こども支援NISAとは?2026年度開始へ、ジュニアNISAからの変更点を解説
公開日: 2025.09.03
最終更新日: 2025.12.11

2025年12月11日更新
こども支援NISAとは?2026年度開始決定!ジュニアNISAからの変更点を税理士が徹底解説
2026年度から開始される「こども支援NISA」。年間60万円、非課税保有限度額600万円で、引き出し制限も撤廃。ジュニアNISAの失敗を教訓に、より柔軟で使いやすい制度として生まれ変わります。
📌 この記事のポイント
- 2026年度開始決定:年間60万円、非課税保有限度額600万円で0歳から18歳未満が利用可能
- ジュニアNISAの課題を解決:18歳まで引き出せない制限を撤廃し、柔軟な教育資金準備が可能に
- 無期限の非課税期間:長期投資で複利効果を最大化。0歳から始めれば18年間非課税で運用
- 親の新NISAと併用可能:家族全体で非課税投資枠を拡大し、教育資金と老後資金を同時準備
- 金融教育の実践ツール:村上世彰氏の逸話に学ぶ、幼少期からの金融教育の重要性
📘 こども支援NISAとは?制度の全体像
こども支援NISAは、0歳から18歳未満の子どもを対象とした非課税投資制度です。親や祖父母が子どものために資産形成を行い、教育資金や将来の自立支援に活用できます。2026年度から開始され、年間60万円、非課税保有限度額600万円、無期限の非課税期間という特徴を持っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2026年度(令和8年度) |
| 対象年齢 | 0歳〜17歳(18歳未満) |
| 年間投資上限 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 非課税期間 | 無期限 |
| 引き出し制限 | なし(いつでも引き出し可能) |
| 投資対象商品 | つみたてNISA対象の投資信託等 |
🔄 ジュニアNISA終了から新制度誕生の背景
2023年末に「ジュニアNISA」が廃止され、子どものための非課税投資制度が途絶えてしまったことを嘆く声は少なくありませんでした。今回の「こども支援NISA」は、そうした親世代にとって待望の制度復活となります。
背景には、年々上昇を続ける教育費への備えを社会全体で支援する必要があるという認識があります。大学進学費用だけでなく、習い事や塾、留学など、子どもの教育にかかる費用は増加の一途をたどっています。こども支援NISAは、こうした教育費の準備を税制面から支援する制度として期待されています。
⚖️ ジュニアNISAとの徹底比較!何が変わったのか?
「こども支援NISA」は、過去のジュニアNISAの課題点を踏まえ、より利用しやすい制度設計がなされています。金融庁とこども家庭庁が連携し、2026年度の税制改正での実現を目指しているこの新制度。ジュニアNISAと比較して、何が変わったのかを詳しく見ていきましょう。
| 項目 | ジュニアNISA (2023年で廃止) |
こども支援NISA (2026年度開始) |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 0歳〜17歳 | 0歳〜17歳 |
| 年間投資上限 | 80万円 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 400万円 (5年間×80万円) |
600万円 |
| 非課税期間 | 最長5年間 | 無期限 |
| 引き出し制限 | ❌ 原則18歳まで引き出し不可 (不人気の最大の原因) |
✅ いつでも引き出し可能 (柔軟な資金活用が可能に) |
| 口座管理者 | 親権者等が管理 | 親権者等が管理 (金融教育を通じて本人の理解を深める) |
💡 ジュニアNISAの失敗から学ぶ、新制度への期待
ジュニアNISAが普及しなかった最大の理由は「原則18歳まで引き出せない」という厳しい制限でした。急な出費に対応できないこの仕様は、多くの家庭にとって大きなデメリットでした。「こども支援NISA」ではこの点が大幅に見直され、教育資金が必要なときにいつでも引き出せる柔軟な制度となっています。
✅ 改善ポイント
- 引き出し制限の撤廃:教育資金が必要なときにいつでも引き出せる
- 無期限の非課税期間:長期投資で複利効果を最大化
- 非課税保有限度額の拡大:400万円→600万円へ増額
🌟 こども支援NISAの5つのメリット
1️⃣ 引き出し制限なし!柔軟な資金活用が可能
ジュニアNISAの最大の欠点だった「18歳まで引き出せない」制限が撤廃。教育資金が必要なタイミングで自由に引き出せます。中学・高校の入学費用や留学資金など、必要な時期に合わせて活用できます。
2️⃣ 無期限の非課税期間で複利効果を最大化
0歳から始めれば18年間非課税で運用可能。長期投資で複利効果を最大限に活かせます。仮に年率5%で運用できれば、18年後には元本を大きく上回る資産を築けます。
3️⃣ 親の新NISAと併用で家族全体の非課税投資枠を拡大
親の新NISA(年間360万円)とこども支援NISA(年間60万円)を併用すれば、家族全体で年間420万円以上の非課税投資が可能に。教育資金と老後資金を同時に準備できます。
4️⃣ 児童手当をそのまま投資に回せる
児童手当(月1〜3万円)を毎月積立投資に回せば、非課税で教育資金を準備できます。「貯蓄から投資へ」の流れを自然に実現できます。
5️⃣ 祖父母からの贈与を非課税で運用可能
