【2025年】最低賃金引上げ対策完全ガイド|助成金・補助金・節税・融資

公開日: 2025.08.16

最終更新日: 2025.08.16

【2025年版】最低賃金引上げ対策の完全ガイド|助成金・補助金を解説

「また最低賃金が上がるのか…人件費の負担増で、うちの会社はもう限界だ」そんな経営者の悲鳴が聞こえてきそうです。しかし、このピンチは国の支援策を賢く使えば、生産性向上への投資を行う絶好のチャンスに変わります。「まず何から?」という疑問に、専門家である税理士・社労士が実務目線で答えます。

最終更新:令和7年(2025年)6月公表資料ベース

1. 賃金引上げに直結する支援(助成金・税制・融資)

① 業務改善助成金(厚生労働省)

設備投資人材育成コンサル費

事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上につながる投資を行った場合、費用の一部を助成。

こんな企業に 「賃上げと同時に機械導入・IT化・教育を進めたい」
ポイント 引上げ幅と投資内容の適合・申請手順を事前に確認
問合せ 業務改善助成金コールセンター 0120-366-440(平日9:00–17:00)

関連記事:助成金を活用してピンチをチャンスに

人件費増を補う「業務改善助成金」をご存知ですか?設備投資やDX化の費用を国が助成。生産性を向上させ、賃上げを成長の機会に変える方法を社労士が解説します。

② キャリアアップ助成金

非正規処遇改善正社員化年収の壁対応

契約社員やパートタイマーなどの非正規の正社員転換・賃上げ等に助成。同一労働同一賃金や「年収の壁」対応にも活用可。

こんな企業に 契約社員やパートタイマーが多く、人材定着や処遇改善を図りたい企業
ポイント 非正規から正社員への転換で最大80万円助成。事前の計画提出が必須。
問合せ 都道府県労働局またはハローワーク

関連記事:130万円の壁を超えても2年までOK?社会保険扶養を維持する特例を解説

最低賃金アップで気になるのが「年収の壁」。
うっかり扶養から外れて「働き損」になる前に、知っておきたい新特例があります。一時的な収入増なら扶養を維持できるかもしれません。

③ 中小企業向け賃上げ促進税制

税額控除

青色申告の中小企業等が一定要件で賃上げした場合、賃上げ増加額の一定割合を税額控除

こんな企業に 利益が出ており、全社的な賃上げを計画している青色申告の中小企業
ポイント 賃上げ増加額の最大45%を税額控除。赤字でも5年間繰越可能。
問合せ 中小企業税制サポートセンター 03-6281-9821

関連記事:2025年(令和7年10月)の最低賃金:全国平均1,118円に引上げ

2025年10月から全国の最低賃金が改定されます。全国平均は1,118円となり、全都道府県で時給1,000円を突破。自社の時給は大丈夫?都道府県別の最新金額と、企業が取るべき具体的な対策をこの記事で確認しましょう。

関連記事:2025年10月から最低賃金引上げ!最低賃金計算のよくある間違いをご紹介

「うちの時給は最低賃金より高いから大丈夫」と思っていませんか?実は、固定残業代や特定の諸手当は計算から除外する必要があり、気づかぬうちに法令違反となるケースも。2025年10月の改定前に、正しい最低賃金の計算方法をこの記事で再確認しましょう。

④ 企業活力強化貸付(働き方改革推進支援資金/日本政策金融公庫)

低利融資

事業場内最低賃金の引上げに取り組む企業へ、設備・運転資金を低金利で融資。

こんな企業に 賃上げに伴う一時的な資金繰りの改善や設備投資を検討している企業
ポイント 日本政策金融公庫による低金利の融資制度。
問合せ 日本政策金融公庫 0120-154-505

2. 生産性向上(投資・税制・補助金)で賃上げの原資をつくる

⑤ 固定資産税の特例(先端設備等導入計画)

