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国民年金保険料を滞納すると強制徴収!対象となるのは年間所得300万円以上!

国民年金保険料の滞納で強制徴収される者が増加

国民年金保険料滞納強制徴収

平成28年(2017年度)から国民年金の「強制徴収」を強化する方針を決定

平成28年9月、厚生労働省と日本年金機構は、国民年金保険料の強制徴収の対象を拡大する方針を決定した。
現在、国民年金保険料の納付率が60%程度に低迷していることを受け、この納付率の向上を図るために強化される。

所得350万円以上から所得300万円以上に対象を拡大

現在、国民年金保険料の強制徴収は年間所得が350万円以上(未納月数7ヶ月以上)の滞納者に対して実施しているが、
平成29年(2017年度)からは年間所得300万円以上(未納月数13ケ月以上)
に、さらに
平成30年(2018年度)からは年間所得300万円以上(未納月数7ケ月以上)
に拡大されることとなる。

強制徴収の対象者は現在の27万人から36万人に増加

国民年金強制徴収

これにより、これまで強制徴収の対象者が現在の約27万人から約9万人増加の36万人程度になる見通しだ。

強制徴収や財産差し押さえの流れは以下のような順に行われる

強制徴収と財産差し押さえの流れ

  1. 滞納が続いている者に文書・電話・個別訪問などで要請する
  2. 要請に応じないものに「催告状(さいこくじょう)」を送付する
  3. 「最終催告状(さいしゅうさいこくじょう)」を送付する
  4. 「督促状(とくそくじょう)」を送付する
  5. 「督促状(とくそくじょう)」の支払期限を無視すると「延滞金」を加算する
  6. 所得や財産などを精査する(①銀行口座②有価証券③自動車④勤務会社への直接問合せなど)
  7. 「差押予告」を送付する
  8. 強制執行によって財産の差し押さえを行う

また、
本人が支払えない場合は連帯納付義務者として配偶者(妻)や世帯主(親など)にも請求を行うことになる。
したがって親族にも支払いの責任が発生し、親族の財産までも差押えの対象となる可能性がある。

滞納は2年の時効で消えるのか?

国民年金保険料時効

確かに、国民年金保険料を徴収する権利は2年で時効である。
そのため「2年を経過すればそれを徴収されることはない」と考えている人もいる。
しかし「督促状」が出された場合はその時点で時効が中断するため滞納が消滅しなくなる

以前は滞納が放置されて時効を迎えたケースも多い。
しかし近年は国民年金の徴収強化の流れから、支払能力がある人には早めに督促を行い、時効を迎えさせない方向に動いているようである。

年300万円以上は「年収」ではなく「所得」

国民年金保険料の強制徴収の範囲は年間所得300万円以上である。
ここで注意が必要なことは「所得」が300万円以上ということである。
あくまで「所得」であって「収入」ではないことに注意いただきたい。

  1. たとえば、自営業などの個人事業主だったら
    収入(売上)-原価-経費-(基礎控除、青色控除、社会保険・生命保険料控除など)=「所得」
  2. 給与を収入とするサラリーマンやアルバイトだったら
    収入(給与額面額)-給与所得控除-(基礎控除、社会保険・生命保険料控除など)=「所得」

という計算になる。

国民年金保険料は1か月当たり16,260円(平成28年)

ちなみに、現在1ケ月当たりの国民年金保険料は16,260円となっている。(平成28年度)

払えない場合は「免除」や「猶予」の制度を申請するべき

経済的な理由で国民年金保険料を払えないのであれば「免除制度」や「猶予制度」を利用すべきである。
また20歳以上の学生であれば「学生納付特例制度」を利用することができる。
もし払えない場合は単に滞納するのではなくしっかりこの制度を使うべきである。
この「免除制度」や「猶予制度」を受けることができる所得等の基準についてはこちを参照してもらいたい。
「日本年金機構HP:保険料を納めることが、経済的に難しいとき」
国民年金の「免除制度」「猶予制度」の相談については窓口があり各市役所の年金窓口で対応してくれる。
またこの「免除制度」や「猶予制度」を申請しておけば、もしその間に事故・病気や死亡した場合、「障害年金」や「遺族年金」も受け取ることができ、もちろん老後の年金の受給資格期間や受給額にも算入される。

国民年金を納付すべき被保険者とは?

国民年金被保険者とは

ちなみに国民年金法上の被保険者は以下の1号から3号の3種類がある。
以下「日本年金機構HPより引用:第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者」

第1号被保険者
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入し、将来、老齢基礎年金を受けます。国民年金では加入者を3種類に分けています。そのうち、20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人等、第2号被保険者、第3号被保険者でない者が第1号被保険者です。国民年金の保険料は本人または保険料連帯納付義務者である世帯主・配偶者のいずれかが納めます。 また、(1)日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の厚生年金、共済年金などの老齢年金を受けられる人、(2)20歳以上65歳未満で海外に住んでいる日本人 、(3)日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人(4)65歳以上70歳未満の方(但し、昭和40(1965)年4月1日以前生まれで、老齢基礎年金を受けるための受給資格期間を満たせない方に限ります。)が、希望して国民年金に任意加入する場合も第1号被保険者と同様の取扱いとなります。
第2号被保険者
国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者を第2号被保険者といいます。この人たちは、厚生年金や共済の加入者であると同時に、国民年金の加入者にもなります。加入する制度からまとめて国民年金に拠出金が支払われますので、厚生年金や共済の保険料以外に保険料を負担する必要はありません。 なお、65歳以上の被保険者、または共済組合の組合員で、老齢基礎・厚生年金、退職共済年金などの受給権がある人は第2号被保険者とはなりません。
第3号被保険者
国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を第3号被保険者といいます。保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しますので、個別に納める必要はありません。第3号被保険者に該当する場合は、事業主に届け出る必要があります。
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