社労士が解説!「年収の壁」を解消する東京都の対策支援奨励金とは?

2024.10.12

はじめに

 「年収の壁」という問題、聞いたことはありますか?配偶者が扶養に入る条件として年収に上限が設けられており、この壁を超えると税負担や社会保険料が大幅に増加してしまうため、多くの配偶者が労働時間を抑制している状況です。この「年収の壁」をなくし、有能な人材がフルに力を発揮できる環境を整えるため、東京都では「年収の壁」対策支援奨励金を実施中!この制度を活用すれば、配偶者手当の見直しを行った企業には10万円の奨励金が交付されます。企業も従業員も嬉しいこの制度、ぜひご活用ください!

この奨励金の概要

「年収の壁」対策支援奨励金は、配偶者の収入要件がある「家族手当(配偶者手当)」を見直す都内中小企業に対して交付される奨励金です。この制度を利用することで、従業員の労働意欲向上や福利厚生の改善が期待でき、女性がより積極的に就業できる環境を整えることができます。

動画で本事業について知ろう!

手当の見直し方法

企業がこの奨励金を受け取るためには、以下のいずれかの見直しを行う必要があります。

奨励対象となる取組み 奨励金額
「年収の壁」の原因の一つとなっている「配偶者の収入要件がある家族手当」について、手当見直し取組期間(3か月)のうちに、下記①から③のいずれかの見直しを行うこと。

  1. 配偶者手当(家族手当)の収入要件を撤廃する
  2. 配偶者手当(家族手当)を廃止し、他の手当に振り替える
  3. 配偶者手当(家族手当)を廃止し、基本給に繰り入れる
1事業主
10万円
(1回のみ)

1.配偶者手当(家族手当)の収入要件を撤廃する

配偶者が収入制限を気にせずに働けるように、収入要件を完全に撤廃します。

2.配偶者手当(家族手当)を廃止し、他の手当に振り替える

家族手当を別の手当へと移行させることで、収入の制限に左右されない形に変更します。

3.配偶者手当(家族手当)を廃止し、基本給に繰り入れる

家族手当を基本給に組み込むことで、従業員の収入を直接引き上げ、収入制限による労働調整を防ぎます。

対象企業の要件

この奨励金を受け取るためには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 本店または主たる事業所が東京都内にある中小企業
  • 配偶者手当(家族手当)の収入要件が就業規則に記載されていること
  • 過去5年以内に配偶者手当の支給実績があること

※ 申し込み以前に、既に見直しを行った企業は対象外です。
※ その他の要件については募集要項(申請の手引き)をご確認ください。
  ⇒「年収の壁」対策支援奨励金募集要項(申請の手引き)

申請期限と手続きの流れ

この奨励金を申請するためには、まず事前エントリーが必要です。エントリー期間内に申し込みを行い、抽選で当選した場合のみ交付申請が可能です。申請期間や手続きの流れは以下の通りです。

申請期限と事前エントリー期間

奨励金を申請するためには、まず事前エントリーが必要です。各回のエントリー期間終了後に抽選が行われ、当選した企業は当選通知メールを受け取ってから1ヶ月以内に交付申請を行うことができます。以下が事前エントリーのスケジュールです。

  • 第1回:2024年5月15日(水)~2024年5月31日(金)
  • 第2回:2024年6月1日(土)~2024年6月30日(日)
  • 第3回:2024年7月1日(月)~2024年7月31日(水)
  • 第4回:2024年8月1日(木)~2024年8月31日(土)
  • 第5回:2024年9月1日(日)~2024年9月30日(月)
  • 第6回:2024年10月1日(火)~2024年10月31日(木)
  • 第7回:2024年11月1日(金)~2024年11月30日(土)
  • 第8回:2024年12月1日(日)~2024年12月31日(火)
  • 第9回:2025年1月1日(水)~2025年1月31日(金)
  • 第10回:2025年2月1日(土)~2025年2月28日(金)

次の事前エントリー期間がまもなく開始されますので、早めに準備を整えてください!

問い合わせ先

奨励金の詳細や申請方法については、以下の問い合わせ先でご確認いただけます。

(公財)東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 雇用環境整備促進係
「年収の壁」対策支援奨励金担当
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル11階
電話番号:03-5211-2315
受付時間:平日9時~17時(12時~13時、土日祝日・年末年始を除く)

おわりに

 この奨励金制度を利用して、従業員が収入制限を気にせずに働ける環境を整え、企業としても福利厚生の向上を実現しませんか?まずは事前エントリーを行い、手続きを進めてください。詳しくは、年収の壁対策支援奨励金特設サイトをご確認ください。
働き方の多様化を促進し、企業と従業員の未来をより良いものにしていくために、ぜひこの制度をご活用ください!

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