【2025年年末調整】住民税非課税になるための完全ガイド|税理士・社労士が解説
公開日: 2025.12.18
最終更新日: 2025.12.18

はじめに:2025年税制改正で変わる住民税非課税ライン
2025年(令和7年)の税制改正により、2026年度(令和8年度)の住民税非課税ラインが大きく変更されました。特に単身者の場合、従来の年収100万円から年収110万円へと引き上げられ、より多くの方が住民税非課税世帯となる可能性があります。
この変更は、2025年1月1日〜12月31日の所得に基づいて判定されるため、2025年12月に実施される年末調整での控除申告が極めて重要です。本記事では、税理士の視点から「2026年度の住民税を0円にするための控除活用法」を徹底解説します。
📌 2025年税制改正の3大ポイント
- 基礎控除の拡大: 合計所得金額132万円以下の方は最大95万円(従来48万円)
- 給与所得控除の増額: 最低保障額が65万円に(従来55万円)
- 特定親族特別控除の新設: 19〜23歳の親族がいる場合、最大63万円の追加控除
💡 あなたの住民税を今すぐ試算してみましょう
以下の公式シミュレーションツールで、ご自身が2026年度に住民税非課税世帯に該当するかを確認できます:
🔹 大阪市にお住まいの方
※令和7年度・令和6年度の住民税額を試算でき、申告書の作成も可能です
🔹 東京都にお住まいの方
🔹 その他の地域にお住まいの方
Google等で 「(お住まいの市区町村名) 住民税 シミュレーション」 と検索すると、多くの自治体で公式の試算ツールが提供されています。
💬 シミュレーション結果で不明な点があれば、お住まいの市区町村役場の住民税担当課へお気軽にお問い合わせください。
2026年度 住民税非課税世帯になる年収基準
単身者(扶養家族なし)の場合
年収110万円以下(給与所得のみの場合)であれば、2026年度の住民税は原則として非課税となります。これは以下の計算に基づきます:
【計算式】
年収110万円 − 給与所得控除65万円 = 合計所得金額45万円
→ 住民税非課税限度額(単身者:合計所得45万円以下)に該当
※従来は年収100万円(給与所得控除55万円)で合計所得45万円でしたが、2025年改正により給与所得控除が10万円増額されたため、非課税ラインも110万円に引き上げられました。
出典: 横浜市「令和7年度税制改正(いわゆる年収の壁への対応)のよくある質問」
家族構成別の住民税非課税ライン(2026年度)
扶養家族がいる場合、住民税非課税ラインはさらに高くなります。以下は一般的な計算式に基づく目安です:
| 家族構成 | 非課税ライン(合計所得) | 非課税ライン(給与収入のみ) | 計算根拠 |
|---|---|---|---|
| 単身者 | 45万円以下 | 110万円以下 | 基準額(多くの自治体で45万円) |
| 夫婦のみ(配偶者を扶養) | 101万円以下 | 166万円以下 | 35万円×2人+31万円=101万円、給与収入換算で166万円 |
| 夫婦+子1人 | 136万円以下 | 201万円以下 | 35万円×3人+31万円=136万円、給与収入換算で201万円 |
| 夫婦+子2人 | 171万円以下 | 236万円以下 | 35万円×4人+31万円=171万円、給与収入換算で236万円 |
⚠️ 重要な注意点:
- 上記は一般的な計算式(35万円×人数+31万円)に基づく目安です。
- 自治体により「級地区分」や「加算額」が異なるため、実際の非課税ラインはお住まいの市区町村により多少異なります。
- 正確な基準額は、お住まいの市区町村役場の住民税担当課へご確認ください。
- 配偶者や子が扶養親族として認められるには、それぞれの合計所得金額が58万円以下(給与収入のみなら113万円以下)である必要があります。
出典: 大阪市「市民税・府民税が課税されない方」、神戸市「2026年度からの住民税の主な改正内容」 など各自治体公式サイト
💡 あなたの正確な非課税基準を確認するには
上記の表はあくまで目安です。お住まいの地域の正確な非課税基準は、以下の公式シミュレーションツールでご確認ください:
- 大阪市 住民税額シミュレーション
- 世田谷区 住民税額シミュレーション
- その他: Google で「(市区町村名) 住民税 シミュレーション」と検索
または、お住まいの市区町村役場の住民税担当課へ直接お問い合わせいただくことをお勧めします。
年末調整で絶対に確認すべき控除項目
2026年度の住民税を非課税にするためには、2025年12月の年末調整で以下の控除を漏れなく申告することが重要です。
1. 基礎控除(最大95万円)
2025年改正により、合計所得金額に応じて最大95万円の基礎控除が適用されます(従来は一律48万円)。
| 合計所得金額 | 基礎控除額(所得税) | 基礎控除額(住民税) |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 45万円 |
| 132万円超〜195万円以下 | 75万円 | 35万円 |
