税理士・社労士がおすすめ!2024年最低賃金引き上げ対策と助成金・補助金

2024.10.01

はじめに

最低賃金引き上げ対策として税理士・社労士がおススメする助成金と補助金

 2024年10月より、全国一斉に最低賃金が各都道府県で50円引き上げられることが決定しました。この大幅な引き上げに伴い、多くの事業者様が賃金引き上げに取り組むことが求められています。昨今の物価高騰を考慮すると、賃金引き上げは従業員の生活を支えるだけでなく、採用力の向上にも寄与します。そこで今回は、厚生労働省や中小企業庁が提供する助成金や補助金についてご紹介します。これらの制度を活用し、最低賃金引き上げのタイミングで賃金を引き上げ、自社の成長に繋げてください。

助成金と補助金の紹介

業務改善助成金

 業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を引き上げ、設備投資等を行った中小企業・小規模事業者等に、その費用の一部を助成する制度です。

助成金を受給するまでの流れ

  • 事業場内最低賃金引き上げの計画
  • 設備投資等の計画(機械設備、コンサルティング、人材育成・教育訓練など)
  • 計画を提出し、承認を受けて実施
  • 設備投資等の費用の一部を助成

要件

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金地域別最低賃金差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

事業場内最低賃金とは→その事業所で働く労働者の時給額(月給制などの場合は時給額に換算した額)のうち最も低い額

助成率

事業場内最低賃金額 助成率
900円未満 9/10
900円以上950円未満 4/5(9/10)
950円以上 3/4(4/5)

助成対象経費の例

  1. 機器・設備の導入:POSレジシステム導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
  2. 経営コンサルティング:国家資格者による、顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直し
  3. その他:顧客管理情報のシステム化

※一部事業者は対象経費の特例を受けることができる可能性があります(詳細は業務改善助成金ウェブサイト参照)。

業務改善助成金の対象となる経費一覧

業務改善助成金の対象となる経費の例を業種別に一覧にしました。ぜひ参考にしてください。
※あくまで例です

助成上限額

引上げ労働者数 30円コース(30円以上) 45円コース(45円以上) 60円コース(60円以上) 90円コース(90円以上)
1人 30万円(60万円) 45万円(80万円) 60万円(110万円) 90万円(170万円)
2~3人 50万円(90万円) 70万円(110万円) 90万円(160万円) 150万円(240万円)
4~6人 70万円(100万円) 100万円(140万円) 150万円(190万円) 270万円(290万円)
7人以上 100万円(120万円) 150万円(160万円) 230万円 450万円
10人以上※ 120万円(130万円) 180万円 300万円 600万円

※10人以上の上限区分は特例事業者(詳細は業務改善助成金ウェブサイト参照)のみ対象。
※()内の助成上限額は事業場規模30人未満の事業者のみ対象。

活用例

  • A社では、都道府県が定める地域別最低賃金が935円
  • A社は、自社の「事業場内最低賃金」は940円であり、これを1000円に引き上げることを計画
  • A社は、「事業場内最低賃金」は940円なので助成率は4/5
  • A社は、労働者7人の最低賃金引上げを実施
  • 表にあてはめた場合「60円コース:7人以上」の区分に該当し助成上限額は230万円(①)
  • もしA社が、設備投資費用として300万円の経費を支出した場合、300万円×4/5=240万円(②)
  • 受給できる助成金の額は、①と②の少ない額となり230万円

申請・問合せ先

  • 業務改善助成金の詳細はコチラ→厚生労働省HP:業務改善助成金
  • 申請先:都道府県労働局雇用環境・均等部(室)
  • 問合せ先:業務改善助成金コールセンター0120-366-440詳しくはコチラ(QRコード貼り付け)

キャリアアップ助成金

 有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成します。

対象となる方

 雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ計画」を作成し、その計画に基づき、以下の1~6までのいずれかを実施した事業主。

  1. 正社員化コース
  2. 障害者正社員化コース
  3. 賃金規定等改定コース
  4. 賃金規定等共通化コース
  5. 賞与・退職金制度導入コース
  6. 社会保険適用時処遇改善コース(R5.10~)

キャリアアップ助成金の各コースの詳細はコチラ→厚生労働省HP:キャリアアップ助成金

支援内容 ※賃金規定等改定コースの場合

 有期雇用労働者等の基本給を定める賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用した事業主に対して、以下の額の助成を行います。

増額改定幅 助成額
3%以上5%未満 5万円
5%以上 6万5,000円
  • 1年度1事業所当たり100人までは、複数回の申請ができます。
  • 職務評価を行ったうえで賃金規定等を改定した場合は、助成額の加算が受けられます。
  • 中小企業以外の場合、助成額は上記の2/3程度となります。

社会保険適用時処遇改善コースの新設

 最低賃金の引き上げに伴い、被用者保険の適用になり手取り収入が減らないよう就業調整をする労働者はいませんか?新たに被用者保険を適用するとともに、労働者の収入を増加させる取り組みを行う事業主に対して助成する仕組みができました。

問合先

ものづくり・商業・サービス補助金

  • 事業概要:生産性向上に資する革新的な製品・サービス開発、生産プロセス等の省力化を行う中小企業・小規模事業者等の設備投資等の経費の一部を支援します。
  • 補助上限:最大8,000万円(さらに一定の賃上げで上限額を最大2,000万円引き上げ)
  • 補助率:1/3~2/3
  • 賃上げ加点:給与支給総額を平均6%以上増加させることに加え、「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準にすること」を更なる加点要素とします。

問合先

問合せ先:ものづくり補助金事務局サポートセンター050-3821-7013

問合先

  • ものづくり・商業・サービス補助金の詳細はコチラ→ものづくり補助事業公式HP:ものづくり・商業・サービス補助金
  • 問合せ先:ものづくり補助金事務局サポートセンター050-3821-7013

IT導入補助金

  • 事業概要:業務の効率化やDXの推進、セキュリティ対策のためのITツール等の導入を支援します。
  • 補助上限:最大450万円
  • 補助率:1/2~4/5
  • 賃上げ加点:給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させることに加え、「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準にすること」を更なる加点要素とします。

問合先

問合先

  • IT導入補助金の詳細はコチラ→ものづくり補助事業公式HP:IT導入補助金
  • 問合せ先:サービス等生産性向上IT導入支援事業コールセンター0570-666-376

助成金・補助金を活用して賃金引き上げを実現しよう

 いかがでしたか?最低賃金の引き上げは事業運営において大きな課題となる一方、適切な対策を講じることで従業員の満足度向上や採用力の強化にも繋がります。厚生労働省や中小企業庁が提供する助成金や補助金を活用し、このタイミングで賃金引き上げを実現し、持続可能な成長を目指しましょう。詳細な情報については、各リンク先やお問合せ先にてご確認ください。

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