個人事業主は法人を設立し,社会保険に加入する方が税金・社会保険料・保障の点でお得なケースがあります。
法人化(会社設立)で社会保険に加入した方が、税金面・社会保険面でメリットが大きくなるケースがある
個人事業主の事業が軌道に乗ってきた際、必ず検討するのが法人化・会社化です。
事業の年間売上が1,000万を超えると2年後には消費税がかかってくるという事実も影響し、
個人事業主にとって法人化・会社化はその後の事業にとって重要なターニングポイントになります。
近ごろは従業員を雇用することなく、代表者一人若しくは家族だけを役員にして法人化されるケースが大変増えています。
ほとんどは
- 「節税につながるから」
- 「営業上有利だから」
- 「融資を受けやすいから」
といった理由が多いのですが、当事務所ではもう一点
「社会保険に加入できるから」
ということで「法人化・会社化」をお勧めしています。
以前にも「不動産賃貸業」のケースでご紹介しましたが、業種を問わず個人事業主の皆さんに当てはまるので改めてご紹介します。また今回は社会保険料だけでなく税金や年金の受給額も併せて試算してみたいと思います。ではそれはどういうことかシミュレーションで確認してみましょう。
『売上3,000万の建設業の場合、個人事業と法人事業どちらが得か。税金、社会保険料、将来の年金も考慮し試算してみた。』はコチラ↓↓↓
試算の前提は以下のとおり
試算の前提条件として
- 個人事業で妻あり・子あり(1人)
- 夫婦とも国民健康保険・国民年金に加入
- 確定申告で消費税も納付(収入1,000万円以上)
- 妻は週に3日ほど事務等を手伝う
そして上記1~4の前提に加え
- 収入が 1,200万円
- 経費 600万円
- 妻への給与 100万円
- 事業所得 500万円
- 所得控除額 150万円
- 差引課税所得額 350万円
と仮定し計算します。
左記の前提を基に、”個人経営の場合”と”法人経営の場合”の社会保険料、税金等の
- 年間負担額
- 年金受給額
を試算し、比較してみました。
(あくまで試算です。状況等で効果は変動することになります)
個人経営の場合
税金・社会保険料を含めた年間負担額
税金・社会保険料を含めた年間負担額は以下の通りとなります。
- 国民健康保険⇒ 490,000円(大阪市)
- 国民年金保険⇒ 366,000円(15,250円×12月×2人)
- 所得税・住民税⇒ 623,000円
- 消費税⇒ 480,000円
- 合計⇒ 1,959,000円
将来の年金額
将来の年金額は以下の通りとなります
(40年間加入の場合)
- 65歳になった時 本人⇒772,800円
妻 ⇒772,800円 - 本人が障害1級になった時 本人⇒1,188,400円
妻 ⇒ 772,800円 - 本人が死亡した時 妻 ⇒995,200円
法人経営の場合(資本金が1円~1,000万円未満)
(社会保険加入、法人より本人250,000円(役員報酬)、妻への給与月100,000円(従業員週3日勤務)とした場合)
税金・社会保険料を含めた年間負担額
- 健康保険⇒ 313,800円
- 厚生年金保険⇒ 534,200円(妻の国民年金含む)
- 所得税・住民税⇒ 122,000円(妻の所得税含む)
- 法人税・住民税⇒ 445,000円
- 消費税⇒ 0円(法人設立後2年間は免税)
- 合計⇒ 1,415,000円
将来の年金額
将来の年金額は以下の通りとなります
(40年間加入の場合)
- 65歳になった時 本人 ⇒ 1,484,000円
妻 ⇒ 772,800円 - 本人が障害1級になった時 本人 ⇒ 1,987,000円
妻 ⇒ 772,800円 - 本人が死亡した時 妻 ⇒ 1,344,000円
試算の結果
試算結果その1 法人経営の方が税金・社会保険料の負担額が年間615,000円減少した
上記比較により税金・社会保険料を含めた負担は
- 個人経営で 1,959,000円
- 法人経営で 1,344,000円
- 合計差額で 615,000円
となります。
消費税については
資本金1,000万未満の法人は設立後2年間は免税となり3年目以降は税負担が発生しますが、
それでも135,000円は負担額が少なくなります。
試算結果その2 法人経営の方が将来受け取れる年金額が老齢年金、障害年金、遺族年金ともに増加した
またさらに年金の受給額の面では夫婦合計で
- 65歳になった時 711,200円増額
- 障害1級になった時 798,600円増額
- 死亡した時 348,800円増額
となり、受給後は生涯通じて受給できます。
また今回の試算より所得が少ない方・多い方、消費税の負担のない方でも一定の効果が出る試算になります。
まとめ
1 法人経営にした方が、税金・社会保険料の負担額が減少し、一方で将来受け取れる年金額は増加する
2 現役中の障害や死亡に対する保障(障害年金、遺族年金)が増える
3 結論として、“掛け捨ての税金負担”、よりも“将来の保障や貯蓄につながる社会保険料負担”にシフトした方が長期的にメリットが大きい。
ということとなる。
近ごろは税金よりも健康保険料と年金保険料の負担の方が多くなるケースがよくあります。
しかし、税金は負担をしても特にメリットはありませんが社会保険料のうち
年金保険料は将来(老齢年金)として今の保障(障害年金・遺族年金)につながります。
したがってどうぜ負担するなら”税金”ではなく”社会保険料”なのです。しかもこの試算では総負担も減っています。負担が減ったにも関わらず、補償は増えたと言えます。
個人で事業をされている方は、是非このあたりを検証する価値があります。
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