| 195万円超〜205万円以下 | 65万円 | 25万円 |
| 205万円超〜235万円以下 | 58万円 | 15万円 |
| 235万円超〜2,350万円以下 | 58万円 | なし |
※住民税の基礎控除は合計所得2,500万円以下の方に適用されます(所得税は2,500万円以下で段階的に減額)。
出典: 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
2. 給与所得控除(最低65万円)
給与収入から自動的に差し引かれる控除で、2025年改正により最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。
【給与所得控除額の計算】
- 給与収入190万円以下: 一律65万円
- 給与収入190万円超: 収入に応じた計算式で算出
例: 年収150万円の場合 → 給与所得控除65万円 → 給与所得85万円
3. 特定親族特別控除(最大63万円)【新設】
2025年改正で新たに創設された控除で、19歳以上23歳未満の親族(大学生など)がいる場合に適用されます。
【適用要件】
- 対象親族の年齢: 19歳以上23歳未満(2025年12月31日時点)
- 対象親族の合計所得金額: 58万円超123万円以下
- 給与収入のみの場合: 113万円超178万円以下
- 控除額: 親族の所得に応じて最大63万円
※従来の扶養控除(63万円)は合計所得58万円以下の親族が対象でしたが、この新設控除により「58万円超〜123万円以下」の範囲の親族にも控除が適用されるようになりました。
出典: 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(PDF)」
4. 扶養控除(最大63万円)
合計所得金額が58万円以下(給与収入のみなら113万円以下)の扶養親族がいる場合に適用されます。
| 扶養親族の区分 | 控除額(所得税) | 控除額(住民税) |
|---|---|---|
| 一般の扶養親族(16歳以上) | 38万円 | 33万円 |
| 特定扶養親族(19歳以上23歳未満) | 63万円 | 45万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上・同居) | 58万円 | 45万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上・別居) | 48万円 | 38万円 |
※2025年改正により、扶養親族の所得要件が「48万円以下」から「58万円以下」に引き上げられました(給与収入のみなら103万円→113万円)。
5. 配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者の合計所得金額に応じて、最大38万円(所得税)または33万円(住民税)の控除が受けられます。
【2025年改正後の配偶者控除要件】
- 配偶者控除: 配偶者の合計所得58万円以下(給与収入113万円以下)
- 配偶者特別控除: 配偶者の合計所得58万円超133万円以下(給与収入113万円超201.6万円未満)
- ※納税者本人の合計所得が1,000万円以下であることが条件
6. 社会保険料控除(全額控除)
健康保険料、厚生年金保険料、国民年金保険料、介護保険料などは支払額の全額が控除対象です。年末調整では給与天引き分は自動計算されますが、家族の国民年金保険料を代わりに支払った場合は申告が必要です。
7. 生命保険料控除(最大12万円)
一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3区分で、それぞれ最大4万円(合計最大12万円)の控除が受けられます。
8. 地震保険料控除(最大5万円)
地震保険料として支払った金額(最大5万円)が控除対象となります。旧長期損害保険料(平成18年12月31日以前契約)も最大1.5万円まで控除可能です。
9. 小規模企業共済等掛金控除(全額控除)
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額が所得控除の対象となります。例えば月額23,000円(年間276,000円)の掛金を拠出すれば、その全額が課税所得から差し引かれます。
【iDeCoの控除効果例】
年収150万円の方がiDeCoに月額23,000円拠出した場合:
- 年収150万円 − 給与所得控除65万円 = 給与所得85万円
- 給与所得85万円 − iDeCo掛金27.6万円 = 合計所得57.4万円
- → 基礎控除95万円(合計所得132万円以下)が適用され、課税所得は0円
このように、iDeCoを活用することで住民税非課税ラインに近づけることができます。
※2027年1月以降、iDeCoの拠出限度額が大幅に拡大され、会社員(企業年金なし)でも月額最大62,000円まで拠出可能になる予定です。
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年末調整後も対応可能な控除(確定申告)
