わかる!給付付き税額控除と年金

現在、政府内で本格的な検討が進められている「給付付き税額控除」。年金受給者にはどのような影響があるのか、現時点での情報をもとにわかりやすく解説します。

給付付き税額控除とは?

給付付き税額控除は、所得税から一定額を差し引く(税額控除)制度の一種です。この制度の大きな特徴は、計算した所得税額よりも控除額が大きい場合に、その差額が現金で給付される点にあります。これにより、所得が少なく税金をあまり納めていない方でも、制度の恩恵を十分に受けられるようになります。

4つのパターンで見る制度のイメージ

Aさん

実際の納税

1万円

税額控除(減税)

4万円

所得税額が
控除額より多い

Bさん

税額控除(減税)

4万円

所得税額と
控除額が同じ

Cさん

現金給付

2万円

税額控除(減税)

2万円

所得税額が
控除額より少ない

Dさん

現金給付

4万円

住民税非課税
(所得税なし)

制度の仕組み(まとめ)

あなたの所得税

税額控除額

=

差額がマイナスなら
その分が給付される

老齢年金を受給している方の場合

老齢年金は、公的年金等控除を差し引いた後の金額が「雑所得」として所得税の課税対象となります。そのため、給付付き税額控除は、ご自身の所得税額によって影響が変わります。

ケース1:所得税額 > 税額控除額

納める所得税が、税額控除の金額よりも多い場合です。

→ 支払う税金が減ります(減税)。

例:所得税が8万円、控除額が5万円の場合

→ 支払う税金は3万円になる

ケース2:所得税額 < 税額控除額

納める所得税が、税額控除の金額よりも少ない、またはゼロの場合です。

→ 税金はゼロになり、差額が給付されます。

例:所得税が2万円、控除額が5万円の場合

→ 税金は0円になり、3万円が給付される

障害年金・遺族年金を受給している方の場合

障害年金や遺族年金を受給している方にとって、この制度は特に重要な意味を持つ可能性があります。その理由は、これらの年金の性質にあります。

重要ポイント:障害年金・遺族年金は非課税です

障害年金と遺族年金は、所得税法により課税されない「非課税所得」です。そのため、年金収入に対して所得税がかかりません。

他に課税対象となる所得がなければ、所得税額は0円となります。この場合、給付付き税額控除が導入されると、控除額の全額がそのまま現金で給付される可能性があります。

非課税年金受給者のケース

他に大きな所得がない場合、所得税は0円です。

→ 税額控除の満額が給付される可能性があります。

例:所得税が0円、控除額が5万円の場合

→ 5万円がそのまま給付される

かんたん試算シミュレーター

あなたの年収(年金収入など)を入力して、給付付き税額控除がどのように影響するかを視覚的に確認してみましょう。 ※あくまで制度の仕組みを理解するための簡単なモデルです。実際の税額や給付額とは異なります。

よくある質問

この制度はいつから始まりますか?

2025年10月現在、給付付き税額控除は政府や政党で議論されている段階であり、まだ正式に導入が決まったわけではありません。具体的な制度設計や開始時期は、今後の議論によって決まります。

給付を受けるために申請は必要ですか?

制度設計によりますが、一般的には確定申告や年末調整を通じて税額の計算と控除の適用が行われると考えられます。所得が少なく確定申告が不要な方向けに、別途簡単な申請手続きが設けられる可能性もあります。

パート収入など、年金以外の収入がある場合は?

年金収入と他の収入(給与所得など)を合算した合計所得金額を基に所得税が計算されます。その上で、給付付き税額控除が適用されることになります。収入の種類によって所得の計算方法が異なるため、最終的な影響は個々の状況によります。

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