パートタイマーを社会保険に加入させることで支給される助成金

2023.06.17

2022年10月から、従業員数(※)が101人以上の会社において、週所定労働時間が20時間以上などの要件を満たすパートタイマーも社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することとなりました(社会保険の適用拡大)。

また、2024年10月には従業員数が51人以上の会社にも適用が拡大される予定です。

このたびは、この社会保険の適用拡大に関連した助成金について説明します。

短時間労働者労働時間延長コース

キャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長コース」は、有期雇用労働者やパートタイマーなどの非正規労働者に対し、週所定労働時間の延長によってその従業員を新たに社会保険の被保険者とする場合に、事業主に対して助成金が支給される制度です。

受給要件

助成金を受給するための手続きは以下の通りです。

1. キャリアアップ計画提出:労働時間延長前に計画を作成し、提出する。
2. 労働時間延長:週の所定労働時間を増やし、基本給を上げる。
3. 社会保険適用:有期雇用労働者を6ヶ月以上雇用し、6ヶ月分の給与を支払う。

1. キャリアアップ計画の作成・提出:労働時間の延長などの措置を実施する前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、労働局に提出します。
2. 労働時間の延長など:有期雇用労働者などの週所定労働時間を3時間以上延長するか、1時間以上3時間未満延長し基本給を増額します。
3. 社会保険の適用:被保険者となった有期雇用労働者などを延長後6ヶ月以上継続して雇用し、6ヶ月分の給与を支給します。

支給額

支給額は以下の2種類に分かれています。

1.週所定労働時間を3時間以上延長し社会保険に加入した場合

もし週所定労働時間を3時間以上延長し、新たに社会保険に加入した場合には以下の助成金が支給されます。

    

    

企業規模 1時間以上2時間未満
(基本給10%以上増額)
【中小企業】 支給額23万7,000円
【大企業】 支給額17万8,000円

2. 労働者の収入が減少しないよう週所定労働時間を延長し社会保険に加入した場合

もし労働者の手取収入が減少しないように週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に加入した場合には以下の助成金が支給されます。

    

    

企業規模 1時間以上2時間未満
(基本給10%以上増額)
2時間以上3時間未満
(基本給6%以上増額)
【中小企業】 支給額5万8,000円 支給額11万7,000円
【大企業】 支給額4万3,000円 支給額8万8,000円

この助成金制度は、社会保険への加入義務が生じていない従業員に対し、社会保険への加入を促すために設けられています。そのため、既に社会保険への加入義務がある従業員については、労働時間の延長によっても助成金の対象とはなりません。なお、2024年9月30日まで支給額の増額などが行われていますので、助成金を活用する場合は早めの対応が望まれます。
※実際の支給額は「厚生年金保険の被保険者数」によって判断されます。

キャリアアップ助成金の概要パンフレット

キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)の概要パンフレットはこちらから確認できます。

https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001083208.pdf