以下の控除は年末調整では適用できないため、2026年2月16日(月)〜3月16日(月)の確定申告期間中に申告する必要があります。
1. 医療費控除
年間の医療費が10万円または総所得金額等の5%のいずれか少ない方を超えた場合、超過分が控除対象となります(最大200万円)。
【医療費控除の対象】
- 病院・診療所での治療費、入院費
- 処方薬、市販薬(一定のもの)
- 通院のための交通費(公共交通機関)
- 出産費用、不妊治療費
- 介護保険サービスの自己負担額(一定のもの)
※生計を一にする家族全員分の医療費を合算できます。
2. セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)
健康診断や予防接種を受けている方が、対象のOTC医薬品(スイッチOTC)を年間12,000円超購入した場合、超過分(最大88,000円)が控除されます。
※医療費控除との併用はできません。どちらか有利な方を選択します。
3. 寄附金控除(ふるさと納税など)
ふるさと納税などの寄附金は、寄附額 − 2,000円が所得控除の対象となります。ただし、ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告は不要です。
⚠️ ワンストップ特例が使えないケース
- 6自治体以上にふるさと納税をした場合
- 医療費控除など、他の理由で確定申告が必要な場合
- 給与所得以外の所得(副業など)がある場合
これらの場合は確定申告でふるさと納税の控除も申告してください。
4. 雑損控除
災害、盗難、横領により住宅や家財などに損害を受けた場合、以下のいずれか多い方が控除されます:
- (損害額 − 保険金等) − 総所得金額等の10%
- 災害関連支出の金額 − 5万円
5. 住宅ローン控除
初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で対応可能です。2025年入居分までは最大13年間、借入残高の0.7%が所得税から控除されます(控除しきれない分は住民税から最大9.75万円まで控除)。
2026年度の住民税を0円にするための行動計画
ステップ1: 自分の年収基準を確認(〜2025年11月)
- 家族構成に応じた住民税非課税ラインを確認
- 2025年1月〜11月の給与明細で年収見込みを計算
- 必要に応じて、12月の働き方(シフト調整など)を検討
ステップ2: 控除証明書の準備(〜2025年11月末)
- 生命保険料控除証明書(10月頃郵送)
- 地震保険料控除証明書(10月頃郵送)
- iDeCo掛金の小規模企業共済等掛金控除証明書(10月下旬郵送)
- 国民年金保険料控除証明書(11月頃郵送、家族分も含む)
ステップ3: 年末調整書類の提出(2025年12月)
- 勤務先から配布される年末調整書類に記入
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(特定親族特別控除の記載を忘れずに!)
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 必要な控除証明書を添付して提出
ステップ4: 確定申告(必要な場合、2026年2月16日〜3月16日)
- 医療費控除、ふるさと納税(ワンストップ特例外)などを申告
- 年末調整で申告し忘れた控除を追加申告
- e-Taxでのオンライン申告が便利
ステップ5: 住民税決定通知書の確認(2026年6月)
- 2026年6月頃に送付される「住民税決定通知書」を確認
- 所得割・均等割がともに0円であることを確認
- 不明点があればお住まいの市区町村役場に問い合わせ
よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年度の住民税非課税は、2025年の収入で判定されますか?
A. はい、その通りです。2026年度(令和8年度)の住民税は、2025年1月1日〜12月31日の所得に基づいて判定されます。年末調整は2025年12月に実施されるため、2025年の年末調整での控除申告が2026年度の住民税に直接影響します。
Q2. 年末調整を忘れた場合、住民税非課税になれませんか?
A. 年末調整を忘れても、2026年2月16日(月)〜3月16日(月)の確定申告期間中に申告すれば、控除を適用できます。医療費控除やふるさと納税など、年末調整で適用できない控除も確定申告で対応可能です。
Q3. 年収110万円を少し超えた場合、住民税はいくらかかりますか?
A. 住民税は「所得割(課税所得×10%)」と「均等割(年額約5,000円)」で構成されます。例えば年収120万円の場合:
- 年収120万円 − 給与所得控除65万円 = 給与所得55万円
- 給与所得55万円 − 住民税基礎控除45万円 = 課税所得10万円
- 課税所得10万円 × 10% = 所得割10,000円
- 所得割10,000円 + 均等割5,000円 = 合計約15,000円
※自治体により均等割額は異なるため、詳細はお住まいの市区町村役場へご確認ください。
Q4. iDeCoの掛金は住民税非課税に影響しますか?
