「年収106万円の壁を打破!企業に助成金50万円、政府の新施策とは?」
2023.07.09
「年収106万円の壁」対策で1人当たり50万の助成金
政府は、年収の上昇による働き控えを防ぐため、賃上げなどに取り組む企業に対し、従業員1人あたり最大約50万円の助成金制度を創設する方針を固めました。この助成金は、厚生年金保険料などの天引きが始まる「年収106万円の壁」に対する措置であり、早ければ2024年から実施される予定です。
新たな助成金制度は、雇用保険を財源とする「キャリアアップ助成金」を拡充し、パート社員の正社員化促進に加えて「106万円の壁」対策を導入します。
具体的には、従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)の企業で、サラリーマンの妻などが週20時間以上パートで働く場合、年収106万円から厚生年金保険料などを納める必要があり、手取り額が減ってしまう問題に対処します。
手取り額の減少が年収約125万円に達すると、同じ水準まで回復する必要があります。政府は、従業員の賃上げや勤務時間延長の計画を立てたり、複数年にわたって取り組んだ企業に助成金を支給する予定です。
また、年金保険料に関しても「年収130万円の壁」が指摘されています。岸田首相はこれらの問題について見直しを行い、厚生労働省は2025年に予定している年金制度改革に合わせて抜本的な対策を講じる予定です。
ただし、年金制度改革の実施は早くても2025年以降となるため、それまでの間の暫定的な対策として助成金を活用することが決定されました。また、「130万円の壁」に対する暫定的な対策についても別途検討される予定です。
政府は、こうした対策を「支援強化パッケージ」として今秋にまとめ、年末に策定する「こども未来戦略」に盛り込む方針です。
「年収160万の壁」とは
なお、「年収160万の壁」とは、パートなどの年収が一定額に達すると税金や社会保険料の天引きにより手取り額が減少する問題のことを指します。具体的には、所得税がかかる「103万円の壁」、一定規模以上の企業で社会保険料がかかる「106万円の壁」、会社員の配偶者などが年金の扶養から外れる「130万円の壁」、配偶者特別控除が縮小する「150万円の壁」が存在します。