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【税金の扶養とどう違う?外れたらどうなる?】社会保険の扶養を徹底解説!!

私たちが日常で使用する「扶養」という言葉には2つの意味があることをご存じでしょうか。扶養には、

 

  1. 所得税の扶養
  2. 社会保険の扶養

 

があり、それぞれ内容や扶養の条件が異なります。この記事では「社会保険の扶養」に焦点を当てて解説していきます。

 

 

 

所得税と社会保険の扶養の違いは「収入の金額」と「収入のタイミング」

妻を扶養にいれる」「子供を扶養にいれる」といった表現を聞いたことはないでしょうか?この「扶養」とは所得税と社会保険の2種類があります。どちらも同じ「扶養」という言葉を使用するため、それぞれの条件を混同して理解してしまっている方もいらっしゃいますので、ここでしっかりと確認しておきましょう。

 

 

【金額の違い】103万円と130万円

所得税の扶養と社会保険の扶養の大きな違いは「収入の金額」が違うことです。所得税の扶養の要件は「年間所得48万円以下」になっています。

 

パートやアルバイトなどの給与収入の方は収入の金額から給与所得控除を差し引いた額が所得となり、年間収入が103万円の場合には給与所得控除55万円が差し引かれ年間所得は48万円になります。つまり年間収入が103万円以下の場合、所得税の扶養になることができます。

 

一方、社会保険の扶養の要件は「年間収入130万円以下」です。所得ではなく、収入金額になりますので間違えないように注意しましょう。

 

 

【タイミングの違い】実績と見込み

所得税と社会保険の扶養の要件は、収入のタイミングが違います。所得税の扶養の判定は「その年の1月~12月の所得」で判断を行います。そのため、扶養になるかどうかの判断は12月の収入が確定し、年間の収入も確定してからでなければできません。

社会保険の扶養については「今後1年間の収入見込み」で判断を行います。扶養になる時点の月収の水準が今後1年間続くものとして計算した「年間見込み額」で計算します。

 

所得税と社会保険料の扶養の要件である収入の金額と収入のタイミングは、違う考え方により判断することになります。

※社会保険の扶養の金額については、会社の規模により130万円ではなく「106万円」で判断する場合があります。詳しくは「【手取りが減る?2022年10月改正】社会保険106万円の壁を解説!」をご覧ください。

 

『【手取りが減る?2022年10月改正】社会保険106万円の壁を解説!』はコチラ↓↓↓
106万円の壁

 

 

社会保険の扶養になるためには条件を満たす必要がある

所得税と社会保険の扶養の収入要件の違いを確認しましたが、次は社会保険の扶養になるための他の要件を見ていきましょう。

 

 

社会保険には2つの側面があります。1つ目は老後の年金のための「厚生年金」、2つ目は病院にかかった時のための「健康保険」です。

厚生年金の扶養(第3号被保険者)は「妻(夫)または内縁の配偶者」に限定されているため、子などの他の親族が第3号被保険者になることはできません。

 

厚生年金については、配偶者に限定されているため、一般的に社会保険の扶養というと健康保険についての扶養として取り扱われます。社会保険の中の健康保険については、「生計維持と生計維持+同一世帯の要件」「収入要件」で判断することになります。

 

 

社会保険の扶養条件①「生計維持」と「生計維持+同一世帯」

社会保険の扶養になるためには「生計維持」または「生計維持+同一世帯」である必要があります。

 

生計維持とは?

生計維持とは、主に社会保険に加入している人(被保険者)によって生計を維持されていることです。例えば、夫は会社員、妻は専業主婦、子が1人いる家庭では、会社員の夫によって妻と子の生計が維持されているため、妻と子は夫の扶養に該当します。被保険者の収入によって生活が成り立っている場合に生計維持が該当します。

生計維持は、被保険者と一緒に生活していること

生計維持の対象になる親族の範囲は次の通りです。

被保険者の配偶者
被保険者の子
被保険者の直系尊属(血のつながった父母・祖父母・曾祖父母)
被保険者の孫
被保険者の兄弟姉妹

 

