キャリアアップ助成金の厳しい審査をクリアする5つのポイント

公開日: 2023.11.16

最終更新日: 2025.03.02

はじめに

キャリアアップ助成金の厳しい審査をクリアするために

 キャリアアップ助成金は、申請要件さえ満たせていれば誰でも受給できるので、事業主の方に広くおすすめできる助成金の1つです。しかし要件を満たしているかどうかを判断するためには、厳しい審査があります。
※なお2025年4月1日からキャリアアップ助成金の改正点があります。当記事の後段ではこの変更点の内容についても詳しく説明していきます。

厚生労働省HP:キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金の申請する時の5つの注意点

キャリアアップ助成金を申請するさいに、あらかじめ知っておきたい5つの注意点について解説します。

1.正社員化・処遇改善措置前の手続き

正社員への転換や賃金アップなどの措置をとる「前」に、キャリアアップ計画を策定する必要があります。
※2025年(令和7年度)改正により、申請手続の負担軽減及び審査の効率化の観点から、キャリアアップ計画について、都道府県労働局長の認定は不要となる予定です。

2.就業規則への明記

どのような労働者が該当の制度の対象になるのか、就業規則にルールとしてはっきりと明記しましょう。

3.支給申請期間中の手続き

キャリアアップ助成金を申請できるのは、該当の措置をおこなったあと、6ヶ月分の賃金が支払われた日の翌日から2か月以内です。この申請期間中に手続きをしなければなりません。

4.申請後の訂正は不可

キャリアアップ助成金の申請をするのは、処遇を変更し、6ヶ月分の賃金を支払ったあとです。もし申請後に賃金アップの割合を間違えたことに気づいても、修正することはできません。不備がないように慎重に手続きを進めましょう。

5.実際に助成金が支給されるまでには時間がかかる

状況によって異なりますが、該当の措置をおこなってから助成金を受け取るまでに、1年程度はかかると考えておきましょう。

キャリアアップ助成金が支給されない5パターン

申請時は要件を満たしていても、キャリアアップ助成金が不支給になってしまう5つのパターンについて説明します。

1.労働基準法などの法令違反がある場合

支給申請日の前日から過去1年以内に労働関連の法律に違反したことがある事業主は、キャリアアップ助成金の対象になりません。残業代の算出方法、労働時間、有給休暇付与・取得など、最新の労働基準法を遵守した経営ができているか確認しましょう。

2.実地調査の協力を拒否した場合

キャリアアップ助成金の申請後、審査のために事業所の実地調査をされることがあります。実地調査は予告なくおこなわれることもあり、拒否すると助成金の支給を受けられません

3.書類の疑義に対して、適切な対応をしない場合

申請書や添付書類などに不明点があった場合は、都道府県労働局長から書類の補正や追加書類の提出を求められます。期日までに必要な対応をとらないと、不支給の対象となります。

4.不正給付から5年以内の申請の場合

不正受給とは、虚偽の申告をし、本来なら受け取れないはずの助成金を受け取ることです。過去に不正受給をしたことがある事業主は、5年間はキャリアアップ助成金の受給ができません

5.受給後の会計検査院検査への協力不同意の場合

キャリアアップ助成金の支給後、会計検査院が会計検査をおこなうことがあります。会計検査への協力に応じなかった場合は、助成金を受け取ることはできません。会計検査の対象となる可能性を踏まえて、支給申請書や添付書類の写しなどは、支給決定から5年間は保存しておきましょう。

キャリアアップ助成金の審査をクリアするためのポイント

就業規則で正社員と非正規雇用労働者の違いを明記すること

まず、就業規則上では、正社員と非正規雇用労働者のあいだで「明確な違い」を設けていない会社は、受給が難しくなっています。「同一労働・同一賃金の原則」に違反しないよう注意が必要です。この原則は、不合理な待遇差を禁止しており、違反すると助成金が不支給となる可能性があります。

厚生労働省:キャリアアップ助成金Q&A(令和6年度版:令和6年4月1日)

