
|---|---|
| 本則税率 | 15円/L |
| 暫定税率 | 17.1円/L |
| 合計 | 32.1円/L |
廃止対象外の理由
軽油引取税が廃止されない3つの理由
1. 地方財政への影響
軽油引取税は都道府県の重要な財源であり、廃止すれば自治体の収入が大幅に減少します。
2. 物流への配慮
トラック・バスなど物流や公共交通の燃料として不可欠であり、急激な税制変更は物流システムに混乱をもたらす可能性があります。
3. 制度の安定性
軽油引取税の暫定税率分は「運輸事業振興助成交付金」の原資として活用されており、この制度の安定性確保が重視されています。
軽油への支援措置
ただし、軽油についても補助金の段階的引き上げ(17.1円まで)が実施されるため、実質的な負担軽減は図られます。
- 現在の補助金: 1リットルあたり一定額
- 引き上げ目標: 17.1円(暫定税率分と同額)
- 実施時期: 年内に段階的に実施
5. 今後の展望と課題
法案成立のスケジュール
想定されるスケジュール
- 2025年11月上旬: 他の野党との合意を目指す
- 臨時国会中: 法案成立を目指す(自民・維新の連立政権合意書に明記)
- 廃止時期: 12月~2026年2月の間で最終調整
残された主要課題
1. 恒久的な代替財源の確保
年間1兆円を超える税収減をどう補うかが最大の課題です。
- 租税特別措置の改廃: 企業向け優遇税制の見直し
- 金融所得課税の強化: 株式配当や譲渡益への課税強化
- その他の税制改正: 新たな税源の確保
- 国債発行: 一時的な財源確保(将来負担の増大)
2. 地方財政への配慮
- 地方自治体の税収減への対応: 地方交付税の増額など
- 道路整備財源の確保: インフラメンテナンス予算の維持
- 地方独自の施策への影響: 自治体財政の安定化
3. トリガー条項との関係
2010年に導入された「トリガー条項」(ガソリン価格が3ヶ月連続で1リットル160円を超えた場合に暫定税率を一時停止する仕組み)は、2011年の東日本大震災後に凍結されたままです。暫定税率廃止により、この条項の扱いも整理される見込みです。
国際的な視点
世界的な脱炭素の流れの中で、ガソリン税の暫定税率廃止は以下の観点からも注目されています:
- CO2削減目標との兼ね合い: ガソリン消費増加による環境負荷懸念
- 電気自動車(EV)への影響: ガソリン車との価格競争力の変化
- EVシフトへの影響: 脱炭素推進との矛盾
- カーボンプライシング: 新たな炭素税導入の可能性
6. 消費者が今できること
暫定税率廃止を待つだけでなく、日頃から計画的に対策を講じることで、家計や事業経費を削減できます。
エコドライブの実践
今日から始められる燃費向上策
- 急加速の回避: ゆるやかな加速で燃費を10%以上改善
- タイヤの空気圧を適正に保つ: 燃費が2~3%向上
- 不要な荷物を降ろす: 車重軽減により燃費改善
- アイドリングストップの徹底: 無駄な燃料消費を削減
- 適切な速度での走行: 高速道路では80km/h程度が最も燃費効率が良い
これらの実践により、年間で数万円単位の節約が可能です。
給油コストの見直し
- ガソリン価格比較アプリの活用: 近隣の最安値店舗を簡単に検索
- セルフスタンドの利用: フルサービスより2~5円安い
- ポイントプログラムの活用: クレジットカードや会員カードでポイント還元
- まとめ給油による単価削減: 給油回数を減らして効率化
- 曜日による価格変動の把握: 安い曜日を狙って給油
最新情報の入手方法
税制改正や燃料価格の変動を適切に把握するため、以下のソースから継続的に情報収集することが重要です:
- 経済産業省の公式サイト: 政府の公式発表をチェック
- 資源エネルギー庁: 燃料価格の統計データ
- 信頼できる報道機関: 日本経済新聞、NHK、時事通信など
- ガソリン価格情報サイト: リアルタイムの価格情報
7. まとめ
ガソリン暫定税率廃止は、50年以上続いた制度の大きな転換点となります。2025年10月現在、与野党間で廃止に向けた協議が最終局面を迎えており、年内の実現可能性が高まっています。
重要ポイント
- ✅ 野党7党が暫定税率廃止法案を提出(8月1日)
- ✅ 与野党が廃止へ向けた原案作成で一致(10月15日)
- ✅ 補助金を25.1円まで段階的に引き上げることで合意
- ✅ 廃止時期は12月~2026年2月で最終調整中
- ✅ 家計負担は年間7,000円~9,670円軽減の見込み
- ⚠️ 税収減1兆円超の代替財源確保が最大の課題
消費者にとっては家計負担の軽減という大きなメリットがある一方で、財政への影響や道路整備財源の確保など、解決すべき課題も残されています。
今後の国会審議の行方を注視しつつ、私たち自身も燃費向上など日々の取り組みを続けることが重要です。暫定税率廃止が実現すれば、家計負担の軽減だけでなく、物流コストの削減を通じた経済全体への好影響も期待されます。
関連リンク・参考情報
※本記事の情報は2025年10月23日時点のものです。最新の動向については、政府発表や報道機関の情報をご確認ください。
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