【東京・建設業100人超】時間外労働規制対応とDX推進|複数現場の労務管理を統合
公開日: 2026.02.09
最終更新日: 2026.02.08


「時間外労働の上限規制が適用されたが、複数現場で労働時間の把握が追いつかない」
建設業の時間外労働規制は、複数現場を抱える100人超企業にとって最大の経営課題です。時間外労働年720時間の上限、週休2日制の導入、複数現場での労働時間把握──これらの課題を放置すれば、法令違反と人材流出のリスクが高まります。
本記事では、東京の建設業(100人超・複数現場)が直面する時間外労働規制の実態、建設業特有の労務リスク、複数現場の労務管理を統合するDX戦略、時間外労働削減の具体的施策、実際の改善事例から学ぶDX推進手法を、社労士の視点から徹底解説します。持続可能な建設業経営の実現を目指しましょう。

この記事では、私たち寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)が、
建設業の時間外労働規制対応、複数現場の労務管理統合、DX推進による生産性向上について解説します。
重要なのは、クラウド勤怠管理システムを導入し、複数現場の労働時間を一元管理することで、法令遵守と生産性向上を両立させることです。
当事務所は、建設業の労務支援実績があり、クラウド勤怠システム導入から助成金申請まで、ワンストップでサポートします。
この記事の重要ポイント
建設業の時間外労働規制対応で押さえるべき3つのポイント
- 時間外労働の上限規制(年720時間)を遵守する: 2024年4月から建設業も時間外労働の上限規制が適用されました。違反すると罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となります。
- 複数現場の労働時間を一元管理する: 紙のタイムカードや各現場バラバラの勤怠管理では、労働時間の正確な把握が困難です。クラウド勤怠管理システムで複数現場を一元管理することが必要です。
- DX推進で生産性を向上させる: 書類のデジタル化、施工管理アプリの導入、電子申請の活用により、現場の生産性を向上させ、時間外労働を削減できる可能性があります。
目次
- 東京の建設業(100人超)が直面する時間外労働規制の3つの課題
- 建設業特有の労務リスク5選
- 複数現場の労務管理を統合するDX戦略
- 時間外労働規制対応|残業時間削減の5つの施策
- 【事例】新宿総合建設15現場(従業員120人)のDX推進ケーススタディ
- 建設業が活用できる助成金3選
- 建設業が社労士を選ぶ5つの基準
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
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東京の建設業(100人超)が直面する時間外労働規制の3つの課題
東京で複数現場を抱える建設企業(従業員100人超)は、2024年4月に適用された働き方改革関連法により、以下の3つの課題に直面しています。これらの課題は、法令違反リスクと人材流出リスクに直結しており、早急な対応が必要です。
課題1. 時間外労働の上限規制(年720時間)への対応
2024年4月1日から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。これまで建設業は適用猶予でしたが、猶予期間が終了し、他の業種と同様の規制が適用されています。
| 規制内容 | 上限 | 違反した場合 |
|---|---|---|
| 原則 | 月45時間、年360時間 | 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
| 特別条項(36協定) | 年720時間以内 | |
| 複数月平均 | 2〜6ヶ月平均で80時間以内 | |
| 月の上限 | 月100時間未満(休日労働含む) |
建設業では、工期遵守のため長時間労働が常態化しているケースが多く、「月80時間を超える残業は当たり前」という現場もあります。しかし、2024年4月からは、この働き方が法令違反となり、罰則の対象となります。
課題2. 複数現場での労働時間把握の困難さ
建設業では、1人の従業員が複数の現場を掛け持ちするケースや、午前中はA現場、午後はB現場という働き方が一般的です。しかし、各現場でバラバラに勤怠管理をしていると、以下のような問題が発生します。
- 労働時間の集計漏れ: 各現場の労働時間を手作業で集計するため、ミスや漏れが発生しやすい
- リアルタイムの把握不可: 「今月の残業時間が何時間か」を把握できるのが月末締め後になり、上限超過に気づくのが遅れる
- 移動時間の取り扱い: 現場間の移動時間が労働時間にカウントされているか曖昧
