最低賃金アップにどう備える?設備投資で業務改善助成金が最大600万円!

公開日: 2025.06.11

「最低賃金、また上がる…」その不安が業務改善助成金のチャンスに

毎年秋に発表される最低賃金の引き上げは、多くの企業経営者、経理担当者、人事担当者様にとって、頭の痛い問題ではないでしょうか。「また人件費が上がるのか…」「どうやってコストを吸収しよう…」そうお考えの方も少なくないはずです。

しかし、この最低賃金の上昇は、実は貴社にとって「業務改善助成金」を活用する絶好のチャンスとなり得ます。特に、現在最低賃金に近い時給の労働者がいらっしゃる企業様にとっては、「どうせ賃上げが必要なら、この機会に賢く投資して生産性も向上させよう」という、まさに「超お得」な制度なのです。

本記事では、年商数億円以上で社員を多数抱える法人様に向けて、業務改善助成金の具体的な活用方法、なぜ今がチャンスなのか、そして貴社がこの助成金の対象となる可能性について、詳しく解説していきます。

業務改善助成金とは?:賃上げと生産性向上を両立する国の支援策

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を引き上げるとともに、業務改善のための設備投資などを行う場合に、その費用の一部を国が助成する制度です。

この助成金の目的は、単に賃上げを促すだけでなく、賃上げによって生じる企業の負担を軽減し、同時に生産性向上を支援することで、企業の持続的な成長を後押しすることにあります。

対象となる取り組み:賃上げと設備投資は車の両輪

業務改善助成金の対象となる取り組みは、大きく分けて以下の2つです。

  1. 事業場内最低賃金の引き上げ
    • 自社の事業場内最低賃金を、30円以上引き上げることが必須要件です。
    • 引き上げは、事業場内の全ての労働者に及ぶ必要があり、最も低い賃金の従業員だけでなく、他の従業員についても新しい最低賃金額以上の賃金水準に揃える必要があります。
    • ただし、新規雇用から6ヶ月未満の従業員はカウントされません。
  2. 生産性向上に資する設備投資等の実施
    • 賃上げと併せて行う、業務の効率化や生産性向上につながる投資が助成対象となります。

助成対象となる設備投資の具体例

助成金の対象となる設備投資は多岐にわたります。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • POSレジ、自動釣銭機、オーダーシステム:レジ業務の効率化、人件費削減
  • 食器洗浄機、業務用冷蔵庫:飲食店の厨房業務効率化
  • レイアウト変更:作業動線の改善、生産性向上
  • フォークリフト、運搬用冷蔵庫、福祉車両、産業用ロボット:物流・製造業の効率化、省力化
  • その他、機械設備の導入、システム導入
  • 業務改善のコンサルティングの利用
  • 人材育成・教育訓練の実施

要は、「賃金を上げるために業務効率を上げる投資をしました。その費用を補助してください」という枠組みです。

なぜ今が「超お得」なのか?:高助成率と最大600万円のチャンス

業務改善助成金が「超お得」と言われるのには、明確な理由があります。

賃上げコースと助成上限額、そして高い助成率

賃上げコース区分 助成上限額 助成率(引き上げ前
事業場内最低賃金)
備考
30円コース 30〜130万円 1,000円未満:4/5
1,000円以上:3/4
  • 助成額は、賃金の引き上げ額、引き上げ労働者数等によって決定
  • 交付決定を受けた後に設備投資等を行う(申請前の投資は対象外)
  • 特定の要件を満たす場合、最大で9/10(90%)の助成率が適用されるケースもあります。
45円コース 45〜180万円 1,000円未満:4/5
1,000円以上:3/4
60円コース 60〜300万円 1,000円未満:4/5
1,000円以上:3/4
90円コース 90〜600万円 1,000円未満:4/5
1,000円以上:3/4

助成上限額は、引き上げる賃金の金額(コース)と引き上げる労働者数によって異なりますが、最大で600万円の支給を受けることが可能です。

例えば、90円コースで7人以上の労働者の賃金を引き上げる場合、最大450万円、10人以上では最大600万円の助成上限額が設定されています。

毎年申請可能!予算も大幅アップ

業務改善助成金は、毎年申請が可能です。2024年度に受給しても、2025年度に改めて要件を満たしていれば、新しい年度でも申請できます。

さらに、2025年度は業務改善助成金の予算が2.5倍に増額されるなど、国もこの制度に力を入れています。これは、企業が賃上げと生産性向上を両立させるための、強力な追い風となるでしょう。

貴社も対象?地域別最低賃金と対象企業の目安

「うちの会社は対象になるのだろうか?」そうお考えかもしれません。業務改善助成金は、事業場内最低賃金を30円以上引き上げる計画がある企業が対象となります。

特に、現在の最低賃金に近い時給の労働者がいらっしゃる企業様は、この助成金を活用する絶好の機会です。

あなたの会社で、もし「最低賃金プラス50円以内」の時給で働いている従業員がいるなら、まさにこの助成金の対象になる可能性が高いんです!