「生計維持+同一世帯」とは

生計維持+同一世帯とは「被保険者の収入で生活し、被保険者と一緒に生活している場合」が該当します。これは、必ずしも同じ戸籍である必要や世帯主であるといったことまでは問われません。同じ家で被保険者と生活を共にしている場合で「収入がない」若しくは「収入が少ない」場合は扶養になれる可能性があります。

生計維持+同一世帯は被保険者の収入で生活し、被保険者と一緒に生活していること

 

生計維持+同一世帯の対象になる親族は、生計維持よりも広くなっています。

被保険者の義理の父母
被保険者の義理の兄弟姉妹
被保険者の配偶者
被保険者の甥(おい)姪(めい)およびその配偶者
被保険者の兄弟姉妹の配偶者
被保険者の子の配偶者
被保険者の孫の配偶者
など

 

 

 

「学業のための一人暮らし」「病気で入院」は扶養になれる?

子どもが遠くの大学に通学するために一人暮らしをしている場合については、同一世帯に該当しませんが、一定の基準を満たすことで扶養になることができます。

一定の要件とは、扶養になる人(この場合は子ども)の年間収入が130万円未満であり、年間収入が被保険者からの仕送り額より少ない場合に、扶養にすることができます。詳しくは次章の「収入要件を詳しく解説」をご覧ください。

 

「病気で入院している場合」の判断ついても、学業のための一人暮らしの場合と同じように行います。入院前に被保険者と生計維持と同一世帯であった場合は、引き続き被保険者と同一世帯であるものとみなされます。被保険者と同じ家に住んでいなくても扶養から外されることはありません。

たとえ同一世帯でなくても「通学のための一人暮らし」や「病院での入院」などの場合は、本人の収入が130万円未満(60歳以上等は180万未満)で、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、扶養となる。

 

共働きの場合、子供はどっちの扶養?

夫婦共働きの場合でどちらも社会保険の被保険者である場合には、子供はどちらの扶養にはいることになるのでしょうか?
原則的には「年間収入が多い方の扶養」になります。(保保発0430第2号/保国発0430第1号)
例えば、夫の方が妻よりも年間収入が多い場合、子供は夫の扶養にはいることになります。

ただし、夫婦の年間収入の差額が1割以内である場合には、届出により生計を維持する人の扶養にはいることになります。

共働き夫婦の子供は、年間収入の多い方の扶養となる

 

収入要件を詳しく解説

社会保険の扶養については「今後1年間の収入見込みが130万円未満」と冒頭でご紹介しました。社会保険の収入要件には年間収入見込み130万円以外にも要件がありますので詳しく見ていきましょう。

 

収入に含めるもの

社会保険の扶養の判定を行う際の収入見込みは、所得税の収入より範囲が広く設定されています。遺族基礎年金や失業保険などは、所得税上非課税のため収入として計算しませんが、社会保険の扶養の判定では収入見込みに含める必要があります。

 

社会保険の扶養の判定で収入に含めるものの例
老齢年金、遺族年金、障害年金、企業年金、確定拠出年金
雇用保険失業給付金
傷病手当金等
預貯金の利子
公社債投資信託分配金等

 

60歳以上または身体障害者の方は年収180万円

60歳以上または身体障害者の方の場合は、収入見込み130万円未満ではなく、「180万円未満」になります。年金受給者や障害年金受給者の方は、社会保険の扶養に認定されやすいという特徴があります。

 

被保険者の年収の2分の1未満でなければならない

社会保険の扶養になるためには年間収入見込み130万円未満でなければなりませんが、もう一つ条件があり「対象者が被保険者の年収の2分の1未満でなければならない」ことです。

この要件は対象者と同一世帯の場合と別居している場合(仕送りしている場合)で考え方が異なります。

 

・対象者と同一世帯の場合

 

・別居している場合(仕送りしている場合)


別居している場合は、対象者の年収が130万円未満で、かつ被保険者からの仕送り額(援助額)より少ない場合は、原則として扶養になることができます。

 

まとめ

社会保険の扶養は所得税の扶養と混同しやすく、間違えて理解している方も少なくありません。また、近年の改正により会社によっては年収130万円ではなく106万円以上(月88,000円)の収入で社会保険に加入しなければならず、130万円未満であっても社会保険の扶養から外れてしまうケースがございます。
ご自身で判断できない場合は、躊躇せずに近くの年金事務所にお問い合わせをすることをおすすめします。

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