祖父母から年間110万円の暦年贈与を受け、そのうち60万円をNISAで運用すれば、贈与税も運用益も非課税に。3世代での資産形成戦略が可能になります。
💼 村上世彰氏に学ぶ:幼少期からの金融教育の重要性

「物言う株主」として知られる村上世彰氏には、幼い頃に父親から100万円を渡され「これで株を勉強し、自分で増やしなさい」と言われたという有名な逸話があります。
このエピソードは、単なる資金提供ではなく、実践を通じた金融教育の重要性を象徴しています。子どもたちが自分のお金で投資を経験し、経済の仕組みを肌で学ぶ機会は非常に貴重です。
こども支援NISAは、まさにその絶好の「生きた教材」となり得る可能性を秘めています。親子で一緒に投資先を選び、市場の動きを観察し、お金が働く仕組みを学ぶ——これこそが、次世代の金融リテラシーを育む最良の方法です。
💡 金融教育としての活用例
- 小学生:親子で一緒に投資先を選び、なぜその商品を選んだのか話し合う
- 中学生:定期的に運用状況を確認し、複利の効果を実感する
- 高校生:経済ニュースと運用成績の関係を学び、世界経済への興味を育てる
📅 今後の見通しと準備すべきこと
こども支援NISAは2026年度から開始される予定です。それまでに、以下の準備を進めておきましょう:
📋 今すぐできる準備
- 家族で資産形成戦略を話し合う:親の新NISAとの併用方法を検討
- 金融機関の情報収集:どの証券会社・銀行で口座開設するか比較検討
- 投資の基礎知識を学ぶ:つみたてNISA対象商品の特徴を理解
- 児童手当の活用計画を立てる:毎月の積立額をシミュレーション
- 祖父母への相談:贈与を活用した教育資金準備の検討
この新しいNISAが、日本の未来を担う子供たちの大きな力となることを期待しましょう。
🎥 参考動画:【子どもNISA】「つみたて投資枠」600万円上限 年齢制限撤廃で最終調整 来年度税制改正で政府与党|TBS NEWS DIG
📚 関連記事
🔗 参考リンク(外部機関)
📚 公的機関の情報
金融庁:NISA特設サイト
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/index.html
NISAの公式情報、制度の詳細、対象商品リストなど最新情報が掲載されています。
金融庁:令和8年度税制改正要望
https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20250829/01.pdf
こども支援NISAの税制改正要望の原文を確認できます。
金融庁:つみたてNISA対象商品リスト
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/target/index.html
こども支援NISAで購入できる投資信託の一覧です。
国税庁:贈与税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm
祖父母から孫への贈与に関する税制について詳しく解説されています。
国税庁:教育資金一括贈与の非課税制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm
教育資金一括贈与の非課税制度の詳細が確認できます。
こども家庭庁:児童手当制度
https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/
2024年12月から拡充された児童手当の最新情報が掲載されています。
📰 最新ニュース
産経新聞(2025年11月20日)
NISA「つみ立て投資枠」年齢制限撤廃を 自民議連提言
自民党の資産運用立国議連が高市首相にNISA年齢制限撤廃を提言したニュースです。
読売新聞(2025年12月11日)
こども支援NISA、年間60万円・非課税保有限度額600万円で正式決定
こども支援NISAの制度内容が正式に決定したことを報じるニュースです。
💡 お役立ち情報
日本証券業協会:NISAとは
https://www.jsda.or.jp/anshin/nisa/
NISAの基本的な仕組みをわかりやすく解説しています。
金融広報中央委員会(知るぽると):子どもの金融教育
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kodomo/
親子で学べる金融教育の教材が豊富に用意されています。
生命保険文化センター:学資保険とは
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/life_insurance_q26.html
学資保険の基本的な仕組みと選び方について解説されています。
その教育資金計画、「贈与税」や「社会保険料」まで見えていますか?
NISAでの資産運用は重要ですが、将来の「引き出し方」や「渡し方」を間違えると、思わぬ贈与税や社会保険料の負担増につながる落とし穴があります。
もし「運用(金融)」と「税務・社会保険(制度)」の連携に不安があるなら、税務と労務(社会保険)をワンストップで最適化できる専門家(寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド))へご相談ください。
3年連続:おすすめ事務所 実績部門『全国1位』
私たち 寺田税理士・社会保険労務士事務所(社労士法人フォーグッド)は、2023年、2024年に続き、2025年も「実績部門 全国1位」に選出されました。
この結果に甘んじることなく、税務と労務のワンストップ支援で、日本中のお客様に貢献できるよう努めてまいります。


