厚生労働省は、平成29年3月29日「社会保険の適用促進対策について」の中で、厚生年金加入へ督促強化の対象に①飲食店営業、②食品製造業、③理容業・美容業、③社会福祉事業を指定した。
社会保険未加入が多いとされる業種、飲食店、美容・美容業、建設業、社会福祉事業にも厚生年金加入への適用促進対策が開始されています。
※厚生労働省:厚生年金保険の適用促進対策についてをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/si5_3.pdf
以下、日本経済新聞(2017/3/29 0:02日本経済新聞 電子版)より
厚生労働省は来年度から厚生年金に加入していない企業への督促対策を強化する。保健所などの窓口に事業許可の申請に来た際に加入状況を確認する対象業種に飲食業と理容業を加える。未加入の場合は日本年金機構に通報する。国税庁から納税情報の提供を受ける回数も年2回から大幅に増やす。厚生年金の加入を促し、老後の生活の安定につなげる。
すでに厚労省は国土交通省と協力し、建設業の許可・更新時に社会保険の加入状況を確認する取り組みを進めている。指導しても加入しない場合は年金機構に通報し、機構が個別に訪問して加入を促している。
今回は取り組みの対象を飲食業や理容業にも広げる。両業種は他業種に比べて厚生年金の加入が進んでいないため、対策を強化する。
厚労省と年金機構は国税庁から源泉徴収義務がある企業の情報提供を受け、厚生年金の未加入企業の調査を進めている。現在は年2回だが、来年度から大幅に増やす。29日に開く社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会でこうした対策の内容を示す。
厚生年金の適用事業所数は大幅に増えている。この5年間で約50万事業所が新たに加入し、昨年9月末時点で初めて200万事業所を超えた。未加入業者への対応は進んでいるが、年間10万件規模で増える新設の事業所の加入促進対策が課題になっていた【日本経済新聞】
平成27年以降、厚生労働省と日本年金機構は、違法に社会保険の加入を逃れている中小企業(=社会保険未加入会社)約80万社に対して、厳しい指導を開始しています。
(社会保険とは=政府管掌の健康保険、厚生年金保険のことをいう)
またほかに建設業におてもこの対策は厳しい取り締まりが始まっています。
※建設業の社会保険未加入対策についてをご確認ください。
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000080.html
突然年金事務所がやってくる!!!
法律上、社会保険(健康保険及び厚生年金保険)の加入が義務づけられている事業所は
1.株式会社などの法人
2.一部の業種を除く従業員5人以上の個人事業所
となっています。これらを法律上、強制適用事業所といいそこで働く労働者は原則として社会保険の被保険者となります。
社会保険未加入事業所に対する年金事務所の取組み(適用調査対象事業所対策)の詳細はコチラ↓↓↓↓
※日本年金機構の取組み(適用調査対象事業所対策)をご確認ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/sonota/20150120.html
もし、この指導に応じなければ、立ち入り検査も実施した上で、強制的に加入させる方針です。
「突然年金事務所がやってきた!」
ということが社会保険未加入事業所に対し順番に発生していくことになります。
どのように違法の事業所をリストアップするのか???
1.違法の社会保険未加入事業所は、国税庁の納税情報を共有することでリストアップ
2.日本年金機構ホームページでも、現在の社会保険の加入状況を事業所名称などで検索できるシステムが開設
前述の日本経済新聞記事を見ればわかりますが、日本年金機構は今後”国税庁の納税情報”を共有することで社会保険未加入事業所をリストアップ(あぶり出す)することになっています。今までは国税庁が保有する情報と日本年金機構が共有することはありませんでした。したがってこれまで違法な社会保険未加入(加入逃れ)が通用してきたのは、この行政の縦割り状態があったからだと言われています。
しかし、今回の取組の結果で中小零細の約80万社が調査対象になると言われており、政府もかなり本腰を入れて立ち入り調査に取り掛かるということがわかります。
また現在、全国の事業所の社会保険(厚生年金保険・健康保険)の加入状況を、どなたでも簡単に確認できるよう、日本年金機構ホームページ上に、「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」(下記URLをクリックすると、つながります。)を開設されています。本検索システムでは、「事業所名称」や「事業所所在地」、「法人番号」を入力することで、条件に該当する社会保険に加入している事業所(適用事業所)および社会保険から脱退した事業所(全喪事業所)の情報を、一覧で閲覧することができます。
「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」はコチラ↓↓↓↓
※日本年金機構:厚生年金保険・健康保険適用事業所情報検索システムをご確認ください。
https://www.nenkin.go.jp/jigyosho/kensaku/jigyoshokensaku.html
年金事務所の言いなりのまま加入しますか???
調査が来る時点で、社会保険に加入義務があることは把握されているので、
指導後は入らずに逃れることは難しい。
しかしそのまま「年金事務所の言いなり」で加入させられては大変です。
交渉次第では加入まで一定期間の猶予も設けられるため、その間に社会保険の専門家である社会保険労務士、そして給与計算をされる税理士などに対策を求めた方がメリットは大きいでしょう。