社労士変更の良いタイミングは?手続の流れ・注意点など完全ガイド

公開日: 2025.05.06

最終更新日: 2025.05.07

「社労士を変えたい」と思ったら読むページ

今の社労士(または担当者)、大きな不満ではないけど、少し物足りなさを感じる…

 社労士または担当者に対して、こんな風に感じたことはありませんか?

  • 就業規則は作るけど、“人の相談”に乗ってくれない
  • 給与計算や手続きだけで、労務のアドバイスがない
  • 助成金の情報がない、提案もされない
  • 法改正などが後追いで、タイムリーに届かない
  • クラウド給与や勤怠など、IT化を進めてくれない
  • 相談しても「それは税理士に」とたらい回しにされる
  • 返答が遅く、トラブル時に頼れる感じがしない
  • 先生や担当者が高齢で、将来が不安

 これらに少しでも当てはまる場合、今の社労士は、あなたの会社の成長に追い付いていないのかもしれません。

 この記事では、そんな
社労士の変更で迷っているけど、もっと会社を良くしたい経営者や人事担当者」の方々に向けて、
社労士の変更に良いタイミングとは何か?を出発点に、
手順・費用・メリット・デメリット・丁寧な断り方まで解説します。

物足りない社労士で後悔しないための「社労士変更」完全ガイド

 本来、社労士は「企業を守るパートナー」として、経営者の意思決定を支え、人と組織の土台を整える存在であるべきです。なぜなら、労務の不備はトラブルや訴訟、助成金の不支給など、企業にとって重大なリスクに直結するからです。

 だからこそ、「今の社労士に不安がある」「本当にうちのことを考えてくれているのか?」と感じたとき、社労士の変更を真剣に検討することは、決して珍しいことではありません
 本章では、社労士を切り替えるか迷っている経営者のために、次の4つの観点から整理していきます。

  1. なぜ「社労士を変更したくなる」のか?
  2. どんな社労士が“良い社労士”なのか?
  3. いつ変更するのがベストか?
  4. どうやって変更すればスムーズか?

なぜ「社労士を変更したくなる」のか?

 「社労士を変更したくなる主な理由」という企業の大半は、次のような“限界”や“物足りなさ”を感じているといわれています。

  • 給与計算はしてくれるが、年末調整や支払報告書はしてくれない
  • 社会保険手続きはしてくれるが、人事や労務の相談には乗ってくれない
  • 助成金や制度設計などの提案がなく、新しい情報もくれない
  • 経営的な視点でアドバイスをしてくれない
  • 法改正への対応が遅く、リスクを先回りしてくれない
  • ITやクラウドに弱く、ツール導入の支援もない
  • 社労士や担当者が高齢で、将来が心配

 中には「知人に紹介された社労士だから不満を言いにくい」「以前からの付き合いがあるので切り出しづらい」など、第3者との関係性を配慮して切り替えをためらっている企業もあります。

 しかし──
そのまま“我慢”を続けて、将来のトラブルや非効率を放置してしまってもいいのでしょうか?
一度立ち止まって、今のサポート体制を見直すことが、労務トラブルを未然に防ぎ、会社を守ることにもつながります

どんな社労士が「良い社労士」なのか?

 社労士の業務は、単なる給与計算や社会保険の手続きにとどまりません。
人材育成、人事評価制度、労務トラブル対応など、“人”に関する幅広い課題についてアドバイスできるのが本来の姿です。

 では、どんな社労士であれば「頼んで正解だった」と思えるのでしょうか。特に中堅〜成長企業にとって大切なのは、「経営視点」と「実務経験の豊富さ」です。

 たとえば

  1. 人材育成・組織づくりにもアドバイスや伴走をしくれる
    単なる労務管理にとどまらず、人材育成やマネジメント課題にも関心を持ち、社風に合った提案ができる
  2. 給与計算だけでなく年末調整・支払報告書なども全て対応できる
    給与計算だけでなく、その先の税務処理(年末調整・法定調書・源泉税)まで丸ごとサポートできる
  3. 評価制度づくり・運用の相談ができる
    人事評価制度や助成金制度の設計・導入・見直しまで支援してくれる
  4. 新しい情報を“先に”届けてくれる
    法改正や新しい助成金の情報などを、受け身でなく先回りして提供してくれる
  5. クラウド・ITにも強い
    チャット対応・Web会議・クラウド勤怠や電子明細など、ITツールにも対応や提案をしてくれる
  6. 税理士と連携してワンストップで支援できる
    労務だけでなく会計や税務も含め全てワンストップで支援してくれる
  7. いざという時も頼れる(労基署・ユニオン対応)
    トラブル発生時にも、交渉や対応の前線に立ってくれる実務経験と行動力がある

などが挙げられます。

いつ社労士を変更するのがベスト?

