防衛特別税2026年確定版|法人税4月・所得税2027年確定、中小企業が知るべき全ポイント

公開日: 2024.12.31

最終更新日: 2026.02.23


――「うちの会社、今年から防衛特別法人税がかかるの?」「所得税も増えるって本当?」。
令和8年度(2026年度)税制改正大綱が令和7年12月19日に与党大綱として公表され、同月26日に閣議決定されました。防衛特別所得税の創設が正式に決まりました。
法人税は今月(2026年4月)から施行、所得税は2027年1月から適用開始です。
約450社の中小企業をサポートしてきた税理士・社労士が、制度の全体像と実務対応を解説します。

防衛特別税2026年確定版の概要を説明する税理士のイメージ

1. 防衛特別税とは?3つの税目と令和8年度大綱の最新状況

防衛特別税とは、防衛費をGDP比2%程度(5年間で約43兆円)に増額するための財源を確保するために新設・見直しされる3つの税制措置の総称です。

令和5年度(2023年度)税制改正大綱で財源確保の方向性が示されてから3年。防衛特別法人税・たばこ税は令和7年度(2025年度)大綱(令和6年12月27日閣議決定)で創設が決定し、令和8年4月に施行済みです。そして令和8年度(2026年度)大綱(令和7年12月26日閣議決定)で、残る防衛特別所得税の創設がついに正式決定されました。

税目 適用開始 内容 決定した大綱 状況
防衛特別法人税 2026年4月1日以後開始事業年度〜 (基準法人税額-500万円)×4% 令和7年度大綱
(令和6年12月27日閣議決定)
✅ 2026年4月施行済
防衛特別所得税 令和9年(2027年)1月1日〜 基準所得税額×1%の付加税 令和8年度大綱
(令和7年12月26日閣議決定)
🆕 令和8年度大綱で正式決定
たばこ税 2026年4月〜2029年4月(段階的) 加熱式たばこ課税方式見直し+税率引き上げ 令和7年度大綱
(令和6年12月27日閣議決定)
✅ スケジュール確定
⚠ 2024年記事からの最大の変更点
前回(2024年12月)の記事では防衛特別所得税は「2027年1月以降検討中」と記載していました。今回の変更点を正確に整理すると:

防衛特別法人税・たばこ税:令和7年度(2025年度)大綱(令和6年12月27日閣議決定)で創設決定済み → 2026年4月に施行済み
防衛特別所得税:令和8年度(2026年度)大綱(令和7年12月26日閣議決定)で新たに正式決定 → 令和9年(2027年)1月から適用
復興特別所得税の課税期間:令和29年(2047年)まで10年間延長が確定

2. 【令和8年4月施行】防衛特別法人税の仕組みと計算方法

防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用される法人税の付加税です。計算式はシンプルで「(基準法人税額-500万円)×4%」で算出します。

対象法人と基礎控除

原則としてすべての法人(内国法人・外国法人)が対象です。ただし、基準法人税額が500万円以下の法人には実質的な課税が生じません。この500万円の基礎控除は、中小企業への配慮として設けられています。

💡 計算式の確認
防衛特別法人税額=(基準法人税額-500万円)×4%

「基準法人税額」とは、法人税額から土地重課税額・留保金課税額などを除いた通常の法人税額のことです。500万円以下の場合は課税ゼロ(ただし申告は必要)。

グループ通算制度適用法人の注意点

グループ通算制度を適用している企業グループは、500万円の基礎控除枠をグループ全体で分け合います。グループ内の各法人が個別に500万円を控除することはできないため、グループ経営の企業は早めに確認が必要です。

税効果会計への影響(経理担当者は要確認)

日本基準では「税率改正の影響は法律の公布日で認識する」ことが定められています。防衛特別法人税の改正法は2025年3月31日までに公布されたため、2025年3月期決算から繰延税金資産・負債の計算に新しい実効税率を反映する必要がありました。2025年3月期の決算修正が未対応の場合はすぐに税理士に相談してください。

3. 中小企業への影響シミュレーション|課税所得別試算

「うちの会社は対象になる?」という疑問に答えるため、課税所得別の税負担増額を試算しました。中小法人(軽減税率15%適用)と大法人(23.2%)でラインが異なります。

課税所得(法人税額の目安) 中小法人
(軽減15%)
大法人
(23.2%)
防衛特別法人税の
年間負担増(中小)
2,000万円 約300万円 約464万円 課税なし(300万円<500万円)
2,500万円(中小ライン付近) 約491万円 約580万円 課税なし(491万円<500万円)
3,000万円 約588万円 約696万円 約3.5万円
5,000万円 約1,000万円 約1,160万円 約20万円
1億円 約2,160万円
(軽減率非適用で23.2%)
約2,320万円 約72万円〜73万円

※中小法人の軽減税率(15%)は課税所得800万円以下の部分に適用。800万円超は23.2%。上記は概算値です。グループ通算制度の適用有無、税額控除等により実際の数値は異なります。