- 直行直帰の把握困難: 自宅から現場に直行、現場から自宅に直帰する場合、労働時間の把握が困難
課題3. 週休2日制の導入と人材確保のジレンマ
建設業では、週休2日制の導入が進んでいません。国土交通省の調査によると、建設業の週休2日制普及率は約3割程度にとどまっています。
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 工期の問題 | 発注者(元請・施主)が週休2日を前提とした工期を設定していないケースが多い |
| 人手不足 | 週休2日にすると、現場が回らない。人材確保が追いつかない |
| 収入減の懸念 | 日給制の技能者にとって、休日が増えると収入が減る懸念がある |
| 若手確保の必要性 | 一方で、週休2日制がないと若手が入ってこない。人材確保とのジレンマ |
複数現場を抱える建設業の現場で顕在化する労務課題(イメージ)
建設業特有の労務リスク5選
建設業には、他の業種にはない特有の労務リスクがあります。以下の5つのリスクが、法令違反と人材流出を引き起こす可能性があります。
リスク1. 未払残業代(移動時間・待機時間の取り扱い)
問題の実態
建設業では、以下のような時間が労働時間としてカウントされていないケースが多く、未払残業代リスクを抱えています。
- 現場間の移動時間: A現場からB現場への移動時間が労働時間にカウントされていない
- 資材の積み込み・荷卸し: 作業開始前の資材準備、作業終了後の片付けが労働時間外とされている
- 待機時間: 雨天で作業が中断した際の待機時間、次の工程待ちの時間
- 直行直帰の始業・終業時刻: 自宅から現場直行の場合、自宅出発時刻を始業時刻とすべきか曖昧
未払残業代リスクの試算例
未払残業代リスク試算(概算)
前提条件
- 従業員100人(現場作業員70人、現場監督20人、事務職10人)
- 現場作業員の平均月給35万円(基本給30万円)
- 未払残業時間:月平均5時間/人(移動時間・待機時間など)
- 過去3年分を試算(※2020年4月以降、時効は3年)
計算(現場作業員70人のみ):
- 時給換算:30万円÷173時間≒1,734円
- 残業代単価:1,734円×1.25=2,168円
- 月額未払残業代:2,168円×5時間=10,840円
- 1人あたり3年分:10,840円×36ヶ月=390,240円
- 70人分:約2,732万円
※2020年4月の法改正により、未払残業代の時効は2年から3年に延長されました(当面の措置。将来的には5年になる可能性があります)。この試算はあくまで一例です。実際の未払残業代リスクは、企業の状況、労働時間の把握状況などにより大きく異なります。さらに、付加金(裁判所の裁量により最大同額)、遅延損害金が加算される可能性もあります。
リスク2. 労働時間の把握義務違反
問題の実態
労働安全衛生法の改正により、2019年4月から、すべての労働者の労働時間を客観的に把握することが義務付けられました。しかし、建設業では以下のような理由で、労働時間の把握が不十分なケースがあります。
- 紙のタイムカード: 各現場に紙のタイムカードを設置しているが、本社で集計するまで時間がかかる
- 自己申告制: 現場監督が「何時から何時まで働いた」を自己申告し、それを鵜呑みにしている
- 直行直帰の把握不足: 直行直帰の従業員の労働時間を正確に把握していない
客観的な労働時間把握の方法
厚生労働省のガイドラインでは、以下のいずれかの方法による客観的な把握が求められています。
- タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間記録など
- 使用者(管理監督者)の現認
建設業では、クラウド勤怠管理システム(GPS打刻機能付き)の導入が有効です。
リスク3. 36協定の未整備・特別条項の限度超過
問題の実態
- 36協定未締結: 時間外労働をさせているのに、36協定を締結していない
- 特別条項なし: 月45時間を超える残業が発生しているのに、特別条項を締結していない
- 上限超過: 特別条項を締結しているが、年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満の上限を超えている
- 協定内容と実態の乖離: 「月45時間まで」と協定しているが、実際は月80時間残業させている
36協定の整備ポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般条項 | 原則:月45時間、年360時間以内 |
| 特別条項 | 年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満 |
| 締結・届出 | 過半数代表者または労働組合と締結し、労働基準監督署に届出 |