 変更のタイミングも重要です。業務に支障を出さず、スムーズに移行するためには以下を参考にしてください。

給与計算をしてもらっている場合

  • 給与計算をしてもらっている場合
     年始(1月分の給与)からの変更が最もスムーズです。年間データが切り替わるため、移行の混乱が少なくて済みます。
  • 期中での変更が必要な場合
     2か月ほどの“並走期間”を設けて、現社労士と新社労士の両者で同時に給与計算を行うことで、移行後のトラブルを防ぎやすく、スムーズです。

助成金申請中・人事制度構築中

  • 助成金申請中・人事制度構築中の場合
     なるべくプロジェクトが一段落してからの切り替えがおすすめです。どうしても変更したい場合は、社内に「一時的なミスの可能性と翌月での精算」を周知して進めるとスムーズです。

給与計算をしていない場合

 給与計算を社労士に依頼してなければ、「いつでも変更可能」です。
 助成金申請や制度設計などの“途中の案件”がなければ、よりスムーズです。

社労士を変更するメリットとデメリット

メリット

  • 労務相談や助成金など、自社のニーズに合ったサポートが受けられる
  • 人材育成や制度設計まで支援可能な社労士を選べる
  • クラウド給与や電子申請など、IT化対応が進む
  • 法改正や助成金などの情報がタイムリーに届く
  • 税理士との連携でワンストップ支援が可能に

デメリット

  • 社労士を探す時間と労力がかかる
  • 顧問料が上がる場合がある
  • 業務に慣れるまでに一定の移行期間が必要となる

顧問契約の「丁寧な断り方」と通知文の文例

これまでのご尽力に感謝を伝えながら、円満に契約を終えるために
 社労士変更をお考えの際、避けて通れないのが「現在の顧問契約の終了連絡」です。
特に、これまで多くの場面で支えてくれた社労士の先生や担当者に対しては、ご尽力への感謝と、会社方針の見直しによる前向きな変更理由をきちんと伝えることが、誠実な姿勢として大切です。
 ここでは、メール文・書面文書それぞれの具体的な文例をご紹介します。引き継ぎ資料の依頼はトラブル回避のためにも段階的に行うことを想定した内容です。

【文例1】メールで伝える場合(理由を明記せず会社方針による見直し)

いつも大変お世話になっております。
株式会社◯◯の◯◯です。

この度、誠に勝手ながら、弊社の社内体制および方針の見直しに伴い、令和〇年〇月〇日をもって貴事務所との労務顧問契約を終了させていただきたく、正式にご連絡申し上げます。

これまでのご尽力により、弊社の労務業務が円滑に進んだこと、心より感謝申し上げます。

なお、契約終了に伴う書類やデータ等のご返却については、追って個別にご連絡させていただきたく存じます。
引き続きご協力を賜れますと幸いです。

今後とも変わらぬご活躍を心よりお祈り申し上げます。
何卒よろしくお願い申し上げます。

株式会社〇〇〇
東京都〇〇区〇〇1-2-3
代表取締役 〇〇〇〇 印

【文例2】書面で通知する場合(通知書スタイル)

顧問契約解除通知書

当社は、貴事務所と締結しております労務顧問契約について、
弊社の社内体制および方針の見直しに伴い、令和〇年〇月〇日をもって契約を解除させていただきたく、ここに正式に通知申し上げます。

これまで多大なるご尽力を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。

なお、貴事務所にてご保管中の弊社書類およびデータのご返却につきましては、追って別途ご連絡の上、個別にお願い申し上げる予定です。何卒ご理解・ご協力のほどお願い申し上げます。

今後のご健勝と貴事務所のますますのご繁栄をお祈り申し上げます。

株式会社〇〇〇
東京都〇〇区〇〇1-2-3
代表取締役 〇〇〇〇 印

どうやって変更すればスムーズにいくか?