事例:課税所得3,000万円の製造業(中小法人)の場合
法人税額(概算):800万円×15%+2,200万円×23.2%=120万円+510万円=630万円→基準法人税額約588万円と仮定
防衛特別法人税:(588万円-500万円)×4%=約3.5万円
実質的な法人税の負担増は年間3.5万円程度です。多くの中小企業にとって影響は限定的と言えますが、所得が増えるほど負担も増加します。

4. 【令和8年度大綱(令和7年12月26日閣議決定)で正式決定】防衛特別所得税の概要

防衛特別所得税2027年適用の仕組みを説明するイメージ

2024年の前回記事で「2027年1月以降検討中」と記載していた防衛特別所得税は、令和8年度(2026年度)税制改正大綱(令和7年12月26日閣議決定)で正式に創設が決定しました。令和9年(2027年)1月1日以後の所得から適用されます。

制度の概要

項目 内容
税目 防衛特別所得税(仮称)
適用開始 令和9年(2027年)1月1日以後の分から
税率・課税方法 基準所得税額(確定申告不要制度を適用した所得に係る源泉徴収税額を含む)×1%
対象者 所得税の納税義務者(居住者・非居住者ともに対象)
💡 源泉徴収への影響(給与担当者・経理担当者が必見)
2027年1月以降、給与・配当・報酬などすべての源泉徴収税率に影響が出ます。現在の源泉税率(例:20.315%、15.315%など)は「復興特別所得税2.1%込み」で計算されていますが、2027年1月以降は「防衛特別所得税1%+復興特別所得税1.1%(合計2.1%)」という構造に変わります。税率の数値自体は変わりませんが、制度の名称・内訳が変わるため、給与計算システムや帳票の確認が必要です。

5. 復興特別所得税との関係と課税期間の延長

防衛特別所得税の創設にあわせ、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられます。しかし同時に課税期間が10年間延長されるため、「国民の負担総額は増える」という構造になっています。

  現行(〜2026年12月) 2027年1月以降
復興特別所得税 基準所得税額×2.1%
(終了予定:令和19年/2037年)
基準所得税額×1.1%
(終了:令和29年/2047年に延長)
防衛特別所得税 なし 基準所得税額×1.0%(新設)
合計付加税率 2.1% 2.1%(同じ)
⚠ 「単年度の税率は変わらない」のに実質的な増税となる理由
現行の復興特別所得税は2037年(令和19年)12月31日で終了予定でした。今回の改正で課税期間が2047年(令和29年)まで10年間延長されます。毎年の税率は変わらなくても、課税が10年長く続くため、トータルの負担は確実に増加します。政府の「単年度の負担を変えない」という説明は、長期的な視点では増税に相当するといえます。

6. たばこ税の多段階増税スケジュール

たばこ税については、特に加熱式たばこへの課税方式の見直しが最大のポイントです。2026年から2029年にかけて5段階のスケジュールで実施されます。

時期 改正内容
2026年4月1日 加熱式たばこの紙巻たばこへの本数換算・課税標準の改正(第1段階)
2026年10月1日 加熱式たばこの本数換算・課税標準の改正(第2段階)
2027年4月1日 たばこ税率の引き上げ(第1段階)
2028年4月1日 たばこ税率の引き上げ(第2段階)
2029年4月1日 たばこ税率の引き上げ(第3段階・完了)

紙巻たばこ・加熱式たばこともに最終的には1本あたり3円相当の引き上げとなる見込みです。国産葉たばこ農家への影響に配慮した段階的な実施とされています。飲食業・小売業・宿泊業で販売を行っている事業者は、在庫管理と価格転嫁のタイミングに注意が必要です。

7. 申告・実務対応|いつ・どこに申告する?

防衛特別法人税の申告方法や提出先について、実務担当者からの問い合わせが増えています。基本的な流れを整理します。

防衛特別法人税の申告実務

防衛特別法人税は、法人税の確定申告と同時に申告します。申告期限・納付期限は法人税と同じく、決算日の翌日から2ヶ月以内です(申告期限の延長申請も法人税と同様に適用可)。基準法人税額が500万円以下であっても、申告書の提出自体は必要な点に注意してください。

💡 3月決算法人(最多の決算月)への影響タイムライン
・2026年3月31日まで → 防衛特別法人税の対象外(2025年4月開始の事業年度)
2027年3月31日締め(2026年4月1日〜2027年3月31日)→ 初めて防衛特別法人税の課税対象
・申告・納付期限:2027年5月31日

防衛特別所得税の実務(2027年1月〜)

給与支払いや報酬の源泉徴収を行っている事業者は、2026年末までに給与計算システムの確認・更新が必要です。税率の数値(20.315%や15.315%など)は変わりませんが、内訳の名称が変わるため、帳票や契約書の記載も見直しが必要な場合があります。確定申告を行う個人については、2027年分(2028年の確定申告)から防衛特別所得税が申告書に反映されます。