待遇差の合理性の判断基準

厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」によると、待遇差の合理性は以下の3つの観点で判断されます。

1.職務内容(業務の内容+責任の程度)

  • 業務の種類:販売職、事務職、製造工などの違い
  • 中核的業務:職務に不可欠な業務や成果への影響度
  • 責任の程度:契約締結権限、部下の管理、決裁範囲など

2.職務内容・配置の変更の範囲

  • 転勤や人事異動、昇進の有無や範囲
  • 実態として異動があるかどうかも判断基準となる

3.その他の事情

職務の成果、能力、経験、労使慣行、交渉の経緯など

4.適切な運用のポイント

助成金を適切に受給するには、①~③のいずれかで正社員と非正規雇用労働者の違いを設け、それを就業規則に明記し、賃金制度に反映することが重要です。

キャリアアップ助成金の変更点(2025年4月1日から)

今年度(令和7年)のキャリアアップ助成金の各コースの変更点は、下記のとおりです。

厚生労働省:雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案(2025年2月20日)

【1.キャリアアップ計画書の労働局認定の見直し】

 令和7年度(2025年)キャリアアップ助成金の改正では、申請手続の負担軽減及び審査の効率化の観点から、キャリアアップ計画について、都道府県労働局長の認定を不要とする。

【2.正社員化コース】

 令和7年度(2025年)キャリアアップ助成金【正社員化コース】のでは、以下の変更が予定されています。

支給額と引上げ率の区分を変更

  • 有期雇用正社員:80万円 → 40万円支給額半減
  • 無期雇用正社員:40万円 → 30万円

ただし、以下の重点対象者には、2期(12か月)合計で80万円(1期あたり40万円)が支給されます。

  • 雇用から3年以上の有期雇用労働者
  • 雇用から3年未満の有期雇用労働者であり、過去から不安定雇用が継続している者
  • 人材開発支援訓練を受講した者、派遣労働者母子家庭の母

適用時期と移行措置

 有期契約期間が6か月以上の対象労働者は、令和7年3月31日までに正社員転換を完了することが推奨されています。

支給対象の見直し

 新規学卒者で雇用開始から一定期間経過していない者は支給対象外

【3.賃金規定等改定コース】

支給額の拡充及び区分の新設

支給額の拡充及び区分の新設
企業規模 賃金引上げ率
3%以上4%未満 4%以上5%未満 5%以上6%未満 6%以上
中小企業事業主 4万円 5万円 6万5,000円 7万円
中小企業事業主以外 2万6,000円 3万3,000円 4万3,000円 4万6,000円

※ 1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は100名。

加算措置の見直し(1事業所当たりの加算額)

加算措置の見直し(1事業所当たりの加算額)
措置内容 加算額
①職務評価の手法の活用により賃金を一定割合以上で増額する措置を講じた場合(1事業所当たり1回のみ) 20万円
(中小企業事業主以外 15万円)
②賃金引上げを実施した労働者について、昇給制度を整備した場合(1事業所当たり1回のみ)(新設) 20万円
(中小企業事業主以外 15万円)

【4.障害者正社員化コース】

・キャリアアップ計画について、都道府県労働局長の認定を不要とし、「キャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局長に提出した事業主であること」との要件に改める

【無料相談可!】キャリアアップ助成金のご相談は弊社まで

キャリアアップ助成金のしくみは複雑で、審査も厳しいでしょう。確実に審査に合格し助成金を受け取るには、専門家に相談することをおすすめします。弊社には助成金の専門家である社労士が4名在籍しており、ノウハウも豊富にありますのでご相談もお受けしております。どうぞお気軽にお問い合わせください。また税理士も在籍しておりますので助成金受給後の効果的な節税対策も提案いたします。

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 2025年(令和7年度)のキャリアアップ助成金「正社員化コース」の改正では、一般労働者の支給額が80万円から40万円へ半減します。この改正内容を詳しく解説した記事も公開していますので、ぜひチェックください。
 詳しくはコチラ↓↓↓
『2025年(令和7)キャリアアップ助成金「正社員化コース」改正ポイント』

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