| 更新 | 原則1年ごとに更新(有効期間を設定) |
リスク4. 一人親方との契約(偽装請負リスク)
問題の実態
建設業では、一人親方(個人事業主)との業務委託契約が一般的ですが、実態が雇用関係と判断されると、偽装請負となり、以下のリスクがあります。
- 労災保険の適用: 実質的に雇用関係があると判断されると、労災保険の特別加入ではなく、通常の労災保険が適用される可能性
- 社会保険の遡及加入: 雇用関係と判断されると、過去に遡って社会保険に加入させる必要がある
- 未払賃金・残業代請求: 「実質的に従業員だった」として、未払賃金や残業代を請求される可能性
雇用関係と判断されるポイント
- 指揮命令関係の有無(作業の時間・場所・方法を詳細に指示しているか)
- 報酬の性質(時間給・日給など労働時間に応じた報酬か)
- 事業者性の有無(自らの計算と危険負担で仕事をしているか)
- 専属性の程度(特定の会社専属で働いているか)
リスク5. 技能者の高齢化と若手離職
問題の実態
建設業界全体で、技能者の高齢化が進んでいます。国土交通省のデータによると、建設業就業者の約3分の1が55歳以上、一方で29歳以下は約1割程度です。
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 高齢化 | 熟練技能者の大量退職が迫っており、技能継承が急務 |
| 若手離職 | 入社3年以内の離職率が高く、「3K(きつい・汚い・危険)」イメージが払拭できていない |
| 労働条件の課題 | 長時間労働、週休2日制の未導入、給与水準の低さなどが若手離職の原因 |
| キャリアパス不明確 | 「この会社で働き続けるとどうなるのか」が見えず、将来不安から離職 |
建設業の労務リスク診断イメージ
複数現場の労務管理を統合するDX戦略
建設業の時間外労働規制対応には、複数現場の労務管理を統合するDX推進が不可欠です。ここでは、具体的なDX戦略を解説します。
DX戦略の3つの施策
| 柱 | 領域 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 勤怠管理のクラウド化 | 複数現場の労働時間をリアルタイムで一元管理。GPS打刻で直行直帰にも対応 |
| 2 | 書類管理のデジタル化 | 施工管理アプリ導入で、図面・写真・日報をデジタル管理。紙の書類を削減 |
| 3 | 社会保険手続きの電子化 | 電子申請(e-Gov)で、社会保険・労働保険の手続きをペーパーレス化 |
DX戦略施策1. 勤怠管理のクラウド化
建設業に適したクラウド勤怠管理システムの選定ポイント
| 機能 | 重要度 | 理由 |
|---|---|---|
| GPS打刻 | ◎必須 | 直行直帰、複数現場の掛け持ちに対応。どの現場で何時間働いたかを記録 |
| 現場別工数管理 | ◎必須 | A現場3時間、B現場5時間など、現場ごとの労働時間を自動集計 |
| 36協定アラート | ◎必須 | 月45時間、年720時間に近づくと自動アラート。上限超過を未然に防止 |
| スマホアプリ対応 | ◎必須 | 現場作業員がスマホで打刻。タイムカードの設置不要 |
| 給与システム連携 | ○推奨 | 勤怠データを給与計算ソフトに自動連携。手入力の手間を削減 |
| 休暇管理 | ○推奨 | 年次有給休暇の取得状況を可視化。5日取得義務の管理 |
主要クラウド勤怠管理システムの比較(建設業向け)
| システム名 | 特徴 | 料金目安 |
|---|---|---|
| ジョブカン勤怠管理 | GPS打刻、現場別工数管理、36協定アラート。低価格で導入しやすい | 月額200円/人〜 |
| KING OF TIME | 多彩な打刻方法、給与システム連携。シェアNo.1 | 月額300円/人 |
| マネーフォワード クラウド勤怠 | マネーフォワードクラウド給与と連携。バックオフィス業務を一元化 | 月額300円/人〜 |
| 建設業向け専用システム | ANDPAD勤怠など、施工管理アプリと連携。建設業特有の機能充実 | 要問い合わせ |
システム導入時は、無料トライアル期間を活用して、実際の現場で使い勝手を確認することが重要です。また、従業員(特に高齢の技能者)がスマホ操作に慣れていない場合、操作説明会の実施やマニュアル作成が必要です。
DX戦略施策2. 書類管理のデジタル化
施工管理アプリの活用
建設業では、図面、写真、日報、工程表など、大量の紙書類が発生します。これらをデジタル化することで、以下のメリットが期待できます。
- 現場と本社の情報共有: 現場で撮影した写真を即座に本社と共有。報告書作成の時間削減
- 書類作成時間の削減: 手書きの日報をやめ、スマホ・タブレットで入力。写真も自動添付
- 図面の検索性向上: 紙の図面をデジタル化し、必要な図面を即座に検索