8. 経営者・個人が今すぐ取るべき行動

防衛特別税への対応を税理士と相談する中小企業経営者のイメージ

「制度は理解した。では何をすればいい?」という経営者・担当者のために、優先度の高いアクションをまとめます。

【法人】今期(〜2027年3月)にすべきこと

まず、自社の法人税額が500万円を超えるかどうかを確認してください。前期の法人税申告書(別表一)の「差引確定法人税額」を確認するのが最も確実です。500万円を超える見込みであれば、翌期(2027年3月期)の資金計画に防衛特別法人税を組み込む必要があります。グループ通算制度を採用している場合は、グループ全体での控除枠の配分も検討してください。また、繰延税金資産・負債の計算に実効税率の修正が反映されているか経理担当者・税理士に確認してください。

【給与担当者】2026年末までにすべきこと

2027年1月以降の源泉徴収に備え、給与計算システムのベンダー(マネーフォワード・freee・弥生など)からのアップデート情報を確認してください。年末調整・源泉徴収票の様式変更も想定されるため、2026年12月の年末調整後のタイミングで新システムへの移行・確認を行うことを推奨します。

【個人・役員】将来の手取りへの影響

2027年以降、所得税の付加税率が変わらないとはいえ、課税期間が2047年まで延びることは確実です。高所得の役員・フリーランス・投資家にとっては、長期の資産形成計画(NISA・iDeCoの活用など)を見直す良い機会です。年間の所得税額が大きい場合、税理士とともに節税シミュレーションを行うことをお勧めします。


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9. よくある質問(FAQ)

Q1. 防衛特別法人税はいつから対象になりますか?

2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。3月決算法人であれば、2026年4月1日〜2027年3月31日の事業年度が初年度となり、申告・納付は2027年5月末が期限です。

Q2. 中小企業は防衛特別法人税がかからないのですか?

必ずしもそうではありません。基準法人税額が500万円を超えると課税対象となります。中小法人(軽減税率15%適用)の場合、課税所得が約2,400万円を超えると法人税額が500万円に近づきます。自社の課税所得水準を確認してください。また、法人税額が500万円以下でも、申告書の提出は必要です。

Q3. 防衛特別所得税は「検討中」ではないのですか?

令和7年度(2025年度)税制改正大綱では「検討中」でしたが、令和8年度(2026年度)税制改正大綱(令和7年12月26日閣議決定)で正式に創設が決定しました。令和9年(2027年)1月1日以後の所得から適用されます。

Q4. 2027年から所得税率が上がるということですか?

毎年の税率(付加税率の合計2.1%)は変わりません。防衛特別所得税1.0%が新設される一方、復興特別所得税が2.1%から1.1%に引き下げられるため、単年度の負担増はゼロです。ただし復興特別所得税の課税期間が2037年から2047年に10年間延長されるため、長期的には増税となります。

Q5. グループ会社がある場合、500万円控除はグループごとに使えますか?

グループ通算制度を適用しているグループは、500万円の基礎控除枠をグループ全体で按分して使用します。グループ内の各法人が個別に500万円を控除することはできません。グループ経営の企業は早急に税理士に確認してください。

Q6. たばこ税の増税はいつ完了しますか?

2026年4月・10月(加熱式たばこの課税方式見直し)、2027年・2028年・2029年の各4月(税率引き上げ3段階)と、2029年4月に最終段階が完了します。最終的に1本あたり3円相当の引き上げとなる見込みです。

Q7. 防衛特別法人税の申告書はどのように作成しますか?

法人税の確定申告書と同時に、防衛特別法人税の申告書を提出します。e-Taxでの申告にも対応予定です。会計ソフトや税務申告ソフトは順次アップデートされています。不安な場合は税理士に申告代行を依頼することをお勧めします。

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監修者情報

寺田 慎也(てらだ しんや)
寺田税理士事務所 代表 / 社労士法人フォーグッド 代表社員 / 株式会社フォーグッドコンサルティング 代表

【専門分野】税務顧問、確定申告、税務調査対応、社会保険手続き、給与計算、労務相談、飲食業労務支援、助成金申請支援
【保有資格】税理士、特定社会保険労務士

【組織体制】創業75年の実績を持つ専門家集団。スタッフ20名、税理士2名・社労士6名(うち特定社労士2名)が在籍し、大阪・東京の2拠点で全国450社以上の企業をサポート。

【主な実績】テレビ朝日系列「羽鳥慎一モーニングショー」専門家として複数回出演(2024年5月・6月、2025年8月)/アイミツ「税理士と社労士が在籍するおすすめ事務所」実績部門4年連続全国1位/中央経済社『税務弘報』連載中「新・労務知識アップデート講座」/著書:『中小企業の人材コストは国の助成金で払いなさい』(幻冬舎、2018年)ほか

事務所公式サイト:https://taxlabor.com/

参考リンク

財務省|令和8年度税制改正大綱(PDF)|防衛特別所得税の創設・たばこ税改正の根拠資料(令和7年12月26日閣議決定)
国税庁|防衛特別法人税の申告書様式
e-Gov法令検索|改正税法の条文・施行日の確認

※本記事は2026年2月22日時点の情報に基づいています。令和8年度税制改正大綱は閣議決定済みですが、国会審議において内容が変更される可能性があります。法令や制度の最新情報は関係省庁の発表をご確認ください。

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