【2020年5月23日更新】
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はじめに
1.役員報酬を変更する場合の適性額はいくらなのか?
2.自分が受け取る役員報酬は世間相場で妥当なのか?
3.税務調査が入っても問題ないか?
そんな疑問を抱いている方は多いと思います。
しかし、役員報酬とは言っても「会社法」と「法人税法」でそれぞれ定めている内容が違います。
まず会社法では、役員報酬を「報酬等」と表現し、その定義を定めています。
次に法人税法では、役員報酬を「役員給与」と表現し、その考え方と取り扱いを定めいます。
そこで役員報酬の適正額はいくらか?
その基準をどう考えるべきなのか、まとめました。
ポイント1.会社法の考え方
「会社法」では、取締役が都合のいいように役員報酬を決めることを禁じている
まず会社法では、取締役が自分の都合のよいように役員報酬を決めることを禁じており、金額等の内容については、定款の定め又は株主総会の決議によって定めることにしています。
ポイント2.法人税法の考え方
「法人税法」では、不相当に高額な役員報酬は損金として認めない
法人税法では、役員報酬について、法人税法が定めている定期同額給与・事前確定届出給与及び利益連動給与以外の給与の額を損金不算入としています(役員退職給与は除く)。
さらに定期同額給与等に該当するものであっても、不相当に高額であるとされる部分は、損金不算入としています。
※損金不算入とは、たとえ会計上費用に計上しても税法上では損金(費用)として認めないこと
ポイント3.「不相当に高額」の判断
役員報酬の適性額を判断する基準は政令で定められており、その判断材料は以下の3つである。
① その役員の職務の内容
② その法人の収益及びその使用人に対する給与の支給状況
③ 類似法人(その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの)の役員に対する給与の支給状況等
の3つになっています。
ポイント4.実務上の判断
実際の税務署の調査では
上記③の類似法人の役員に対する給与の支給状況等が重要な判断材料とされる
実際に「税務署による調査」などで役員報酬の適正額の判断をする場合、実質的には前述3の③の「類似法人の役員に対する給与の支給状況等」をもとに判断する場合が最も多いところです。
ただし、この場合類似法人の選定は、国税庁サイトでないとわからない部分であり、さらには、その数社の類似法人の平均額によって適正額を判断すべきか、最高額によって適正額を判断すべきかという問題も生じます。
ポイント5.過去の裁判例
『類似する法人の役員給与』の平均額の2.5倍を超えて、それが不相当に過大であると認定されたケースもある
過去の裁判の実例では、類似法人の役員に対する給与の平均額の2.5倍を超えていて、それが不相当に過大であると認定された事例(名古屋地裁平成8年3月27日判決)や、類似法人の最高支給額を超えていて最大であるとされた事例(東京地裁平成28年4月22日判決)などもあります。
従って、その適正額の判定は事前に慎重に行うべきであり、会社としては、その役員報酬の算出根拠を明確に説明できるようにしておくことが重要です。税理士などの専門家に相談することも良いでしょう。
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