税制優遇設備投資

自治体認定の計画に基づく設備に固定資産税の軽減

こんな企業に 新規に先端設備を導入し、固定資産税の負担を軽減したい企業
ポイント 市区町村から「先端設備等導入計画」の認定を受ける必要あり。
問合せ 中小企業税制サポートセンター 03-6281-9821

⑥ 中小企業等経営強化法(経営力向上計画)

税制優遇金融支援

国の認定で税制・金融支援の対象に。

こんな企業に 経営力向上を目指し、総合的な支援を受けたい企業
ポイント 「経営力向上計画」を作成し、国の認定を受けることが前提。
問合せ 中小企業税制サポートセンター 03-6281-9821

⑦ 中小企業経営強化税制

即時償却税額控除

認定計画の一定設備に即時償却または税額控除(10%/7%)

こんな企業に 経営力向上計画に基づき、大型の設備投資を計画している企業
ポイント 即時償却か税額控除か、有利な方を選択できる。
問合せ 中小企業税制サポートセンター 03-6281-9821

⑧ 中小企業省力化投資補助金

省力化人手不足

カタログ型/一般型で省力化投資を補助(人手不足対策)。

こんな企業に 人手不足解消のため、ロボットや自動化設備の導入を検討している企業
ポイント カタログから選ぶだけで簡易に申請可能。
問合せ コールセンター 0570-099-660

⑨ 中小企業成長加速化補助金

大型投資事業拡大

売上100億円超を目指す大胆投資を支援(賃上げ・輸出・域内調達の波及に重点)。

こんな企業に 事業を急拡大させ、大きな成長を目指す意欲のある企業
ポイント 賃上げや地域経済への貢献度が審査で重視される。
問合せ 事務局 0570-07-4153

⑩ ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

新製品開発生産改善

革新的な製品・サービス開発、海外展開等の設備・システムを支援。

こんな企業に 新しい製品やサービスの開発、生産プロセスの改善を計画する企業
ポイント 革新性や事業の将来性が問われる人気の補助金。
問合せ サポートセンター 050-3821-7013

⑪ 小規模事業者持続化補助金

販路開拓小規模事業者

経営計画に沿った販路開拓の取組を支援(商工会・商工会議所経由)。

こんな企業に チラシ作成、ウェブサイト改修、店舗改装など、地道な販路開拓に取り組む小規模事業者
ポイント 商工会・商工会議所の支援を受けながら計画を作成する。
問合せ 商工会地区商工会議所地区

⑫ IT導入補助金

ITツール導入DX

DX・効率化に向けたITツール導入を補助。

こんな企業に 会計ソフトや受発注システム等を導入し、バックオフィス業務を効率化したい企業
ポイント IT導入支援事業者と連携して申請を進める。
問合せ 事務局 0570-666-376

⑬ 事業承継・M&A補助金

事業承継M&A

承継前投資、専門家活用、PMI、廃業費用などを支援。

こんな企業に 事業承継やM&Aを検討しており、専門家の活用や設備投資を考えている企業
ポイント 事業承継の様々なフェーズで活用できる。
問合せ 事務局 050-3145-3812

3. 下請取引の適正化・新規開拓

⑭ 下請適正取引等ガイドライン

取引改善

親・下請の望ましい関係構築へ業種別指針。

こんな企業に 下請取引における価格交渉や取引条件に課題を感じている企業
ポイント 業種別の具体的な事例が示されている。
問合せ 中小企業庁取引課 03-3501-1669

⑮ パートナーシップ構築宣言

取引改善補助金加点

「しわ寄せ防止」を宣言・見える化し、取引適正化を後押し。

こんな企業に 補助金の採択率を上げたい、サプライチェーン全体での共存共栄を目指す企業
ポイント 無料で登録でき、多くの補助金で審査上の加点が得られる。
問合せ 中小企業庁企画課 03-3501-1765