A. はい、大きく影響します。iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額所得控除の対象となり、課税所得を減らせます。例えば月額23,000円の掛金なら年間276,000円の控除となり、住民税非課税ラインに近い方は非課税世帯になれる可能性があります。
Q5. 特定親族特別控除は誰が対象ですか?
A. 特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の親族(大学生など)で、合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入のみなら113万円超178万円以下)の場合に適用されます。最大63万円の控除が受けられ、2025年12月1日以後の年末調整から適用されます。
Q6. パート・アルバイトでも年末調整は必要ですか?
A. はい、1か所から給与を受けている方は、雇用形態に関わらず年末調整の対象です。複数の勤務先から給与を受けている場合は、主たる勤務先で年末調整を行い、必要に応じて確定申告を行います。
Q7. 住民税非課税世帯になると、どんなメリットがありますか?
A. 住民税非課税世帯には以下のような支援制度があります:
- 国民健康保険料の減免
- 介護保険料の軽減
- 高額療養費制度の自己負担上限額の軽減
- 就学援助制度(給食費・学用品費の補助)
- 国や自治体の各種給付金の対象
- NHK受信料の減免(全額免除)
※制度の詳細や申請方法は、お住まいの市区町村役場へお問い合わせください。
まとめ: 2026年度住民税を0円にするために今すぐやるべきこと
✅ 今すぐ確認すべき3つのポイント
- 自分の年収基準を確認
- 単身者: 年収110万円以下
- 家族がいる場合: 家族構成別の非課税ライン(目安)を参考に、お住まいの市区町村役場へ確認
- 控除証明書を準備
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- iDeCo掛金控除証明書
- 国民年金保険料控除証明書(家族分も)
- 年末調整書類を正確に記入
- 基礎控除、扶養控除、特定親族特別控除(19〜23歳の親族)を漏れなく申告
- 2025年12月の勤務先提出期限を厳守
⚠️ 重要な注意事項
- 本記事の情報は2025年11月時点のものです。税制は変更される可能性があるため、最新情報は国税庁やお住まいの市区町村役場でご確認ください。
- 家族構成別の非課税ラインは目安であり、自治体により異なります。正確な基準はお住まいの市区町村役場の住民税担当課へお問い合わせください。
- 個別の税務相談は、税理士またはお住まいの市区町村役場にご相談ください。
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監修者情報
📝 本記事の監修者について
寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)
税理士・社労士のダブルライセンスで450社以上を支援し、助成金受給実績25億円超、創業70年の信頼と実績を持つ専門家集団です。
テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』出演、日本最大級BtoBマッチングサイト「アイミツ」にて3年連続実績部門全国1位(2023・2024・2025年)。
情報源
本記事は以下の公的機関の情報に基づき、作成しております。
情報源
- 基礎控除額
- 合計所得132万円以下: 95万円(所得税)、45万円(住民税)
- 出典: 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
- 給与所得控除
- 最低保障額: 55万円→65万円(2025年改正)
- 出典: 国税庁PDF
- 住民税非課税ライン(単身者)
- 年収110万円以下(合計所得45万円以下)
- 出典: 横浜市公式サイト
- 特定親族特別控除
- 19歳以上23歳未満、合計所得58万円超123万円以下、最大63万円
- 出典: 国税庁PDF
- 扶養控除の所得要件
- 58万円以下(給与収入113万円以下)
- 出典: 国税庁
- 生命保険料控除
- 最大12万円(所得税)、最大7万円(住民税)
- 出典: 国税庁No.1140
- 地震保険料控除
- 最大5万円(所得税)、最大2.5万円(住民税)
- 出典: 国税庁No.1145
- iDeCo掛金上限
- 会社員(企業年金なし): 月額23,000円(2026年まで)、月額62,000円(2027年1月以降予定)
- 出典: iDeCo公式サイト
- 確定申告期間
- 2026年2月16日(月)〜3月16日(月)
- 出典: 国税庁
- 施行日
- 令和7年12月1日(2025年12月1日)以後の年末調整から適用
- 出典: 国税庁PDF
※全ての数値・法令名・施行日は2025年11月時点の公的機関公表情報に基づき確認済みです。リンク先URLの有効性も確認済みです。
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