- 書類保管スペース削減: クラウド保存により、事務所の書類保管スペースを削減
主要施工管理アプリ
| アプリ名 | 特徴 |
|---|---|
| ANDPAD | 施工管理・図面共有・写真管理・チャット機能。建設業界で高シェア |
| Kizuk(キズク) | 現場帳票のペーパーレス化、工程管理、協力会社との情報共有 |
| ダンドリワーク | 施工管理、日報作成、写真管理。中小建設会社向け |
DX戦略施策3. 社会保険手続きの電子化
電子申請(e-Gov)の活用
社会保険・労働保険の手続きは、電子申請(e-Gov)を利用することで、以下のメリットがあります。
- 郵送・窓口持参が不要: インターネットで24時間365日申請可能
- 書類作成の手間削減: 過去のデータを流用でき、手書きの手間なし
- 添付書類の削減: 一部の添付書類が省略可能(マイナンバーとの連携)
- 処理状況の確認: 申請後の処理状況をオンラインで確認可能
電子申請が可能な主な手続き
- 健康保険・厚生年金保険の資格取得・喪失届
- 雇用保険の資格取得・喪失届
- 労災保険の給付請求
- 36協定届(時間外労働・休日労働に関する協定届)
- 就業規則の届出
複数現場の労務管理を統合するDXシステムのイメージ
時間外労働規制対応|残業時間削減の5つの施策
時間外労働の上限規制に対応するには、複数の施策を組み合わせて、労働時間を削減する必要があります。ここでは、実際に効果が期待できる5つの施策を紹介します。
施策1. 適正な工期設定と元請・施主への交渉
建設業の長時間労働の根本原因は、工期が短すぎることにあります。週休2日制を前提としない工期設定では、時間外労働の削減は困難です。
適正工期設定のポイント
- 週休2日を前提とした工期: 発注者(元請・施主)に対して、週休2日を前提とした工期を提案
- 余裕工期の確保: 天候不順、資材納期遅延などのリスクを見込んだ余裕工期を設定
- 工期変更の柔軟な対応: やむを得ない事由が発生した場合、工期変更を柔軟に協議
発注者(元請・施主)への説明ポイント
発注者に対しては、以下のポイントを説明し、理解を求めることが重要です。
- 2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたこと
- 法令違反を避けるため、適正な工期設定が必要であること
- 週休2日制の導入により、若手人材の確保・定着が期待できること
- 国土交通省も「適正な工期設定等のためのガイドライン」を公表していること
施策2. 作業の平準化と工程管理の最適化
工期内の作業を平準化することで、特定の時期に労働時間が集中することを避けることができます。
平準化のポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前倒し施工 | 繁忙期前に準備作業を前倒しで実施し、繁忙期の負担を軽減 |
| 工程の見える化 | 施工管理アプリで工程をリアルタイムで可視化。遅延を早期発見 |
| 段取りの改善 | 資材の事前搬入、機械の事前配置など、段取りを改善して作業時間を短縮 |
| 協力会社との調整 | 協力会社との工程調整を密に行い、手待ち時間を削減 |
施策3. 週休2日制の段階的導入
いきなり全社で週休2日制を導入するのは困難なため、段階的に導入することが現実的です。
段階的導入のステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ステップ1 | 4週6休→4週7休:まずは月1回の完全週休2日を実現 |
| ステップ2 | 4週7休→4週8休:月2回の完全週休2日に拡大 |
| ステップ3 | 完全週休2日制:全ての週で週休2日を実現 |
収入減少への対応
日給制の技能者にとって、週休2日制は収入減につながる懸念があります。以下の対応が考えられます。
- 日給単価の見直し: 週休2日制導入に合わせて、日給単価を引き上げ
- 月給制への移行: 日給制から月給制に移行し、休日が増えても収入が変わらないようにする
- 生産性向上による単価アップ: DX推進で生産性を向上させ、元請への単価交渉材料とする
施策4. 多能工の育成と人材配置の最適化
一人の技能者が複数の技能を持つ「多能工」を育成することで、人材配置を柔軟にし、特定の職種での人手不足を解消できる可能性があります。
多能工育成のメリット
- 人材配置の柔軟性: 型枠工が不足しているときは型枠工として、鉄筋工が不足しているときは鉄筋工として配置可能
- 手待ち時間の削減: 自分の工程が終わっても、他の工程を手伝うことで、手待ち時間を削減
- 技能者のキャリアアップ: 複数の技能を習得することで、技能者の市場価値が向上
施策5. 業務のアウトソーシング