例えば、大阪府の現在の最低賃金が1,114円。もし貴社の最も低い時給が1,114円から1,164円(1,114円+50円)の範囲にある従業員がいる場合、その賃金を30円以上引き上げることで、この助成金を受けられる可能性が非常に高いと言えます。

以下の表で、令和6年度の地域別最低賃金と、そこから助成金対象となる時給ゾーンの目安をご確認ください。

地域 地域別最低賃金(令和6年度) 対象となる時給ゾーンの目安
(+30円〜+90円の賃上げを想定)
大阪府 1,114円 1,144円〜1,204円
東京都 1,163円 1,193円〜1,253円
京都府 1,058円 1,088円〜1,148円
兵庫県 1,052円 1,082円〜1,142円
愛知県 1,077円 1,107円〜1,167円
福岡県 992円 1,022円〜1,082円

※注:上記の「対象となる時給ゾーンの目安」は、地域別最低賃金に対し30円〜90円の賃上げを想定したものです。助成金の支給要件や助成率は、賃上げ額や事業所の規模などによって細かく定められています。

参考:厚生労働省【最低賃金特設サイト】

最低賃金は今後も継続して引き上げられる傾向にあるため、「その場しのぎ」ではない中長期的な賃金設計の見直しが不可欠です。この助成金は、そのための強力なツールとなるでしょう。

申請から受給までの流れと注意点:計画的な準備が成功の鍵

業務改善助成金の申請プロセスは、計画的に進めることが重要です。

申請から入金までのステップ

基本的な流れは以下の通りです。

  1. 助成金交付申請書の提出:事業改善計画と賃金引上計画を記載した交付申請書を、都道府県労働局に提出します。
  2. 助成金交付通知:申請内容が適正と認められれば、交付決定通知が届きます。
  3. 業務改善計画・賃金引上計画の実施:交付決定通知後、設備投資や業務改善、賃金引き上げを実際に実施します。
  4. 事業実績報告書の提出:計画の実施結果と賃金引上の状況を明記した報告書を、都道府県労働局へ提出します。
  5. 助成金額の確定通知:実績報告書の内容が受理されれば、助成金額の確定通知が届きます。
  6. 支払い請求書の提出:確定通知を受けたら、支払い請求書を提出します。
  7. 助成金の受け取り:助成金が貴社に振り込まれます。

申請手続き上の重要な注意点

  • 実施時期の厳守交付申請書を提出する前に設備投資や賃上げを実施した場合、原則として助成対象外となります。必ず、交付決定を受けてから設備投資を行い、交付申請書の提出後から事業完了期日までに賃上げを実施してください。
  • 募集期間:業務改善助成金には募集期間が定められています。予算の範囲内での運用となるため、期限前に募集が停止される可能性もあります。賃上げを予定している時期の少なくとも1ヶ月以上前には申請書を提出することが望ましいです。
  • 計画の具体性:事業改善計画と賃金引上計画は、具体的に記載する必要があります。曖昧な計画では、審査に通らない可能性があります。


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実は、その賃上げと同時に行う業務改善投資には、国から最大600万円の助成金が受けられるチャンスがあります。
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まとめ:今こそ、専門家と「賢い賃上げ」を

最低賃金の上昇は、企業にとって避けられない経営課題です。しかし、業務改善助成金を活用すれば、この課題を生産性向上のための戦略的な投資機会へと転換することができます。

「申請手続きが複雑そう」「自社で要件を満たせるか不安」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。実際に、助成金の申請には専門的な知識と多くの書類準備が必要です。しかし、専門家である寺田税理士・社会保険労務士事務所にご相談いただければ、貴社の状況に合わせた最適な助成金活用プランをご提案し、複雑な申請プロセスを強力にサポートいたします。

賃上げは、従業員のモチベーション向上にも繋がり、企業の成長に不可欠な要素です。この機会に、業務改善助成金を活用し、「賢い賃上げ」を実現しませんか?

貴社からのご相談を心よりお待ちしております。

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