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【2023年(令和4年分)の確定申告の変更点は?】確定申告の変更点を解説

2023年(令和4年分)の確定申告は例年と比べて変更点が多くなっています。確定申告の様式の変更や税制改正による変更、スマホ申告の利便性の向上などにより全体的に簡素化されています。

ここでは、2023年(令和4年分)の確定申告の変更点について紹介します。確定申告が必要な方はぜひ最後までお付き合いください。

 

2023年確定申告の変更点

 

申告書の様式等の変更

一番大きな変更点は「確定申告書の統合」です。従来の確定申告書はAとBの様式があり、確定申告書Aは給料、公的年金、その他の雑所得、総合課税の配当所得、一時所得のみの申告で利用できる確定申告書の簡易版です。確定申告書Bは全ての所得で利用できる様式です。

今回の改正では、確定申告書Aと確定申告書Bが統合され、AとBの区別がなくなり「確定申告書」に統合されます。

 

確定申告書の統合

 

第5表が廃止

修正申告する際に使用されていた「第5表修正申告書(別表)が廃止」され、第1表に修正申告の欄が追加されます。修正前の課税額などを記載する必要がなくなるため、修正申告の際の手間が少なくなります。

 

第5表が廃止

 

収入1,000万円超の雑所得は収支内訳書が必要

副業による収入など、雑所得に分類される収入が前々年に1,000万円を超えた場合、雑所得の収支内訳書の提出が必要になります。収支内訳書の様式は一般用の収支内訳書に記載することになり、事業所得と区分するために「雑(業務)」を選択する欄が追加されます。

 

雑(業務)

 

 

確定申告書で公金受取口座の登録申請が可能に

公金受取口座とは、行政機関などからの給付金を受けるために事前に登録することができる預貯金口座です。

給付金の申請手続きでは、給付を受ける口座情報(通帳コピーの添付)を記載する必要がありますが、公金受取口座を事前に登録しておくことで口座情報の記載が必要なくなります。行政側での口座確認が不要となり、迅速な給付が行えます。

 

(出典:デジタル庁)

今まではマイナポータルでの登録とマイナンバーカードによる電子申告(e-tax申告)の際の登録が可能でしたが、令和4年分の確定申告より書面での公金受取口座の登録が可能になり、所得税の還付口座として利用できます。

 

確定申告書で公金受取口座を登録する方法

確定申告書の還付金口座を記入する下の欄に新たに「公金受取口座登録の同意」と「公金受取口座の利用」が追加されます。

 

公金受取口座の登録

 

「還付される税金の受け取り場所」に記載した預貯金口座を公金受取口座に登録する場合は公金受取口座登録の同意に〇を記入します。登録には確定申告書に正しいマイナンバーが記載されている必要がありますので注意しましょう。また、公金受取口座は1人1口座のみで複数の口座を登録することはできません。

確定申告書で公金受取口座の登録を行い、マイナポイントの申込みを行うと7,500円分のマイナポイントを受け取ることができます。

既に公金受取口座に登録しており、確定申告の還付金を公金受取口座で受け取る場合には公金受取口座の利用に〇を記入します。

 

住所変更時の納税地の異動・変更届出書が不要に

確定申告を行っている人が引っ越しなどで住所変更に伴い所轄税務署が変わる場合には「所得税の納税地の異動に関する届出書」の提出が必要でしたが、2023年1月1日以降については届け出を提出す必要がなくなります。

また、新たな住所地での確定申告についても振替納税を行う場合には、届出書に振替納税の継続希望を記載する必要がありましたが、2023年より不要となります。振替納税の継続を希望する場合には、確定申告書の第1表の「振替継続希望」欄に〇を記載して提出する必要があります。

 

振替継続希望

 

 

「退職所得のある配偶者・親族の氏名」欄の新設

第2表の住民税・事業税に関する事項に「退職所得のある配偶者・親族の氏名」欄が新設されます。この欄には、所得税の計算では扶養親族にならないが、住民税の計算では扶養親族になる場合に記載する欄です。

所得税と住民税では、配偶者や扶養親族の退職所得の取扱いが異なり、扶養の判断を行う際には所得税では退職所得を含めますが、住民税では退職所得を含めずに扶養の判定を行います。そのため、所得税では扶養になれないが、住民税では扶養になれるケースが発生します。

例えば、子の給与所得が40万円、退職所得が20万円であった場合は親の扶養に入れるでしょうか。所得税では、子の所得合計が60万円となり親の扶養にはなれません。しかし、住民税では、退職所得を含めないため所得合計が40万円となり親の扶養になることができます。

従来の確定申告書の様式では、退職所得があった場合で住民税の扶養になれる場合であっても、別に住民税の確定申告を行わなければ住民税での扶養にすることはできませんでした。2023年より「退職所得のある配偶者・親族の氏名」に退職所得がある扶養親族を記載することで、住民税が正しく計算されることになります。

 

退職所得のある配偶者・親族の氏名

 

 

スマホでの確定申告がさらに進化

2023年1月よりスマートフォンで「青色申告決算書・収支内訳書」の作成が可能になります。また、マイナポータルと連動した各種控除証明書の一括取得、自動入力機能に新たに医療費通知情報(1年間分)、公的年金等の源泉徴収票及び社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が加わり、さらに利便性が高まります。

その他、マイナンバーカードの読み取り回数も従来の3回から1回へと短縮され使いやすくなっています。

 

スマホアプリでの納税が可能に

2022年12月より、スマホアプリでの納付が可能になっています。対応するスマホアプリは「PayPay」「LINE Pay」「メルペイ」「d払い」「au Pay」「Amazon Pay」の6つで、所得税以外にも全ての税目に対応しており、利用上限金額は30万円です。

利用方法は、スマホでe-Tax申告後、スマホアプリでの納付を選択し、国税スマートフォン決済専用サービスにアクセスします。利用するスマホアプリを選択することで簡単に納税が完了します。

 

住宅ローン控除額の引き下げ

住宅ローンによりマイホームを購入した人が受けられる住宅ローン控除が改正になります。住宅ローン控除額は「年末時点の借入残高×1%」または「建物の取得価格(上限4,000万円)×2%÷3」で計算されていましたが、2022年より「年末時点の借入残高×0.7%」で計算を行います。

また、上限額も改正され、改正前の「所得税の課税所得の7%」または「136,500円」から、「所得税の課税所得の5%」または「97,500円」に縮小されます。

なお、この改正は2022年1月以降にマイホームを購入し、申請を行う人が対象になります。既に住宅ローン控除を受けている人には影響はありません。

 

確定申告のおさらい

2023年(令和4年分)の確定申告の主な変更点は以上ですが、最後に確定申告についておさらいをしておきましょう。

 

確定申告書の提出期限

2023年の確定申告書の提出期限は2月16日から3月15日です。2022年は新型コロナウイルス感染症の影響で延長されましたが、2023年分についての延長発表は今のところありません。

 

確定申告に押印は必要ない

2022年の確定申告より、確定申告書や青色申告決算書、収支内訳書などの書類への押印が不要になっています。

 

ふるさと納税が簡素化

自治体への寄付により所得控除を受ける「ふるさと納税」の添付書類が2022年より簡素化されています。従来は、自治体から送付される寄附金受領証明書の添付が必要でしたが、「ふるなび」「さとふる」などのサイトを通じて寄付を行った場合には「寄附金控除に関する証明書」をサイトよりダウンロードし、添付書類として使用することができるようになっています。

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