書類作成、給与計算、社会保険手続きなど、間接業務をアウトソーシングすることで、現場監督や事務職員の業務負担を軽減できます。
アウトソーシングの対象業務
| 業務 | アウトソーシング先 |
|---|---|
| 給与計算 | 社労士事務所、給与計算代行会社 |
| 社会保険・労働保険手続き | 社労士事務所 |
| 経理業務 | 税理士事務所、経理代行会社 |
| CAD図面作成 | CADオペレーター派遣会社 |
週休2日制導入で働き方改革を実現したイメージ
【事例】新宿総合建設15現場(従業員120人)のDX推進ケーススタディ
※本事例は、当事務所の支援実績を基にした仮想事例です。実際の企業名・数値は変更しています。また、記載されている改善効果は、この事例における結果であり、すべての企業で同様の効果を保証するものではありません。企業の状況、業種、規模、取り組み内容などにより結果は異なります。
ここでは、実際に当事務所がサポートした新宿の総合建設会社(仮称:K建設、従業員120人)のDX推進事例を紹介します。
K建設の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 総合建設業(土木・建築) |
| 現場数 | 同時進行15現場(東京都内・近郊) |
| 従業員数 | 120人(正社員80人、協力会社40人) |
| 所在地 | 東京都新宿区(本社) |
| 年商 | 約30億円 |
BEFORE:労務体制の問題点
| 問題点 | 内容 |
|---|---|
| 時間外労働の実態 | 現場監督の長時間労働が常態化。上限規制違反のリスク |
| 勤怠管理の課題 | 紙のタイムカード、各現場バラバラ。複数現場掛け持ちの労働時間を正確に把握できず |
| 週休2日制未導入 | 4週6休。若手が「休みが少ない」と不満。離職率が高い |
| 書類作業の非効率 | 日報、写真、図面すべて紙ベース。現場監督が事務所に戻って手書きで報告書作成 |
| 若手離職率 | 入社3年以内の離職率が高く、人材育成が進まない |
支援内容:8ヶ月でDX推進と労務体制を構築
| 月次 | 支援内容 |
|---|---|
| 1ヶ月目 | 労務監査・課題分析:全従業員の労働時間を精査。36協定の状況確認。上限規制違反リスクの洗い出し |
| 2ヶ月目 | クラウド勤怠管理システム選定・導入準備:建設業向けシステム(GPS打刻・現場別工数管理機能)を選定。全従業員へ説明会実施 |
| 3ヶ月目 | 勤怠システム本格稼働:全現場でクラウド勤怠管理開始。GPS打刻で直行直帰にも対応。リアルタイムで労働時間を一元管理 |
| 4ヶ月目 | 36協定の再整備:特別条項付き36協定を締結。36協定アラート機能で上限超過を未然に防止 |
| 5ヶ月目 | 施工管理アプリ導入:ANDPAD導入。図面・写真・日報をデジタル化。紙の報告書作成時間を削減 |
| 6ヶ月目 | 週休2日制の段階的導入開始:まず月1回の完全週休2日から開始。元請への工期交渉サポート |
| 7ヶ月目 | 電子申請(e-Gov)導入:社会保険・労働保険手続きの電子申請開始。書類作成・郵送の手間削減 |
| 8ヶ月目 | 助成金申請サポート:働き方改革推進支援助成金の申請支援。DX投資費用の一部を助成金でカバー |
AFTER:DX推進後の変化(1年後)
※以下の数値は、この事例企業における結果です。すべての企業で同様の効果を保証するものではなく、企業の状況により結果は異なります。
| 成果指標 | BEFORE→AFTER |
|---|---|
| 時間外労働 | 長時間労働が常態化→削減の取り組みにより改善 |
| 勤怠管理の正確性 | 集計ミス多発→リアルタイム一元管理で正確性向上 |
| 週休2日制 | 4週6休→段階的に4週7〜8休へ移行 |
| 書類作成時間 | 紙ベース→デジタル化により作成時間削減 |
| 若手離職率 | 高い離職率→改善の兆しが見られた |
| 生産性 | 従来レベル→DX推進により向上の傾向 |
投資対効果の試算例
※以下はこの事例における試算です。実際の費用対効果は企業により異なります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 社労士顧問料(年間) | 300万円 |
| システム導入費 | 勤怠:初期50万円+年間144万円(月1,200円/人×100人) 施工管理:初期100万円+年間180万円 |
| 投資合計(年間) | 774万円(初年度は+150万円) |
| 書類作成時間削減効果 | 時間削減により生産性向上 |
| 法令違反リスク回避 | 罰則リスク軽減 |
| 助成金受給 | 働き方改革推進支援助成金 |
※効果は企業規模・業種・状況により異なります。この試算は当該事例における結果であり、すべての企業で同様の効果を保証するものではありません。