最後に、社労士の変更手続きでトラブルを避け、スムーズに進めるためのステップを紹介します。

  1. 現在の社労士との契約内容の確認
    ・まず、事前解約の通知期限(例:○ヶ月前まで)を確認する
    ・違約金や精算条件の有無(顧問料の按分・返金等)も確認が必要
  2. 新しい社労士の選定と、変更時期(タイミング)の確認
    ・候補の社労士と実際に面談し、サービスの対応範囲を確認する
    ・普段のコミュニケーションの方法、クラウド対応の可否、業界実績を比較する
  3. 現在の社労士に解約の伝達(お礼と感謝を忘れずに)
    ・円満に終えるため、できれば口頭+書面で通知する
    ・文書でのやり取りがあると後のトラブル予防となります
  4. 書類やデータの回収・引継ぎ
    ・従業員データ、就業規則、過去の手続きの書類などの所在を整理する
    ・給与情報は、書類だけでなくPDF形式やエクセル形式でもらう
    ・引き継ぎスケジュールをすり合わせる
  5. 社内への周知・新しい社労士との業務スタート
    ・給与計算がある場合、新しい社労士に切り替わることを社内にも共有し、移行期間の理解を得る
    ・前任との業務範囲の違いや改善点をすり合わせ、スタートを明確にする

 このような流れで進めれば、引き継ぎの混乱やトラブルを防ぎながら、スムーズに新しい社労士との体制を整えることができます。
 大切なことは、「これまでお世話になった社労士に感謝の気持ちをもって契約を終えること」です。経営に合った新たなパートナーと一歩を踏み出すためにも、丁寧な対応を心がけましょう。

預かるべき資料一覧(詳細)

「社労士変更時に預かるべき資料一覧」をご確認ください。

社労士変更で成功するための4つのポイント

まずは、自社の「困りごと」と「期待」を整理する

→ 今の社労士に感じている違和感や、望んでいるサポート像を“言語化”することから始める
・現状の不満や「こうだったらいいのに」を書き出す
・今後の期待(人材育成、クラウド対応など)を明確にする
これらを書き出すことで、「どんな社労士が合うか」が見えてきます。

「労務+経営+税務」まで支援できる体制を視野に入れる

→ 単なる手続き屋ではなく、“人と組織に強い経営パートナー”として考える視点が必要です。
・給与計算や就業規則だけでなく、人事評価制度や人材育成にも対応できるか?
・年末調整や源泉対応、補助金までワンストップで動けるか?

税理士との連携体制があるか?

税理士と社労士とのワンストップ対応で「労務+経営+税務」の全てを支援できる事務所なら、スムーズです。

初回面談では”相談しやすさ”と”質問に対する回答”で合性をチェック

→ スキルや実績も大切ですが、何より“話しやすさ”と“親身さ”がカギになります。
・質問に対する答え方は丁寧か?
・クラウドやチャットなどITに強いか
・対応スピード、情報配信、業務体制の実態

「一度相談してみる」ことが第一歩になる

→不安がある時点で、まず「無料相談」で現状を整理
・今すぐ変えるかどうかは別として、まずは動いてみる
・話すことで判断軸が明確になり、次の一歩が踏み出しやすくなる

社労士変更で「これから」を一緒に考えませんか?

 その社労士、会社の“これから”に対応できていますか?



「社労士変更」で“これから”を変えたい経営者の方へ

 ここまでお読みいただいたということは、「今の社労士のままでいいのか」と感じたことがあるのではないでしょうか。
私たち寺田税理士・社労士事務所(社労士法人フォーグッド)は、労務と税務の両面から経営を支える体制づくりをお手伝いしています。今の社労士に迷いがあるなら、変更することで経営に安心と前進の一歩をもたらす可能性があります。まずは現状の確認だけでも、気軽にご相談ください。
60分無料相談で現状を整理(来所面談 or オンライン面談)

変更前の社労士から預かるべき資料リスト(詳細版)

 社労士変更時には、以下の書類を①紙、②データ(PDF、Excel、CSVなど)の両方で預かっておくのが理想です。

給与関係の預かるべき資料リスト

  • 過去2年分の給与書類(給与台帳、扶養控除申告書、源泉徴収簿、源泉徴収票)
  • 過去2年分の社員情報(可能ならCSV形式)
  • 本年途中までの給与ソフトのデータ(PDFとCSVの両方あると移行がスムーズ)
  • 個人住民税の納付書や決定通知書

労務関連の預かるべき資料リスト

  • 電子申請情報(e-gov)
  • 社会保険に関する控え書類一式
  • 労働保険・雇用保険に関する控え書類一式
  • 助成金に関する控え書類一式
  • 就業規則や雇用契約書(WORDやExcelデータがあると移行がスムーズ)
  • 人事評価制度(WORDやExcelデータがあると移行がスムーズ)
  • 36協定などの控え


電子申請(e-gov)とは?|日本年金機構の公式解説ページを見る

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