⑯ 労務費の適切転嫁ガイド

価格交渉

労務費上昇を価格に適切転嫁するための行動指針。

こんな企業に 人件費上昇分を取引価格に反映させたいが、交渉方法に悩んでいる企業
ポイント 価格交渉の根拠として活用できる。
問合せ 公取委 企業取引課 03-3581-3378

⑰ 官公需基本方針(契約金額の見直し)

官公需

最低賃金改定に伴う契約見直しを定める。

こんな企業に 国や地方公共団体と取引がある企業
ポイント 最低賃金の改定があった場合、契約金額の見直し協議が可能。
問合せ 中小企業庁取引課 03-3501-1669

⑱ 官公需情報ポータル

新規開拓

官公需の情報集約サイト。

こんな企業に 官公需への入札参加など、新たな販路を開拓したい企業
ポイント 全国の官公需に関する発注情報等を一元的に検索できる。
問合せ 中小企業庁取引課 03-3501-1669

4. 資金繰り

⑲ セーフティネット貸付制度

低利融資経営安定

売上減少など業況悪化時の低利の資金繰り支援。

こんな企業に 一時的に業況が悪化しているが、中長期的には回復が見込まれる企業
ポイント 経営環境の変化に対応するための資金を低利で調達可能。
問合せ 日本公庫 0120-154-505

⑳ マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)

無担保無保証人

小規模者向けの無担保・無保証人・低金利融資(商工会・商工会議所経由)。

こんな企業に 商工会・商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者
ポイント 推薦に基づき、無担保・無保証人で融資を受けられる。
問合せ 最寄りの商工会・商工会議所

5. 雇用・人材育成(賃上げ加算ありのコースも)

㉑ 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

地域雇用

雇用情勢が厳しい地域での事業所設置・雇入れを助成。

㉒ 人材確保等支援助成金

職場定着賃上げ加算

職場定着へ労働環境整備等。賃上げ5%以上で加算あり。

㉓ 人材開発支援助成金

人材育成スキルアップ

計画的訓練の経費・賃金の一部を助成(教育訓練休暇制度も対象)。

㉔ 建設事業主等に対する助成金

建設業

建設分野で雇用改善・技能向上の取組を支援。

㉕ 特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成)

就職困難者雇用

就職困難者等の雇入れ+成長分野従事/人材育成+5%賃上げ等で助成額1.5倍。

㉖ 早期再就職支援等助成金

中途採用

雇入れ支援(無期・5%賃上げ)/中途採用拡大(45歳以上含む賃上げ要件)を助成。

㉗ 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援)

スキルアップ出向

在籍型出向でスキルアップし、復帰後5%以上の賃上げで助成(上限あり)。

㉘ 働き方改革推進支援助成金

働き方改革賃上げ加算

労働時間削減・年休取得促進・勤務間インターバル等の環境整備に助成。賃上げ額に応じ上限加算

上記(㉑〜㉘)の問合せ:都道府県労働局/ハローワーク

6. 相談・ワンストップ支援

㉙ よろず支援拠点

経営相談無料

中小企業の経営相談を無料・ワンストップで。

㉚ 下請かけこみ寺

取引相談

取引トラブルの相談・弁護士アドバイス。

㉛ 働き方改革推進支援センター

労務相談無料

労務管理の専門家が個別相談・コンサルを実施。

㉜ ミラサポplus

情報検索電子申請

補助金・支援制度の検索〜電子申請をサポート。

実務の進め方(最短ルート)

  1. 今年の賃上げ方針と幅(何円・何%)を確定
  2. 賃上げと同時に効く投資(省力化・IT・教育)を選定
  3. 該当しそうな「助成金・補助金・税制・融資」を洗い出し
  4. スケジュール逆算(告示時期・公募締切・導入時期)
  5. 申請要件の不足を埋める(就業規則・賃金規程・証拠書類)

各都道府県労働局・日本公庫・商工会議所等への連絡先一覧:厚労省:所在地一覧


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出典:厚生労働省「最低賃金・賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援施策」パンフレット(R7.6)

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