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役員賞与を支給して経費(損金)にするには?「事前確定届出給与」で知っておくべき7つのポイント

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事前確定届出給与

はじめに

「予想以上の利益が出たから、役員賞与を支給したい」
「会社で税金が取られるくらいなら、自分への役員賞与を出したい」

そう思ったことありませんか?
でも、おそらくそれを税理士に伝えても「社長、役員賞与は取れません」と言われるでしょう。

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でも、本当に役員賞与は支給できないのでしょうか?
今回は役員賞与の支給を経費にする方法について、可能なかぎりわかりやすくイラストと7つのポイントにまとめて解説します。

時間は約5分で読み切れる内容にしています。
たった5分だけ我慢して読んでください。

そしてこの記事を読み終わったころには
1 役員賞与を経費にすることができるかどうか
2 役員賞与を経費にするために必要なこと

を理解していただけるでしょう。

1.役員賞与は損金(経費)にならない

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いきなりみなさんの期待を裏切ってしまうようなことになりますが、役員賞与は本来会社の経費にできません!
したがって税理士が言うことは間違ってません。

「何いきなり元も子もないこと言ってるの!?」
と言われるかもしれませんが、そこはちゃんとそれに代わる方法をご紹介しますのでご安心ください。

なぜ経費にならないかという理由は「法人税法は決算ギリギリのタイミングでの過度な節税を規制している」からです。もし役員賞与を経費にすることを認めてしまうと、会社の利益をいくらでも操作することができてしまうからです。

以下のようなイメージ

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2.役員賞与を損金(経費)にするには?

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では、役員賞与を経費(損金)にするにはどうすればいいでしょう!
これからが今回の記事の本題です。

結論は、役員賞与に代わるものとして「事前確定届出給与」という制度を活用すれば可能となります。(注意:以下からも役員賞与と表現する部分がありますが、あくまで役員賞与ではなく事前確定届出給与のことを指すと理解ください)

3.「事前確定届出給与」とは?

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「事前確定届出給与」とは、読んで字のごとく
『事前に支給する金額を確定し、その内容を税務署に届け出る役員への給与』
のことを言います。
この「事前確定届出給与」を活用することで、役員賞与の支給も経費にすることが可能となります。

以下のようなイメージ

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4.「事前確定届出給与」を利用するために必要な手続きとは?

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「事前確定届出給与」を利用し、役員賞与を経費(損金)にするには以下の手続きが必要です。

  1. 株主総会を開催し所定の事項を決議し”議事録”を作成する
  2. 税務署が用意している所定の用紙を使う
  3. 所定の用紙に必要な事項を記載する
  4. 所定の期日までに税務署へ届け出る


以上の手続きをすれば、実際に役員賞与(=実際には事前確定届出給与ですが)を支払った場合、会社の経費(損金)として認められます。

① 株主総会を開催し所定の事項を決議し”議事録”を作成する

まずは、「事前確定届出給与」を支給することについて、株主総会を開催し以下のことについて決議し、その内容を記載した議事録を作成する必要があります。

  1. 支給する役員賞与(事前確定届出給与)の額
  2. 支給する役員賞与(事前確定届出給与)の時期

以下が議事録のイメージ画像です

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この議事録のひな形(雛型)はこちらからダウンロードが可能です(WORD形式)。

株主総会議事録(事前確定届出給与)WORD形式

② 税務署が用意している所定の用紙を使う

「事前確定届出給与」の利用で必要な所定用紙はこちらです

  1. 「事前確定届出給与に関する届出書」  1通
  2. 「付表(事前確定届出給与等の状況)」 支給対象とする役員の人数分

以下がこの2つの用紙のイメージ画像です

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この2つの所定用紙はこちらから確認とダウンロードが可能です。
【 国税庁ホームページ 】

事前確定届出給与に関する届出書(PDF/310KB)

付表(事前確定届出給与等の状況)(PDF/184KB)

③ 所定の用紙に必要な事項を記載する

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上記の用紙に記載すべき必要な事項は

  1. 役員へ支払う”金額”
  2. 役員へ支払う”時期”
  3. それを”決議した日”


です。この3つの事項を用紙へ記載しましょう。

用紙に関して記載例を作ってみました。ぜひ参考にして下さい。
画像クリックしていただければジャンプします

事前確定届出給与記載例

「事前確定届出給与に関する届出書」「付表(事前確定届出給与等の状況)」の記載例

④ 所定の期日までに税務署へ届け出る

「事前確定届出給与」の届出期日は

  1. 株主総会の決議の日から1か月以内
  2. 決算から4か月以内


のどちらか早い日までの届出が必要です。

5.「事前確定届出給与」のメリットは?

