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【Vol.31】税務調査での「質問応答記録書」の作成目的・効果とは?

税務調査時の質問応答記録書

1問1答式で税務調査で押さえるべきポイントを解説

1 税務調査の基礎知識
2 税務調査官への対応
3 税務調査でよく指摘される項目

について押さえるべきポイントを1問1答式で解説していきたいと思います。

税務調査シリーズ目次

税務調査での「質問応答記録書」の作成目的・効果とは?

税務調査では「質問応答記録書」というものが作成されて手渡されると聞きました。「質問応答記録書」には、どのような意味があるのでしょうか?

ごく簡単にいうと、質問応答記録書とは「税務調査がどのような形で行われたか、後からみてもきちんとわかるように記録をとっておくために調査官側が作成する資料」です。税務調査の結果として重加算税が課されてしまうようなケースでは、事実認定の経過を明らかにするためにほとんどのケースで作成されます。

以下では、この「質問応答記録書」の法律上の位置づけや、実務上どのような意味があるのかについて説明させていただきます。

「質問応答記録書」の法律上の位置づけ

「質問応答記録書」を作成することには、法律上は以下のような意味があります。

  • 「質問応答記録書」に対する納税者側の回答内容そのものが証拠となる場合
  • 直接的に非違を根拠づける証拠はないが、納税者側の「質問応答記録書」への回答が非違立証の重要なファクターとなる場合


調査官側の立場で見れば、言い方は悪いですが納税者側の言質を取るために作成する書類と考えることも可能です。

具体的にどのような場合に「質問応答記録書」が作られるかというと、例えば、会社の役員や外部の外注先に対して、実際には何ら役務の提供を受けていないのに、会社からお金の支払いをしているような場合に、役員報酬や外注費の損金算入を否認するようなケースです。

ある事実(この場合は役務の提供)が「なかった」ということを客観的に証明するのは非常に困難なので、「質問応答記録書」を納税者側に提示して、その事実がなかったことを認めてもらうことで税務調査を前に進めていくということが行われるのです。

「質問応答記録書」への同意は納税者にどんな得があるのか?

納税者側として、そのような事実を認めて何の得があるの?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、税務調査はこのように「交渉」のような形で進む側面が実は少なくありません。

例えば、外部の職人への外注費支払いとして処理している項目について、実質的には従業員と変わりがないので本来は源泉所得税の納付をしないといけなかったとします。このような場合に、税務署側の申し出として、「この源泉所得税については目をつぶるので、役員への報酬支払に関しては会社の経費として認めないことに同意してほしい」といったような形で「質問応答記録書」を作成するということが行われます。

結果として納税者側にとってもメリットがある措置となるケースもあるので、税務調査対策に詳しい税理士などにアドバイスをもらいながら、応じるか応じないかを判断するべき項目といえます。

ただし、「質問応答記録書」への同意を求められた場合にも、納税者側は任意の行政文書であることを理由に署名押印を拒否することは法律上問題ありません。

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shinya