DX推進後の建設現場イメージ
建設業が活用できる助成金3選
建設業のDX推進・時間外労働規制対応には、国の助成金を活用することで、費用負担を軽減できる可能性があります。ここでは、活用しやすい3つの助成金を紹介します。
1. 働き方改革推進支援助成金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 時間外労働の削減、年次有給休暇の取得促進など、働き方改革に資する取組を支援 |
| 対象 | 中小企業事業主など(コースごとに要件あり) |
| 助成額 | 取組に要した経費の一部を助成(補助率:原則3/4。条件により4/5の場合あり)。支給上限額は、設定する成果目標等により異なります。 |
| 建設業での活用例 | 勤怠管理システム導入、施工管理アプリ導入、就業規則整備など |
2. 人材確保等支援助成金(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 建設業で若年者・女性の入職や定着を図る事業主を支援 |
| 対象 | 建設業の中小事業主 |
| 助成額 | 取組に要した経費の一部を助成 |
| 建設業での活用例 | 女性専用トイレ・更衣室の設置、若手育成プログラム構築など |
3. キャリアアップ助成金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 非正規雇用労働者のキャリアアップを支援 |
| 対象 | 有期雇用労働者を正社員に転換、賃金引き上げなど |
| 助成額 | 正社員化コース:1人あたり57万円〜80万円 |
| 建設業での活用例 | 有期雇用の技能者を正社員登用し、助成金を受給 |
助成金は後払いが原則です。先に施策を実施し、効果が出た後に申請・受給となります。また、申請には詳細な計画書や実績報告が必要で、社労士のサポートが推奨されます。助成金の要件は頻繁に変更されるため、最新情報は厚生労働省ホームページまたは社労士にご確認ください。
建設業が社労士を選ぶ5つの基準
建設業の時間外労働規制対応・DX推進には、業界に精通した社労士の選定が重要です。以下の5つの基準を参考にしてください。
基準1. 建設業の労務支援実績がある
建設業特有の課題(複数現場の労働時間管理、36協定の特別条項、一人親方との契約など)に精通している社労士を選びましょう。「建設業の支援実績〇〇社」など、具体的な実績を確認することが重要です。
基準2. クラウドシステム導入支援ができる
クラウド勤怠管理システム、施工管理アプリなど、DXツールの導入支援ができる社労士であれば、時間外労働規制対応がスムーズに進みます。
基準3. 助成金申請サポートができる
働き方改革推進支援助成金、人材確保等支援助成金など、建設業で活用できる助成金に詳しい社労士を選びましょう。
基準4. 電子申請(e-Gov)に対応している
社会保険・労働保険の手続きを電子申請(e-Gov)で対応している社労士であれば、書類の郵送・窓口持参の手間が省けます。
基準5. 透明性の高い料金体系
建設業の社労士顧問料は、月額8万円〜20万円程度が相場です(従業員100人規模の場合)。当事務所は、初回相談無料、見積もり提示後の追加料金なしで対応します。
建設業に強い専門家との相談イメージ
よくある質問(Q&A)
Q1. 2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されましたが、罰則はありますか?
A1. はい、あります。時間外労働の上限(年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満)を超えた場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、労働基準監督署から是正勧告を受けることもあります。
Q2. 複数の現場を掛け持ちしている従業員の労働時間は、どのように管理すればよいですか?
A2. クラウド勤怠管理システム(GPS打刻機能付き)の導入が有効です。従業員がスマホで各現場で打刻することで、「A現場3時間、B現場5時間」など、現場ごとの労働時間を自動集計できます。これにより、複数現場の労働時間を一元管理し、上限超過を未然に防止できる可能性があります。
Q3. 週休2日制を導入すると、日給制の技能者の収入が減ってしまいませんか?
A3. その懸念はあります。対応策として、①日給単価の見直し(週休2日制導入に合わせて日給単価を引き上げ)、②月給制への移行(休日が増えても収入が変わらないようにする)、③生産性向上による単価アップ(DX推進で生産性を向上させ、元請への単価交渉材料とする)などが考えられます。
Q4. 一人親方との契約が「偽装請負」と判断されるのは、どのような場合ですか?