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今回テーマにした「役員賞与を経費(損金)にする方法=事前確定届出給与の活用」ですが、メリットは以下の4つです。

  1. 役員の賞与を経費(損金)にすることができる
  2. 支払時期をまとめることで通常月の資金繰りがよくなる
  3. 社会保険料の上限枠を使って社会保険料の負担をおさえることができる
  4. 役員として仕事に対するモチベーションが上がる

① 役員の賞与を経費にすることができる

今回の記事のメインですね。「事前確定届出給与」制度を活用することで、今まで支給することができなかった役員賞与を経費(損金)として処理出来るようになります。

② 支払時期をまとめることで通常月の資金繰りがよくなる

たとえば、スキー場やイベント業など特定の時期に売上が集中するような会社は、毎月同額の役員報酬を取ることが資金繰りの面できびしいことがあります。そのような場合は毎月の役員報酬を低めに設定し、差額を「事前確定届出給与」として支給し通常月の資金繰りを良くすることができます。

③ 社会保険料の上限枠を使って社会保険料の負担をおさえることができる

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この「事前確定届出給与」を支給した場合、社会保険(健康保険と厚生年金保険)は「賞与」として計算されます。
しかし、賞与に関する社会保険料には上限があり、以下のとおりです。

  1. 健康保険 年間累計額573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額)
  2. 厚生年金保険 1か月あたり150万円


が上限です。
したがって、この上限額を超えた「事前確定届出給与」を支給すれば、その超えた部分に対する社会保険料はかかりません。この方法は、社会保険料削減のスキームとして悪用された経緯があり現在は一定の規定が設けられているので注意が必要です。たとえば毎月の役員報酬が生活ができないほど著しく低い場合は否認される可能性があるでしょう。

④ 役員として仕事に対するモチベーションが上がる

役員として仕事で成果が上がれば、見返りとして役員賞与を取りたいものです。毎月同額の役員報酬だけではモチベーションも上がりません。「事前確定届出給与」で役員賞与を設定すれば仕事に対するモチベーションにもつながるでしょう。

6.「事前確定届出給与」のデメリットは?

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最後に「事前確定届出給与」のデメリットはあるでしょうか。
デメリットではありませんが、必ず守るべき重要ポイントがあります。それは届出したとおりの金額の役員賞与(=事前確定届出給与)を支給することです。また支給する時期も届出したとおりの時期ですたとえば、勝手に届出していた金額と異なる額を支給してしまうと、支給した役員賞与のすべてが経費として認めてもらえなくなります(=損金不算入)。※赤で囲った部分すべてが損金となりません。
イメージ図は、減額した役員賞与を支給した場合ですが、増額した役員賞与を支給する場合も同様ですべてが損金となりません。

以下のようなイメージ

img487

7.「事前確定届出給与」を支給できない場合には?

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では最後に。
何らかの理由であらかじめ届出した役員賞与(=事前確定届出給与)を支給できない場合はどうしたらいいでしょうか。
以下の2つのケースがあります

  1. 届出した役員賞与(事前確定届出給与)の額を変更したい場合
  2. 届出した役員賞与(事前確定届出給与)を不支給にしたい場合

① 届出した役員賞与(事前確定届出給与)の額を変更したい場合

届出した役員賞与の額を変更した場合は「事前確定届出給与に関する変更届出書」を作成し税務署へ提出しましょう。
しかしこの変更は以下の理由に該当する場合のみ認められます。

  1. 業績が悪化した場合
  2. 新たな役員が就任した場合
  3. 役員の職制上の地位や職務の内容に重大な変更があった場合
  4. 届け出をした役員が病気休養した場合


また業績の悪化といっても一時的な赤字や資金繰りの問題ではこれに該当しません。銀行借入の返済をリスケジュールした場合、取引先から役員報酬の減額や経営改善計画の要請があった場合などが該当します。
なお、この事前確定届出給与に関する変更届出書は、事由が生じた日から1ヶ月以内に税務署長に提出する必要があります。

② 届出した役員賞与(事前確定届出給与)を不支給にしたい場合

届出した役員賞与の額を支給額にする場合は、特に税務署への手続きは必要ありません。
ただしこの場合、社内で以下の手続きが必要です。

  • 事前確定届出給与辞退の意思表示とその決議をする
  • 上記1の内容を証明する以下の2つ書類を作成し保管しておく
    1. 役員からの事前確定届出給与の受領辞退届
    2. ①の辞退届を承認する株主総会議事録

以下のようなイメージ

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ちなみに社内でこの手続きをしていない場合は問題が発生します。
所得税法では

(給与等の受領を辞退した場合)
28-10 給与等の支払を受けるべき者がその給与等の全部又は一部の受領を辞退した場合には、その支給期の到来前に辞退の意思を明示して辞退したものに限り、課税しないものとする。

とされています。よって支給期(支給日)が到来する前に「辞退の意思を明示した」ということを証明する書類を作成しておきましょう。もしそれを怠ると支給していない役員賞与について所得税が発生する可能性があるため注意が必要です。

まとめ

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いかがでしたか?
役員賞与を支給し経費(損金)にする方法がお分かりいただけたでしょうか。
解説のとおり、役員賞与については法人税法で規制があります。したがってそれに代わるものとして「事前確定届出給与」を活用しましょう。
ただし正しい手続きをとっておかないと経費(損金)にならない場合もありますので、制度が理解できるまでこの記事を繰り返し読んでください。

寺田税理士・社会保険労務士事務所

寺田税理士・社会保険労務士事務所では、役員賞与を経費(損金)にする「事前確定届出給与」について「税・社会保険・助成金それぞれの専門家」という立場から総合的にフォロー致します。
今後、事前確定届出給与の導入を検討したい場合、どのような事前準備が必要か、現状どのような課題や問題があるのか、などを総合的に検証しお客様に提案致します。

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