税務調査が活発化!コロナ後の新時代へ:AIとインボイス制度の影響

2024.01.28

新型コロナウイルス禍明け、税務調査の活発化とその進化

税務調査が活発化しています

新型コロナウイルス禍が終息に向かい、日本の税務調査が再び活発化しています。2020年初頭からのパンデミック期間中、国税調査官の実地調査は事実上停止していましたが、国税関係者によると「税務調査は完全復活」しています。コロナ禍の収束が見え始めた国税庁の2022事務年度(2022年7月~2023年6月)の結果では、法人税、所得税、相続税の実地調査件数が20事務年度を底に大きく増加しています。さらに注目すべきは、税務調査の精度や能力の向上です。法人税、相続税の追徴税額は実地調査件数がコロナ前の水準に届かないにもかかわらず高水準を記録しており、所得税においてはコロナ前の2019事務年度を上回る結果となっています。

特に注目される調査分野

国税庁は「消費税」「国際取引」「富裕層」の分野に重点

国税庁は特に「消費税」「国際取引」「富裕層」の分野に重点を置いています。消費税に関しては、オンラインゲーム市場が注目されており、エピックゲームズは東京国税局の税務調査により、約35億円の消費税を追徴課税されました。デジタルコンテンツの取引実態が追いづらく、適切な消費課税の制度設計が急務となっています。エピック社は、未払いの税金を全額納付したことを認めています。

国際取引や富裕層の所得・資産運用を対象とした税務調査では、大阪国税局が神戸市の50代男性資産家に対して、20年間に52億円以上の申告漏れを指摘し、18億円以上の追徴課税を行いました。この男性と親族は、海外の上場企業株式やタックスヘイブンで管理された資産を利用していました。

税務調査のレベル向上とインボイス制度の影響

AI(人工知能)とインボイス導入で調査の精度は一気に上がる

税務調査の精度の向上には、インボイス制度の導入が大きく影響しています。この制度により、小規模企業の取引もより詳細に管理・把握されるようになり、税務調査の精度は一層高まることが予想されます。これにより、国税庁はより効果的に申告漏れや税逃れを特定し、適切な税収を確保することができるようになります。

国税庁は現在、AI(人工知能)を活用したデータ分析を行い、申告漏れの可能性が高い納税者を特定する取り組みを強化しています。この取り組みは、現代の税務調査における大きな進展を示しており、今後もその勢いは衰えることがないと見られます。