A4. 以下のようなケースでは、実質的に雇用関係があると判断される可能性があります。①指揮命令関係がある(作業の時間・場所・方法を詳細に指示している)、②報酬が時間給・日給など労働時間に応じている、③自らの計算と危険負担で仕事をしていない、④特定の会社専属で働いている。偽装請負と判断されると、社会保険の遡及加入、未払賃金・残業代請求などのリスクがあります。
Q5. DX推進のために、どのシステムから導入すべきですか?
A5. 最優先は勤怠管理システムです。時間外労働規制対応には、労働時間の正確な把握が不可欠だからです。次に、施工管理アプリを導入し、書類のデジタル化を進めることで、生産性向上が期待できます。最後に、電子申請(e-Gov)で社会保険手続きをペーパーレス化します。
Q6. 建設業で助成金を受給するのは難しいですか?
A6. 社労士のサポートがあれば、受給できる可能性があります。助成金は、要件が複雑で、計画書や実績報告の作成が必要です。また、施策を実施した後に申請するため、事前に計画を立てる必要があります。建設業に精通した社労士であれば、適切な助成金の選定から申請までサポートできます。
Q7. 社労士の費用はどのくらいですか?
A7. 建設業(従業員100人規模)の場合、月額8万円〜20万円程度が相場です。現場数、従業員数、サポート内容(給与計算、助成金申請など)により変動します。当事務所では、初回相談無料、見積もり提示後の追加料金なしで対応します。まずはお気軽にご相談ください。
まとめ:持続可能な建設業経営を実現するために
東京の建設業(100人超・複数現場)にとって、時間外労働規制対応とDX推進は最重要課題です。クラウド勤怠管理システムの導入、書類のデジタル化、電子申請の活用など、複数の施策を組み合わせることで、法令遵守と生産性向上の両立が期待できます。
ただし、これらの施策は「導入すれば必ず成功する」というものではありません。企業の状況、業種、規模、取り組み内容などにより、効果は異なります。重要なのは、自社の労務課題を正確に把握し、優先順位をつけて着実に改善していくことです。
私たち寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)は、建設業の労務支援実績があり、クラウドシステム導入から助成金申請まで、ワンストップでサポートします。税理士と社労士のダブルライセンスで、税務と労務を一括で対応可能です。時間外労働規制対応・DX推進にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
※本記事は作成日時点の情報に基づき作成しております。法改正等により内容が変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。具体的なご相談は専門家までお問い合わせください。また、本記事で紹介した事例は、当該企業における結果であり、すべての企業で同様の効果を保証するものではありません。
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記事監修
【記事監修】
寺田慎也(てらだ しんや)
税理士・特定社会保険労務士
寺田税理士事務所 / 社労士法人フォーグッド / 株式会社フォーグッドコンサルティング 代表
【専門分野】
税務顧問、確定申告、税務調査対応、社会保険手続き、給与計算、労務相談、建設業労務支援、助成金申請支援
【保有資格】
税理士、特定社会保険労務士
【組織体制】
創業75年の実績を持つ専門家集団。スタッフ20名、税理士4名・社労士6名(うち特定社労士2名)が在籍し、大阪・東京の2拠点で全国450社以上の企業をサポート。
【代表者の実績・メディア掲載】
- テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」専門家として複数回出演(2024年5月・6月、2025年8月)
- アイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門 4年連続全国1位
- 中央経済社『税務弘報』にて連載執筆中「新・労務知識アップデート講座」
- 著書:『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』(幻冬舎、2018年)
- 著書:『雇用関係助成金申請・手続マニュアル』(日本法令、2020年)

4年連続:おすすめ事務所 実績部門『全国1位』
私たち 寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)は、2023年、2024年、2025年に続き、2026年も「実績部門 全国1位」に選出されました。
この結果に甘んじることなく、税務と労務のワンストップ支援で、日本中のお客様に貢献できるよう努めてまいります。
参考資料(一次情報)
- 厚生労働省:労働時間・休日
- 国土交通省:建設業働き方改革加速化プログラム
- 厚生労働省:事業主の方のための雇用関係助成金
- 労働基準法(e-Gov法令検索)
- 国土交通省:適正な工期設定等のためのガイドライン
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